テントむしは、バンショップ ミカミが製作する、ダイハツ ハイゼットトラックをベース車にした軽キャブコンキャンピングカー。
同社は鹿児島県曽於市を拠点にするビルダーで、このテントむしリーズの軽キャブコンと、タウンエースベースのDテントむしを中心にラインアップを展開している。
テントむしは2005年に発表され、同時に軽キャンパーの火付け役ともなったエポックメーキングなモデルで、以来そのかわいらしいイメージで軽キャブコンの代表的なモデルとして君臨している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ダイハツハイゼットをベース車にした軽キャブコン。ポップアップルーフ付きのシェルを架装し、軽自動車枠に収まるサイズで、軽8ナンバー登録となっている。
テントむしには、ベンチシートのL字型ダイネットを持つSタイプ、2列目に2名掛けのマルチモードシートを持つFタイプ、2列目に単座のマルチモードシートを持つF1タイプが選択できる。
この3タイプの他、2シーターで後部に広い荷室を持つ軽4ナンバー登録の2シータータイプが用意されている。
最新モデルでは車載用セパレートクーラーと200Ah相当のリチウムイオンバッテリーもオプションで用意され、快適なクルマ旅も期待できる。
アピールポイント
・ポップアップルーフ付きのシェルを架装
・豊富なエクステリアカラーバリエーション
・2タイプのリアゲートを選択可能(OP)
・3タイプの軽8ナンバー登録レイアウトと1種類の軽4ナンバー登録
・18Lポータブル冷蔵庫を標準装備
・車載用セパレートクーラーを設置可能(OP)
・200Ah相当のリチウムイオンバッテリーを装備可能(OP)
ベース車とエクステリア
テントむしのエクステリア
ベース車はダイハツ ハイゼットトラック。スタンダードとエクストラグレードが選択でき、いずれも2WDと4WDが選択できる。更にそれぞれ5MTとCVTが選択できる。
このベース車にアルミとFRPのコンポジットパネルのシェルを架装し、軽量化を図っている。シェルにはポップアップルーフを標準で装備する。後部にはオプションで大きなリアゲートか、上半分、下半分の大きさのゲートが選択できる。
シェルのカラーバリエーションは豊富で、ベース車の6種類のカラーに加え、オプションでシェルの塗り方も指定することができる。更にベース車の塗装もオーダーできる。
インテリア
テントむしのインテリアの一例
インテリアは特別に高級感がある訳ではないが、平均的なもの。家具とシートのカラーリングも選択できるようだが、具体的な記述はない。
レイアウト
前述のように3タイプが用意されており、SタイプはベンチシートでL型のダイネット、Fタイプは2列目に2人掛けのマルチモードシートを配置し、前向きに乗車でき、後ろ向きにすると4名の対座ダイネットになる。
F1タイプは2列目に単座のマルチモードシートを持ち、前向きにすると計3名が前向き乗車できる。後ろ向きにすると、後部のベンチシートとで、L字型のダイネットになる。
Sタイプは後部に前向きのシートが無いので、1名か2名での使用に適しており、Fタイプは4名が前向きに乗車できるので、ファミリーでの使用に適している。F1タイプは基本2名使用で時々もう1名が乗車するといった場合に便利だ。
ギャレーキャビネットは、これら3種類のレイアウトいずれも同じ位置に配置されている。
ダイネット
Sタイプのダイネット
Sタイプのダイネットは2名が並んで座り、食事をしたり寛いだりすることになる。2名の場合、このままでは足を伸ばして寛げないので、寛ぐ場合はベッドモードにすると良いだろう。
Fタイプのダイネット
Fタイプでは4名が対座して食事できるが、大人4名では窮屈かもしれない、大人2名+子供2名が現実的だろう。2名で使用するなら、後部をベッドモード(フラット)にして、2列目をリクライニングすると、足を伸ばして寛ぐことができる。
ベッド
F1タイプのベッドモード
シートを全てフラットにすると、1840x1100mmのベッドになる。これは3タイプいずれも同じ大きさだ。1100mmの幅は、家庭用のセミダブルベッドの幅(1200mm)より多少狭いが、キャンピングカー要件では大人2名が就寝できる。
ルーフベッド
ポップアップルーフを上げ、ベッドボードを敷き詰めると、1830x1100mmのベッドになる。ここでも大人2名が就寝できる。従って、Fタイプでは4名が前向き乗車でき、4名が就寝できるので、ファミリーでの移動と車中泊にも対応できる。
ギャレー
ギャレーセクション
左サイドにあるギャレーキャビネットには、丸形のシンクとフォーセット、冷蔵庫が標準装備されている。フォーセットはシャワータイプではないが、オプションでシャワータイプに変更でき、車外に引き伸ばして使うことができる。
シンクの下の給排水タンクと収納
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。車外から直接出し入れするのは少し難しいかもしれないが、エントランスの近くにあるので、それほど労力は必要ないだろう。
なお、オプションで車外に扉を作ることができ、車外から直接給排水タンクを出し入れできるようになる。
冷蔵庫/電子レンジ
18Lポータブル冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は18Lポータブル冷蔵庫が標準装備される。ポータブル冷蔵庫だが、すぐに車内に持ち出すことは想定されていないようで、ギャレーキャビネットに埋め込まれている。この冷蔵庫は冷凍もできるが、冷蔵と冷凍を同時に行うことはできない。
なお、冷蔵庫が不要な場合は、冷蔵庫レスオプション(-33,000円)が設定されており、冷蔵庫が無い場合この部分は収納になる。
電子レンジはオプションで用意されており、冷蔵庫の上部に収納棚を作り設置される。
収納
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットの冷蔵庫の下には、扉付きの収納スペースが用意されている。
ベンチシートの収納
ベンチシートのあるSタイプでは、ベンチシートの下が大きな収納スペースになっている。更に、ベッドモードにすると、ベッドの下が大きな収納スペースとして使用できる。
空調
車載用セパレートクーラーを装備できる(OP)
冷房は、車載用セパレートクーラーを設置できる(OP)。取り付け位置は右サイド後部。暖房はFFヒーターがやはりオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
19型のテレビが設置できる(OP)
19型のテレビがオプションで用意されている。ギャレー上部に角度を変えられるステーで設置される。
電装系
標準では100Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、1500W疑似正弦波インバーターが装備される。
オプションのEパッケージ(528,000円)を選択すると、100Ahのリチウムイオンバッテリー2個(計200Ah相当)、2000W正弦波インバーター、100Wソーラーパネル4枚(計400W相当)が設置される。
PBパッケージ(308,000円)というオプションも選択でき、こちらは高性能のディープサイクルバッテリーが2個(計200Ah相当)、200Wソーラーパネル1枚、1500W正弦波インバーターが装備される。
PBパッケージでもクーラーをそれなりに使用できるが、経年劣化やさらなる実用性を考えると、Eパッケージがお勧めだ。
価格(2024年11月現在:千円台切り上げ:税込)
各タイプにスタンダードとエクストラがあり、それぞれ2WDと4WDが選択で、更に5MTとCVTが選択できる。最も安価なのはSタイプのスタンダード2WD/5MTで362万円~)、最も高価なFタイプとF1タイプのエクストラ4WD/CVTが421万円~となっている。価格表はこちら。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(275,000円)が挙げられる。クルマ旅に使用するなら、電子レンジ(88,000円)もあると便利だ。(ナビ関連は除く)
また、昨今の暑さを考えると、今やクーラーは必需装備と考えられる。DCクーラー( 440,000円)とEパッケージ(528,000円)も是非選択したい。高価なオプションではあるが、それによりキャンピングカーの使用日数が増え、結果的に1日の使用コストは安価になる。
他モデル
軽トラックベースのポップアップルーフ付きキャブコンは多数存在する。オートショップアズマのケイ・アイ(358万円~)、新相武のモーニングワン キャンパージャスト(341万円~)、stage21のリゾートデュオ バンビーノ プロ(489万円~)、ダイレクトカーズのアマホIII(359万円~)、フィールドライフのバロッコ(387万円~)がある。
このうち、リゾートデュオ バンビーノ プロには車載用セパレートクーラーと100Ahのリチウムイオンバッテリーが、またモーニングワン キャンパージャストはクーラーが標準装備される。また、アマホⅢには100Ahのリチウムイオンバッテリー1個が標準装備され、車載用セパレートクーラーがオプションで搭載できる。
まとめ
テントむしはレイアウトの選択肢、装備の充実、内外のカラーバリエーション、クーラーとリチウムイオンバッテリーの選択肢、そしてネームバリューと、まさに全方位に抜かりない戦略をとっている。
クーラーの搭載は少し遅れを取った感があったが、今やリチウムイオンバッテリーを含め対応されている。
唯一テントむしに欠けているのが高級感かもしれない。現在のテントむしのインテリアやエクステリアはポップであっても高級というイメージは無い。例えばキャンパージャストや、カテゴリーは異なるがJP
Star のHappy1+のような高級感を感じさせるバリエーションがあっても良いように思われる。
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