モーニングワン キャンパージャストは、新相武株式会社が製作する、スズキ キャリィをベース車にした軽キャブコンキャンピングカー。
同社は神奈川県愛甲郡に本拠を置くビルダーで、マツダオートザム愛川をディーラーとして運営している。新相武は軽ダンプや冷凍・冷蔵車のビルダーでもあり、その技術を生かしてキャンピングカーの製作に乗り出した。
ちなみに、モーニングワンシリーズのキャンピングカーは、他のマツダオートザム店に行っても取り扱っていない。問い合わせは、直接新相武にする必要がある。
現在のラインアップは、キャリィトラックをベース車にしながら普通車8ナンバー登録の「モーニングワン キャンパーワイド」と、この「モーニングワン キャンパージャスト」、それにエブリィバンにポップアップルーフユニットを架装したバンコン「CAMPER T-pop」の3モデル。
なお、モーニングワン キャンパーワイドは、キャンピングカーOZの軽キャブコン「カノア」と同じもの。即ち、カノアは新相武が製作しキャンピングカーOZが販売していたモデルだ。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
スズキ キャリィトラック、日産、NT100クリッパー、マツダ スクラムトラックをベース車にする軽8ナンバーキャンピングカー。ベース車にポップアップルーフ付きのシェルを架装する。
レイアウトはベンチシートを組み合わせたL字型のダイネットとギャレーキャビネットの組み合わせ。ポップアップルーフのルーフベッドとダイネットを展開するダイネットベッドで、計4名が就寝できる。乗車定員は4名だが、実用上は2名での使用に適している。
車載用セパレートエアコンを標準装備。標準はディープサイクルバッテリーだがリチウムイオンバッテリーの搭載も可能。
センスの良いインテリアとクーラーで快適な二人旅が楽しめる。
アピールポイント
・ポップアップルーフで圧迫感が少ない室内
・洗練されたインテリア
・車載用セパレートクーラーを標準装備
・リチウムイオンバッテリー搭載可能（OP）
ベース車とエクステリア
モーニングワン キャンパージャストのエクステリア
ベース車はスズキ キャリィトラック。日産NT100クリッパートラックやマツダ スクラムトラックも選択できる。これにポップアップルーフ付きのFRP一体成型のシェルを架装する。
軽キャブコンにはシェルがベース車の幅と同等のものと、ベース車より広い幅のシェルを持つものに分けられる。前者は軽8ナンバー登録、後者は普通車8ナンバー登録となる。キャンパージャストは前者に属し、軽8ナンバー登録となる。
ポップアップルーフはダンパーのアシストで比較的楽に持ち上がる。ポップアップルーフには左右にファスナーで開閉できる窓がついており、バグネットにもなるので、虫の侵入を防ぎながら換気ができる。なお、エントランスドアにも網戸が付いている。
ポップアップルーフのテント生地については一般的な防水処理はされているようだが特に説明は無い。また、防寒用のキルティングシートなどのオプションも用意されていないようだ。
インテリア
キャンパージャストのインテリア
キャンパーワイド（＝カノア）のインテリアに比べるとおとなしい感じがするが、センスが良く洗練されたインテリアに感じられる。運転席、助手席も、後部と同じデザインのシートカバーでコーディネートされている。
レイアウト
この種類の軽キャブコンでは一般的なレイアウトで、L字型に置かれたベンチシートとギャレーキャビネットの構成。バンショップミカミのテントむしのようにレイアウトのバリエーションを持つモデルもあるが、キャンパージャストではこのレイアウトのみとなる。
ベンチシートにも2名が乗車できるので、乗車人数は4名となっているが、運転席、助手席以外は前向きシートがないので、基本的には2人仕様のレイアウトと言える。ベンチシートなのでシートの下に収納スペースが取れるのもメリットとなる。
ダイネット
L字型ののダイネット
L字型のダイネットで4名程度が座れる。もちろん実用面では１～2名なので、ゆったり寛ぐことができる。ただテーブルは用意されておらず、ギャレーキャビネットをテーブルとして使いことが想定されているようだ。
ベッド
ダイネット展開ベッド
ダイネットを展開するダイネットベッドは、 1810x1030mmの大きさ。家庭用ではシングルベッドの幅（970mm）よりも少し広い程度。キャンピングカー要件では2名が就寝できるが、実用的には1名での就寝が適しているだろう。
ルーフベッド
ポップアップルーフをアップしてベッドボードを敷き詰めると、1810x1170mmの大きさのベッドになる。1170mmの幅は、家庭用では、ほぼセミダブルベッドの幅（1200mm）に相当するので、実用的にも2名が就寝できる。
ギャレー
ギャレーセクション
左サイドに広いギャレーキャビネットが設置されており、シンクとフォーセットが埋め込まれている。フォーセットはシンク内にあり、蓋をすると収納されるため、ギャレートップは広いカウンターとして使用できる。
給排水タンク
給排水タンクは車外の扉から直接出し入れできるのは特筆できる。容量は各9～13Lとなっているが、これは選択できるという意味ではなく、「在庫状況・仕入れ等により変動する」とされている。
シンク下の収納
これにより、車内のシンク下には収納スペースをとることができている。向こう側には給排水タンクのスペースがあるので奥行きは狭くなるが、独立した収納が設置されたのはメリットだ。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットにはもう一つ収納が用意されている、こちらも大きな収納ではないが、小物を収納しておくのに便利だろう。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫、電子レンジともオプション設定されていない。冷蔵庫はユーザーがポータブル冷蔵庫を用意して持ち込むことになるが、適当な場所に設置する必要がある。（固定も必要）
電子レンジはスペース的に厳しいため、他モデルでも搭載できるモデルは少ないが、クルマ旅にはほぼ必需装備なので、設置スペースが欲しいところではある。
収納
ギャレーキャビネットの収納に加え、各所に収納が設けられている。
横座りベンチシート下の収納
ベンチシートの下は大きな収納スペースになっている。横座りシート下には電装系が収納されているが、半分は収納として使用できる。
後部ベンチシート下の収納
後部のベンチシートの下は全て収納になっている。個々も広い収納なので、衣類など様々なものを収納しておける。
ベッド下の収納スペース
ベッドモードにすると、ベッドの下は広い収納スペースになる。就寝時にかさばる荷物をベッド下に収納しておくとベッド上が荷物で煩雑になることはない。
エントランス横のシューズボックス
エントランスの横にはシューズボックスも用意されている。ステップは狭く、靴を置いておくことができないので、シューズボックスは有用だ。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
車載用セパレートクーラーが標準装備される。軽キャブコンにもクーラーが設置できるモデルが増えてきたが、標準装備されているモデルは多くない。室内機は右側後部にすっきりと収納されている。
なおFFヒーターはクーラーを付けたことにより下回りにスペースが無いという理由で、オプション設定されていない。残念ながらこれは懸案点で、暖房の手段がないことになる。（アイドリングでの暖房はマナー面、環境面でNG）
テレビ/ナビ
テレビはオプション設定されていないが、必要に応じて設置することはできるだろう。ナビもオプションリストには無いが、好みのものを取り付けられる。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーを1個搭載するが、オプションでリチウムイオンバッテリーも選択可能。容量は1個125Ahのものを3～4個まで搭載できる可能性があるとのこと。
クーラーをサブバッテリーで使用する場合はリチウムイオンバッテリーを2個ほど搭載すれば実用的に使用できる。
その他の電装系としては、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターが標準装備される。ソーラーシステムは現在オプションリストには無いが200～300W程度のものが付けられる可能性があるとのことだ。
価格（2024年5月現在：千円台切り上げ：税込）
キャリィトラックの場合、KCグレードと特装車が選択できそれぞれ2WD/4AT、4WD/5MT、4WD/4ATが選択できる。最も安価なのはKCグレード2WD/4ATで、341万円～、最も高価なのは特装車4WD/4ATで369万円～となっている。
付けておきたい必需オプションは、とりあえず無い。しかし、クーラーが標準装備されているので、やはりリチウムイオンバッテリーは付けておきたい。2個（125Ah
x2）搭載すれば理想的だ。
予算に余裕があれば、ソーラーシステムも付けておくと電気容量に余裕が出てくる。FFヒーターは必需装備だがオプション設定がされていない。購入するなら、何か暖房の対策を相談すると良いだろう。
他モデル
軽8ナンバー登録のポップアップルーフ付き軽キャブコンは多数あるためクーラーが搭載できるモデルのみピックアップすると、バンショップミカミのテントむしシリーズ（368万円～）、ダイレクトカーズのアマホシリーズ（359万円～）、stage21のリゾートデュオ バンビーノ プロ（436万円～）が挙げられる。
テントむしシリーズではキャンパージャストと同じレイアウトを持つSタイプの他に、FASPシートで前向き乗車に対応したFタイプ、単座のマルチモードシートを持つF1タイプがある。豊富なオプションが揃っており、軽キャブコンの代表的なモデルだ。
アマホシリーズはポップアップルーフを第2のリビングと見立てるコンセプトを打ち出したモデルで、大きなリアゲートが標準装備なのが特徴。
リゾートデュオ バンビーノ プロは冷蔵庫、電子レンジ、クーラー、リチウムイオンバッテリーをはじめとする電装系はもちろん、ソーラーシステムまでも標準装備で、フル装備仕様となっている。
まとめ
モーニングワン キャンパージャストは洗練されたインテリアとクーラーを標準装備、リチウムイオンバッテリーもオプションで選択可能というアドバンテージを持って登場した魅力的なモデルだ。
ただし、冷蔵庫と電子レンジの搭載が考えられていないことで、クルマ旅に使用する場合は不便なこともあるだろう。さらに、前述のようにFFヒーターが搭載できないのは懸案点だ。灯油のFFヒーターなども考えられるので、将来の改善に期待したい。
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