リビングストン5プレステージは、イタリアのビルダー、ローラーチームのバンコンタイプキャンピングカー。フィアットデュカトをベース車にしており、全長は6mを超える。

ローラーチームは日本では初お目見え。
フジカーズジャパンが輸入販売を行う。
トリガノグループの翼下にあり、主にフィアットデュカト、あるいはフォードベースのキャブコンをラインアップしている。
そんな中で、リビングストンは唯一のバンコンモデルで、本国ではレイアウトと全長により13種類を用意している。

今回紹介するのは、リビングストンシリーズでは中核に位置する、リビングストン5プレステージ。
全長は6090mmで、わずかに6mを出てしまうのが残念なところ。
9cmのためにフェリー料金が高くなってしまう。
もっとも本国の仕様では5995mmとなっており、日本での登録においてそのようになってしまったようだ。

ベース車はフィアットデュカトでディーゼル2300cc/130HPが標準、オプションで150HPも選択できる。
ミッションは6速ATが標準だが、6速MTも選べる。
オルタネーターは110Aが標準だが、180Aも選択可能で、燃料タンクも90Lが標準で120Lが選択でき、きめ細やかな選択ができる。
更に右ハンドルもオプションで選択できる。

レイアウトは、前部にリビング、後部にベッド、中央にギャレーとサニタリールームを配置する欧州車では一般的なもの。

ただ、後部のベッドが2段ベッドになっているのが最大の特徴。
これだけのことで特徴的なほど、欧州車のレイアウトは判で押したように決まりきっているが、リビングストン5プレステージの2段ベッドは、上下段とも2名が就寝できるのが、他の欧州バンコンとの大きな違いである。

下段は1850x1420mm、上段は1830x1320mmの大きさを持ち、4名就寝が可能。
更にダイネットを展開すると、1700×970mmのエマージェンシーベッドになる。
ただし、これは大人用ベッドの規定の大きさではないので、子供用ベッドとしてカウントされる。
いずれにしても、欧州バンコンでファミリー向けのものは非常に珍しく、ファミリーユーザーから注目されるモデルとなるだろう。

ダイネットは、2列目に前向き固定シートと、回転するフロントシートで4名が着座できる。
ギャレーは2口バーナーと大き目のシンクが一体になったコンビネーションシンクで、小型の鍋も洗うことができる。
ただし、調理スペースは無いので、まな板で食材を切ったりする場合は、ガラスカバーを閉じて行う必要がある。
冷蔵庫は80Lが標準装備され、ファミリー分の食材を保存しておくには十分。
なお、ガスは日本での使用が便利なようにカセットガスに変更されているのはありがたい。

サニタリールームは、これも欧州車らしく、カセットトイレと温水シャワーが標準装備される。
ただし、温水はボイラーで沸かし、水と混合して適温にするタイプで、一度に沸かせる湯量は10L程度。
即ち、4名分の温水シャワーの湯量を得るには、2回以上に分けて湯を沸かす必要がある。
ファミリーで使う場合は、このあたりも確認しておく必要がある。

収納は大きなオーバーヘッド収納が、ダイネットの上、ギャレーの上に設置されている。
これだけでも相当の収納力があるが、ベッド下の収納はさらに大きく、4名分の荷物も余裕で収納できる。
ただ、ベッド下の収納ラックは上部から収納物を入れる構造で、ベッドボードがあると（通常はある）出し入れが極めてやり難い。
これは通常の扉か、理想的にはスライド扉にすべきだった。

リビングストン5プレステージの特徴は、ファミリーがゆったり就寝できるベッドを持つ輸入バンコンであること。
最近は、輸入車のバンコンモデルが増えてきたが、ファミリーで使えるものは多くない。
ハイマーカーのエアーズロックやシドニーがあるが、ポップアップルーフでの就寝となる。
またアドリアモービルのツイン640は4名就寝できるが、ダイネット展開が必要。

常設ベッドで4名が就寝できるのは、リビングストン5プレステージしかなく、貴重な存在ではある。