Canele(カヌレ)はアネックスが製作する、日産NV200バネットをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社は徳島県吉野川市に本拠を置くビルダーで、カムロードベースのキャブコン「リバティ」シリーズを旗艦に、ハイエースベースのバンコンからNV200バネットベースのバンコンまでラインアップしている。
カヌレは同社では最もコンパクトなモデルの位置付けになるが、同社のUTONE(ウトネ)シリーズのUTONE200もNV200バネットを使用している。
カヌレは、以前同社のモデルだったファミリーワゴンシリーズのひとつであるファミリーワゴンSSに由来するモデルで、ファミリーワゴンSS同様、ノーマルルーフ(NR)とポップアップルーフ(ER)を選択できる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネットをベース車にするバンコンバージョンキャンピングカー。ノーマルルーフに加え、ポップアップルーフバージョンも選択できる。2列目にマルチモードシート(REVO)を配置し、5名が前向き乗車できる。
後ろ向きにすると、5名が対座してテーブルを囲むダイネットになる。ダイネットテーブルを後部にセットすると、広いワークスペースとなり、パソコンでの仕事や趣味の作業ができる。
ダイネットを展開して設置するダイネットベッドは2名が就寝でき、ポップアップルーフバージョンでは更に2名が就寝できるため、ファミリーでの車中泊も可能だ。
ギャレーにはシンクと取り外しができる電動ポンプ付きフォーセットがある。冷蔵庫や電子レンジの設置場所は用意されていないので、クルマ旅向けの装備が充実しているわけではないが、キャンプやイベントなどに適している。
2025年モデルでは車載用セパレートクーラーと200Ahのリチウムイオンバッテリーを選択できるようになった。
アピールポイント
・運転しやすく取り回しのよいベース車
・ポップアップルーフバージョン(ER)も選択可能
・リアゲートのウインドウをアクリル2重窓化(OP)
・高品質なインテリア
・後部の広いワークスペース
・オプションでクーラーとリチウムイオンバッテリーを装備可能
ベース車とエクステリア

カヌレのエクステリア
ベース車は日産NV200バネットバンGX。2WDと4WDが選択できる。また、ノーマルルーフとポップアップルーフバージョも選択できる。両席SRSエアバッグやエマージェンシーブレーキなどの安全装備、カラードバンパー、リモコンドアミラー(色は黒)、パワーウインドウなども標準装備される。(詳しくは仕様表を参照)
ポップアップルーフはダンパーのアシストで軽く開閉できる。ポップアップルーフをアップすると、最後部の高さは2m以上になり、大人が立っても頭がつかえない。

リアゲートウインドウのアクリル2重窓化(OP)
また、オプションでリアゲートのウインドウをアクリル2重窓化することができる。断熱効果もあるが、この場合はリアゲートを開けることなく換気できるメリットの方が大きく、大変便利だ。網戸とシェードも組み込まれており、上下にスライドして変更できる。
ボディ外側への架装はポップアップルーフを除き特に無く、ポップアップルーフバージョンもルーフを下げるとほぼノーマルルーフに見えるため、日常用途で目立つことは無い。
ボディカラーは、グレー、ホワイト、シルバー、ブラックが標準で選択でき、ホワイトパールとインペリアルアンバーはオプションカラーとなっている。さらに、オプションでツートンカラーにすることもでき、白一色で商用車に見えることを避けることができる。
ベース車のNV200バネットはボンネットを持つ形状で、普通の乗用車やミニバンの運転感覚と変わらないため、ハイエースなどのキャブオーバーベースの運転に不安を覚えるユーザーでも安心して運転できる。
インテリア

カヌレのインテリア
同社はリバティシリーズをはじめとするラインアップで、洗練されたインテリアや高級感のある作りで定評があるが、カヌレもその系統を受け継いでおり、丁寧に作られた印象の室内だ。
インテリアカラーはオプションで「ダーク」と「ファルスター」も選択できる。照明はLEDスポットライトを採用。お洒落な夜のインテリアが期待できる。
レイアウト

カヌレのレイアウト
2列目にマルチモードシート(REVO)を配置し、前向きにすると運転席、助手席を合わせて5名が前向き乗車できる。2列目シートは両端が3点式シートベルトを装着可能。日常用途で乗用車と同じように使用できる。
2列目シートを後ろ向きにすると、後部のベッドシートを使用した簡易前向きシートとで5名が対座できるダイネットになる。
ダイネットを展開すると2名が就寝できるベッドになる。ポップアップルーフバージョンではルーフベッドにさらに2名が就寝できるので、就寝定員は4名となり、ファミリーでの車中泊が可能だ。
後部両側には薄いキャビネットがあり、右側のキャビネットにはギャレーになっている。

後部のワークスペース
右側のキャビネットの後部にある扉を跳ね上げ、ダイネットテーブルをドッキングさせると、広いテーブルになり、ワーキングスペースとして使用できる。パソコンで仕事をしたり趣味の作業場としても使えるだろう。就寝時は物置としても使える。
ダイネット

2名対座のダイネット
ダイネットモードでは5名がテーブルを挟んで対座できる。テーブルは大きいものではないが、コーヒータイムや2名程度での食事ができる。
テーブルを取り外してベッドボードをドッキングさせると、足を伸ばしてリクライニングして寛ぐことができる。なお、最後部のベッドボードは多段階にリクライニングできる。
ベッド

ダイネットベッド
ダイネットを展開すると、1950x1200mmのベッドになる。ただし、足元は両側にキャビネットがあるため、1000mmの幅になる。1200mmは家庭用のセミダブルベッドの幅に相当する。

ルーフベッド
ポップアップルーフバージョンでは、ルーフをアップすると、1900x1000mmのベッドを設置できる。1000mmは家庭用のシングルベッドの幅に相当するが、キャンピングカー要件では1名あたり500mmを設定しているので、2名が就寝できることになる。
ルーフベッドの設置はベッドボードを並べるのではなく、ベッドボードを下げるだけで良く、これもダンパーにより少ない力で昇降できる。
ギャレー

ギャレーセクション
ギャレーキャビネットは右側後部に設置されており、キャビネットの前方には丸形のシンクとフォーセットが設置されている。このフォーセットは天板と磁石で固定されており、フォーセット全体を取り外すことができる。
ユニットの中にはポンプが仕込まれており、シンク下の給水タンクから水を吸い上げる。取り外して使用できるので、ホースの届く範囲で車外で使用できる。ペットの足を洗ったりする場合便利だ。

シンクの下の給排水タンク
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けて車外から直接タンクを出し入れすることはできないことは無いが、体勢的に少し難しいかもしれない。
冷蔵庫/電子レンジ
残念ながら冷蔵庫はと電子レンジの設置は想定されていない。これらの設置スペースを設けるとキャビネットが大きくなり、ベッドなどのスペースが犠牲になるのを避けている。冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込んで対応すると良いだろう。
収納

ギャレー上部の収納
ギャレーの上部に小物収納が設けられている。小さな食器やカトラリーを収納したり、洗面用具を収納しておけるだろう。

左側キャビネットの収納
左側のキャビネットには上の写真のような収納が用意されている。

左側キャビネット後部の収納
左側キャビネットの後部にも収納が用意されている。リアゲートを開けて車外からアクセスできるので、ペットの遊び道具などを収納しておくこともできる。

ベッド下の収納
ベッドモード時はベッドの下は大きな収納スペースとして使用できる。
空調

左サイド後部窓に設置されたクーラー(OP)
2025年モデルからオプションでクーラーが選択できるようになった。オプション形態は「クーラーパッケージ」と「クーラーパッケージプラス」の2種類があり、プラスの方は200Ahのリチウムイオンバッテリーも装備される。
クーラーパッケージの方は外部電源、あるいは外部電源入力コネクタに接続するポータブル電源での運転が可能。サブバッテリーでは運転できない。
FFヒーターとマックスファンベンチレーターはそれぞれオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
テレビとナビは特にオプションリストに記載されていないが、テレビはフリップダウンモニターなどが取り付けできるだろう。ナビは好みのものを取り付できる。
電装系
標準では、AGM70Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電。それに外部100V電源入力とチャージャーが装備されている。 リチウムイオンバッテリーは先述の通り、クーラーパッケージプラスに200Ahが用意されている。
インバーターは400Ah正弦波がAGMバッテリー用に、1500W正弦波はリチウムイオンバッテリー用にそれぞれオプション設定されている。250W薄型ソーラーシステムもオプションで設置できる。
価格(2025年6月現在:千円台切り上げ:税込)
2WDは416万円~、4WDは455万円~となっている。ポップアップルーフ仕様は1,177,000円高。クーラーパッケージは385,000円、クーラーパッケージプラスは608,300円となっている。
付けておきたい必需オプションは、400W正弦波インバーター(55,000円)、1500W正弦波インバーター(181,500円)、FFヒーター(231,000円)が挙げられる。昨今の暑さを考えると、クーラーも必需装備と言えるだろう。(ナビ関連は除く)
他モデル
NV200バネットをベース車にするモデルで、2列目にマルチモードシートを持つモデルをピックアップすると、キャンピングカー広島のポップ・コン キャンパーR(468万円~)、ダイレクトカーズのリトリートNV200Ⅱ(419万円~)、東和モータース販売のツェルトNV(475万円~)、フジカーズジャパンのFOCSルソ(391万円~)、タコスのNV HOP(470万円~)、NV Jack(463万円~)そしてアネックスのウトネ200(464万円~)などがあるがクーラーが装備できるのは、カヌレ以外では、ポップコンキャンパーRとウトネ200のみとなっている。
これら2モデルはポップアップルーフバージョンも選択できる。
まとめ
NV200バネットをベース車にするバンコンモデルは軽キャンパーより広く、ハイエースバンコンよりコンパクトで運転しやすいことから、キャンピングカー入門用には適したモデルだ。
ただ、クーラーを搭載できるモデルは上記の3モデルしかなく、クルマ旅には欲しい冷蔵庫と電子レンジが搭載できるモデルは皆無だ、
コンパクトなバンコンでクルマ旅が目的なら、タウンエースベースを選択した方が選択肢も多いだろう。「ハイルーフタウンエースバンコン特集2025」や「タウンエースバンコン特集2024」を参照いただきたい。
NV200バネットベースのバンコンはどちらかというと日常用途にも使え、キャンピング用途としてはイベントやキャンプで車中泊を行うようなシティキャンパーとしての使い方が向いているだろう。
カヌレはそのような用途にセンス良く対応し、クーラーが装備できるようになったので快適な車内で過ごすことができる。
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