クリフ540アドベンチャーエディションはサンライトが製作する輸入バンコンキャンピングカー。東和モータース販売が国内への輸入を行っている。
サンライトはデスレフ翼下のセカンドブランドで、やはりフィアットデュカトベースのバンコンやモーターホーム(キャブコン)を製作している。ちなみにデスレフはハイマー翼下のビルダー。
「CLIFF(クリフ)」シリーズはサンライトのバンコンブランドで、本国にはベースモデルの「クリフ」、スペシャルバージョンの「クリフ アドベンチャーエディション」、ポップアップルーフ(Roof Top)を持つ「クリフRTアドベンチャーエディション」がラインアップされている。日本へは「クリフ アドベンチャーエディション」のみが輸入されている。
クリフ アドベンチャーエディションは、クリフシリーズの特別仕様車で、黒のボディカラーやボディ同色バンパー、更に専用のインテリアを装備する。
輸入されている「クリフ アドベンチャーエディション」にはレイアウトにより全長5410mmの「CLIFF540」、全長5990mmで2名就寝の「CLIFF600」と4名就寝の「CLIFF601」がある。
上のビデオは「CLIFF540」を撮影している。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
国内でも扱いやすい全長6mを切る車長で、特にクリフ540はハイエーススーパーロングとほぼ同じとなっている。(ただし車幅はスーパーロングが1880mmに対してクリフは2050mm)
バンコンながら、対座ダイネット、常設コンロを持つギャレー、カセットトイレや温水シャワーが使えるサニタリールームなど、キャブコン同等以上の装備を搭載。商用車ながらスマートなボディデザインも魅力だ。
更に、欧州車特有の洗練されたインテリアを持ち、国産モデルと一味違った高級感がある。
アピールポイント
・国内でも比較的扱いやすいボディサイズ
・黒いボディと専用インテリアの特別仕様車
・洗練されたインテリア
・常設コンロや温水シャワー、カセットトイレを標準装備
エクステリア
クリフ540アドベンチャーエディションのエクステリア
ベース車はフィアット デュカト2.3ディーゼル160psバージョン 9速AT。国内仕様は右ハンドルが標準となる。(ただしエントランスは右側)また、駆動方式はFFのみとなる。
クリフ540は全長が5410mm、クリフ600/601は5990mmでいずれも6mを切り、国内でも比較的運転しやすく、更にフェリー料金の面でも有利だ。
ボディへの架装は無いが、ウインドウはアクリル化されており、断熱面への対策もされている。
インテリア
洗練されたインテリア
クリフに限らず、欧州車のインテリアには国産モデルと一味違った洗練度があり、これを決め手とするユーザーも多い。部材は特別に高級感があるわけではないが、インテリア全体として洗練されたものになっている。
特にギャレーまわりやサニタリールームの充実度は、多くの国産のキャブコンと同等以上。
レイアウト
クリフ540のレイアウト
前部に対座ダイネット、中央にギャレーとサニタリールーム、最後部に横置きハイマウントダブルベッドを配置する。このレイアウトは比較的車長の短いプランでは一般的に採用されているもの。
2列目シートに2名とフロントシートで計4名が前向き乗車できる他、クリフ540と600では大人2名と子供1名、クリフ601では後部ベッドが2段になっており、計大人4名と子供1名が就寝できる。
ダイネット
運転席と助手席のシートが回転するダイネット
欧州車の定石通り、運転席、助手席のシートが回転し、後ろ向きのダイネットシートになる。これにより2列目シートと対座ダイネットが形成され、4名でテーブルを囲める。
テーブルは2段になっており、下部が回転して拡張できる。4名が食事をするには十分な大きさだ。
ベッド
後部のダブルベッド
後部のダブルベッドの大きさは1950x1300mm。これは家庭用ではセミダブル(1200mm)とダブル(1400mm)の中間の幅に相当する。身長方向は車幅が広いこともあり、長身のユーザーでも窮屈感は無い。
ダイネットを展開したベッド
ダイネットを展開したベッドの大きさは1850x870/630mm。足元はギャレーがあるため狭くなっている。キャンピングカーのベッド要件(500mm幅)は満たしているが、これはエマージェンシーベッドとして考えた方が良いだろう。
従って、クリフ540と600は二人旅に適しており、ファミリーで使用する場合はクリフ601がお勧めだ。
ギャレー
2口コンロが装備されたギャレー
クリフのギャレーは欧州車の通例通りコンロが常設されている。多くの場合、キャブコンなら3口、バンコンなら2口のコンロが常設されており、クリフもシンク一体型の2口コンロが装備されている。
ギャレーコンソールの収納
欧州のユーザーは停泊型の使用が一般的で、キャンピングカーで調理するのが通常のため、実用的なギャレーになっている。そのため調理面も広く、食器や調理用具の収納にもスペースが用意されている。
給水タンクは100L、排水タンクは90Lで、それぞれ床下に装着されている。
冷蔵庫/電子レンジ
90L冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は90L横開き式が標準装備される。これはガスでも冷やせる3 Wayではなく、12V電源のみの1 Way方式の冷蔵庫。もちろん製氷室と冷蔵室が独立しており、家庭用の冷蔵庫と同じように使える。
電子レンジは日本で取り付けるためディーラーオプション設定されている。設置場所は記載されていないが、収納はオーバーヘッド収納などのスペースを利用することになる。
サニタリールーム
カセットトイレと温水シャワーが装備されたサニタリールーム
欧州車では特にサニタリールームが洗練されているのが特徴だ。クリフのようなバンコンでも独立した手洗いがある美しい個室にカセットトイレと温水シャワーがあたりまえに標準装備されている。
温水シャワーはトルマ社のコンビ4(Combi4)というボイラーで水を加熱する。ただし一度に加熱するのは10Lで、これを60℃程度の湯にして、水と混合して適温にする。
従って、二人がシャワーを使うのにぎりぎりの湯量しかなく、十分な湯量を確保するには、もう一度湯を沸かす必要がある。これに関してはダイレクトカーズのトリップシリーズやアネックスのリバティ52DB/SPに採用されている瞬間湯沸かしが圧倒的に優れている。
サニタリールーム内の収納スペース
なお、サニタリールーム内にも大きな収納スペースが用意されており、タオルなどを収納しておくことができる。
収納
ベッドルームのオーバーヘッド収納
一般的に欧州車の収納は非常に充実しており、バンコンでも多くの収納が用意されている。クリフでは後部ベッドの両側に2連のオーバーヘッド収納が設置されているほか、ダイネット上やギャレー上にも用意されている。
後部ベッド下の収納スペース
更に、前述のようにギャレーコンソールの収納があるほか、ベッド下には大きな収納スペースがある。ここは車外からアクセスでき、キャンプ用具やスキー板にような大きな荷物を入れることができる。
空調
前述のようにFFヒーターは温水ボイラーと兼用になっており、標準装備される。ただし冷房に関してはルーフエアコンが設置できるが、家庭用エアコンは設置できない。ルーフエアコンでもサブバッテリーで運転できるようだが、ルーフエアコンは効率が良くないため、稼働時間は家庭用エアコンには及ばない。
アドリアのツインでは最も小型のツイン540でも家庭用エアコンがオプション設定されているので、この点に関してはクリフの弱点になる。現在では小型の12Vセパレートクーラーもあるので、対応が急がれる。
テレビ/ナビ
19型のテレビがオプション設定されており、地デジチューナーも用意されている。また各社ナビが取り付けできる。
電装系
ヒーターとバッテリーモニター
95Ahのサブバッテリーと走行充電機能、および外部100V電源入力と充電機能が標準装備される。また追加バッテリーがオプションで選択できる。
更に200Ahあるいは400Ahリチウムイオンバッテリーも選択できる。ただし、家庭用エアコンが搭載できないので、リチウムイオンバッテリーの必要性はあまりないかもしれない。
インバーターは1500Wか3000Wが選択できる。電子レンジを搭載する場合はインバーターを同時に装備しておくと、外部電源が無いところでも電子レンジを使うことができる。
ソーラーシステムは1枚100W単位で設置できる。実際に搭載できる枚数は車長によっても異なると思われるが、200W以上は欲しい。
その他、発電機もオプションで用意されているが、これはG-Streamと言う製品で、価格は132万円もする。騒音は比較的少ないが、発電機自体を禁止している施設がほとんどなので、停泊時に使用するケースは少ないだろう。
走行時には使えるので、昼間の走行時に充電して、夜はサブバッテリーを使用するという使い方が適している。ただし、価格的に導入する必要性は少ないだろう。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
クリフ540アドベンチャーエディションは880万円~、同600は913万円~、同601は924万円~となっている。
標準装備でほとんどのものが付いているので、追加する必需的なオプションは無い。(ナビ関連を除く)
必要に応じて、電子レンジ(46,200円)、インバーター(151,800円:1500W)、ソーラーシステム(132,000円/100W)が挙げられる。
他モデル
現在輸入バンコンは、アドリアのツインシリーズ(Twin Plus 540 SP:846万円~)、アドリア翼下サンリビングのV60SP(806万円~)、ホビーのバンタナ60FT Deluxe(878万円~)、ローラーチームのリビングストン5(878万円~)、KJ(825万円~)、K2(825万円~)がある。
なおHymer(ハイマー)にはFREE(フリー)シリーズとSydney(シドニー)があったが現在ではオーダーを取っていないようだ。
これらは全て6mを切る車長だが、特にツインプラス540 SPとリビングストンKJとK2は5410mmで、クリフ540と同じで最も車長が短い。
またローラーチームのモデルは全てDCエアコンとリチウムイオンバッテリーが、ツインプラス540SP、V60SPとSPEにはセパレートエアコンとリチウムイオンバッテリーがオプション設定されている。
まとめ
クリフ540アドベンチャーエディションは全長がハイエーススーパーロングとほぼ同じで国内でも比較的運転しやすく、更にこのサイズに国産バンコンにはほとんど無い、常設コンロ、カセットトイレ、温水シャワーを併せ持ち、洗練されたインテリアなのが特徴だ。
しかし同じ特徴を持つ輸入モデルと比べると、ツインプラス540SPやリビングストンKJ、K2にはセパレートエアコンとリチウムイオンバッテリーがオプションで設置できる。従来では輸入バンコンにセパレートエアコンを装備するのは難しかったが、今やそれが可能になっているモデルもある。この点において、クリフ540は後れを取っている。
また価格的にもこれらのモデルよりも高価だが、クリフ540アドベンチャーエディションのエクステリアやインテリアが気に入れば、選択する価値はある。
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