ラ・クーンはオートショップアズマが製作する、スズキ キャリイトラックあるいはマツダ スクラムトラックをベース車にする軽キャブ・コンバージョンキャンピングカー。ダイハツ ハイゼットトラックをベース車にしたラクーン TypeDもある。
同社は軽トラックやタウンエーストラックをベース車にしたコンパクトなキャブコンを専門に製作しているビルダー。
ラクーンは軽トラックをベース車にした軽キャブコンだが、シェルの幅がキャブの幅より広いため、普通車8ナンバー登録となる。同社にはK-aiという、やはり軽トラックをベース車にしたキャブコンがあるが、これはシェルとキャブの幅は同じで、軽8ナンバー登録となる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
スズキ キャリイトラック、マツダ スクラムトラック、あるいはダイハツ ハイゼット トラックをベース車にする軽キャブコン。シェルの幅がキャブの幅より広いため、普通車8ナンバー登録となる。そのため室内は広く、軽キャンパーとは思えない広さを確保してる。
税金面では多少高くなるが、軽トラックがベース車なので価格は手頃感があり、タウンエースベースのライトキャブコンより200万円程度安価な場合もある。
アピールポイント
・軽トラックをベース車にしながら、広い室内を確保
・一体型シェルで、高い断熱性
・対座シートスタイルとベンチシートスタイルのレイアウトを選択できる
・充実した収納(特にベンチシートタイプ)
・4名が前向き乗車可能(対座シートタイプ)
ベース車とエクステリア
ラクーンのエクステリア
ベース車はスズキ キャリイ トラックか、その姉妹車のマツダ スクラム トラック。ダイハツ ハイゼット トラックも選択することができ、これは「ラ・クーン
Type D」と名付けられている。
最大の特徴は、軽8ナンバー登録ではなく、普通車8ナンバー登録であること。シェルの幅がキャブの幅より広くなっており、室内を広くしている。
軽トラックがベース車なのに、なぜ税金が高くなる普通車8ナンバー登録にするのかと言う疑問があるかもしれないが、手ごろな価格で本格的な断熱を施したシェルを持つキャブコンが手に入るというメリットがある。
オリジナルのリーフスプリングとショックアブゾーバーを標準装備する。ただし、大きなシェルで重量的にベース車の負担が大きいため、動力性能は期待しない方が良い。よりダイレクト感のあるMTを選択する手もある。
インテリア
ラクーンのインテリア
展示車は写真のようなインテリアカラーだったが、家具色やシート色は選択できる。華やかさは無いが、落ち着いたインテリアとなっている。
レイアウト
対座シートスタイルのレイアウト
対座シートスタイルとベンチシートスタイルのレイアウトが選択できる。対座シートスタイルでは2列目シートがマルチモードシートになっており、シートを前向きにすると、4名が前向き乗車できるのが特徴。ファミリーに適したレイアウトだ。
ベンチシートスタイルのレイアウト
ベンチシートスタイルのレイアウトでは、運転席、助手席以外前向きシートは無く、乗車定員は5名だが、長距離に使用する場合は2名での乗車が適している。シート下に大きな収納スペースが取れるのがメリット。
ダイネット
引き戸式を採用したダイネットウインドウ
ダイネットはレイアウトの項の通り、対座シートタイプとベンチシートタイプの2種類がある。ダイネット横には大きな窓があるが、ここにはペアガラスを使用した引き戸タイプを採用している。走行中も窓が開けられるのが優位点だ。
ベッド
ダイネットベッド
シートを全てフラットにすると、1900x1300mmのダイネットベッドになる。1300ミリは、家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)とレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)の中間に相当する。
ただし、この幅を得るにはオプションの延長マットが必要。即ち、オプションマットを購入しないとシングルベッドの幅にしかならない。
子供用のバンクベッド
バンクベッドは1650x1540mmの大きさ。身長方向が1800mmに達していないので、子供用のベッドにカウントされ、子供2名が就寝できる。
跳ね上げて収納の扉になる
バンクベッドの先端は上の写真のように、荷物が落ちてこないように跳ね上げておくことができる。大きな収納スペースとして重宝する。
ギャレー
ギャレーセクション
左サイドに大きなギャレーキャビネットが設置されている。シンクとフォーセットが用意されており、シンクはコンパクトながらも実用的に使用できる。
シンクの下の給排水タンク
ギャレーキャビネットの下には、各10Lの給排水タンクが収納されている。エントランスに面していないので車外から直接出し入れできないが、10Lなので重労働ということは無いだろう。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットには観音開きの収納も用意されており、大きな収納スペースとして使用できる。ここに冷蔵庫をビルトインできるのかもしれない。
ギャレー上部のオーバーヘッド収納
ギャレー上部にはオーバーヘッド収納も用意されており、食器などを収納しておくことができる。
冷蔵庫/電子レンジ
不思議なことに、冷蔵庫がオプションリストになく、展示車にも装備が無かった。おそらくオプションで装備できると思われるが、必需装備なので標準装備が望ましい。電子レンジもオプションリストに無い。
ポータブル冷蔵庫を持ち込む想定かもしれないが、やはり一応キャブコンなので、固定された冷蔵庫が望まれる。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
ラクーンの収納は充実している。まずオーバーヘッド収納は、ダイネット上部、最後部、ギャレー上部に設置されており、大きな収納力がある。特に室内が狭いモデルでは、収納が充実していると車内が煩雑にならない。
ベンチシートスタイルのレイアウトでのシート下収納
次に、ベンチシートスタイルのレイアウトでは、シート下が大きな収納になっている。シート上部を持ち上げる必要があるので操作性は良くないが、有用な収納だ。
シューズボックス
ギャレーキャビネットのエントランス側にはシューズボックスが用意されている。
エントランス反対側の収納
エントランスの反対側にも収納が用意されている。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されているが、冷房の設定は無い。後述する他モデルにはクーラーがオプション設定されているので、ここは是非用意して欲しいところだ。なお、マックスファンベンチレーターはオプションで取り付けられる。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプションで用意されている。ナビの取り付けも可能。
電装系
サブバッテリーは105Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備される。その他、走行充電、外部電源入力が標準装備される。
外部電源による充電(チャージャー)、1500W正弦波インバーター、200Wソーラーシステムはオプション。
価格(2023年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ベーシックグレードのKC 2WD 4ATで、対座ダイネットシートタイプでは336万円~、ベンチシートタイプは同325万円~。上位グレードのKXでは、同355万円~、344万円~となっている。(MTや4WDは下の価格表参照)
付けておきたい必需オプションは、外部電源による充電機能(38,500円)、1500W正弦波インバーター(140,800円)、FFヒーター(253,000円)、マックスファン(68,200円)、冷蔵庫(可否不明)が挙げられる。(ナビ関連は除く)
必要に応じて、延長ベッドマット(33,000円)、200Wソーラーシステムなどがある。
他モデル
軽トラックベースで普通車8ナンバー登録のモデルは、キャンピングカーOZのカノア(381万円~)、マックレーのディアラジュニア ツーリング(428万円~:NT100クリッパーDX:家庭用一体型エアコン標準装備)がある。
stage21のリゾートデュオ オハナ プロもあるが、現在第一期の販売終了で次期価格は未定。
まとめ
コンパクトなキャブコンの専門メーカーであるオートショップアズマのロングセラーモデルで、実績もある。ただ、最近では他モデルの参入もあり、選択肢は増えている。
特にエアコンの装備は今後の必須課題で、カノアやディアラジュニアには既に装備が可能だ。リゾートデュオ オハナ プロも、車載用セパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーが標準装備されている。
ラクーンもクーラーとリチウムイオンバッテリーのソリューションが望まれるし、また、冷蔵庫や電子レンジのオプション設定も望まれる。ベース車やレイアウトの選択肢が豊富なモデルなので、今後の進化を期待したい。
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