プレシャスβハイルーフLiプレミアムはキャンピングカー広島が製作する、ハイエースワイドミドルをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社はタウンエースベースの「ピコ」、NV200バネットベースの「ポップ・コン」などコンパクトなバンコンを主に製作しているが、「プレシャスβ」は同社のハイエースをベース車にしたバンコン。
「プレシャスβ」には従来からポップアップルーフバージョンがあるが、新たにFRPハイルーフを架装した「プレシャスβハイルーフLiプレミアム」をリリースした。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドミドルルーフをベース車にし、これにFRP製ハイルーフを架装したバンコンキャンピングカー。ハイルーフにしたことにより、天井高が高くなり、車内での圧迫感が大幅に軽減される。
レイアウトは横座り対座シートを採用した二人旅に適したもので、ギャレーはもちろん、横開き式冷蔵庫、電子レンジ、あるいは家庭用セパレートエアコンや1500Wインバーター、さらには200Ahのリチウムイオンバッテリーまでもが標準装備される。
アピールポイント
・ハイルーフを架装、圧迫感の少ない車内
・横座り対座シートで二人旅に適したレイアウト
・ギャレー、冷蔵庫、電子レンジを標準装備
・家庭用エアコン、1500Wインバーター、リチウムイオンバッテリーを標準装備
・豊富な収納
ベース車とエクステリア

プレシャスβハイルーフLiプレミアムのエクステリア
ベース車はハイエースワイドミドルルーフ。これにFRP製のハイルーフを架装している。これにより車高は2340mmとなり、通常のミドルルーフより240mmほど高くなる。もちろん高さ制限のある駐車場には入れないが、車内高は高くなり圧迫感が軽減される。
インテリア

展示車はダーク系のインテリアを採用
展示車は上の写真のようなダーク系のインテリアを採用していた。インテリアカラーがどの程度選択できるかは不明だが、展示車のインテリアでも不満は無いだろう。
レイアウト
前部にギャレー、後部は横座り対座のベンチシートのレイアウト。前向き乗車は運転席と助手席の2名だけなので、二人旅用のレイアウトと言える。
二人使用に割り切っているため、マルチモードシートが無く、前後の動線も確保されている。また、ギャレー前のスペースも広いので、調理も楽に行える。
ダイネット

横座り対座のダイネット
ダイネットは横座り対座スタイル。二人なら十分広いダイネットだ。また、各自が足を伸ばして寛げるが、この場合のリクライニング機能が欲しいところではある。
このシートの特筆できるところは、シートの手前(膝の部分)が少し持ち上がる点。これだけで座り心地が格段に良くなる。しかしこのままではベッドにしたときフラットにならない。そこで、スイッチ一つでフラットになる機能が装備されている。(ビデオはこちら)
ベッド

大人3名が就寝できるベッド
ダイネットをベッド展開すると1860x1700mmのベッドになり、規格上は大人3名が就寝できる。1700mmの幅は、家庭用ではクイーンサイズとキングサイズの間になり、2名ならゆったり就寝できる。
ベッド展開はいたって簡単で、シートバックを移動して中央を埋めるだけで良い。シートバックは分割されているため、個々は小さく、軽く移動できる。(ビデオはこちら)
ギャレー

冷蔵庫と電子レンジが収納されたキャビネット
ギャレーキャビネットはエントランスの横と対面にある。エントランス横にはシンク、対面には冷蔵庫と電子レンジが収納されたキャビネットがある。ギャレーの前は広く取られているので、立って調理がしやすい。

跳ね上げ式テーブルが用意されている
また、跳ね上げ式テーブルが用意されており、L字型の広い調理面も確保されている。

シンクは独立したキャビネット
シンクは独立したキャビネットに設置されており、下には各20Lの給排水タンクが収納されている。

給排水タンクは車外から出し入れできる
給排水タンクは車外から出し入れすることができ、大変便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ

40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L横開き式が標準装備される。40Lなのでそれほど大きくは無いが、二人で使用するなら必要にして充分な大きさと言える。もちろん製氷・冷凍と冷蔵が同時にできるので、飲み物と冷凍食品を一緒に入れておける。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。

電子レンジ下の収納
なお、電子レンジの下は収納になっているので、調理器具などを収納しておける。
多目的ルーム
プレシャスβに他国的ルームは無い。しかし、クルマ旅でトイレはあると便利だし、安心感もある。そこで、ポータブルトイレを積んでおくと良いだろう。ベッド下のスペースに入れておくと、目につくこともない。
もちろん使用時はパートナーに気を使う必要があるが、夫婦なら許される?かもしれない。許されない場合は、カーテンレールを付けて一時的にカーテンで仕切るという手もある。
収納

ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
さすがにハイルーフだけあって、オーバーヘッド収納が充実している。両サイドとフロントにオーバーヘッド収納が設置されており、大きな収納力を持つ。車内にモノがあふれていると(しかも暑いと)イライラ感が募り、お互い険悪になる。

左側のベンチシート下の収納
左側のベンチシート下は全て収納スペースになっており、衣類などを収納しておける。ここは床下からの熱気が溜まるので、食品などは置かない方が良いだろう。

車外からもアクセスできる
ベンチシート下の収納へは、リアゲートを開けて車外からもアクセスすることができる。長尺ものなどを収納するのに便利だ。
空調

家庭用セパレートクーラーを標準装備
家庭用セパレートエアコンが標準装備される。室内機は最後部に設置されており、前方に向けて冷気が放出されるので、効率よく車内が冷やせる。室外機は後部床下に設置される。
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。またマックスファンベンチレーターもオプション設定されている。
テレビ/ナビ

19型のDVD内蔵テレビが標準装備される
19型のDVD内蔵テレビが標準装備され、冷蔵庫のキャビネット上に取り付けられている。またナビはオプションで用意されている。
電装系
車名にLiと入っているのでお気づきの通り、200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。外部100V電源入力と、これによる充電機能も標準装備。もちろんリチウムイオンバッテリーに対応した急速充電で、50Aで充電する。
1500Wインバーターも表樹陰装備。175Wソーラーシステムも標準装備される。電装系はフル装備だ。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATで783万円~、4WDは814万円~、ディーゼル2WDは832万円~となっている。
付けておきたい必須オプションは、FFヒーター(220,000円)、ベンチレーター(82,500円)が挙げられる。またホワイト以外のボディカラーの場合はルーフを同色ペイント(62,700円)する必要がある。オプション一覧表はこちら。
他モデル
ハイルーフを架装するハイエースワイドミドルルーフバンコンは、カトーモーターのロングトレイン(660万円~)とワナカ(707万円~)、キャンパーアシストのホロウ(価格不明)、セキソーボディのアペックス(価格不明)、ダイレクトカーズのボンドプレミアムハイルーフ(698万円~)、バンレボのVR480h(543万円~)、ホワイトハウスのコンパスグランドハイルーフ(719万円~)、リンエイプロダクトのワイドバカンチェスHi(価格不明)、ロータスRV販売のイースピリット(価格不明)がある。
この中でカタチ的に近いのはアペックス、ホロウ、コンパスグランドハイルーフ、ボンドプレミアムハイルーフ、VR480hだ。ただしこれらは全てマルチモードシートを持ち、二人旅に割り切ったレイアウトではない。
レイアウトで最も近いのはロングトレインだ。ハイルーフを架装するが「ジェントリールーフ」と名付けられた形状のルーフで、カタチ的には特徴がある。またエアコンなどの装備は対応していない。
まとめ
結局、プレシャスβハイルーフと直接競合するモデルは無い。室内高が高く、二人旅に割り切り、リチウムイオンバッテリーや家庭用エアコンまで含めて装備が充実したモデルは他にない。
スーパーロングでは長すぎるし、ワイドミドルルーフでは室内高が低いと考えている二人旅(あるいはひとり旅)ユーザーには最適な1台と言える。
価格的には高価だが、エアコンを実用的に使うためにはリチウムイオンバッテリーが最適だし、結局これだけの装備を付けると、他車でもこの程度の価格になってしまうだろう。むしろもっと高価になるかもしれない。
プレシャスβハイルーフLiプレミアムは、他にないモデルと言える。
関連記事