コルドリーブスはバンテックが製作する、トヨタカムロードをベース車に使用したキャブ・コンバージョンキャンピングカー。
同社は多くのキャブコンをラインアップしているが、同社の代表ブランド「ジル」シリーズがZil480 を除き5mを超えるのに対し、コルドシリーズは5m未満の全長で中核を構成する。コルドシリーズには、「コルドバンクス」、「コルドランディ」、そしてこの「コルドリーブス」があるが、コルドリーブスのみリアエントランスを採用する。
エクステリアは、5mを切る4,995mmで取り回しが良く、車幅も1,980mmなので、高ささえクリアできればコインパーキングにも駐車できる。ベース車はトヨタカムロードで、ガソリンとディーゼルを選べる。またダブルタイヤも選択可能だが、こちらはディーゼルのみとなる。
シェルは同社独自のCSボディを採用。FRP製だが万一の場合でも衝撃を吸収、分散するとしている。
新しいインテリア
インテリアは、若草色のシート色とオフホワイトの壁、および濃い木目調のオーバーヘッド収納がアクセントになっており、全体的に明るい室内を作っている。なお、シックで落ち着いた感じの新しいインテリアも選択できる。(写真上)
エントランスには奥までFRP製の防水トレイが敷かれている
レイアウトは、リアエントランスを採用したことにより、前部に広いダイネットを確保し、後部にギャレーとユーティリティルームを配置する。また、バンクベッドもあり、就寝人数はダイネットを展開するフロアベッドと合わせて5名となっている。
乗車人数は7名だが、前向きには4名、後ろ向きには2名が着座でき、ファミリーでの長距離旅にも使用できる。
対座+ロングソファの広いダイネット
ダイネットは、リアエントランスのキャブコンの例にたがわず広く取られており、前部全体がダイネットに充てられている。シートは2人掛けシートの対座と横にロングソファも置かれており、6~7名程度が着座してテーブルを囲める。ただそのような大人数で使用しない場合は、ファミリー4~5名ならゆったり着座できる。
ツインロフトベッドと名付けられたバンクベッド
ベッドは、ダイネットを展開するフロアベッドとバンクベッドで、計5名が就寝できる。ダイネットを展開してできるメインベッドは1950x1870mmの大きさ。家庭用ベッドではキングサイズの幅に相当する。
バンクベッドは跳ね上げ式になっており、これを下ろすと各1975x700mmのツインベッドになる。ツイン形式のバンクベッドは珍しいが、バンクベッドをツインにするメリットはあまり感じられない。強いて言えば、跳ね上げた時に運転席、助手席の頭上が多少広くなるということはあるかもしれない。
2口コンロ一体型のシンク
ギャレーは、リアエントランスのセオリー通り、最後部に配置されている。リアエントランスのギャレーは奥行きをあまりとらない簡易的なギャレーが多いが、コルドリーブスでは2口コンロが付いたコンビネーションシンクがビルトインされており、上級車ジルにも劣らない立派なギャレーとなっている。
しかし電子レンジと90L冷蔵庫は何故かオプション。電子レンジがオプションのモデルは多いが、このクラスで冷蔵庫がオプションというのは珍しい。ほとんどのユーザーは装備すると思われるので標準装備が望まれる。
ギャレーコンソールには多くの収納が用意されており、食器や鍋などを余裕で収納できる。
ユーティリティールームは完全防水が施されており、オプションのカセットトイレを設置してトイレルームにできる。
また、温水装置もオプションで用意されており、温水シャワーが設置可能。22Lのボイラーはエンジンの熱交換で湯を沸かす。ただし、22Lでは2名程度がさっとシャワーをかかる程度なので、ファミリーで使用する場合は湯量が足りないだろう。
収納は、ダイネット両側にオーバーヘッド収納が用意されており、収納力は高い。なお、左右で大きさが異なり、右側の方が奥行きがある。ユーティリティールームの隣にも収納スペースが用意されており、クローゼットとしても使用できる。
更に外部収納が左右ボディサイドに用意されており、FRPでできているため濡れたものやゴミを入れておくスペースとしても使える。なお、リアエントランスなので、中央エントランスモデルのように、ベッド下の大きな収納スペースは存在しない。
空調は、FFヒーターが標準装備される。室内の暖房はもちろんだが、ユーティリティールームにも配管してあるのは嬉しい。
更に家庭用ルームエアコンが標準装備されている。最近のキャブコンでは家庭用エアコンの搭載は当たり前になりつつあり、実用性が問われる時代になった。コルドリーブスの場合は、100Ahのサブバッテリーが標準では1個しか装備されていし、大容量インバーターも無いので、事実上は外部100V電源が取れるRVパークやオートキャンプ場でしか使えない。道の駅などで使いたい場合は、オプションでトリプルバッテリーにし、1500Wインバーターを装備する必要がある。
電装系は、先に書いた通り、100Ahのサブバッテリーが1個標準装備される。これを走行充電と外部100V電源で充電することができる。外部電源による充電は標準装備。ただし、このクラスのキャブコンではバッテリー1個では明らかに容量不足となるので、オプションの追加バッテリーを装備することをお勧めする。3個まで(2個追加)装備できるが、予算に余裕があれば、オプションリストには載っていないがリチウムイオンバッテリーの搭載を検討したい。
価格は605万円~(ガソリン/2WD/4AT/シングルタイヤ:税別)。リアエントランスで家庭用エアコン標準装備のモデルは、コルドリーブスの他に、エートゥゼットのアンソニーLE(598万円~:同:記事はこちら)、東和モータースのヴォーンNEUN DC(638万円~:同:記事はこちら)がある。アンソニーLEは安価だが、ヴォーンNEUN DCはナッツRVのEVOLITEシステムに匹敵する電装系を備えており、エアコンを実用的に使用できる。コルドリーブスにもトリプルバッテリーと1500Wインバーターを付けると、ヴォーンと同じくらいの価格になる。電装システムだけを見ると、EVOLITE同等の電装システムを持つヴォーンが一歩進んでいる。