アレン ハイ LEはAtoZが製作する、ボンゴトラック(タウンエースも選択可)をベース車にしたライトキャブコンキャンピングカー。
同社はカムロードをベース車にしたアンソニーシリーズから、ボンゴベースのバンコンやキャブコンまで、広くラインアップしている。
アレンシリーズでは、「アレン ロー」、「アレン ハイ」がすでに発売されており(記事はこちら)、この度リアエントランスのレイアウトを採用したアレン ハイ LEが加わった。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ボンゴトラックをベース車にしたライトキャブコンで、リアエントランスのレイアウトを採用する。通常前部に広いダイネットを配置するが、アレン ハイ
LEではサイドに大きな収納キャビネットを配置する。
同社はインテリアカラーのバリエーションを展開しているが、アレンも同様にインテリアは3種類のインテリアカラーから選択できる。
多目的ルームにはポータブルトイレを置いてトイレルームにできる。また、車載用セパレートクーラーをオプションで設置できる。リチウムイオンバッテリーはオプション設定されていないが、高性能なディープサイクルバッテリーがオプションで2個まで搭載できる。
アピールポイント
・リアエントランスのレイアウトを採用
・豊富な収納
・車載用セパレートクーラーを設置可能
・3種類のインテリアカラーから選択可能
ベース車とエクステリア

アレン ハイ LEのエクステリア
ベース車はマツダ ボンゴトラックDX。オプションでベース車をトヨタタウンエースに変更できる。衝突回避支援システム(スマートアシスト)や、運転席と助手席のエアバッグも標準装備する。
シェルはFRP一体成型。シェル部の窓は全てアクリル2重窓が与えられている。
インテリア

「Kanae(カナエ)」のインテリア
同社はインテリアカラーのバリエーションに名前を付けてアピールしているが、アレン ハイ LEにも、「Kanae(カナエ)」、「Kiseki(キセキ)」、「Mirai(ミライ)」の3種類のインテリアカラーバリエーションが用意されている。
レイアウト
同社のモデル名で「LE」はリアエントランスを表しており、アレン ハイ LEもリアエントランスのレイアウトを採用している。
通常リアエントランスのレイアウトでは、前部に対座ダイネットとサイドベンチシートで広いダイネットを特徴としているが、アレン ハイ LEではベンチシートは無く、その位置に大きなキャビネットが配置されている。
このため収納が豊富に用意されているのが特徴だが、一方ではリアエントランスの、広いダイネットと言う特徴が失われている。もちろん、どちらが良いというわけではないが、収納を取るか、広いダイネットを取るかの選択になる。
乗車定員はダイネットに4名、運転席と助手席で、計6名となっている。また、就寝定員はバンクベッドとダイネット展開ベッドで計4名。
ダイネット

4名が対座できるダイネット
2列目と3列目の固定シートで4名が対座できるダイネットを形成する。テーブルは4名が食事をするには十分広い。横に大きなキャビネットがあるので多少圧迫感があるが、慣れの問題かもしれない。
ベッド

セミダブルベッドの幅より広いダイネットベッド
ダイネットを展開すると1870x1280mmのベッドになる。これは家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)より広く、大人が2名就寝できる。ただし、これも横にキャビネットがあるので、一般的なリアエントランスのレイアウトのベッドサイズには及ばない。例えばセキソーボディのトム23では1820x1720mmで、家庭用のキングサイズベッドの幅(1800mm)に迫る大きさだ。

クイーンサイズベッドの幅に相当するバンクベッド
バンクベッドは2000x1600mmの大きさで、こちらは家庭用ではクイーンサイズベッドの幅に相当する。もちろん、2名ならゆったり就寝できる。

使用しない場合は端を跳ね上げておける
バンクベッドは、使用しない場合端を跳ね上げて、荷物が落ちないようにできる。これは良いアイデアで、バンクベッドを有意義に使用できる他、ベッド展開も簡単にできる。
ギャレー

広いギャレーセクション
前部の左側のキャビネットはギャレーになっており、シンクとシャワーフォーセットが備えられている。シャワーフォーセットは引き伸ばして窓から出し、車外で使えるようになっている。
大きなキャビネットなので天板は広く、卓上カセットコンロを置いても調理スペースは十分にある。調理をするユーザーには大変使いやすいギャレーだ。

広い収納スペースがあるキャビネット
キャビネットは広い収納スペースになっており、各12Lの給排水タンクやオプションの電子レンジが収納できる。大きな収納スペースもあるので、調理用具などを収納しておくことも可能だ。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備されており、冷凍と冷蔵が同時にできる。横開き式はクルマ旅には重宝する。ただし、設置されている位置は、エントランスの横だ。車外からアクセスするには便利な位置だが、ギャレーからは遠いので、調理する場合は使いにくい。
電子レンジは家庭用の100V仕様のもの。1500W正弦波インバーターはオプションなので、外部電源が取れないところでサブバッテリーで使用する場合は、インバーターを設置する必要がある。
多目的ルーム

トイレルームにもなる多目的ルーム
エントランスの向かいには多目的ルームがあり、ポータブルトイレを置いてトイレルームにできる。タウンエースクラスのライトキャブコンは多目的ルームを設置できる最小のキャンピングカーで、コンパクトなモデルでクルマ旅をしたいユーザーに適したスタイルだ。
収納

最後部のキャビネット
アレン ハイ LEでは、ダイネットサイドの大きな収納キャビネットのおかげで、最後部のキャビネットは全て追加の収納に使用できる。

ダイネット上のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納はダイネットの上と最後部に設置されており、食器や食品などを収納しておける
空調

車載用セパレートクーラーを標準装備
暖房はFFヒーターがオプションで用意されており、冷房は車載用のセパレートクーラーがオプションで設置できる。室内機はエントランスの上に設置される。また、室外機は、車体左側に収納される。室外機は扉でカバーされているが、カバーには送風用の窓が開けられており、クーラーを使用する度に車外に出る必要はない。
テレビ/ナビ
テレビはオプション設定されているか不明だが、設置は特に難しいことは無いだろう。ナビも好みのものが装備できるだろう。
電装系

高性能のディープサイクルバッテリーが1個標準装備される
サブバッテリーは高性能のディープサイクルバッテリーが1個標準装備される。オプションでもう1個追加可能だ。INADAバッテリーはリチウムイオンバッテリーではないが、高性能なためエアコンの運転時間も通常のディープサイクルバッテリーより有利だ。
充電は走行充電にCTEKの昇圧システムを標準装備。外部電源の充電機能はオプションとなっている。1500W正弦波インバーターとソーラーシステムもオプション。
価格(2023年5月現在:千円台切り上げ:税込)
2WD/4AT DXグレードの車両本体価格は548万円~。4WDの価格は不明。付けておきたい必需オプションは、外部電源による充電機能(価格不明)、1500W正弦波インバーター(181,500円)、FFヒーター(242,000円)が挙げられる。
予算に余裕があれば、クーラー(551,760円)と追加バッテリー(価格不明)を装備しておきたい。また必要に応じて電子レンジ(21,780円)、サイドオーニング(121,000円)などがある。
他モデル
タウンエースベースのキャブコンにはポップアップルーフ付きとクローズドシェルの2種類がある。アレン ハイ LEのようなクローズドシェルのタイプには、
・オートショップアズマのフィール(525万円~:グレード不明5MT)
・かーいんてりあ高橋のネオユーロ(500万円~:DX”Xエディション”)
・stage21のリゾートデュオ バンビーノ ファミリア L.A(371万円~:DX”Xエディション”)
・セキソーボディのトム23(577万円~:グレード不明)
・MYSミスティックのレジストロアウル(532万円~:DX”Xエディション”)
が挙げられる。
まとめ
アレン ハイとアレン ローはいずれもセンターエントランスだが、上記のように他モデルは全てリアエントランスを採用している。タウンエーストラックをベース車にするクローズドシェルでは、センターエントランスはむしろ少数派だった。
アレン ハイ LEは主流であるリアエントランスの穴を埋め、他モデルに対抗する重要なモデルと言える。しかし、レイアウトはこれらのモデルが採用する広いダイネットは採用しないで収納を充実させ差異化している。
特にコンパクトなモデルでは収納が不足しがちだが、アレン ハイ LEではその点は心配ない。また大きなギャレーは旅先で料理をする場合に非常に使いやすい。
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