コルドランディはバンテックが製作する、トヨタ カムロードをベース車にしたスタンダードキャブコン。同社はスタンダードキャブコンを主にラインアップするが、コルドシリーズは普及価格帯をカバーする。
コルドシリーズには、コルドバンクス、コルドリーブス(記事はこちら)と3モデルが存在するが、このコルドランディは、エントランス部の床をFRPにし、水を流せるようにした異色のコンセプト。土足で室内に上がれ、雨の日にそのまま車内に入ったり、ペットがそのまま上がっても、水を流して手入れできるようになっている。

FRPの床のエントランスと作業用ベンチ
更に、ユーティリティールームをエントランスの対面に置き、これもFRPの床にしてひと続きで広いスペースとなる。
また、運転席、助手席のすぐ後ろには、一段高くなったベンチがあり、エントランス部で作業するためのベンチとして、あるいはペットの定位置として、様々に活用できる。
エクステリア:トヨタ カムロードをベース車にし、全長は4,995mmで5mを切る。車幅も1,980mmで2mを切るので、高ささえクリアできればコインパーキングにも駐車できる。シェルは同社独自のFRP一体成型のCSボディを採用、高い安全性を確保している。バンクを持つシェルは、他のコルドシリーズと共通で、前部に緩い膨らみを持つ。

ダイネットとギャレー
インテリア:ダイネットは明るい木目の家具と、ホワイトと濃いブルーのシートの組み合わせ。お洒落なインテリアに仕上がっている。また、家具の立て付けもしっかりしており、同社のキャブコン作りのノウハウが生かされている。
レイアウト:前述の通り、前部にFRP床と作業用のベンチ、それに続くユーティリティールームが配置されており、他に類を見ないレイアウトとなっている。後部はダイネットとギャレーで占められている。即ち、フロアに常設ベッドは無く、バンクベッドがメインベッドとなる。ダイネットを展開することにより、ここでも2名が就寝できるので就寝定員は4名だが、前向き着座は運転席と助手席のみなので、二人旅に向いている。
ダイネット:右サイドと後部にロングソファが置かれ、L型のダイネットシートを形作っている。ダイネットシートにも4名が着座してドライブできるので、乗車定員は6名となっている。ユーティリティールームのドアを開けると、これがダイネットのドアとしても機能するので、FRP床のエントランスとは完全に仕切ることができ、個室感の高いリビングルームとなる。

ツインバンクベッド
ベッド:ダイネットを展開すると1,860x1,390mmのベッドになり、これは家庭用のダブルベッドに近い大きさ。もう一つのベッドはバンクベッドで、こちらはツインベッドになっており、大きさは2,050x760mmと2,020x640mm。家庭用のシングルベッドは970mmの幅なので、バンクベッドはこれよりも狭い。バンクベッドをツインベッドにする意義が今一つ分からないが、コルドバンクスと同じ一般的な引き出し式の方が広くて良かったのではないだろうか。

2口コンロとシンクがビルトインされた広いギャレー
ギャレー:2口コンロと独立したシンクがビルトインされた豪華なギャレーが与えられている。シンクには生活用水の蛇口と清水用の蛇口が別々についており、生活用水用には75L、清水用には20Lのタンクが用意されている。調理スペースは広く、旅先でも手の混んだ料理が作れる。隣の収納キャビネットに60Lの冷蔵庫と電子レンジがビルトインできる。なお、キャブコンには珍しく、どちらも標準装備ではなくオプション。これらは必需品に近いので標準装備が望まれる。
ユーティリティールーム:ここは防水処理が施されているが、トイレや温水シャワーはオプション。これらが不要なユーザーは、大きな収納スペースとして使用できる。また、濡れたものを置いておくこともできる。
トイレは電動式カセットトイレがオプション設定されている。また、温水装置はエンジンの熱による熱交換と電気ヒーターを使用する。ボイラーは22Lで冷水と混合して適温にするが、2名で使うには湯量が不足するかもしれない。
収納:リビングルームには左右と後方にオーバーヘッド収納が装備されている他、前部右側にもオーバーヘッド収納が据え付けられている。それぞれ奥行きもあり収容力は大きい。ギャレーには引き出し収納他収納スペースが豊富に用意されており、食器や鍋、フライパンなどの収納もできる。更に運転席後部にはクローゼットも用意されている。
ベッド下は広い外部収納になっており車内からのアクセスもできる。自転車は小型のものなら積載可能だろう。その他ゴミなどを収納しておける外部収納も用意されている。

外部収納の開口部
空調:暖房はFFヒーターが標準装備されている。また冷房は家庭用セパレートエアコンを標準装備している。電源は同社独自のデュアルソースシステムで、走行中はエンジンの発電で、停泊中はバッテリーでエアコンを動作させる。なお、ベンチレーターも標準装備されている。
電装系:105Ahのサブバッテリーが3個標準装備されているので、電気容量に関しては安心できる。また、走行充電はもちろん、外部100V入力とこれによるサブバッテリーの充電も標準装備される。3個のサブバッテリーでエアコンを昼間で4時間程度、夜間で10時間程度運転できるとしている。ただ、これはエアコンのみ使用した場合で、かつディープサイクルバッテリーは年々劣化する。できればリチウムイオンバッテリーのオプション設定が望まれる。
なお、440Wのソーラーシステムがオプション設定されている他、ホンダEU18i発電機と、防音ボックスもオプション設定されている。発電機があると、バッテリーの蓄電量が減っても100V電源を求めて走り回る必要がない。
価格:ガソリン2WD/4ATで606万円~(税別)。またダブルタイヤ仕様はディーゼル2WD/ATのみ選択可能で、676万円~(同)。ダブルタイヤは重量増になりがちなキャブコンの安全を考えると、高価だが有用な選択肢ではある。
競合面では、コルドランディのコンセプトと直接競合するモデルは無い。逆に言えば、コルドランディのコンセプトが自分の使用方法に合致しないなら、一般的なレイアウトのモデルを選ぶ方が良いだろう。