TWIN(ツイン)はアドリアモービルが製作する、フィアットデュカトをベース車にした欧州バンコンキャンピングカー。アドリアモービルはスロベニアのビルダーで、フルコン、キャブコン、バンコン、更にトラベルトレーラーまで手掛ける欧州の大手ビルダーだ。
本国のTWINシリーズにはルノーのトラフィックをベース車にしたモデルも存在するが、日本にはデュカトベースのもののみが輸入されている。グレードは上級グレードのSupremeと、中間グレードのPlusの2種類が輸入されている。それぞれ4種類のレイアウトが選択できる。
輸入されているレイアウトはツインベッドを持つSLB、ダブルベッドを持つSPB、そして今回取り上げた、後部にプルダウンベッドを持つSGXがある。またSPBにはSPB
GBという左エントランスのモデルも用意されている。
またSLBとSGXは6mを超えるが、SPBは6m以内の全長に収まっている。以下はSGXについて解説する。
Supreme仕様には二つのスカイルーフが搭載される
コンセプト:2020年モデルでは、Supremeに二つのスカイルーフが装備された。またSGXは後部にプルダウンベッドを持ち、自転車を積みながら就寝できるという新しいコンセプトを打ち出している。
エクステリア:フィアットデュカト ディーゼル2.3L、160HPエンジンを搭載するが180HPエンジンへのアップグレードもオプションで選択することができる。ボディカラーは5種類から選択できる。ハンドルは左右どちらも選択できる。
インテリア:Supremeは先述のように大きなスカイルーフとサンルーフにより、明るく開放的なダイネットを演出している。またシート地は3種類ヵら選択でき、本革にも変更できる。欧州車のインテリアらしくナチュラルに仕上がっているが、木目は無く無機質な室内となっている。家具色はオニキス(Onyx)1種類のみ。
中間まで下ろした状態のプルダウンベッド
レイアウト:SGXのレイアウトはフロントにダイネット、中央にギャレーとサニタリールーム、後部にベッドルームを配置する。欧州のデュカトベースのキャンピングカーの定石通り。フロントシートは回転してダイネットチェアとして利用できる。
SGXのレイアウトは「如何にして自転車を積みながら就寝するか」の解で、バンコンでこれが実現できる唯一のモデルだ。
ダイネット:2列目には前向き2人掛けのシートがあり、フロントシートとで4名が対座できる。テーブルは2枚が重なっており、下側をスライドすると表面積が大きくなる。なお、ダイネットはベッドに展開することはできない。
一番下まで下ろした状態のプルダウンベッド
ベッド:後部のプルダウンベッドが唯一のベッドで、2名が就寝できる。従って、二人旅専用となる。プルダウンは2段階あり、中間で止めると、下に自転車を積みながらベッドで就寝することができる。この場合は1750x1320mmのベッドサイズで、セミダブルベッドより少し広い程度。多少圧迫感もある。しかし下は高さのある収納スペースとなる。
一番下まで下ろすと、サイドの収納ラックの幅が加わり、サイズは1960x1950mmとなり、キングサイズ以上の大きさを確保できる。
2口コンロと一体のシンクがビルトインされたギャレー
ギャレー:2口コンロと一体になったシンクが標準装備される。ただし調理スペースはほとんどなく、手の混んだ調理には狭いかもしれない。引き出し収納が豊富に用意されており、鍋や大きめの皿も収納できる。
冷蔵庫/電子レンジ:150L冷蔵庫を標準装備。容量的には全く問題なく、二人旅には大きすぎるほどだ。なおガスオーブンがオプションで設定されており、右ハンドル車のみ装着できる。電子レンジは国内での取り付けオプションとなる。(6万円)
手洗い側を回転するとシャワールームになる
サニタリールーム:欧州車はバンコンでも温水シャワーが標準装備されているのが当たり前で、TWIN Supreme640SGXも例外ではない。カセットトイレと専用手洗いが装備されているが、手洗い側を回転させトイレ側に寄せると、シャワールームが出現する。従ってカセットトイレが水浸しになることはない。
ダイネット上の収納
収納:ダイネット上部とギャレー上部にオーバーヘッド収納、が備えられている。またギャレーコンソールには引き出し収納をはじめ多くの収納スペースが用意されており、小物や食器の収納に便利。
更に大きな荷物は、後部のベッド下収納庫に置いておける。
後部左側の収納
空調:軽油仕様のFFヒーターが標準装備される。床暖房はオプションで装備できる。冷房はルーフエアコンがオプションで用意されているが、バッテリーでの運転は期待できない。外部電源があるところでのみ使用できる。
なお、オプションでセパレートエアコン(50万円)が装備できる。これはバッテリーでも運転できるのでお勧めだ。
テレビ/ナビ:テレビ、ナビともオプションで設置できる。テレビは19型が用意されている。
電装系:100Ahディープサイクルバッテリーが1個標準装備される。停泊場所がいつも外部電源が取れるところなら問題ないが、そうでない場合はバッテリーの増設が必要。トリプルバッテリー(30万円)もあるが、200Ahリチウムイオンバッテリー(1500Wインバーター付き:745000円)を装備すると安心だ。(400Ahもある)
200Wソーラーシステム(188,000円)や発電機(60万円~70万円)も装備できる。
なお、電装系ではないが、8Kgのプロパンガスボンベが2本搭載できる。ガスは主にコンロとシャワー用の湯を沸かす用途で使用する。FFヒーターは軽油を使用する。
価格:TWIN Supreme 640SGXは886万円(税別)。電装系の強化、セパレートエアコン、電子レンジあたりが必須で必要なオプションなので、追加で130万円:税別)くらいを考えておく必要がある。
他車:アドリアのライバルと言えばデスレフだが、現在輸入されているデスレフブランドのバンコンは無い。むしろアドリアのセカンドブランドであるサンリビング
Vシリーズや、デスレフのセカンドブランドのサンライトのクリフシリーズが有力な選択肢だ。
またフジカーズジャパンが輸入するローラーチームのリビングストン5やK2、K3もある。
ただし、「自転車を積みながらベッドが使える輸入バンコン」は他に見当たらない。輸入バンコンでこの使い方を考えているならこれしかない。
まとめ:TWIN Supreme 640SGXは、上記のように、自転車を積んでかつ就寝できる輸入バンコンという条件選択では、唯一のモデルだ。国産モデルを見ても、自転車を積めるモデルはトランポ的な方向で、温水シャワーやトイレが付いたものはない。
ニッチな用途を狙ったモデルと言えるが、自転車を積みながらゆったり就寝したいというのは決してニッチな需要ではなく、むしろ今後対応モデルは増えてゆくだろう。
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