キャビン2ミニフローズーはマリナRVが製作する、スズキ エブリイワゴンをベース車に使用した、軽バンコンキャンピングカー。
同社は滋賀県野洲市に本拠を置くビルダーで、軽バンコンからNV200バネット、ハイエース、キャラバンなどをベース車にしたバンコンモデルを主に製作している。
キャビン2ミニ Frozoo(フローズー)は、同社の最新モデルで、2023年9月に開催された大阪キャンピングカーフェア2023に展示された。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
スズキエブリイワゴンをベース車に採用した軽5ナンバーバンコンキャンピングカー。ワゴンベースを採用することにより、軽乗用車と変わらないグレード感を持つのが特徴。ペットに対応したコンセプトで、クーラーを標準装備したり、クッションフロアの広い室内を持つ。
後部に収納キャビネットを設置するが、ギャレーや冷蔵庫などの装備は無く、日常は軽ワゴンとして、休日は気軽に車中泊といった使い方ができる。クーラーを標準装備することにより、夏場に買い物や食事でペットを車内に残す場合にも便利だ。
アピールポイント
・軽ワゴンをベース車に使用
・車載用セパレートクーラーを標準装備
・200Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備
・広いクッションフロア
・最大1950mm長のベッド
ベース車とエクステリア
キャビン2 ミニ フローズーのエクステリア
ベース車はスズキエブリイワゴン。グレードは、安価な方から、JPターボ、PZターボ、PZターボスペシャルがあるが、全てのグレードを選択可能。また、全てハイルーフとなっている。2WDと4WDの選択も可能だ。
インテリア
キャビン2 ミニ フローズーのインテリア
濃いベージュ系のベッドマットと明るい木目の家具の組み合わせだが、ベッドマットの下には木目風のクッションフロアが敷かれている。これはペットに配慮したものだが、夏場はペットでなくても気持ちよさそうだ。
LEDスポットライトを採用した照明
また、照明はLEDスポットライトを採用。明るさを確保するとともにお洒落感も出している。
レイアウト
レイアウトは軽バンコンによくある、フラットフロアと後部両側の家具の組み合わせとなっている。最近では軽バンコンでも対座ダイネットを特徴にするモデルも増えてきたが、キャビン2
ミニ フローズーではペットのために広いフラットスペースを採用している。
4名が前向き乗車できる
エブリイワゴンに設置されている2列目シートはそのまま残されており、これを立てると計4名が前向き乗車できる。2列目シートは左右に1脚ずつあるが、独立しているため、1脚だけ立てて、片側はベッドにしておくことも可能だ。
ダイネット
ちゃぶ台スタイルのダイネット
キャビン2 ミニ フローズーのダイネットは、ベッドと兼用の、いわゆるちゃぶ台スタイルとなっている。対座ダイネットのように座ることはできないが、自由な位置にテーブルを置いたり、すぐに就寝できるなど、メリットもある。
大きなテーブルが用意されている
後部には大きなテーブルが用意されており、趣味の作業やパソコンを置いてテレワークの基地としても便利な一角だ。
ベッド
ほぼセミダブルベッドの幅ベッド
このレイアウトでは、ダイネットがそのままベッドになる。ベッドサイズは最大長が1950mm、幅は1170mmとなっている。軽バンコンだが、長身のユーザーでも足がつかえることなく就寝できる。なお、助手席側の長さは1910mmとなっている。
幅1170mmは、家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)に3cm足りないだけで、大人2名が比較的ゆったり就寝できる。右側の足元に家具が少し出っ張っているのが気になる点ではあるが、おおむね広いベッドと言える。
ギャレー
キャビン2ミニ フローズーはギャレーを持たないが、その分広い室内となっている。コンセプトから考えれば、ギャレーの必要性は無いだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫や電子レンジも想定されていないし収納スペースも用意されていない。冷蔵庫は欲しいというユーザーは、ポータブル冷蔵庫を持ち込むと良いだろう。100Vコンセントも用意されている。
収納
後部左側の扉付きの収納
まず、後部左側のキャビネットの上部に扉付きの収納が用意されている。食器や食料品を収納しておくのに便利だ。
後部ベッドボード下の収納
次に、後部ベッドボード下にも収納が設けられている。一般的にこの位置の収納は深さがあまりとれないが、衣類などを収納しておくことができる。
最後部の大きなカーゴスペース
最後に、これは収納と言うよりはカーゴスペースと言う方が適切だが、ベッドマットを取り除くと最後部には大きなスペースができる。ビルダーはペットのための広いスペースと謳っているが、もちろん大きな荷物を積む場合に便利だ。大きさにもよるが、自転車を積むことも可能だろう。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
このモデルの最大の特長が、車載用セパレートクーラーを標準装備していること。このクーラーはOne Cool 21と同型のもので、このサイズのモデルなら十分に冷やすことが可能だ。
ただし、FFヒーターのオプション設定が無い。ペットの寒さ対策にヒーターまでは不要との考えかもしれないが、人間が冬場に車中泊する場合は、やはり必要だ。オプション設定が望まれる。
200Ahリチウムイオンバッテリー
200Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備されているので、実用的に使用できる。stage21の実験では、100Ahリチウムイオンバッテリーを使用し、軽バンコン、外気温30℃、温度設定26℃、風量小で10~12時間稼働したとされているので、2倍の容量を持つキャビン2ミニ
フローズーでは2倍のランニングタイムが期待できる。
テレビ/ナビ
テレビのオプション設定は無いが、取り付けは可能だろう。ナビは指定品が標準装備される。変更も可能だ。さらに、前後ドライブレコーダー、バックカメラ、ETC車載器も標準装備されるのは特筆される。
電装系
後部右側のベッドボード下の電装系
前述の200Ahリチウムイオンバッテリーの他、後部右側のベッドボード下には、走行充電システム、450W正弦波インバーター、サブバッテリーモニター、100Vコンセント2口も標準装備される。ただし、外部電源入力と充電機能はオプション。1500Wのインバーターもオプションで用意されている。
200Wのソーラーパネル(OP)
ソーラーシステムは200Wのものがオプションで装備できる。
その他
見守りカメラ(OP)
「見守りカメラ」がオプションで用意されている。ペットをクルマに残して買い物や食事をする場合、エアコンが停止したりするアクシデントが心配だが、これがあれば常に監視できる。
ただし、このカメラはWiFiに接続してスマートフォンで遠隔操、監視ができるものだが、当然WiFiが飛んでいるところでないとその機能は使えない。スマートフォンが2台あれば、1台をテザリングに使い車内に残しておくという方法もあるだろう。
価格(2023年11月現在:千円台切り上げ:税込)
最も安価なJPターボ2WDで343万円~、最も高価なPZターボスペシャル4WDで379万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、外部電源入力(22,000円)と、チャージャー(77,000円)が挙げられる。予算に余裕があれば200Wソーラーシステム(148.500円)を付けておけば、電気の心配を軽減できる。
また、冬場に車中泊をする場合は、オプションにはないがFFヒーターの設置をオーダーすることをお勧めする。
他モデル
ベース車にワゴンを使用、クーラーを装備可能の2点を満たすモデルは他に見当たらない。そもそも軽ワゴンを選択したモデルは、フィールドライフのココワゴンなどがあるが選択肢は非常に少ない。
ペット重視でクーラーを搭載したモデルなら、ダイレクトカーズのリトリートNV Popがある。こちらはNV200バネットベースなのでもう少し大きく、もう少しキャンピングカー寄りだ。
更にキャンピングカー寄りになるが、レクビィのソランもペットを重視したモデルだ。
まとめ
キャビン2ミニ フローズーは、キャンピングカーと言うより、ペットがいるユーザーが日常用途に使うのに適したモデルと位置付ける方が適しているかもしれない。
ペットがいる場合、夏場車内にペットを残して買い物や食事をするのは厳禁だ。さりとて店内にペットを連れて入るわけにはいかない。もちろんアイドリングをしたままクルマを離れるわけにはいかない。このような悩みを持つ愛犬家、愛猫家は多いだろう。
そのような場合、エンジンを切っていてもクーラーが使用できれば、一気に解決する。キャビン2ミニ フローズーは、このようなユーザーにお勧めのモデルだ。従って、ターゲットユーザーは、一般の愛犬家、愛猫家も含まれるだろう。キャンピングカーショーで展示するより、イオンモールの軒先で展示した方が、多くののユーザーにアクセスできるのかもしれない。
もちろん、4ナンバーは商用車なので避けたいがギャレーが付いた8ナンバーモデルまでは必要ない、というユーザーもワゴンモデルは最適の選択になる。しかもクーラーが装備できるモデルとなると他にない。
キャンピングカーの観点から見ると、クーラーが標準装備された車中泊車だが、一般の愛犬家、愛猫家から見ても興味深いモデルだ。
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