コルドリーブスはバンテックが製作する、トヨタカムロードをベース車にした全長5m未満のキャブコンキャンピングカー。
同社はキャブコンを中心に製作している大手ビルダーで、カムロードベースのキャブコンを中心に、フィアットデュカトベースの「V670」やNV350キャラバンベースの「アストラーレCC1」、軽バンコンの「ルネッタ」もラインアップしている。
中核をなすカムロードベースのキャブコンでは、5m超のジルシリーズと5m未満のコルドシリーズで構成されており、コルドシリーズにはセンターエントランスの「コルドバンクス」と今回取り上げたリアエントランスの「コルドリーブス」がある。
なお以前ラインアップされていた「コルドランディ」は現在同社のホームページから消えている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
5m未満のカムロードベースキャブコン。リアエントランスのため前部に広いダイネットを持つのが特徴。2021年モデルではギャレーが最後部からダイネット側に移動し、対面キッチンになった。
アピールポイント
・5mを切る全長で運転しやすい
・衝撃を拡散させるFRP一体成型CSボディ
・リアエントランスで広いダイネット
・2色から選択できるインテリアカラー
・対面キッチン
・常設2口コンロ
・土足で上がれるFRPの土間
・温水シャワー(OP)設置可能
・家庭用エアコン標準装備
エクステリア
コルドリーブスのエクステリア
ベース車はトヨタカムロード。新型では全車ダブルタイヤになり、2WDと4WDを選択できる。またブレーキアシストや誤発進抑制装置も標準装備される。なおエンジンはディーゼルのみ。
シェルは同社独自のFRP一体型CSボディを採用。FRPは柔軟性に富み、変形して衝撃を受け止めることにより乗員への衝撃を最小限に抑える。
エントランスステップはオプション設定(39,600円)されているがマニュアル式で手で出し入れすることになる。手が汚れるし、ただでさえ面倒なので電動のもののオプション設定が望まれる。
インテリア
インテリアは2色から選択できる
展示車のインテリアは上の写真のもので、明るいトーンに仕上がっている。インテリアカラーはこの他に、コルドバンクスと同様のダークブラウンが選べる。
ダークブラウンのインテリア(写真:バンテック)
レイアウト
リアエントランスの特徴は、前部に広いダイオネットが取れること。そしてここはベッド展開すると、広いベッドになる。二人旅で使うと少し持て余してしまうような広さだが、長期旅では広いダイネットはストレスが溜まらないので重要だ。
もちろん、広々としたダイネットでの二人旅も良いが、ファミリーでもゆったり寛ぐことができる。
常設ベッドは無いがバンクベッドは簡単にセットアップでき、寝具も置いておけるので、準常設ベッドとして使える。
乗車人数は7名だが、前向き乗車は4名。前向きシートには全席3点式シートベルトが装備される。また就寝人数は、ダイネットベッドに3名、バンクベッドに2名で、計5名が就寝できる。
新型コルドリーブスのレイアウトで特筆できるのが、対面キッチン。リアエントランスの常識を覆し、ギャレーは最後部からダイネット後部に移動した。これによりダイネットと対面して調理できるようになった。
ダイネット
大きなテーブルと明るい窓のダイネット(写真:バンテック)
ダイネットは2列目と3列目のシートで形成される4名対座に、横座りベンチシートを加えたコの字型スタイルでテーブルを囲める。テーブルは大きく、ファミリー分の食器も並べることができる。
子供やペットがいるなら、ベッドモードにしておき別途折り畳みテーブルを置くと、ちゃぶ台スタイルで自由に動き回ることができる。できればペット用に爪のひっかきなどに耐性のある生地も選択できると良いかもしれない。
ベッド
広いダイネット展開ベッド(写真:バンテック)
ベッドサイズのデータが公表されていないが、従来モデルでは1950x1870mmの大きさだった。新型でもそのサイズは変わらないと思われる。家庭用ならキングサイズ(1800mm)以上の幅なので、大人3名が就寝できる大きさだ。
両側に跳ね上げ式のバンクベッド
また、バンクベッドは旧モデルと同様、両側に跳ね上げてあるベッドボードを展開するが、中央のボードは簡単に引き出してフルサイズのベッドにできるようになった。
バンクベッドの大きさも記述が無いが、ここでは大人2名が就寝できるとされている。なお、両サイドのベッドボードを展開すると、壁側に小物収納が設けられている。ただしこれはネットで、メガネをそのまま入れるのはちょっと不安だ。
ギャレー
対面式のギャレー
前述のように、旧モデルのギャレーは最後部にあったが、新モデルではエントランス入って左側に移設された。ダイネットの後部に向き合う形になるので、ダイネットと対面して調理できる。
リアエントランスでは最後部にギャレーを置くのが定番だが、この変更はリアエントランスの常識を変える上で画期的だ。また5m以下のキャブコンでは常設コンロを持たないモデルが多いが、コルドシリーズは従来から常設2口コンロを採用している。調理するユーザーには我が意を得たりのギャレーだ。
冷蔵庫/電子レンジ
90L冷蔵庫(OP)用のスペース
冷蔵庫は90L横開き式がオプションで設置できる。ビルトインされる場所は上の写真のところで、多目的ルームの左隣の収納スペースだ。このクラスのキャブコンで冷蔵庫がオプションと言うのは珍しいが、冷蔵庫はほぼ必需品なので標準装備にして欲しいところだ。
電子レンジもオプションで、これはギャレーコンソールの下にスペースが用意されている。1500Wインバーターは標準装備なので、電子レンジを装備すると外部電源のないところでも使用できる。
多目的ルーム
温水シャワー(OP)も設置できる多目的ルーム
ブルーのアクセントカラーの多目的ルームが用意されている。床はシャワーパンが敷かれ排水口も設けられており、オプションで温水シャワーを設置することができる。温水は22Lのボイラーで、エンジン熱交換あるいは電気で沸かす。これを水と混合して適温にする。
また、カセットトイレもオプションで設置することができる。もちろんポータブルトイレも設置可能だ。
FFヒーターの吹き出し口も用意されているので、シャワー時に寒い思いをすることは無い。またルーフには小型だがベンチレーターも付いている。
また外部との大きな扉があり、車外から直接濡れたもの等を積み込むことができる。このドアはかなり幅を広くとってあるので、濡れたキャンプ道具などを積み込む場合等に便利だ。
収納
車体右側の外部収納
リアエントランスレイアウトの弱点は、ハイマウントダブルベッドや2段ベッドレイアウトのように、大きな外部収納が取れないこと。コルドリーブスでもやはり自転車が積めるような大きな外部収納は無いが、車体右側に多少大きな外部収納がある。
車体左側の外部収納
また、左側にはFRPで防水加工された外部収納も用意されている。汚れたものや濡れたものを積み込める。
ダイネット上のオーバーヘッド収納
室内では、オーバーヘッド収納が豊富に用意されている。対座ダイネット上と最後部上にそれぞれオーバーヘッド収納が設置されている。
室内右側の収納スペース上の収納
また冷蔵庫の収納スペースの横には、扉は無いがクローゼットが用意されており、衣服を大切に吊るしておくことができる。なお、この収納家具の上と冷蔵庫用のスペース上にも収納スペースが設けられている。
最後部の収納とシューズボックス
また、ギャレーが移設された後の最後部のスペースには収納とシューズボックスが設置された。ここへは車外からもアクセスできる。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
暖房はFFヒーターが標準装備されており、冷房は家庭用エアコンが標準装備されている。エアコンの位置は旧モデルでは最後部のギャレーの上だったが、新モデルではダイネットのロングソファの上に変更された。
また室外機は車両右サイド中央に設置されているので室内機と極めて近く、配管が短くなり経路によるロスは極めて少ない。
同社は「デュアルソース・エアコンシステム」という方式でエアコンを運転することを謳っている。これは、走行中はエンジン(オルタネーター)で発電した電気でエアコンを動かし、停泊中はサブバッテリーで運転するというもの。これにより、騒音の問題がある発電機は不要としている。
テレビ/ナビ
画面サイズは不明だが、テレビをセットすることは可能。BS/CS110 自動追尾フルオートアンテナやテレビアームもオプションで用意されている。
ナビは特に指定のものは無いようだが、任意のものが装着できるだろう。
電装系
100Ahのディープサイクルサブバッテリー1個と走行充電が標準装備される。CTEKのような昇圧システムについての情報は無い。ただし「アクティブチャージライン」という、大電流を流せる仕様になっているが、100Ahが1個の状況ではあまり意味がないだろう。
ところで、家庭用エアコンが標準装備ながら100Ahのディープサイクルバッテリー1個はいかにも心もとない。先述のデュアルソース・エアコンシステムは気温が下がる夜はサブバッテリーでエアコンを運転するという考えだが、炎天下車内で過ごす場合はエンジンをかけていなければならないことになる。これは効率的にも環境的にもあまりお勧めできない。
同社はリチウムイオンバッテリーは採用していないが、やはり200Ah程度のリチウムイオンバッテリーと対応する大容量ソーラーシステムの組み合わせが理想的と言える。リチウムイオンバッテリーを積まないなら、少なくとも3個程度のディープサイクルバッテリーが必要になる。
インバーターは先述の通り、1500Wのものが標準装備されている。またソーラーシステムは120W x4 = 480Wと240Wがオプションで用意されている。100Ahのサブバッテリーのままなら240Wで十分だが、サブバッテリーを増設した場合は480Wがお勧めだ。
また、車外最後部下にiboxという発電機用の収納がオプションで用意されている。ホンダのEU16iかEU18iに対応しており、防音機能もあるので発電機のノイズを減少させることができる。エアコンを動作させることを考えると、発電機はEU18iがお勧めだ。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼルのみで2WDと4WDEが選択でき、2WDが898万円~、4WDが916万円~となっている。
装備しておきたいオプションは、サブバッテリー増設(オプション表に記載なし)、冷蔵庫(85L:198,000円)、電子レンジ(49,500円)、1500Wインバーター(192,500円)が挙げられる。
その他予算に余裕があれば、ソーラーシステム(480W:660,000円)を付けておきたい。また必要に応じて電動カセットトイレ(228,800円)、サイドオーニング(3.5m
:160,600円)、温水設備(247,500円)、シャワーカーテン(17,600円)が挙げられる。
他モデル
5mを切るカムロードキャブコンは多数存在するが、リアエントランスはAtoZのアンソニーLE(旧ベース車ディーゼル2WDダブルタイヤ:724万円~)、東和モータース販売のヴォーンノインDC(同:786万円~)のみ。
アンソニーLEは家庭用エアコン標準装備、冷蔵庫はもちろん電子レンジも標準装備、リチウムイオンバッテリーがオプションで設定されている。また、ヴォーンノインDCも家庭用エアコン、冷蔵庫、電子レンジ標準装備で、115Ahのディープサイクルバッテリーが3個、1500Wインバーター、200Wソーラーシステムも標準装備され、リチウムイオンバッテリーをオプションで搭載できる。。
まとめ
コルドリーブスはキャブコンの専門ビルダーであるバンテックが製作しており、堅実で間違いのないモデルではある。ただ、このクラスにしては必需品のオプションが多いのが気にかかる。
冷蔵庫や電子レンジは他社では標準装備が普通だし、インバーターやソーラーシステムも標準装備が多い。また、サブバッテリーは100Ahが1個というのも、現代ではこのクラスのキャブコンでは稀だ。
リチウムイオンバッテリーは安全面から確認が取れないのかもしれないが、やはり技術の進化に対応していく必要があるだろう。今後はリチウムイオンバッテリーと大容量ソーラーシステムが主流になるのではないだろうか。
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