リゾートデュオバンビーノ ファミリアL.Aはstage21が製作する、タウンエーストラックをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社は軽バンコンやライトキャブコンなど、コンパクトなキャンピングカーを中心に製作しているビルダー。「リゾートデュオバンビーノ」や「リゾートデュオルクシオ」など多くのライトキャブコンやコンパクトバンコンをラインアップしている。
タウンエースをベース車にするキャブコンは、今までリゾートデュオバンビーノプラスがラインアップされており、これはポップアップルーフを架装するモデルだった。
リゾートデュオバンビーノファミリアLAは、ポップアップルーフを持たないクローズドシェルのライトキャブコンで、もう一つの選択肢を提供する。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタタウンエーストラックをベース車にしたライトキャブコンで、取り回しが良く、運転しやすい。車体後部にエントランスがあり、一見トラックキャンパーのように見えるが、運転席と後部が貫通した8ナンバーキャブコン。
外観は、L.Aの文字が付けられているように米国西海岸をイメージしたデザインで、シェルの色も鮮やかなブルーとしている。
シンプルな作りながら、ポータブル冷蔵庫、電子レンジ、そして車載用セパレートクーラーとリチウムイオンバッテリーもオプション設定されており、クルマ旅に対応できる装備も搭載できる。
また納期と価格もアピールポイントとしており、6か月納期、車両本体価格350万円を謳っている。
アピールポイント
・運転しやすいサイズ
・西海岸をイメージした外観
・安価な価格(350万円)
・短い納期(6か月)
・冷蔵庫や電子レンジを装備可能
・車載用セパレートクーラー搭載可能
・リチウムイオンバッテリー搭載可能
エクステリア
リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aのエクステリア
トヨタ タウンエーストラックにシェルを架装するキャブコン。シェルはガルバリウム鋼板という断熱材入りの金属板でできているが、これは家屋の屋根や外壁に使用される建材。軽量かつ高耐久性が特徴で、家のリフォームなどでは一般的だがキャンピングカーに使用するのは新しい。
外観はかなり「ラフ」な作りに見えるが、このモデルに限っては、コンセプトとして見ると納得できるかもしれない。
なお、室内高のデータは無いが、車内で立つと頭がかなりつかえる。リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aの全高は2550mmだが、他のクローズドシェルのタウンエースキャブコンを見ると、2600mm以上あるものがほとんどだ。
全高を低くすると重心は低くなるが、キャブコンなのに天井高が十分でないのは気になるところだ。どのみち高さ制限のある駐車場には入れないのだから、もう少し車高が高くても良かったのではないだろうか。
インテリア
リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aのインテリア
展示車は写真のような家具色やシート色だったが、同社のサイトに掲載されている写真では白を基調にしたインテリアカラーになっている。
同社は自由度の高いビルダーなので、内装色は自分好みのものを選択できるだろう。ただし家具やシートの作りは、展示会に間に合わす理由があったかもしれないが、標準的なレベルに達していないところも目立つ。
また、冷蔵庫や電子レンジはオプション設定されているが、テーブルの上に設置し、バンドで固定しているあたりは手作り感が出ている。キャビネットに収納することもできると思われるが、そのようなことに対応していると、納期が延びコストがかかるのかもしれない。
レイアウト
エントランスは最後部にある。一見するとトラキャンのように見えるが、シェルはベース車に固定されており、運転席、助手席からシェルに移動でき、走行中もシェルに乗車できるので、まぎれもない8ナンバーのキャブコンだ。
左側に大きなキャビネット、右側にベンチシートのレイアウトで、ベンチシートには4名が乗車でき、乗車定員は運転席、助手席を合わせて6名となっている。
ベンチシートのシートバックを通路部に移動するだけでベッドになり、2名が就寝できる。また、バンクベッドにも2名が就寝できるので、就寝定員は4名となる。
ダイネット
大きな引き出し式テーブルがあるダイネット
ベンチシートがそのままダイネットシートになるが、キャビネットに組み込まれたテーブルを引き出すと、大きなダイネットテーブルになる。通常は2名程度での使用が多いと思われるが、2名が食事する分には十分大きなテーブルだ。
両側の窓はアクリル2重窓で断熱性は良いが、あまり大きくないので、ダイネットの明るさは期待できないかもしれない。
ベッド
セミダブルベッド幅に相当するダイネットベッド
ベンチシートのシートバックを通路部に移動するだけで、1800x1200mmのベッドになる。1200mmは、家庭用ではセミダブルベッドに相当する幅で、2名が就寝できる。
クイーンベッド幅に相当するバンクベッド
また、バンクベッドは引き出してセットするが、引き出すと2000x1600mmの大きさになる。1600mmは家庭用ではクイーンサイズに相当するので、2名がゆったり就寝できる。
ギャレー
広いカウンターとシンクがあるギャレー
左側に置かれたキャビネットは大きく、広いカウンターテーブルになる。その最奥にシンクがビルトインされている。なお写真の展示車では奥に配置されているが、同社のサイトの写真ではエントランス側に円形のシンクが配置されている。
シンク前の高さはどちらも1600mmをクリアしているので、好みによって位置を選択できるのかもしれない。
調理器具としては電子レンジが標準装備されているので、コンロは標準装備されていない。煮炊きが必要な場合は、ポータブルカセットコンロを別途購入すると良いだろう。キャビネットにはコンロを置くスペースも十分確保されている。
冷蔵庫/電子レンジ
15Lのポータブル冷蔵庫(OP)
冷蔵庫はオプションで15Lのポータブル冷蔵庫が用意されており、ギャレーキャビネットの上に設置される。
電子レンジもオプション
電子レンジも家庭用の100V仕様のものがオプションで用意されている。300Wのポータブルバッテリーが標準装備され、これに最大1200Wの出力ができるインバーターが付いているので、辛うじて電子レンジを駆動することができそうだ。
多目的ルーム
リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aには多目的ルームが無いが、緊急時のためにポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。ベッドモードにして、その下に置いておけば目に触れることは無い。
収納
キャビネットは全て収納になっている
収納は豊富に用意されている。まず左側のキャビネットは全て収納になっており、3連の観音開き収納スペースが用意されている。シンクの下のスペースには各10Lの給排水タンクが収納されるので、この部分を除き、他は全て自由に使える。
問題は、ベッドモードにすると観音開き扉が開けなくなること。スライド式の扉が理想的だが、ベッドボードの受け木を扉に付けているので、それができない。できればベッドボードのステーは別に設け、扉をスライド式にして欲しかったところだ。
ベンチシート下の収納
次に、ベンチシート下が、これもすべて収納スペースとして用意されている。大き目のバッグなども収納できる。
エントランス横のシューズボックス
その他、エントランス横にシューズボックスも用意されている。3段の大型で、多くの靴を収納できる。また、車体左側には外部収納も設けられており、汚れ物等を収納しておくことができる。
空調
車載用セパレートクーラー(OP:他車に取り付けた例)
暖房は灯油式FFヒーターがオプション設定されている。冷房は車載用セパレートクーラー(One Cool21)がオプション(217,800円)で用意されている。上の写真は別モデルに付いているものだが、リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aにも搭載可能だ。
ただし、クーラーを設置する場合は、別途オプション設定されている200Ahのリチウムイオンバッテリー(242,000円)をお勧めする。One Cool21の消費電力は600Wとなっているので、このリチウムイオンバッテリーでも単純計算で3時間半程度しか運転できない。
車載用クーラーは12Vで駆動するので、サブバッテリーで運転する場合はインバーターが不要だ。ただし、外部100V電源で運転する場合は、100Vから12Vに変換するコンバーターが必要になる。コンバーターもオプション設定(88,000円)されているので、外部電源を使うことが多い場合はコンバーターも装備しておくと良いだろう。
テレビ/ナビ
32型のテレビが標準装備される
24型モニターがオプション(77,000円)で用意されている。展示車ではエントランス横の上部に取り付けてあった。
また、フルセグの国産ナビもオプションで用意されている。もちろん自分の好みのナビも取り付けられるだろう。
電装系
標準では300Whのポータブルバッテリーが付属している。このポータブルバッテリーは接続するとシステムの電源として使用でき、走行充電や車内の照明の電源として使用できる。ただし、走行充電用シガーソケット(33,000円)を装備する必要がある。
300Whなので、Ahに直すと25Ahとなる。即ち、通常の105Ahのディープサイクルバッテリーの1/4の容量だが、効率を考えると半分程度と考えられる。
しかしいずれにしても、冷蔵庫やテレビ、FFヒーターなどを使うことを考えるとこの容量では心もとない。できればオプションの大容量ポータブルバッテリー(追加料金 110,000円)を選択したい。
サブバッテリーはこの他にも固定の200Ahリチウムイオンバッテリー(242,000円)も用意されており、先にも書いたようにクーラーを設置する場合は選択したい。
インバーターは、ポータブルバッテリーに内蔵されているが、固定のリチウムイオンバッテリーを搭載した場合は1500W正弦波インバーター(追加料金
67,100円)も一緒に搭載しておくと、100V機器が車内で使用できる。
345Wのソーラーシステム(OP)
更に345Wのソーラーシステムもオプション(110,000円)で用意されている。昼間は常時バッテリーが充電されているので、走行充電が期待できない場合も充電の足しになる。
なお外部100V電源入力は標準装備されるが、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。リチウムイオンバッテリーを選択した場合は、専用のチャージャー(16,500円)が必要で、急速充電が可能となる。
価格(2022年4月現在:千円台切り上げ:税込)
車両本体価格は350万円~。同社の軽キャブコン、リゾートデュオバンビーノが342万円~、タウンエースベースのリゾートデュオバンビーノプラスが415万円~であることを考えると、かなり安価な価格設定だ。
ただし、これらは冷蔵庫や電装系などがほぼフル装備なので、リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aも同条件にすると400万円を超える。即ち、安価に購入できるというメリットは、シンプルな装備でこそ有効で、オプションを付ければそのメリットは無くなる。
それでもFFヒーター(110,000円)は寒い時期に車中泊するなら付けておくべきだ。アイドリングでクルマのヒーターを使うのはマナー違反だし、寒さに耐えての車中泊は危険だからだ。また、FFヒーターをユーザーがDIYで取り付けるのは避けた方が良い。
なお、走行充電用の12Vソケットも付けておかないと、ポータブルバッテリーを充電できないが、充電せずとも電気容量が足りる程度の車中泊なら必要ない。充電は家庭で行うことができる。
他モデル
クローズドシェルを持つタウンエースベースのライトキャブコンは、AtoZのアレン ハイ(495万円~)とアレン ロー(490万円~)、オートショップアズマのフィール(395万円~:5MT)、セキソーボディのトム23(価格不明)、かーいんてりあ高橋のネオユーロ(523万円~)、MYSミスティックのレジストロアウル(499万円~)がある。
ただしいずれのモデルもシンプルさや低価格を前面に出すモデルではなく、リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aとはコンセプトが異なる。比較してもあまり意味はないだろう。
まとめ
リゾートデュオバンビーノファミリアL.Aは価格が安価なので、「装備は最低限で良いがキャブコンが欲しい」というユーザーは狙い目かもしれない。
従って、DIYでいろいろな装備を追加していくベース車として適しているだろう。キャンピングカーの入門モデルとも謳われているが、むしろ、DIYができるユーザー向けかもしれない。
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