ボンゴに代わるライトキャブコンは?
マツダボンゴが生産終了になる。現行のボンゴは20年以上前に設計されたモデルで、さすがに古さが隠せない。キャンピングカーのベース車としてはメジャーなクルマだったが、今後ボンゴに代わるライトキャブコンはどうなるだろうか?
ボンゴベースキャブコン(マンボウANVファイナルエディション:ロータスRV販売)
そこで今回は、ボンゴベースのキャブコンに代わる選択肢になりうるライトキャブコンをピックアップした。ボンゴベースのキャブコンとは、ロータスRV販売の「マンボウ」に代表されるようなイメージが一般的だろう。即ち、5x2mの駐車枠に収まり、「キャンピングカー然」とした外観で居住性に優れ、カムロードベースモデルにも劣らない装備が可能なキャブコンだ。
また、ボンゴベースキャブコンの価格は300万円~400万円台が中心だったので、これを満たすことも条件になる
目 次
ライトキャブコン9モデルをピックアップ
ベース車として候補になるのは、カムロード、タウンエース/ライトエーストラック、そしてハイエース標準ボディがあげられる。しかし、カムロードベースのキャブコンで400万円台のモデルは存在しない。大きさ的にもボンゴに比べると大きすぎる。
またハイエース標準ボディベースのキャブコンは500万円~600万円台が中心で高価になってしまう。大きさ的には適するが、価格的に対象外となる。従って、カムロードベースとハイエースベースのキャブコンはここでは除外する。
残るはタウンエース/ライトエーストラックベースのキャブコンだ。問題点は最大積載量がボンゴの1,150Kg(2WD)に比べ、ライトエース/タウンエースは800Kg(同)でしかないことで、ボンゴベースと同じ装備とはいかない。
しかしベース車の価格はボンゴより安価になるので、当然架装済みのキャンピングカーも安価になる。 そこで今回は、ボンゴベースキャブコンの代わりとなりうるタウンエース/ライトエースベースのキャブコンをリストアップした。それと、希少ではあるがNV200バネットベースのキャブコンも含めている。(以下価格は全て2020年3月時点/税別)
アレン エートゥゼット
エートゥゼットはボンゴベースのキャブコン「アミティ」を展開し、4種類のレイアウトと2種類のインテリアの選択ができた。カムロードベースのアンソニーや最近発売したアメリアでもインテリアで差異化を図っている。「アレン」はまだ従来のインテリアを継続しているが、同社らしい白木風のセンスの良いインテリアを持つ。
アレンType1のインテリア
レイアウトは後部に2段ベッドを持つType1と、ダブルベッドのType2を選択できる。どちらも4名が対座できるダイネットを持ち、その横にはギャレーも装備されている。
ダイネットを展開してベッドにできる他、バンクベッドは子供用として使用でき、ファミリーでの長期旅にも対応できる。
今回のハードハイルーフ車の中では唯一ユーティリティールームを持たないモデルで、その代わり常設ベッドを装備する。
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トム23 セキソーボディ
セキソーボディは、ボンゴベースのキャブコンをラインナップしていないが、ハイエースベースとライトエースベースのキャブコンをラインアップする。ライトエースベースのキャブコン、トム23はアルミ素材のシェルで軽量化を図るとともに、タウンエース/ライトエースベースキャブコンでは最も長い車長を持つ。
トム23のインテリア
2列目にマルチモードシートを持ち、これを前向きにセットすると、全員が前向きに乗車することができるのが特徴。後ろ向きにすると3列目シートとで対座ダイネットを形成する。またダイネットサイドにはロングシートがあり、広いダイネットを形成。後部にはギャレーがある。バンクベッドも含め5名が就寝できる。
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ネオ・ユーロ かーいんてりあ高橋
かーいんてりあ高橋はハイエースベースのバンコン、「リラックスワゴン」や、プリウスPHVをベースにしたユニークな「リラックスキャビン」で知られるビルダーで、ネオ・ユーロは同社唯一のタウンエースベースのキャブコン。ジャパンキャンピングカーショー2020ではスライドアウト機構が付いたネオユーロ・スライドアウトを発表した。
アルミ素材を使用した軽量シェルで全体の軽量化を図り、かつ車幅はベース車より広くせず、安定性を確保しているのが特徴。
ネオ・ユーロのインテリア
リアエントランスで最後部にギャレーを置き、前部には広いロングソファのダイネットを配置する。1,950x1,500mmのバンクベッドとダイネットを展開して幅1,600mmのベッドも作れ、4名が就寝できる。トイレルームとしても使えるユーティリティルームも装備する。安定性の向上のためサイドのオーバーヘッド収納は付いていない。また、冷蔵庫が30Lの引き出し式でかつオプションとなっている。
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フィール オートショップアズマ
オートショップアズマはK-ai(ケーアイ)やラ・クーンといった軽キャンパーキャブコンが有名だが、ライトエースベースのキャブコンも2種類ラインアップしている。「エム・ホルーヴァ」はポップアップルーフ仕様のライトエースベースキャブコンだが、フィールはポップアップルーフではないハイルーフのキャブコン。
リアエントランスで、前部にロングソファーダイネット、後部にギャレーとユーティリティールームを配置する。
ダイネットはロングソファー対座スタイル。前向き乗車は運転席、助手席の2名だけで二人旅に向く。ベッドはダイネットを展開して2名が就寝できる。バンクベッドは子供用、あるいは荷物や寝具を収納しておくスペースとして使える。
オプションでウインドウエアコンが装備できるのも大きな特徴。ただし、エアコンを実用的に使うためには外部100V電源がある場所に限られる。
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レジストロ・アウル M.Y.Sミスティック
MYSミスティックはトラックキャンパーを得意とする数少ないビルダーで、軽ベースからフルサイズピックアップベースまでトラックキャンパーをラインアップしている。レジストロ・アウルはシェルを固定した(積み下ろしできない)キャブコンスタイルで、独特の外観で人気のモデル。アルミを素材にしたシェルで軽量化を図るとともに、断熱材をサンドイッチして断熱性にも優れている。
レジストロ・アウルのインテリア
ダイネットに前向きシートを採用したレイアウトと、ロングソファシートを採用したレイアウトが用意されており、ファミリーにも二人旅にも適している。
大きなバンクベッドを持ち、ダイネット展開したベッドと合わせて4~5名が就寝できる。シンクをビルトインしたギャレーコンソールも大きめで、ギャレーコンソールには豊富に引き出し収納が用意されている。ユーティリティールームもあり、トイレルームとして使用することもできる。小型クーラーもオプションで装着できる。
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アルファ エートゥゼット
エートゥゼットのキャブコンラインアップの中で、アルファは唯一のNV200バネットベースのキャブコン。もっとも他社を見ても他にNV200バネットベースのキャブコンは無く、これが唯一の存在となる。NV200バネットはボンネットがあり、乗用車に近い感覚で運転できるので、運転しやすいキャブコンとしては貴重な存在だ。
アルファのインテリア「SHIFUKU」
アルファにはType1とType2の2種類のレイアウトが用意されており、Type1は2列目シートが前向き固定、Type2は横座り対座となっている。また、それぞれに「HIKARI」と「SHIFUKU」と名付けられたインテリアカラーが選択できる。
レイアウトは前部にダイネットの他、後部にギャレーとユーティリティールームを配置する。
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エム・ホルーヴァ オートショップアズマ
オートショップアズマはライトエースキャブコンとして、先のフィールの他、ポップアップルーフを持つ「エム・ホルーヴァ」をラインアップしている。エム・ホルーヴァには「エム・ホルーヴァ ミア」と名付けられたバージョンも存在しており、こちらは車高をエム・ホルーヴァの2,220mmに対し2100mmに抑え、高さ制限のある駐車場にも侵入できるようにしている。(上のビデオはミア)
エム・ホルーヴァ ミアのインテリア
エム・ホルーヴァは対座ダイネットを持つのに対し、エム・ホルーヴァ ミアはロングシートで、二人旅に適したレイアウトとなっている。どちらもポップアップルーフで就寝できるが、エム・ホルーヴァは就寝定員が2名+子供2名、エム・ホルーヴァ
ミアは2名となっている。
その他の違いは、エム・ホルーヴァはオーバーヘッド収納を両側に設置しているのに対し、エム・ホルーヴァ ミアは車高が低くなったためこれが省かれている。
なお、エム・ホルーヴァ /ミアとも横開き式冷蔵庫が標準装備され、これは他のポップアップルーフ車が上蓋式を装備しているのに対し優位点となる。
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Dテントむし バンショップミカミ
バンショップミカミは軽キャブコン「テントむし」で知られるが、「Dテントむし」はタウンエースをベース車にした、大きめ(Dはでっかいの意味)のモデル。アルミ素材のシェルで軽量化を図り、全体がポップアップするエレベーションルーフを架装する。車高は2090mmで高さ制限のある駐車場にも入りやすい。
Dテントむしのインテリア
2列目と3列目にマルチモードシートを持ち対座ダイネットになるレイアウトと、L字型ロングソファーのレイアウト、それに2列目のみマルチモードシートで後部は横置きソファのレイアウトを選択できるのが特徴。
なお、オプションだが、リアに大きなハッチを付けることができる。ハッチはフルサイズとハーフサイズが選択できる。
なお「ACクーラー」オプションが設定された。
リゾートデュオバンビーノプラス stage21
stage21はリゾートデュオシリーズで、軽バンコン、軽キャブコン、NV200バネットベースのライトバンコンを制作しているが、ライトキャブコンはこのリゾートデュオバンビーノプラスが初となる。同社の軽キャブコン同様、アルミ素材パネルで軽量化を図るとともに、ポップアップルーフで高い天井高を実現している。ルーフを下ろすと2090mmになり、高さ制限のある駐車場にも入っていける。
リゾートデュオバンビーノプラスのインテリア
レイアウトは前部にギャレーを置き、後部は広いコの字型のソファダイネットになっている。シンクを前部にしたことで後部は広いダイネットとなり、これを展開するベッドはワイドクイーベッドの幅に匹敵する。また厚いベッドマットで快適な寝心地も確保している。更に2090mmの全高ながらオーバーヘッド収納も装備しておりロールーフ車のハンディを感じさせない。
なおオプションで後部座席をベンチシートに変更できる。この場合、乗車定員は6名となる。
また、ポータブル冷蔵庫、電子レンジ、インバーター、ソーラーシステムなど標準装備が充実しているのも特徴。なお、冷房のソリューションとして同社オリジナルの簡易クーラー「冷え蔵X」も標準装備される。
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ハードハイルーフかポップアップルーフか?
ハイルーフハードシェルの利点は断熱性能が高く、常にルーフが高いためオーバーヘッド収納などが装備できる点。一方ポップアップルーフはルーフを下げると高さ制限のある駐車場にも入っていける機動性がある。ただし断熱効果は薄い。価格的にはポップアップルーフモデルの方が安価。
ライトエース/タウンエースかNV200バネットか?
この中ではアルファが唯一NV200バネットベース。NV200バネットはライトエース/タウンエースの1.5Lに対し1.6Lエンジンなので多少有利。しかし最大の利点はボンネットがありミニバンに近い感覚で運転できること。この点を重視するならアルファ一択となる。
車体サイズ
コンパクトなモデルになるほど車体サイズの違いは気になるもの。できるだけ大きくない方が良ければネオ・ユーロが最も小さい。特に車幅はキャブ部と同じなので車幅に気を使わなくて済む。
逆に最も大きいのがアルファ。ボンネットがあるので車長方向は効率が悪いが車幅でカバーしている。
ファミリー向けか二人旅向けか?
大勢で遠出する場合が多いなら、6名が前向き着座してドライブできるトム23がお勧め。二人旅に限定するなら、ネオ・ユーロ、フィール、レジストロ・アウル、それとポップアップルーフ3モデルの横座りレイアウトがお勧めだ。前後対座のレイアウトでも良いが、ロングシートの方が寛げる。また、ベッド展開もマルチモードシートに比べてはるかに楽だ。
ユーティリティールームの有無
ユーティリティールームはいらない、というユーザーにはアレンかポップアップルーフの3モデルが該当する。アレンはそのスペースを生かして、唯一常設ベッドを装備する。なお、フィールとアルファのユーティリティールームには防水パンがあり、濡れたものでも収納しておける。
ハードハイルーフのお勧めモデル
目立つのが気にならなければ、レジストロ・アウルの広いバンクベッドは魅力。また、フィールは唯一実用的なエアコン(ウインドウエアコン)を選択できる。ネオ・ユーロはスライドアウトモデルが追加され広いダイネットが魅力。トム23は軽量アルミシェルがアドバンテージだ。
ポップアップルーフのお勧めモデル
エム・ホルーヴァとDテントむしはファミリーに対応できるレイアウトを持つ。二人旅向けのレイアウトとしては3モデルとも対応するが、リゾートデュオバンビーノプラスは後部に広いラウンジダイネットを持つのが新しい。もちろん、エム・ホルーヴァとDテントむしの横座り対座レイアウトも寛げる。この3モデルの中では、リゾートデュオバンビーノプラスが標準装備の豊富さで一歩リードしている。
ライトキャブコンは買いか?
タウンエース/ライトエースベースのキャブコンは、NV200ベースも含めて、従来のボンゴのセグメントユーザーの受け皿に、ある一定数はなると思われる。しかしどうしても「下位感」は残るだろう。そこで望まれるのは、エアコンやリチウムイオンバッテリーを装備した上級モデルではないだろうか。
昨今の暑い夏を考えると、サブバッテリーでも稼働する小型エアコンが今後必須となってくるだろう。COOLSTARのような小型高性能クーラーが発売されたので、リチウムイオンバッテリーの搭載とともに今後のライトキャブコンに期待したい。