コルドリーブスSはバンテックが製作する、カムロードをベース車にした5m未満のキャブコンキャンピングカー。
同社はカムロードベースのキャブコンを主にラインアップする、大手キャブコン専門ビルダー。「コルド」シリーズは同社の5m未満の全長を持つカムロードキャブコンのブランドで、現在は「コルドリーブス」と「コルドバンクス」がラインアップされている。
ちなみに同社の5m超のカムロードキャブコンのブランドは「ジル」で、「ジル」、「ジルノーブル」、「ジル520」の3モデルがある。
「コルドリーブスS」は「コルドバンクスS」と同時に2022年7月に発表された、「コルドリーブス」と「コルドバンクス」の派生モデルで、多くの装備をオプションに変更し、ベース価格を下げている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
「コルドリーブス」では標準装備のアイテムの多くをオプションにすることによりベース価格を下げ、各ユーザーが必要とする装備のみ選択できるようにした派生モデル。
カムロードをベース車にする5m未満のキャブコンで、リアエントランスのレイアウトを採用。前部に広いダイネットを持つ。
コルドリーブス同様、ギャレーは従来のリアエントランスのレイアウトと異なり、ダイネットと対面式にしたのが特徴。多目的ルームもあり、ポータブルトイレを置いてトイレルームにすることもできる。
アピールポイント
・多くの装備をオプションにすることにより低価格を実現
・ユーザーが必要な装備を選択できる
・5mを切る全長で運転しやすい
・衝撃を拡散させるFRP一体成型CSボディ
・リアエントランスで広いダイネット
・土足で上がれるFRPの土間
・ダイネットと対面式のギャレー
ベース車とエクステリア
コルドリーブスSのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード ワイドトレッドダブルタイヤ。新型カムロードは全車ダブルタイヤになる。これに同社独自の「CSボディ」と名付けられたFRPのシェルを架装している。
エンジンはディーゼルのみ選択できる。なお、サイドデカールがコルドリーブスと多少異なっている。
インテリア
コルドリーブスSのインテリア
展示車は上の写真のようなインテリアで、家具色やシート色がコルドリーブスと大きく変わった感じではない。なお、コルドリーブスではインテリアカラーを2色から選択できたが、コルドリーブスSでも可能と思われる。
レイアウト
リアエントランスを採用しているため、定石通り前部に広いダイネットを配置している。レイアウトで特徴的なのはギャレーで、一般的にリアエントランスレイアウトのギャレーは最後部に後ろ向きに設置されているが、コルドリーブスとコルドリーブスSではダイネットと対面して配置されている。会話が生まれるギャレーだ。
ギャレー横には多目的ルームが配置されており、ポータブルトイレを置いてトイレルームとしても使える。なお、常設ベッドが無いのもリアエントランスレイアウトの特徴でもある。
このレイアウトは大勢で使用したりファミリーでの使用に適しているが、二人旅にもお勧めできるレイアウトだ。2名ならダイネット展開せずにバンクベッドで就寝できるし、広いダイネットは長期旅でも疲労感が少ない。
ダイネット
リアエントランスで広いダイネット
4名対座とサイドのベンチシートで6~7名がテーブルを囲むことができる。就寝定員は5名なので、全員がダイネットで寛ぐことができる。
ダイネットには大きなアクリル2重窓が据え付けられており、明るく開放的な室内を演出している。
ベッド
簡単にセットできるバンクベッド
コルドリーブスでは常設ベッドは無いが、バンクベッドは比較的簡単にセットできる。コルドバンクスと違い、両側に跳ね上げる方式を採用している。(ビデオ参照)
3名が就寝できるダイネットベッド(写真はコルドリーブス)
また、ダイネットを展開すると広いベッドが出現する。これもサイズが不明だが、大人が3名就寝できる。この広いベッドもリアエントランスの恩恵だ。
ギャレー
シンクがビルトインされたギャレー
先述のように、コルドリーブスのギャレーはダイネットと対面して設置されている。これならダイネットにいる人と対話できるし、料理の受け渡しもスムースにできる。リアエントランスのレイアウトを発展させた優れたアイデアだ。
ただし、残念ながらバンテックのモデルで特徴的だった、常設2口コンロは省かれてしまった。オプションリストにも無いので、他モデル同様ポータブルカセットコンロを使うしかないのかもしれない。
シンク下の給排水タンクと収納
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。エントランスのすぐ横なので、車外から取り出すことができ、大変便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
85L横開き式冷蔵庫(OP)はここにビルトインされる
冷蔵庫は85L横開き式がオプションで設定されている。また電子レンジもオプションとなっている。ただし、冷蔵庫と電子レンジはオリジナルのコルドリーブスでもオプションだ。
電子レンジはまだしも、このようなキャブコンで冷蔵庫が必要でないユーザーがいるのだろうか?
多目的ルーム
多目的ルームには排水口が用意されている
多目的ルームはエントランスの正面に位置している。これもオリジナルのコルドリーブスと同様、鮮やかな青が壁面に施されている。また床には排水口が用意されているので、温水シャワーが設置できそうだが、オプションリストには無い。
もっともSバージョンを選ぶユーザーは温水シャワーは選択しないだろうから、特に問題は無いだろう。
カセットトイレはオプションリストに無いが、通常のポータブルトイレを置いてトイレルームにすることができる。オプションリストには「ラップポン」の姉妹品で12Vで動作する「ラップル」がリストされている。
収納
キャブコンなので収納は豊富にあるが、冷蔵庫や電子レンジが無いと、収納はいたるところにある。
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
まず、オーバーヘッド収納はダイネット両側に設置されている。収納力も高い。
収納タワー最上段の収納
次に、多目的ルームの横の収納タワーの最上段に収納スペースが設けられている。
長いコートなども吊るしておけるクローゼット
その横にはクローゼットがある。高さが十分あるので、長いコートなども吊るしておける。
最後部のカウンターキャビネット
最後部にはカウンターキャビネットがあり、下は収納スペースになっている。ここは後部車外からもアクセスできる。また、その横にはシューズボックスが用意されている。
防水処理された外部収納
車体左側中央下には外部収納が設けられている。防水処理されているので、濡れたものや汚れ物を入れておくことができる。
空調
車載用セパレートクーラーをオプション設定
展示車には家庭用エアコンが装備されていたが、もちろんこれもオプション。FFヒーターもオプションとなっている。なお、ベンチレーターは標準装備されるがマックスファンはオプションとなる。
テレビ/ナビ
テレビ本体はオプション設定されていないが、テレビアームや地デジアンテナがオプション設定されている。テレビ本体は19型クラスのものが付けられると思われる。
電装系
標準では100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個標準装備される。また走行充電も標準装備。サブバッテリーは計3個まで増設できる。外部100V電源入力と充電機能については記述が無いが、100V電源入力はさすがに標準装備されるだろう。
1500W正弦波インバーターと最大480Wソーラーシステムもオプション設定されている。電子レンジや家庭用エアコンを装備した場合は、トリプルバッテリーやインバーターを装備する必要がある。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
何もオプションを装備しない車両本体価格はディーゼル2WD/ATで780万円~、4WDで798万円~となっている。
ただしこの状態では大きな車中泊車でしかないので、クルマ旅用のカムロードキャブコンとして最低限必要と思われるオプションを列記すると、
・トリプルサブバッテリー (86,900円)
・バッテリー残量計 (92,400円)
・1500W正弦波インバーター (192,500円)
・480Wソーラーシステム (660,000円)
・家庭用エアコン (308,000円)
・FFヒーター (310,200円)
・85L横開き式冷蔵庫 (198,000円)
・電子レンジ (49,500円)
・ポータブルトイレ「ラップル」 (187,000円)
(ナビ関連は除く)
これらを合計すると2,084,500円になる。即ちディーゼル2WD/ATで989万円だ。コルドリーブスの車両本体価格が898万円だが、冷蔵庫、電子レンジ、ソーラーシステム、ポータブルトイレはオプションなので同じ条件で追加すると、1,094,500円追加になり、車両価格は1008万円になる。
即ち、1008万円ー989万円=19万円の差だ。クルマ旅をするなら(ほとんどのユーザーがそうだと思うが)常設2口コンロがあるコルドリーブスを購入した方が良いのではないだろうか?
他モデル
5m未満のカムロードキャブコンは多く存在するが、リアエントランスのモデルと言うと他にはAtoZの「アンソニーLE」とダイレクトカーズの「江の島」しかない。ただ「江の島」はレイアウトもコンセプトも異なるので、直接の競合ではないだろう。
「アンソニーLE」は746万円~。ただしこれはガソリン仕様の価格。ディーゼル仕様の価格は同社のサイトにはなく不明。家庭用エアコン、85L横開き式冷蔵庫、電子レンジが標準装備される。
なお、「5m未満のカムロードキャブコン特集」も参照いただきたい。
まとめ
コルドリーブスSは、カムロードのモデルチェンジ以来、価格がかなり高くなってしまったことに対する一つの提案と思われるが、必需装備を付けるとオリジナルのコルドリーブスとあまり変わらなくなってしまう。
だからと言って装備を削ると十分な満足感が得られないことになる。結局、カムロードキャブコンの価格の基準が変わったと考えるしかないだろう。ひとつコルドリーブスSを活用するシーンが考えられるのが、DIYのベース車として購入することだ。器用なユーザーには最適なモデルだろう。
関連記事