愛犬くんはオートワンが製作する、スズキエブリイバンをベース車に使用した軽バンコン。同社は軽バンコン専門ビルダーで多くのモデルをラインアップしている。愛犬くんは、同社の看板モデル「給電くん」をベースに、ペットと一緒のクルマ旅を考えたモデル。
コンセプト
大人2名とケージ2個が置けることを考慮したレイアウトを持ち、またペットの足を洗うトレイや換気を考慮したベンチレーターなど、ペット同伴のクルマ旅を想定したモデル。
エクステリア

外観はオリジナルと変わらない
スズキエブリイバンをベース車に使用。外装への架装は無いが、ルーフには30Wソーラーパネルとベンチレーターが装備される。「愛犬くん」のステッカーが無ければ、一般のエブリイと変わらない。
なお、給電くんにはポップアップルーフ仕様があるが、愛犬くんにはベンチレーターがルーフに装備されるため、ポップアップルーフ仕様は用意されていない。
インテリア

愛犬くんの室内
同社特有の飴色に塗装された木材をふんだんに使ったインテリアは豪華に見える。後部の収納家具、オーバーヘッド収納、テーブル、天井張り(OP)など全てこのデザインで統一されている。
レイアウト

後部に収納ラックを設置
軽バンコンで一般的に見られる方法と同様で、2列目シートを折りたたんで収納し、その上にベッドマットを敷いてフラットフロア兼ベッドとなっている。
後部には両側に収納ラックを組み付け、右側には収納できるミニシンクが設置できる。なお、ミニシンクを含むギャレーセットはオプション。
ダイネット

標準装備のセンターテーブル
フラットフロアがダイネットになる。着脱式のセンターテーブルが標準装備されており、後部の左右収納ラックに渡して固定できる。大きなテーブルなので、食事はもちろん、パソコンなどを置いて仕事もできる。

テーブルは車外でも使える
またこのテーブルはクルマの後部やエントランスに取り付け、足を立てて車外テーブルとしても使える。
ベッド

ダイネット兼ベッド(写真:オートワン)
フラットフロアがそのままベッドになり、大人2名が就寝できる。ベッドサイズは1980x1260mmで家庭用のセミダブルベッドよりも幅が広い。また後部両側の家具も下部は極めて薄くなっており、足元が窮屈ということはない。
ギャレー

オプションのギャレー
コンパクトなギャレーセットがオプションで用意されている。セットにはミニシンク、シャワーヘッド、各10Lの給排水タンクが含まれており、シャワーヘッドは引き出して車外でも使える。

車外で使えるトレイ
後部に引き出し式のトレイが付いており、ここでペットの足を洗うことができる。オプションのシャワーヘッドを取り付けると、引き延ばしてここで使うことができる。
冷蔵庫/電子レンジ

14Lのポータブル冷蔵庫が設置できる
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むことになるが、エンゲルの14L冷蔵庫なら、後部左側の収納ラックに置くことができ、車内でかさばることが無い。ただしここはケージを置くことを想定したスペースなので、冷蔵庫を置くとケージは助手席以外置けなくなる。
電子レンジは12VのWaveBoxがオプション設定されている。ただし、これも冷蔵庫の設置スペースと同じところに置くことを想定しており、従って冷蔵庫か電子レンジか、あるいはケージかどれか一つしか置けない。
収納

左側のオーバーヘッド収納
愛犬くん(給電くんもそうだが)の特徴のひとつが、左右両側と前後にあるオーバーヘッド収納。軽バンコンでこれほどオーバーヘッド収納が充実したモデルは珍しく、収納力は非常に高い。

オプションの床下収納(写真:オートワン)
その他、後部左右の収納ラックには様々な小物が収納でき、また後部床下収納(OP)もある。軽キャンパーは車内スペースに限りがあり、収納スペースが少ないと車内が煩雑になる。その意味でも、軽キャンパーにこそ収納スペースが重要だ。
空調

ベンチレーターが標準装備される
暖房はFFヒーターがオプションで用意されている。問題は冷房で、夏場にペットを車内に残す場合、十分に気を付けなければならない。理想的にはエアコンやクーラーを設置したいところだが、軽キャンピングカーではそれは難しい。
愛犬くんでは、ベンチレーターがルーフに標準装備されており、強力に換気ができる。ただし過信は禁物で、いくらベンチレーターがあるとしても、夏の昼間にペットを車内に残すのは避けた方が良い。
電装系

30Wのソーラーパネルとベンチレーター(写真:オートワン)
55Ahのディープサイクルサブバッテリーと走行充電が標準装備される。サブバッテリーは70Ahか100Ahのものにオプションで交換できる。また外部100V電源入力も標準装備されるが、これによる充電機能はオプション。
また給電くんと同じく、100V出力を車外のコンセントに出力することができる。インバーターにより、サブバッテリーの電気を100Vに変換して車外で使うこともできる。なお、700Wのインバーターが標準装備されるが、大電力の家電品を使いたい場合は1200Wや2000Wのインバーターがオプション設定されている。
更に30Wのソーラーシステムも標準装備されている。ただし、30Wではほとんど実用的な充電はできない。家庭の車庫に駐車している間の充電手段と考えると良いだろう。
価格(税別)
173万円~。Joinターボ4WDでは203万円~。必要なオプションとしては、FFヒーター(18万円)、外部電源による充電機能(48,000円)が挙げられる。
他車
キャンピングカーをペットとの旅を目的に購入するユーザーは多く、ペットを乗せることを想定したモデルは幾つか発売されている。しかし、愛犬くんのように真正面からペット専用を謳ったモデルは、特に軽キャンパーでは見当たらない。
まとめ
愛犬くんはペットのための装備が充実したモデルで、特にベンチレーターは重要な機能だ。しかし、やはり夏場で車内にペットを残す可能性があるなら、高価になるがエアコンやクーラー付きのモデルをお勧めしたい。
もちろん、エアコンやクーラー付きのモデルでも、バッテリー切れやエアコンの効き具合には十二分に注意すべきだ。
夏以外の季節や、夏場でも日中にペットを車内に残すことが無いなら、愛犬くんはペットとのクルマ旅に使いやすく、優れた軽キャンパーと言える。
関連記事