バロッコ Kパッケージはフィールドライフが製作する、ハイゼットトラックをベース車にした軽キャブコンキャンピングカー。
同社はセミフルコン「シリウス」と軽キャンパーの両極端のカテゴリーをラインアップしているユニークなビルダーで、セミフルコンのノウハウを投入し、ハイクオリティの軽キャンパーを製作している。
バロッコもその一つで、同社の軽キャンパーでは唯一の軽キャブコン。同社の軽モデルのフラグシップの位置付けにある。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイゼットトラックをベース車にした軽キャブコン。軽キャンパーながら「本格派モーターホーム」を目指しており、同社のセミフルコンモデルにも採用している独自の高断熱・高耐久の「ハイドロバックパネル」のシェルを架装している。
またポップアップルーフの素材も厳選し、雨への耐久性も考慮されているほか、シェルの窓は全てアクリル二重窓を採用している。
L字型ダイネットとギャレーキャビネットで構成されるレイアウトで、冷蔵庫を標準装備する。Kパッケージは特別色のインテリアや簡単ベッド展開機構、引き出し式冷蔵庫などを標準装備したスペシャルバージョンとなっている。
アピールポイント
・高断熱・高耐久の「ハイドロバックパネル」のシェル
・雨の侵入に強いポップアップルーフテント
・専用色のインテリア(Kパッケージ)
・16L引き出し式冷蔵庫を標準装備(Kパッケージ)
・ワンアクションのベッド展開(Kパッケージ)
ベース車とエクステリア
バロッコ Kパッケージのエクステリア
ハイゼットトラックをベース車にし、高断熱・高耐久を実現した同社独自のFRPパネル「ハイドロバックパネル」を使用したシェルを架装している。またポップアップルーフには高耐久、高耐水圧のテント地を使用し、雨の侵入にも対応している。
シェル部の窓は全てアクリル二重窓を採用、窓の高断熱性も確保している。外装色は8色から選択可能。なお、シェルの全塗装はオプションになる。
ハイゼットエクストラグレードの5MTとCVTが選択でき、それぞれに2WDと4WDが選択できる。
インテリア
バロッコ Kパッケージのインテリア
展示車はブラウン系の家具色とシート地を採用していたが、これはKパッケージの専用色。標準仕様では薄いブルーのシートと白地の壁面でシンプルな感じだが、特別限定仕様やレザーパッケージと言った選択肢も用意されている。
ただし、インテリアの選択はパッケージや限定仕様として用意されているが、ユーザーが自由に選ぶことはできないようだ。例えば、Kパッケージの仕様で家具色やシート地を変更するとはできないと思われる。ただし壁紙は3色から選択できる。
レイアウト
L字型のベンチシートとギャレーのレイアウト
L字型のダイネットとギャレーキャビネットのレイアウトを採用。対座スタイルのレイアウトの選択肢は無い。運転席、助手席と後部の横座りベンチシートに2名乗車できるので、計4名が乗車できる。
就寝はダイネット展開ベッドに2名、ポップアップルーフのルーフベッドで2名で、計4名が就寝できる。ただし、どちらのベッドも2名で就寝するには狭いので、就寝定員は4名でも、現実的には1~2名で使用することをお勧めする。
ダイネット
L字型ベンチシートのダイネット
L字型に配置された2つのベンチシートの構成で、2名がテーブルを挟んで対座できる。ベンチシートなので、2名ならそれぞれがシート上で足を伸ばして寛ぐことができる。
もっとも、ベッドモードにしてしまった方が自由な体勢で寛ぐことができるだろう。
ベッド
電動昇降式の後部ベッド
ダイネットを展開するベッドは1810x1030mmの大きさ。これは家庭用のセミダブルの幅(1200mm)にも達していないので、二人で就寝するには狭いかもしれない。
標準仕様のベッド展開でもシートバックを中央部へ移動するだけなので労力はほとんど要しないが、Kパッケージでは更に引き出すだけでベッド展開ができるようになった。(ビデオはこちら)
ポップアップルーフ内のルーフベッド
ポップアップルーフを上げてできるルーフベッドは、2100x1120mmの大きさ。ダイネット展開ベッドより多少幅が広いが、やはり家庭用セミダブルベッドの幅には達していない。
もちろん2名で使用するなら、上下に分かれてゆったり就寝することができる。
ギャレー
十分な広の調理面があるギャレー
ギャレーキャビネットの上面にはシンクとシャワーフォーセットがビルトインされている。調理面は十分な広さがあるうえ、跳ね上げ式の調理台も用意されており、ポータブルカセットコンロを乗せても十分な広さがある。
標準仕様ではポータブル冷蔵庫ガ標準装備される
なおKパッケージでは奥の調理面とシンク面は同じ高さだが、標準仕様では奥のキャビネットは低くなっており、ここにポータブル冷蔵庫が置けるようになっている。
給排水タンクは車外から出し入れできる
また、シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されている。このタンクはシェル左サイドに開けられたバゲッジドアで車外から出し入れすることができるので便利だ。なお、ギャレーキャビネットにも扉があり、車内からでも確認することができる。(出し入れはできない)
冷蔵庫/電子レンジ
Kパッケージには16Lの引き出し式冷蔵庫が標準装備される
標準仕様には14Lのポータブル冷蔵庫が標準装備されるが、Kパッケージには16Lの引き出し式冷蔵庫が標準装備される。これは横座りベンチシートの下にビルトインされる。
なお電子レンジは、標準仕様に、冷蔵庫の代わりに設置することができる。冷蔵庫と電子レンジ両方を設置することはできないようだ。ただし、必要であればビルダーに相談すると良いだろう。
収納
オーバーヘッド収納が両側に設置される
オーバーヘッド収納が左右両側に設置されている。それほど大きな容量ではないが、カトラリーや小さな食器を収納しておくのに便利だ。
標準仕様の後部ベンチシート下収納
ベンチシートの下は大きな収納スペースになるが、標準仕様では後部ベンチシート下が全て大きな収納スペースになる。
バゲッジドアからもアクセスできる
また標準仕様では、車体左側後部のバゲッジドアからもアクセスできる。更にオプションで後部にバゲッジドアを付けることもできる。
Kパッケージでは収納スペースに奥行きが無い
しかしKパッケージでは、後部ベンチシート下に電装系が収納されるため、収納スペースとしてはほとんど残されていない。車体左側後部のバゲッジドアもあるが、奥行きはほとんど無い。
Kパッケージでは横座りシートに引き出し式の収納がある
代わりに、Kパッケージでは横座りシートに引き出し式の収納が用意される。冷蔵庫が収納されるため容量は半分になるが、引き出し式で使いやすい。
エントランス横のシューズボックス
また、エントランス横にはシューズボックスが設置される。Kパッケージでは鏡付きの扉が付く。
空調
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。FFヒーターは標準仕様では横座りベンチシート下に設置されているため横座りベンチシート下に吹き出し口があるが、Kパッケージでは後部ベンチシート下になる。
標準仕様ではルーフベッドへの吹き出し口が設置できる(OP)
また、標準仕様でオプション設定されているルーフベッドへの吹き出し口は、Kパッケージでは残念ながら装備できない。
標準仕様に設置されたポータブルスポットクーラー
更に標準仕様では100Vのポータブルスポットクーラーがオプションで設置できると記されているが、どのようなものかは不明。排気処理は車体左側後部のバゲッジドア部を加工するとされている。なお、2020年の展示車には上のようなクーラーが装備されていた。Kパッケージには装備できないとの記述は無いが、必要に応じてビルダーに相談いただきたい。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプション設定される
19型のテレビがオプション設定されている。また、ナビもオプションで用意されている。取り付け位置は、ギャレーの窓をレスにして取り付けることもできる。
電装系
標準仕様では105Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。また外部電源入力と充電機能も標準装備される。サブバッテリーの追加オプションは設定が無い。
またKパッケージでは100AhのAGMバッテリーが2個、オプションで用意されている。ただしKパッケージで特に大電力の家電品が装備されるわけではないので、このオプションはあまり必要性が無いかもしれない。
なお、インバーターはオプション設定されていない。確かに100V家電が無いので不要かもしれないが、100Vコンセントは外部電源があるところでないと使えないことになる。なお、1000Whのポータブル電源がオプションで用意されており、100V電源はここから出力できる。
ソーラーシステムは100Wと175Wがオプションで用意されている。175WのオプションはCTEK昇圧システムとセットになっている。ソーラーシステムからオプションのポータブル電源への充電も可能。
価格(2022年7月現在:千円台切り上げ:税込)
バロッコ標準仕様の価格は、エクストラ2WD/CVTで397万円~、4WD/CVTは413万円~となっている。5MTも選択でき2WDは387万円~、4WDは403万円~だ。Kパッケージは、これらにオプションとして434,500円が追加される。
即ちバロッコKパッケージは、エクストラ2WD/CVTで441万円~、4WD/CVTは456万円~となる。
付けておきたいオプションは、FFヒーター(236,500円)が挙げられる。また予算に余裕があれば、ソーラーシステム(259,600円)の装備をお勧めする。クーラーと電源に関しては詳細が不明なため、希望する場合はビルダーにお問い合わせいただきたい。価格表はこちら。
他モデル
軽トラックをベース車にするポップアップルーフキャブコンは多く存在する(ポップアップルーフ軽キャブコン特集も参照いただきたい)。例えばインディアナRVのインディ727は377万円(エクストラ2WD/CVT)、stage21のリゾートデュオバンビーノは376万円~(同)、バンショップミカミのテントむしは376万円~(同)だ。
この中でバロッコは最も高価なモデルのひとつだ。しっかりした作りはそれに値するが、Kパッケージとなるとエクストラ2WD/CVTで441万円程度にもなってしまう。
まとめ
バロッコKパッケージは、確かに軽キャンパーとしては上質だが、その価格はライトキャブコンに手が届く。例えばstage21のリゾートデュオバンビーノプラスは車両本体価格415万円~、One Coolクーラーと200Ahリチウムイオンバッテリーを搭載しても461万円~だ。冷蔵庫と電子レンジも標準装備される。
また、バンショップミカミのDテントむしは480万円~、オートショップアズマのエム・ホルーヴァ ミアは452万円~だ。これらのモデルは冷蔵庫と電子レンジを搭載できるし、リゾートデュオバンビーノプラスとDテントむしはオプションでクーラーの設置もできる。
即ち二人旅なら、バロッコKパッケージとライトキャブコンを比べた場合、居住性からも価格面からも、ライトキャブコンの方が有利といわざるを得ない。
一方、バロッコKパッケージの追加装備は、他モデルに対して大きなアドバンテージと言うほどのものではない。冷蔵庫の標準装備や簡単ベッド展開は他モデルもある。
しかし、もしKパッケージの仕様が標準仕様の価格になれば(それでも他車より高価だが)、バロッコの魅力が生きてくるだろう。インテリアカラーも限定色以外のカラーが選択できれば、若い年齢層にもアピールできるのではないだろうか。
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