給電くんポップアップルーフはクルーズカンパニー(オートワン)が製作する、スズキ エブリイをベース車にした軽キャンピングカー。ポップアップルーフを標準で架装する。同社は軽キャンピングカーの専門ビルダーで、多くの軽キャンパーをラインアップする。
給電くんはクルマのサブバッテリーの電力を車外でも使えるように考えられたモデルで、車外での給電も考慮されている。
飴色の家具で統一された収納家具
コンセプト:ソーラーパネルで発電した電気をサブバッテリーに蓄え、必要に応じて家電品を使える。4名のファミリーが就寝できるベッドスペースと、軽キャンパーながらギャレー(OP)や電子レンジ(OP)を搭載し、休日はもちろん、災害時にも使える軽キャンピングカー。
エクステリア:スズキ エブリイバンをベース車に、ポップアップルーフを架装。ルーフを上げると車内で大人が立てるが、下ろすと通常のエブリィバンと変わらないので、街中での機動性が良い。
なお、ポップアップルーフ無しの「給電くん」も選択できる。オプションでリアゲートのウインドウをアクリルウインドウ化できる。他のウインドウはガラスなので、断熱的にはあまり効果が無いと思われるが、窓を開けられるようになるので、ちょっとした換気に便利。
オリジナルのシートを残したレイアウト
インテリア:同社独特の飴色の木製家具で内装を構成、重厚感かつ高級感がある。後部両側にルーフまで届く家具と、ルーフサイド両側にオーバーヘッド収納家具を備え、軽キャンパーながら収納にも十分考慮されている。
レイアウト:エブリイのオリジナルシートはそのまま残っており、これを立てれば通常のエブリイと同様、4名が前向き乗車できる。また、シートを畳んだ上にベッドボードを置くことにより、フラットベッドになる。
ダイネット:後部両サイドの家具に渡してセットするテーブルを標準装備。このテーブルは車体後部にセットして車外でも使用できる。
ベッド:2列目シートを畳んでベッドマットを敷くとベッドになり、ここで大人2名が就寝できる。またポップアップルーフのルーフベッドでも大人が2名就寝できる。計4名が就寝できるので、ファミリーでも車中泊できる。
オプションの給排水タンクセットで装備されるシンク
ギャレー:後部右側の収納家具に、跳ね上げ式のコンパクトなシンクがオプションで取り付けられる。給排水タンクも付属する。また、シャワーフォーセットも用意されているので、手や食器を洗うこともできる。シャワーフォーセットは伸ばして車外で使うこともできるので、子供やペットの足を洗ったりするのに便利。
電子レンジもすっきり収納
冷蔵庫/電子レンジ:冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込むことになるが、ビデオの展示車では助手席に置かれている。助手席に人が座ってドライブする場合は、車内後部のどこかに移し、夜はまた助手席に戻すことになる。できれば専用に用意された設置場所が望まれる。
電子レンジは、12V仕様のWAVEBOXをオプション設定。収納スペースが用意されており、すっきり収納できる。12Vでも動作するので、電子レンジだけのためにインバーターをアップグレードする必要はない。
豊富に用意されたオーバーヘッド収納
収納:ルーフ両側のオーバーヘッド収納と、後部両側の家具に豊富な収納スペースが用意されている。特に両サイドに並ぶオーバーヘッド収納は秀逸。煩雑になりがちな軽キャンパーの小物を収納しておけるスペースが多く用意されているのは嬉しい。
また、ベッド下に収納スペースが用意されている。背の高いものは収納できないが、Tシャツなどの衣服や本などを収納できる。
空調:FFヒーターがオプション設定されている。冬はもちろんだが、春先や秋口は寒い日もあるので、装備しておくと快適な車中泊ができる。なお、冷房関係のオプションは設定されていない。
電装系:55Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備されるが、オプションで70Ahと100Ahのサブバッテリーに交換できる。冷蔵庫やテレビ、FFヒーターなどを使う場合は、できるだけ大きなバッテリーをお勧めする。
また700Wのインバーターが標準装備される。これも1200Wか2000Wのインバーターに変更可能。「給電くん」はその名の通り車外の家電品に給電できるのが特徴なので、実用的に使おうと思うと、大容量バッテリーやインバーターが必要。ビデオの展示車にあるようなホットプレートや電気ポットを使う場合は2000W程度のものが必要となる。
ただしホットプレートは100Ahのバッテリーを付けていてもそれほど長くは使えない。1200Wのホットプレートなら30~40分程度だろう。なお、100Vコンセントは車外に2口ついている。車内にはテーブルタップ上のコンセントが用意されている。
なお40Wのソーラーパネルが標準装備される。しかしこれでは100Ahのバッテリーを充電するだけでも長時間かかってしまう。100W程度のソーラーシステムが欲しいところだが、いずれにせよソーラーシステムは長期駐車でバッテリーが自然放電するのを防止する目的と考えた方が良い。
価格:車両本体価格は221万円~。車名の通り給電を重視するなら、100Ahサブバッテリー(38,000円)、2000Wインバーター(65,000円)が必要。またFFヒーター(18万円)は是非付けたい。(価格は全て税別)
他車:車外に給電するコンセプトの軽キャンピングカーは他にない。そのような目的を重視する場合は、「給電くん」一択になる。なお、同社の「愛犬くん」は給電くんと同様に、オプションで車外にコンセントが付くが、ポップアップルーフ仕様は無い。
車内で100V電源を使いたいだけなら、基本的にインバーターを付ければ、どの軽キャンピングカーでも可能。軽キャンピングカーでリチウムイオンバッテリーを搭載するカーショップスリーセブンのパームもある。
まとめ:災害時に車外で電気が使えるのは何かと便利だが、バッテリー容量が違うのでプリウスやアウトランダーのような「車外で家電が使える」イメージとは異なる。実際にどのような100V家電をどこでどのように使いたいかを明確にして選ぶと良いだろう。
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