ヴォーン ノイン R2B 東和モータース


ヴォーンノインR2Bは、東和モータースが製作する、トヨタカムロードをベース車に使用したキャブ・コンバージョン キャンピングカー。5m未満の車長でコインパーキングにも駐車でき、ファミリー使用にも対応する。ノインは”9”の意味で、9つの特別な標準装備を持つことから名付けられている。

同社はバンコンからキャブコン、そしてデスレフをはじめとする輸入モーターホームまで扱う総合ビルダーで、ヴォーンはカムロードをベース車にする国産キャブコンのブランド。
ヴォーンはレイアウトで2種類が選択でき、このR2Bの他、リアエントランスを持つヴォーンノインDCも選択できる。また、電装システムに「Evolutionシステム」を採用した上位バージョンのヴォーンEXCLUSIVE(エクスクルーシブ)も用意されている。
なお、ヴォーンR2BはナッツRVのクレソンボヤージュTypeWエボライトのOEMバージョン。外装や内装は違っているが、レイアウトはほぼ同じとなっている。

エクステリアはカムロードにアルミ素材のシェルを架装、軽量化を図っている。全長は4990mmで5mを切るため、5x2mの一般的な駐車枠に収まる。高ささえクリアできればコインパーキングでも駐車可能だ。
外装色は4色から選べる。また今回紹介した展示車はダブルタイヤ仕様。シングルタイヤ仕様もあるが、安全面を考えるとダブルタイヤ仕様がお勧めだ。価格は20万円(税別)高くなる。

 対座ダイネットとフロントのレイアウト

インテリアは淡いナチュラルトーンで欧州車の室内を思わせる。ナッツRVのクレソンボヤージュは比較的はっきりしたインテリアカラーなので、これとは対照的だ。なお、木目部のカラーとシート生地のカラーが各2種類から選択できる。

レイアウトは、R2Bは中央エントランスで、前部に対座ダイネット、後部に常設2段ベッドを配置、中央にギャレーとユーティリティールームがある。スペース効率の良い2段ベッドのおかげで全長5mながらユーティリティールームも装備されている。
なおDCはリアエントランスのため、前部に広いダイネットを持つ。どちらのレイアウトもファミリーにも二人旅にも対応する。

 ギャレーと後部のレイアウト

ダイネットは、4名が対座できる固定シートに加え、単座シートが用意されている。更にエントランス部に拡張マットをセットすれば計6名が着座できる。また、4名が前向き着座してドライブできる。

ベッドは後部の常設2段ベッドがメインベッド。上下段とも1920x800mmの大きさで、これは標準的な家庭用シングルベッド幅(97mm)より少し狭い。しかしそれぞれに読書灯を備え、プライベート空間としては最適だ。また上下段ともに収納キャビネットが用意されており、衣類などを入れておける。
バンクベッドは引き出し式で、1850x1800mmの大きさ。これは家庭用で言えばキングサイズベッドの幅に相当する。引き出すだけでセットでき、寝具も置いておけるので、ほぼ常設ベッドとして使える。
そしてもう一つはダイネットを展開するフロアベッド。これは1800x900mmで1名が就寝できる。このベッドはダイネットを展開する必要があり、就寝前に多少面倒だが、背もたれを移動させるだけなのでそれほど大きな労力は必要ない。一般的な大人2名と子供2~3名のファミリーならこのベッドは展開する必要はないだろう。

 後部の常設2段ベッド

ギャレーにはシンクがビルトインされており、引き出し可能なシャワーフォーセットは窓から車外に出して使用することができる。コンロは残念ながらビルトインされておらず、ヴォーンも最近の傾向通りカセットコンロをセットして使用する。ただし、跳ね上げ式の調理台が大きく、ギャレー自体は十分な広さがある。
冷蔵庫は65Lのものが標準でギャレーコンソールにビルトインされる。なおオプションで90Lも選べる。また電子レンジも標準装備。ギャレーの上部にすっきりとビルトインされる。

 防水加工されたユーティリティールーム

ユーティリティールームは防水処理されているが、シャワーやトイレはオプション。不要なユーザーは収納スペースとして利用できる。トイレはカセットトイレも設置可能。温水シャワーもオプションで設置でき、湯は22Lのボイラーで、熱交換と電気ヒーターによって沸かす。

収納は、ダイネット上、ギャレー上にオーバーヘッド収納が用意されている。それぞれ奥行き、高さともに十分とられており、収納力は大きい。また、先述のように後部ベッドの収納キャビネット、ギャレーコンソールの引き出し収納などのほか、エントランス左横にはシューズボックスも用意されている。更にベッド下は大きな収納スペースになっており、大きな荷物が積める。ただし、車外からのアクセスは左側面からのみ。従って奥の方へは車内からベッドマットを上げてアクセスする必要がある。

 ベッド下の大きな収納スペース

空調はリモコン式ベンチレーターと家庭用エアコンが標準装備される。しかしFFヒーターはなぜかオプション。標準装備が充実していると謳う「ノイン」ならばFFヒーターは是非標準装備にして欲しいところだ。
なお、DCは家庭用エアコンを オプションでe-comfortに変更できる。これはベースが家庭用エアコンながら室外機を改造してルーフに取り付けられるようにしたもの。車体の重心が上がってしまうという欠点はあるが、元あったスペースは有効活用できる。ただし室外機のスペースが十分確保できているので、あえて変更する必要はないだろう。

電装系は115Ahのサブバッテリーが3個標準装備される。容量的には必要十分だが、1~2年後の経年変化を考えると、エアコンを実用的に使用するためにはオプションのリチウムイオンバッテリーを選択すると良いだろう。オプションのリチウムイオンバッテリーは200Ahだが、実力的には標準装備の115Ah鉛バッテリー3個に比べ同等以上の容量が期待でき、経年変化もほぼ感じられない。また200Wのソーラーパネルが標準装備される。
なお、ヴォーンにはナッツRVのEVOLITEと同じ電源システムが搭載されている。これはアイドリングや走行中に、サブバッテリーを消費せずに家庭用エアコンを動作させたり、サブバッテリーを効率的に充電することができるもの。リチウムイオンバッテリーにすれば、更に早く充電することができる。

価格は638万円(ガソリン2WD/4AT:税別)。同じレイアウトのナッツRVのクレソンボヤージュWが640万円(同)なので、ほぼ同じ価格だ。ただし、クレソンボヤージュにはEVOLITE非搭載モデルが存在し、価格は525万円(同)からある。カムロードベースの5m未満キャブコン全体を見ると、500万円台から700万円台まで幅広く存在するので、ヴォーンはほぼ平均的な価格と言える。

ヴォーンノインは、価格的にも装備的にも平均的なモデルだ。平均的な価格ながら過不足無い装備やインテリアを持っている。上位モデルを見ると、アネックスのリバティ52DB(記事はこちら)(765万円~:同)やバンテックのジル520(記事はこちら)(754万円~:同)があるが、これらは5m超。5m未満の上位モデルはナッツRVのクレア5.0W EVOLUTION(725万円:同)やスティング5.0W EVOLUTION(725万円~:同)がある。これらはEVOLUTIONシステムを搭載するところがアドバンテージ。一方、エートゥーゼットのアンソニー(568万円~:同)やファンルーチェのイグアス(記事はこちら)(530万円~:同)は安価な部類に入る 。これら2モデルも十分なクオリティを持つが、家庭用エアコンの設定が無いところが異なる。なおアンソニーLE(記事はこちら)(598万円:同)は家庭用エアコン標準装備だ。

ヴォーンノインは充実した装備を持ち、水準以上のインテリアクオリティ、そして比較的安価な価格で、家庭用エアコンを搭載する5m未満のカムロードキャブコンとしてはお買い得モデルと言える。

 

モデル ヴォーンノインR2B
ビルダー 東和モータース
ベース車 カムロード
形態 キャブコンバージョン
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 6
就寝人数 6
ダイネット形態 対座
ベッド形態 後部常設2段ベッド
ダイネット展開フロアベッド
バンクベッド
コンロ ○(卓上型カセットタイプ)
シンク
給水タンク ○(19L)
排水タンク ○(19L)
冷蔵庫 ○(65L)
電子レンジ
ユーティリティールーム
ポータブルトイレ OP
カセットトイレ OP
温水シャワー設備 OP
ルーフベンチレーター
サンルーフ -
FFヒーター OP
ルームエアコン
サブバッテリー ○(115Ah x3)
バッテリー増設 OP(リチウム200Ah)
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター ○(1500W)
発電機 OP
ソーラーシステム ○(200W x1)
全長(mm) 4,990
全幅(mm) 2,100
全高(mm) 2,850
価格 638万円~(2WD/4AT)

2019年10月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

動画はこちら

2019.10.2