TOM23 (トム23)はセキソーボディが製作する、トヨタタウンエーストラックをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社はハイエーススーパーロングベースの「トム タンデム」から、ハイエース標準ボディベースの「トム200」など多くのキャブコンを手がけている。「TOM(トム)」は同社のキャブコンに共通して与えられているブランドネームだ。
その中でトム23はタウンエーストラックをベース車にしたライトキャブコンで、リアエントランスのトム23とセンターエントランスのトム23Sが選択できる。センターエントランスのトム23Sは二人旅仕様なのに対し、トム23は4名が前向き乗車できるファミリー仕様になっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
トム23はタウンエースをベース車にしたライトキャブコンで、取り回しが良く運転しやすい。またリアエントランスのレイアウトは、前部に広いダイネットを持ち、常設ベッドが無い分、多目的ルームを持ちながらも広い室内を確保している。
トム23は4名が前向き乗車でき、5名が就寝できることからファミリーでも使用できる。もちろん二人での使用も可能だが、二人の場合は二人使用専用レイアウトのトム23Sの選択も用意されている。(ただしトム23Sには多目的ルームは無い)
また2021年モデルでは一体型ポータブルクーラーをオプション設定。ライトキャブコンにも冷房のソリューションが提案された。
アピールポイント
・取り回しの良いボディサイズ
・アルミパネルベースのシェルで軽量設計
・リアエントランスで広いダイネット
・コンパクトサイズながら多目的ルームも配置
・前向き乗車と5名就寝でファミリーにも対応
・一体型クーラー搭載可能(OP)
・広いギャレー、横開き冷蔵庫、電子レンジ(OP)で長期旅にも対応
・オーバーヘッド収納を含む豊富な収納
エクステリア
トム23のエクステリア
ベース車はタウンエーストラックで、これにアルミパネルのシェルを架装し、軽量化を図っている。
グレードはDXのXエディションで、ボディ同色バンパーやパワードアロック、ワイヤレスドアロック、パワーウインドウなどが標準装備される。また「スマートアシスト」も全車に装備される。
インテリア
トム23のインテリア
展示車は濃い木目パネルの家具とベージュ系のシート地の組み合わせで、落ち着いた室内となっている。インテリアカラーやシート地が選べるかは不明だが、展示車のインテリアは居心地の良い室内を作っている。
家具の作りなどは一般的なもので、特別に高級感があるわけではないが、大きな不満点はないだろう。
レイアウト
前部に対座ダイネット、後部にギャレーと多目的ルームを配置する典型的なリアエントランスのレイアウトを採用している。リアエントランスの特徴は前部に広いダイネットが取れること。
常設ベッドは無いが、簡単に引き出してセットできる準常設のバンクベッドと、ダイネットを展開してできる大きなフロアベッドで計5名が就寝できる。
2列目に2名後ろ向き、3列目に2名前向きシートがあり、乗車定員は6名、前向き乗車は4名なので、ファミリーでロングドライブもできる。
ダイネット
前部に広いダイネットがある
リアエントランスの恩恵で、前部に広いダイネットがある。2列目と3列目シートで4名が対座できる他、サイドのベンチシートに2~3名が座ることができ、乗車定員の6名でテーブルを囲むことができる。
もっともそのような大人数で使用することは本来の使い方ではなく、多くとも4名程度の大人+子供のファミリーに向いている。
もちろん二人旅なら十分すぎる広さだが、長期旅ならダイネットは広い方が良い。寛ぐスペースが狭いと、長期旅では疲れが溜まってパートナーと険悪になる可能性もある。
なお、小さな子供やペットがいる場合は、ダイネットをベッド状態にしておくと、広い遊び場になる。
ベッド
ベッドはバンクベッドとダイネット展開ベッドが使用できる。このレイアウトは常設ベッドが無いが、バンクベッドは引き出してすぐに就寝できる他、寝具もそのまま置いておけるので、準常設ベッドと考えてよい。
引き出し式のバンクベッド
バンクベッドは引き出すと1850x1300mmの大きさになる。これは家庭用ベッドではセミダブルとレギュラーダブルベッドの中間の幅で、大人2名が就寝できる。
ベッドセットは極めて簡単で、引き出すだけで良い。引き出すときにベッドマットを同時に引き出せば、いちいちベッドに上がってベッドマットを並べる必要はない。
ダイネットを展開したベッド
また、ダイネットを展開するベッドは、1820x1720mmの大きさで、こちらはクイーンベッドとキングサイズベッドの中間の幅になり、大人3名が就寝できる。
ベッド展開はシートバックで通路部を埋めるが、マルチモードシートを展開するよりは簡単にできる。就寝前に一仕事はできれば避けたいものだが、先述のように常にベッド状態にしておくとちゃぶ台スタイルで寛げ、そのまま就寝できる。
ギャレー
最後部に配置されたギャレー
リアエントランスレイアウトの定番通り、ギャレーは最後部に配置されている。一般的にこの位置にあるギャレーは奥行きが無く、コンパクトなシンクになりがちだが、トム23のギャレーは十分に調理面が広く、シンクも実用的な大きさだ。
横開き式冷蔵庫がこのギャレーコンソールにビルトインされていることからも、その奥行きが十分であることが分かる。
コンロはビルトインされておらず、ポータブルカセットコンロを使う度にセットする必要があるが、コンロを置いても調理スペースは残されている。またシャワーフォーセットは引き延ばして窓から出し、車外で使用することもできる。
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されており、車外から直接出し入れできる位置にある。
また、ギャレー上部にはオーバーヘッド収納が設置されており、食器やカトラリーを収納することができる。
冷蔵庫/電子レンジ
65L冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は65L横開き式冷凍冷蔵庫が標準装備される。また電子レンジは、ギャレー上の収納のひとつ(左側)を潰して設置される。電子レンジは「100V電子レンジ+1500Wインバーターセット」としてオプション設定されているので、サブバッテリーで駆動できる。
多目的ルーム
後部右側にある多目的ルーム
多目的ルームは後部右側、ギャレーと並んで配置されている。ここにポータブルトイレを置いてトイレルームにすることができる。なお、カセットトイレはオプション設定されていない。
FFヒーターの吹き出し口が用意されており、トイレで寒い思いをすることは無い。またFFヒーターにより乾燥室としても使用できるが、防水処理はされていない。なお、外部から直接アクセスできるバゲッジドアをオプションで付けることができる。
収納
ダイネット右側のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納はダイネット右側と前述のようにギャレー上に設置されている。奥行きは非常に深いわけではないが、食器や食料品などを収納することができる。
ダイネット左側のオープン収納とテレビ
なお、ダイネット左側はオープンな収納とテレビ(OP)が設置されている。旧モデルではここには右側と同じ扉付きのオーバーヘッド収納があった。
ここはやはり扉付きのオーバーヘッド収納が欲しいところだ。オープンなラックは走行中に内容物が落ちてくるので使い勝手が良くない。
テレビを選択しない場合は、扉付きのオーバーヘッド収納を付けられるような選択肢が欲しい。
空調
ポータブルクーラーがオプションで設置できる
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。2021年モデルで進化したのは、冷房のソリューションが提案されたこと。ギャレーコンソールの中央の収納スペースに一体型のポータブルクーラーがオプションで設置できるようになった。
これは家庭用のポータブルクーラーで100Vで動作する。冷房能力はCoolStarとほぼ同じ程度なので、トム23の室内を冷やすには十分な能力を持つ。
従って消費電力はほぼ同じ程度なので、外気温が高めの場合約500Wとすると、トム23のサブバッテリー(オプションで2個搭載でき、210Ah)では3時間程度運転できることになる。
もちろん夜間ならもっと長時間運転できるが、やはりディープサイクルバッテリーでの運転は電気残量を常に気にする必要がある。できればリチウムイオンバッテリーのオプション設定が欲しいところだ。
なおベンチレーターは排気専用のものが標準装備されるが、マックスファンはオプションとなる。
テレビ/ナビ
大きさは不明だが、オプションでテレビを設置できる。場所は前述の通り、左側前部で、ダイネットから見上げて観る格好になる。
ナビはオプションで用意されているが、好みのものを付けることは可能だろう。
電装系
105Ahのサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される
105Ahのサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。CTEKなどの昇圧システムは装備されていないようだ。また外部電源入力は標準装備されるが、外部電源によるサブバッテリーの充電機能はオプションとなる。
更に、オプションで155Wのソーラーシステムが用意されている。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
同社はホームページで価格を公表していないが、2021年6月時点では、2WD/4AT DX Xエディショングレードで501万円となっていた。
付けておきたいオプションは、外部電源による充電機能(60,000円)、FFヒーター(220,000円)、サブバッテリー増設(価格不明)が挙げられる。
また予算が許せば、クーラー(143,000円)は付けたいが、先のようなバッテリーの制約はある。
他モデル
タウンエーストラックをベース車にしたキャブコンは、AtoZのアレン・ハイ(479万円~)、MYSミスティックのレジストロ・アウル(488万円~)、オートショップアズマのフィール(494万円~:5MT)、かーいんてりあ高橋のネオユーロ(490万円~)がある。
またAtoZのアルファ・ハイ(アルファType1は560万円~:アルファ・ハイは価格未定)はNV200バネットがベース車だが比較対象になるだろう。その他については「ライトキャブコン特集~9モデルを徹底比較」もご参考いただきたい。
このうち、前向き乗車ができるファミリー対応のモデルは、アレン・ハイとレジストロ・ アウルの対座ダイネットバージョン、そしてアルファ・ハイのType1(未発表)が挙げられる。なおアレン・ハイはセンターエントランス、レジストロ・アウルはトム23と同じリアエントランスだ。
アレン・ハイには多目的ルームは装備されていない。またアルファ・ハイType1には今のところ冷房のソリューションは発表されていない。レジストロ・アウルは多目的ルームも家庭用クーラーも装備でき、リチウムイオンバッテリーも選択できる。
まとめ
トム23はコンパクトで室内が広いライトキャブコンの代表的モデルだ。リアエントランスで広いダイネット、横開き式の冷蔵庫と電子レンジ(OP)、そして今回のクーラーのソリューションで、長期旅にも最適と言えるようになった。
また前向きシートがあるのでファミリーでの使用にも適している。多目的ルームが用意されていることも女性ユーザーに対して大きなアピールポイントだ。
あえて今後の希望を挙げれば、リチウムイオンバッテリー対応が挙げられる。また前述の通り、ダイネット左側にも扉付きのオーバーヘッド収納が望まれる。
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