JP STAR TREASURE 1はムーンスターエキスポートが製作する、タウンエーストラックをベース車にしたライトキャブ・コンバージョンキャンピングカー。
同社はJP STARのブランド名のモデルを製作しており、このTREASUR1と軽キャブコンHAPPY1+の2モデルを製作している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
タウンエーストラックをベース車にしたライトキャブコン。リアエントランスを採用し前部に広いダイネットを持つ。
レイアウトは2種類あり、サニタリールームを持つType Mとサニタリールームは持たないが広いギャレーを持つType Lが選択できる。
特にType Mは専用手洗い、温水シャワーを標準装備するのが特徴(カセットトイレはOP)。Type Lも温水装置を標準装備し、ギャレーで湯が使える。いずれもこのクラスでは他に例を見ない。
車載用セパレートクーラーも標準装備するが、これを駆動するリチウムイオンバッテリーは実に400Ahを標準装備する。
アピールポイント
・タウンエースベースのコンパクトなキャブコンながらフル装備
・2種類のレイアウトを選択可能
・IHコンロを標準装備
・車載用セパレートクーラーを標準装備
・温水シャワー、専用手洗いを標準装備(カセットトイレはOP)(Type M)
・豊富な収納
・400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
・3000W正弦波インバーターをはじめ電装系を標準装備
・400Wソーラーシステムを標準装備
ベース車とエクステリア
JP STAR TREASURE1のエクステリア
ベース車はトヨタタウンエーストラック DX Xエディション4WD。4WDが標準となっている。これにFRPパネル製のシェルを架装している。シェル部の窓は全てアクリル2重窓となっており、テールランプはLEDを採用している。
ワイヤレスリモコンで操作できる2.5mの電動サイドオーニングを標準装備する。ドアは集中ロック式。一つのキーで、ワンプッシュで全てをロックできる。またステップはドア開閉と連動しており、開けると出、閉めると収納される。出したまま忘れて走行するといった危険性は無い。
足回りは、強化リーフとショックアブソーバーが標準装備される。
インテリア
TREASURE1のインテリア
展示車は白いオーバーヘッド収納の扉で、ギャレーキャビネットも白がベース色になっている。ポイントで木目調のデザインが施された明るいもの。オレンジ色の間接照明がお洒落感を出している。
サンルーフが標準装備されているのも嬉しい装備で、コンパクトモデルではあまり例がない。このサンルーフはもちろんオープンエアにできるが、シェードも内蔵されているので、すぐにクローズできる。
TypeLの後部インテリア
シートはグレーのツートーンで落ち着いた色合いだ。インテリアカラーが変更できるかは不明だが、このインテリアで不満があるユーザーは少ないだろう。家具の立て付けなどもしっかりしたものだ。
レイアウト
レイアウトはサニタリールームの有無でType MとType Lの2種類が選択できる。どちらもリアエントランスなので、前部は同様に広いダイネットを持つ。
Type Mはサニタリールームを持つためギャレーは多少狭くなる。ギャレーキャビネットの広さと収納を優先する場合はType L、サニタリールームを優先する場合はType
Mが選択肢となる。
乗車人数はTypeMが5名、TypeLが6名となっている。 また、就寝定員はどちらも5名。バンクベッドに2名、ダイネットベッドに3名が就寝できる。
ダイネット
広いダイネット
リアエントランスのレイアウトの特徴は、前部に広いダイネットを配置できることで、TREASURE1も定石通り、対座ダイネットとサイドのロングベンチシートとで構成されている。
二人旅の場合は「広すぎる」感じもするが、長期旅で車内で長く過ごす場合は、ダイネットや高い天井高はストレスを軽減してくれる。
ベッド
ベッドはダイネットを展開するダイネットベッドと、バンクベッドの2か所がある。
3名が就寝できるダイネットベッド
ダイネットベッドは1850x1850mmの大きさ。1850mmは、家庭用ではキングサイズベッドの幅(1800mm)以上で、3名が就寝できる。対座ダイネットとベンチシート片方だけでもベッドにでき、この場合はシングルベッドとして使用できる。
2名が就寝できるバンクベッド
バンクベッドは引き出してセットする。ベッドサイズは1800x1600mm。これは家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅に相当する
ギャレー
TypeLのギャレー
TypeLではサニタリールームが無いので、その分広々としたL字型のギャレーが広がっている。ギャレートップにはシンクとフォーセットはもちろん、IHコンロも標準装備される。
400Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されるので電気不足になる心配はない。もちろん火を使わないので、安全面でも安心だ。
TypeMのギャレー
TypeMではサニタリールームがあるので、その分ギャレーは狭くなっている。TypeLのギャレーがあまりに広いのでこちらは狭く見えるが、他モデルではこのサイズが一般的だ。
しかしそれでもしっかりIHコンロが標準装備されており、カセットコンロを使用する度にセットするという手間は不要だ。
キッチン用換気扇も標準装備される
コンロの上部にはキッチン用の換気扇が標準装備されている。調理をすると湯気や煙が出たり、車内に臭いが充満したりする。キッチンに換気扇があると、そのようなことは無く、車内が汚れることもない。
TypeMのギャレー上のオーバーヘッド収納
TypeMのギャレーキャビネットには引き出し収納が付いているが、TypeLでは更に多くの収納が用意されている。また、TypeMのギャレー上部にはオーバーヘッド収納が設置されているので、TypeMでも十分なギャレーまわりの収納がある。食器や調理用具を収納しておける実質的な広さを確保している。
TREASURE 1のギャレーキャビネットにこれだけの収納を確保できる理由は、給排水タンクをギャレーキャビネットに収納せず、ダイネットシート下と床下に設置しているから。給水はタンクを取り出すのではなく、給水口から行い、排水は車体下の排水口で行う。
冷蔵庫/電子レンジ
85L2ドア横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は85L2ドア横開き式が標準装備されている。クルマ旅に使用するなら冷蔵と冷凍を同時にできる横開き式が理想的だが、2ドア冷蔵庫は冷凍室が大きいため理想の上を行く。
電子レンジも標準装備される
電子レンジももちろん標準装備。3000Wのインバーターも標準装備されるので、クーラーを運転したまま電子レンジを使っても対応できる。
サニタリールーム
TypeMのサニタリールーム
このクラスで「サニタリールーム」と書くのは初めてだ。即ち、温水シャワー、専用手洗いが標準装備されている。ポータブルトイレを選択するユーザーもいるので、カセットトイレはオプションになっている。上級キャブコンでないと付かないような装備が、ライトキャブコンで実現されているのは驚きだ。
しかし、ライトキャブコンでもクルマ旅をすればシャワーやトイレがあれば便利なのは上級キャブコンと同じだ。コンパクトモデルだから、このような装備は不要とという固定観念の方を見直す必要があるのかもしれない。
給排水タンクは各60Lで、2~3人でシャワーが使える水量だ。なお、TypeLにも温水システムが標準装備されており、ギャレーで湯を使える。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
オーバーヘッド収納はダイネットの両側にも設置されている。TypeMの場合は右側後部はクーラーの室内機が設置されている。大容量の収納なので、室内が荷物で煩雑になることはない。
ギャレー上の収納
ロングベンチシートの下も収納になっている。この収納にはサイドに扉が設けられており、シートクッションを持ち上げなくてもアクセスできるようになっている。一般的にはシートバックが邪魔になって、シートクッションを持ち上げるのが難しいからだ。
ただし、理想的には同社のHappy1+のように引き出し式が望ましい。できればHappy1+と同じ引き出し式を期待したい。
後部ナンバープレートの裏側の外部収納
外部収納は2か所に用意されている。一つは車両右側、もう一つは後部ナンバープレートの裏側にある。後部の収納は防水処理されているので、汚れ物や濡れたものを収納しておくのに便利だ。
空調
TypeLのクーラー
暖房はFFヒーターを標準装備。冷房は車載用セパレートクーラーが標準装備される。クーラーの室内機は、TypeLでは最後部ギャレーの上部、TypeMではオーバーヘッド収納に連続した右側後部になる。
どちらもオーバーヘッド収納と同じデザインの扉の後ろにあり、クーラーの存在感を消している。
テレビ/ナビ
22型のテレビが標準装備される
22インチのテレビが標準装備される。一般的には19インチが多いが、TREASURE1では一回り大きい画面サイズが採用されている。
電装系
電装系も強力だ。まず、リチウムイオンバッテリーは400Ahを標準装備。200Ahでも通常は事足りるが、電気の残量を気にすることなく使うには400Ahあれば安心できる。走行充電と外部電源入力および充電機能はもちろん標準装備。
インバーターは先述のように3000W正弦波インバーターが標準装備される。更に400Wソーラーシステムも標準装備。全てにワンランク上のスペックが与えられている。
価格(2023年10月現在:千円台切り上げ:税込)
これだけの装備が標準なので気になる価格だが、TypeLが620万円~、TypeMが630万円~となっている。これらは4WDの価格で、冒頭に書いたように4WDが標準となっている。(2WDはラインアップされていない)
全ての必需装備(以上のもの)が標準で付いている。従って付けておくべき必需オプションは、無い。
他モデル
タウンエーストラックをベース車にしたモデルは多数存在する。AtoZのアレン・ハイ LE(548万円~:2WD/4AT)、オートショップアズマのフィール(525万円~:2WD/5MT)、セキソーボディのトム23(577万円~)、MYSミスティックのレジストロアウル(532万円~:2WD/4AT)、かーいんてりあ高橋のネオユーロ(550万円~:2WD/4AT)などがある。
まとめ
JP STAR TREASUR 1は、国産のベース車に欧州のビルダーが架装したような感覚にとらわれる。いずれにしても他のモデルとは明らかに考え方が異なっている。クルマ旅をするならこうであるべきと言う徹底した考え方のもとに設計されているように見える。
例えば、コンロは常設であるべき、収納は多いほど良い、温水や温水シャワールームも必要、給排水はタンクの出し入れではなく固定、暖房と冷房は必須の装備、サブバッテリーは大容量であるべき、インバーターも大容量であるべき、などなど。
いちいち頷ける。コンパクトなモデルだから装備もシンプルで良い、という考え方ではなく、コンパクトなモデルでも、クルマ旅に使うなら装備はこうあるべきと言う考えがはっきりしている。
ただし、これだけの装備を標準にしているので、当然他の同じベース車のモデルに比べて高価だ。価格を重視してコンパクトなモデルを求めるユーザー向きではない。なお、他モデルでもエアコンやリチウムイオンバッテリー等を搭載し同条件にすると価格も似たものになってくる。
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