ポップ・コン キャンパーRはキャンピングカー広島が製作する、日産NV200バネット バンをベース車にするバン・コンバージョンキャンピングカー。
同社は車名の通り広島県安芸高田市に本拠を置くビルダーで、タウンエースやNV200バネットからハイエース、キャラバンをベース車にしたバンコンを専門に製作している。特にポップアップルーフを架装するモデルが多く、ポップ・コン(以下ポップコン)は同社の代表モデルとなっている。
ポップコンは、二人使用を想定したポップコンeEと、ファミリー使用を想定したポップコン キャンパーRが選択できる。2022年のキャンピングカー要件変更により、ノーマルルーフのポップコン キャンパーR
ジュニアも追加された。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネットをベース車にするバンコンで、ポップアップルーフを架装するモデル(ポップコン キャンパーR)と、ノーマルルーフのモデル(ポップコン
キャンパーR ジュニア)が選択できる。
ファミリーを対象にしたレイアウトで、2列目にマルチモードシートを配置し、計5名が前向き乗車できる。ポップアップルーフ仕様では、大人2名、子供2名が就寝できるので、ファミリーでの車中泊も可能となっている。
2023年には、2WDに限られるが、車載用セパレートエアコンとリチウムイオンバッテリーを搭載できるようになった。
アピールポイント
・軽バンコンより広く、ハイエースよりコンパクトで運転しやすい
・ポップアップルーフ仕様ではファミリーでの車中泊が可能
・座り心地の良いハイバックシート
・低くなるダウンギャレーにより、足元まで広いベッド
・車載用クーラーとリチウムイオンバッテリーを搭載可能
ベース車とエクステリア
ポップコン キャンパーR ジュニアのエクステリア
ベース車は日産NV200バネットバン。2WDと4WDを選択できる。従来ポップアップルーフを標準で架装していたが、2022年のキャンピングカー要件の変更でノーマルルーフでも8ナンバーが取得できるようになり、ノーマルルーフバージョンのポップコン
キャンパーR ジュニアが追加された。
ポップアップルーフ以外、ボディ外側への架装は無く、ポップアップルーフも下げてしまえば通常のNV200バネットと変わらない。(ただしポップアップバージョンは車高が120mm程度高くなる)
NV200バネットはボンネットがあり、通常のミニバンと運転感覚が変わらないほか、商用車臭さが少ないので、ファミリーカーとしても使いやすい。インテリジェント
エマージェンシーブレーキに代表される安全機能も標準装備される。
インテリア
ポップコン キャンパーRのインテリア
濃い木目の家具と落ち着きのあるシートのカラーリングのインテリアを採用。シートや家具はしっかりとした作りで仕上げられている。なお、ベース車がバンで窓まわりやリアゲート周りはトリムされていないため、ボディカラーがインテリアに影響するのでボディカラー選択は注意が必要だ。
シートカラー
シートカラーは6種類から選択できる。家具色の選択肢については記述が無いが、家具色を変更したい場合はビルダーに相談すると良いだろう。
レイアウト
前向きにすると5名が乗車できる
2列目に3名掛けのマルチモードシートを配置。前向きにすると、運転席、助手席を合わせて5名が前向き乗車できる。
後ろ向きにするとダイネットモードになる。後部には右側にギャレーキャビネット、左側には薄いマガジンラックが設置されており、3列目シートはベンチシートのため、後部への移動がスムースなレイアウトとなっている。
ダイネット
L字型のダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目右側の横座りベンチシートとでL字型のダイネットを形成する。テーブルも標準装備される。対座ダイネットではないが、ベンチシートの対面にはギャレーがあり、使いやすい配置になっている。
ベッド
セミダブルサイズのベッドモード
シートを全てフラットにすると、1990x1200mmのベッドモードになる。1200mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。
ポップコンキャンパーRの特長は、ベッドがギャレーキャビネットに干渉されないこと。後述するが、ギャレーキャビネットがベッド下に収納されるため、ベッドは足元まで1200mmのベッド幅を確保している。
フーフベッド
ポップアップルーフバージョンではルーフベッドでも就寝できる。ベッドサイズは1880x1030mm。1030mmは家庭用シングルベッドの幅(970mm)より60mm広い程度。キャンピングカー要件では大人2名が就寝できるが、現実的には大人1名か子供2名程度が適している。
ギャレー
低くなるギャレーキャビネット
多くのキャンピングカーの問題点のひとつは、ギャレーキャビネットがベッドと干渉すること。そのため、上半身は広くても足元が狭くなっているケースが多々ある。
ポップコン キャンパーRはこの問題を高さが低くなるギャレーで解決している。ベッドモード時は、ギャレーキャビネットを低くしてベッドの下に収納してしまうという仕掛けだ。(動画はこちら)
ギャレーキャビネットの昇降は動画にもある通り、特に大掛かりなものではない。ただし特にアシストなどが付いているわけではないので、キャビネットを支える力は必要になる。
シンクの下の給水タンク
シンクの下には5Lの給水タンクが2本収納されている。リアゲートから少し離れているので直接車外から出し入れするのは難しいかもしれないが、1本が5Lなので持ち運びはしやすい。
10Lの排水タンク
10Lの排水タンクはよりリアゲートに近いところに設置されており、車外から直接出し入れできる。
冷蔵庫/電子レンジ
7L冷蔵庫(OP)
冷蔵庫は7Lのものがオプションで用意されている。これは運転席と助手席の間に設置するもので、飲み物を保冷しておくと言った使い方が想定されている。
また電子レンジの設置は想定されておらず、冷蔵庫や電子レンジを使用して調理することは想定されていない。即ち、車内での調理を行うクルマ旅には向いていない。
多目的ルーム
ポップコン キャンパーRには多目的ルームは設置されていないが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。ただ、スペース的に余裕のないコンパクトモデルなので、あまり現実的ではないだろう。
収納
後部左側のマガジンラック
コンパクトなベース車なので、収納はあまり期待できない。後部左側にマガジンラックがあるが、その他に収納らしきものは見当たらない。食器や食品などを収納しておくスペースは無いが、先述のように調理をする想定ではないので、このモデルのユーザーにはあまり問題にならないかもしれない。
ベッド下の収納スペース
ただし、ベッドモードにすると、ベッド下の空間が大きな収納スペースになる。就寝時はバッグなどの荷物はここに収納しておくことができる。
空調
車載用セパレートクーラーをオプション設定
暖房はFFヒーターがオプションで設置でき、冷房は新たにセパレートクーラーがオプションで用意された。クールパッケージというセットオプションで、車載用セパレートクーラー(CoolStar)、200Ah(100Ah x2)リチウムイオンバッテリー、175W(ポップアップルーフ仕様)/200W(ジュニア:ノーマルルーフ仕様)ソーラーシステム、外部電源充電器、専用バッテリーモニターがセットになっている。
ただし、残念ながらクーラーを取り付けできるのは2WDのみ。4WDには対応していない。また、ポップコンeEにも設定が無い。
テレビ/ナビ
32型のテレビが標準装備される
テレビは19型がステーとセットでオプション設定されている。写真の位置に取り付けられるが、向きを変えられるステーにより、車内でも車外でもテレビを観ることができる。地デジチューナーとフィルムアンテナもオプションで用意されている。
ナビは各種オプション設定されているので、希望のものを取り付けることができる。
電装系
100Ah x2のリチウムイオンバッテリー
クールパッケージを装着する場合は上記の通りだが、装着しない場合は、100Ahのディープサイクルバッテリーが1個、走行充電、外部電源入力が標準装備される。外部電源による充電機能(チャージャー)、350W/1500W正弦波インバーター、ソーラーシステムはオプション。
電装系は後部左側のベンチシート下に収納されている。シートクッションを上げた状態でホールドされるので、メンテナンスがしやすくなっている。
価格(2023年12月現在:千円台切り上げ:税込)
2WDポップアップ仕様で449万円~、ノーマルルーフ仕様(ジュニア)で383万円~となっている。4WDはそれぞれ375,100円高。クールパッケージは99万円と設定されている。
付けておきたい必需オプションは、外部電源による充電機能(チャージャー)、350W正弦波インバーター、FFヒーターが挙げられる。インバーターは大電力の家電製品を使うなら1500Wが必要となる。(ナビ関連は除く)
予算に余裕があれば、ソーラーシステムは自然に充電されるのでお勧めだ。また、クールパッケージがあれば、暑い夏場も快適に過ごせる。
他モデル
NV200バネットをベース車にするモデルは多数あるが、2列目にマルチモードシートを持つファミリー向けのモデルは、アネックスのカヌレ、ウトネ200、ダイレクトカーズのリトリートNV200II、タコスのNVジャック、東和モータース販売のツェルトNV、カーショップスリーセブンのアレグロなどがある。
このうち、タコスのNVジャックを除き、ポップアップルーフ仕様となっている。NVジャックはFRP製のハイルーフを架装する。
これらのモデルのうち、クーラーが装着できるものはアレグロのみ。その他のモデルに関しては特注で取り付けることができる可能性はあるが、少なくとも公表はされていない。従って、NV200バネットベースのファミリー向けでクーラー装着できるモデルはポップコン
キャンパーRとアレグロの2モデルのみだ。
まとめ
ポップコン キャンパーRとアレグロを比べると、アレグロはノーマルルーフ2WDで412万円~となっており、これにはクーラーとポータブル電源、そして100Wのソーラーシステムを含んだ価格。
一方、ポップコン キャンパーR ジュニアは383万円~だが、クールパッケージを選択すると、99万円プラスで482万円~となってしまう。ただ、ポップコン
キャンパーRはダウンギャレーと言う大きなアドバンテージがあり、足元が窮屈でないベッドは魅力だ。
残念な点は、クールパッケージはキャンパーRとキャンパーR ジュニアの2WDにしか対応していない点。今後4WDやポップコンeEにも対応が期待される。
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