Happy1+はJP STARが製作する、ダイハツハイゼットトラックをベース車にした軽キャブコン。
同社は名古屋に本拠を置くビルダーで、JP STARは自社ブランド。会社名はMoon Star Export 株式会社となっている。コンパクトなキャブコンを主に生産しており、現在Treasure1と、このHappy1+の2モデルをラインアップしている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ダイハツハイゼットトラックをベース車にする軽キャブコン。シェルの幅がベース車の幅より広くなっており、普通車8ナンバー登録。その分広い室内を確保している。
洗練されたインテリアを持ち、オプションながらクーラーやリチウムイオンバッテリーも装備できる。冷蔵庫、電子レンジもオプションで用意されており、またオーバーヘッド収納をはじめ充実した収納が用意されているため、クルマ旅にも対応する。
アピールポイント
・普通車8ナンバー登録で広い室内
・洗練されたインテリア
・冷蔵庫、電子レンジを設置可能(OP)
・車載用セパレートクーラーを設置可能(OP)
・リチウムイオンバッテリーを搭載可能(OP)
ベース車とエクステリア

Happy1+のエクステリア
ベース車はダイハツハイゼットトラック。グレードはSAIIITキャンパー特装車とされている。ミッションは4WDが標準になっており、MTも選択可能。
これにFRP製のシェルを架装している。シェルの幅はベース車の幅より広くなっており、普通車8ナンバー登録となる。軽トラックをベース車にしながら普通車8ナンバー登録のモデルは1720~1820mmの車幅のものが一般的だが、Happy1+は車幅を1690mmに抑えているのが特徴。
折角普通車8ナンバー登録にしたのに車幅を抑えているのはもったいない感じもするが、ただでさえ厳しい動力性能を考えると、良い妥協点かもしれない。もちろん運転しやすさもメリットとなる。
ボディカラーはベース車のカラーに対応してシェルも塗装されるが、特別色のオーダーも可能となっている。
また、165のタイヤやスタビライザーもオプションで用意されており、重量対策やふらつき対策も万全に用意されている。
インテリア

Happy1+のインテリア
同社のモデルのインテリアは定評があり、Treasure1同様Happy1+もこのクラスでは目を引くインテリアを纏っている。照明はオレンジ色の間接照明で演出されており、スポットライトが加わる。お洒落な室内だ。
レイアウト
L字型のダイネットとギャレーキャビネットの組み合わせのレイアウトを採用。前向きシートは無いが、同線の通った室内で移動しやすいレイアウトだ。ベンチシートを採用することにより、シート下に大きな収納を設けられるのも、このレイアウトの優位点となる。
後部シートにも2名が乗車できるので乗車人数は4名となっているが、前向きシートが運転席と助手席のみなので、クルマ旅やロングドライブでは二人での使用が想定される。
ダイネット

L字型のソファダイネット
Happy1+のダイネットは、L字型のソファで構成されている。テーブルはギャレーキャビネットに固定する1脚で、2~3名がテーブルを囲んで団欒できる。
ベッド

ベッドモード
ダイネットからベッドへの展開は簡単で、就寝前にひと汗か必要は無い。ベッドベースを引き出し、ベッドマットを敷くだけで完成する。ソファのクッションを引っ張るだけでベッドベース上に広がりベッドマットになる。

ベッド
ベッドサイズは 2080x1150mm。家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)に50mm及ばないが、2名が就寝できる。

100mm厚のベッドマット
ベッドマットは100mmの厚さがあり、寝心地の良さが期待できる。

バンクベッド
バンクベッドは1750x1500mmの大きさ。こちらは家庭用ではレギュラーダブルベッド以上の幅があるので、大人2名が有ったり就寝できる。
ギャレー

広いギャレートップ
ギャレーキャビネットは左サイドに設置されているが、広い調理スペースが目を引く。中央にはシンクとフォーセットが設置されているが、両側には十分な調理スペースが残されている。
さすがにコンロはビルトインされていないが、カセットコンロを置いて調理することができる広さだ。

シンクの下の給排水タンクと収納
ギャレーキャビネットの下には24Lの給水タンクが収納されている。このタンクは通常取り出す必要はなく、給水は車体左側にある給水口から行う。また、15Lの排水タンクが床下に設置されており、いずれも重いタンクを持ち運ぶ必要がない。
多くの他モデルは(ハイエースベースでさえ)給排水タンクともポリタンクを利用しているモデルがほとんどだ。しかし、重いポリタンクを出し入れするのは大変な作業のため、Happy1+のように直接給水、排水の方が楽だ。

車外のシャワー
Happy1+には車外専用で使えるシャワーが付いている。多くの他モデルではギャレーのシャワーフォーセットを窓から引き出して車外で使用できるようになっているが、出水・止水のコントロールは手元でできないが、その問題を解決している。
冷蔵庫/電子レンジ

22L横開き式冷蔵庫(OP)
冷蔵庫はコンプレッサー式22Lか、24Lペルチェ式が選択できるためオプションとなっている。性能的にはコンプレッサー式が優っているが価格はペルチェ式の方が安価だ。どちらも横開き式。

電子レンジ(OP)
家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで設置できる。設置スペースも用意されている。電子レンジもクルマ旅を想定するならほぼ必需装備なので、これも標準装備にした方が分かりやすいかもしれない。
多目的ルーム
Happy1+に多目的ルームは無い。ポータブルトイレを緊急用に乗せておくことはできるが、スペース的にあまり現実性は無いだろう。多目的ルームが必要な場合は、同社のTreasure1の検討をお勧めする。
収納
Happy1+の収納は軽キャンパーながら充実している。オーバーヘッド収納、シート下収納、外部収納が用意されており、大きな収納力がある。クルマ旅では収納が充実していないと車内が煩雑になる。

Happy1+のオーバーヘッド収納
Happy1+のオーバーヘッド収納は左右と後部の上部に設置されている。

シート下の引出し収納
次に、ベンチシート下の収納が挙げられる。ベンチシートは対座シートに比べて収納スペースが取れるメリットがあるが、多くのモデルではシートクッションを上げてアクセスする必要がある。
この場合、シートバックが邪魔になりシートクッションが上げられなかったり、開けても手で支えている必要がある。 Happy1+では引き出し式にしてこれを解決している。実に単純明快な方法で、他のモデルにも普及することを期待したい。

最後部のシート下の収納
最後部のシートの下も収納になっている。これは引き出し式ではないが、しっかりヒンジが付いており、手を放しても開いたまま保持される。実にユーザーサイドに立った考え方だ。

外部収納
最後部に車外の収納も用意されている。FRP素材なので防水処理されており、濡れたものや汚れ物などを収納しておくのに便利だ。
空調

車載用セパレートクーラー(OP)
車載用のセパレートクーラーがオプションで設置できる。コンパクトな車内なのでこれで十分冷えるはずだ。なお、クーラー設置時はオプションのリチウムイオンバッテリーも設置することをお勧めする。

FFヒーター(OP)
FFヒーターもオプションで用意されている。ガソリン式ではガソリンタンクを加工して燃料を引く必要があり、ガソリンタンクの加工やススの清掃で手間がかかるというデメリットがある。
Happy 1+に採用されているFFヒーターは軽油式。デメリットとしては、ガソリンとは別に軽油を給油する必要があること。軽油は専用の給油口から給油しタンク容量は7Lとなっている。
なお、当初灯油を使用するということだったが、燃えにくい性格上、煤がたまってしまうということで、現在では軽油を使用することとされている。なお、すでに使用中のHappy
1でもFFヒーターの交換などの必要はないが、燃料は軽油を使用して欲しいとのこと。詳しくはこちらを参照ください。
ベンチレーターはマックスファンがオプションで用意されている。
テレビ/ナビ

20型のテレビ(OP)
20型のモニターがオプションで用意されており、後部左側に設置できる。ワンセグアンテナが付属しているが、運転席のアンドロイドカーナビの映像を大きな画面で観ることができる。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電が搭載されている。また外部100V電源入力と充電機能、3000W(正弦波かは不明)インバーター、150Wソーラーシステムを標準装備する。
リチウムイオンバッテリーは200Ahと400Ahがオプションで用意されている。クーラーを装備した場合は200Whでも4~5時間運転できると思われるが、更に長時間運転したい場合は400Ahなら安心して使用できる。
ソーラーシステムはオプションでもう1枚(150W)追加でき、トータルで300Wが可能だ。
価格(2023年11月現在:千円台切り上げ:税込)
SAIIITキャンパー特装車4WDで360万円~となっている。クーラーや200Ahリチウムイオンバッテリーを搭載すると400万円前後になる。
クルマ旅を想定した場合付けておきたい必需オプションは、灯油式FFヒーター(50,000円:軽油式は150,000円)、コンプレッサー式冷蔵庫(50,000円)、電子レンジ(30,000円)、できればクーラー(120,000円)、200Ahリチウムイオンバッテリー(110,000万円)が挙げられる。
走行性を強化しておきたい場合は165タイヤ(100,000円)、スタビライザー前後セット(100,000円)も付けておくと安心だ。
価格シミュレーションが用意されており、大変分かりやすいので、是非ご覧いただきたい。
他モデル
軽トラックをベース車にした普通車8ナンバー登録モデルは幾つかあるが、キャンピングカーOZのカノア(396万円~:4WD)が最も好敵手だろう。カノアは横開き式冷蔵庫、電子レンジ、車載用セパレートクーラー、リチウムイオンバッテリーがオプションで装備できる。
その他ではマックレーのディアラジュニア(368万円:4WD)、オートショップアズマのラクーン/ラクーンII(329万円~:4WD MT)、MYSミスティックのレジストロ(410万円~:スタンダード4WD)などがあるが、上記の装備が全て揃っているモデルはカノアのみだ。
まとめ
Happy1+はオプションで用意されている装備が充実しており、軽キャブコンのハイエンド的な位置付けになる。クルマ旅に使用するなら、お勧めできる1台だ。特に冷凍と冷蔵が同時にできる横開き式冷蔵庫と電子レンジはクルマ旅では重宝する。
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