アルテ(ARTE)はアネックスが製作する、日産キャラバン標準ボディ標準ルーフをベース車にするバン・コンバージョンキャンピングカー。
同社は徳島県吉野川市を本拠にするビルダーで、リバティシリーズのカムロードキャブコンからリコルソやウィズのハイエースベースのバンコン、NV200キャラバンベースのカヌレ、アウトドアを意識したウトネシリーズなど、広いラインアップを展開している。
アルテはキャラバン標準ボディ標準ルーフのコンパクトなボディでシティキャンパーの機動性を持ちながら、充実した装備でクルマ旅にも対応でき、さらに小さな子供連れののファミリーにも対応するマルチパーパスのモデルとして位置づけられている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産キャラバン標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンモデル。コンパクトなボディかつ標準ルーフなので高さ制限のある駐車場にも駐車でき、街中での機動性に優れる。
さらに、横開き式冷凍冷蔵庫や電子レンジ、車載用クーラーやリチウムイオンバッテリーも搭載でき、クルマ旅にも対応できる。2列目の単座のマルチモードシートはプラス1名が前向き乗車でき、小さな子供連れのファミリーも対象ユーザーに含める。
アルテにはクーラーを搭載しない「標準」仕様、クーラーは標準装備するがリチウムイオンバッテリーは搭載していない「クーラーパッケージ」仕様、200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される「クーラーパッケージプラス」仕様、495Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される「クーラーパッケージ2」仕様の4種類が用意されている。
なお、キャラバン標準幅スーパーロングをベースにした「アルテ6」も発売が予定されている。
アピールポイント
・標準ルーフで制限のある駐車場にも駐車可能
・3名が前向き乗車、大人2名と小さな子供1名が就寝でき、ファミリーにも対応
・横開き式冷凍冷蔵庫や電子レンジを装備できクルマ旅にも対応可能
・車載用クーラーとFFヒーターで季節を問わず快適な車内
・最大495Ahの大容量リチウムイオンバッテリー搭載可能
ベース車とエクステリア
アルテのエクステリア
ベース車は日産キャラバン標準ボディ標準ルーフ(ロールーフ)バン。グレードは DXか上級グレードのEXを選択できる。EXではボディ同色バンパーやフロントメッキグリル、プライバシーガラスなどが標準となる。(仕様表はこちら)
ガソリン仕様は2WDと4WD、ディーゼル仕様は4WDが選択できる。エマージェンシーブレーキや踏み間違い衝突防止装置などの安全機能は全車に標準装備される。
ボディ外観への架装はデカール以外にないため、日常用途においてもほとんど目立つことはない。全高は1,990mmなので、高さ制限のある駐車場(2100mm以下)や地下駐車場にも入っていける。
インテリア
アルテのインテリア
ホワイトの家具と明るいグレーのシート地で、明るい感じのインテリアになっている。照明は同社のリコルソやウィズと同じでシーリングボードに埋め込んだスポットライトと間接照明でお洒落な印象となっている。
「ブラックライン」のインテリア
インテリアカラーのバリエーションとして、同社の他モデル同様、「ブラックライン」インテリア仕様も用意された。
レイアウト
走行モードのレイアウト
2列目に単座のマルチモードシートを設置。前向きにして1名が乗車できるので、計3名が前向き乗車できる。その他ベンチシートに3名、運転席と助手席、そのあいだの簡易シートに1名を合わせて7名が乗車できる。
2列目シートを前向きにした場合、テーブルを取り外して、2列目シートの前(助手席の後ろ)に移動することができる。この場合はオプションの「クランクテーブルポール」を購入する必要がある。
ダイネット
ダイネット
2列目の単座シートを後ろ向きにすると、3列目の単座の固定シートとで2名の対座ダイネットになる、横には3名が乗車できるベンチシートがあり、5名程度でテーブルを囲める。こちらのテーブルポールは標準装備。
ベッド
下段ベッド
シートを全てフラットにし、背もたれマットで中央の通路を埋めると、1900x1500mmのベッドになる。これは家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅以上の広さ。大人2名と子供1名が就寝できる。
上段ベッド
アルテの特徴のひとつは、後部に上段ベッドを設置できること。オプションのベッドマットを追加すると、子供がもう1名就寝できる。就寝時の荷物棚として、あるいはベッドモード時のテーブルとして使用することができる。ベッドマットは4枚まで追加することができる。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーは前部右側に配置されており、手前はエントランスなので立ち位置は広いスペースが確保されている。天板にはシンクとフォーセットがあり、シンクに蓋をするとフラットなカウンターとして使用できる。
フォーセットは磁石で天板に固定されており、取り外して使用できる。車外で使用することも可能だ。
給排水タンク
各12Lの給排水タンクは右サイドのスライドドアを開けると、車外から直接出し入れできるので大変便利だ。収納も用意されており、ペットのリードや屋外でのアクティビティの小物などを収納しておくのに便利だろう。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が用意されている。大きな収納ではないので収納できるものは限られているが、食器や小さな調理用具などを収納しておくのに便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備される。冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物や食品の保冷が同時にできる。エントランスの向かいにあるので、スーパーで買った食品を冷蔵庫に入れる場合などは楽にできる。
家庭用の100V仕様の電子レンジも標準装備され、ギャレーキャビネットにすっきりと収納される。
多目的ルーム
3列目シート下に収納されたポータブルトイレ
アルテに多目的ルームは無いが、簡易ポータブルトイレを3列目シート下に収納できるとしている。もちろんそこに収まるものである必要があるが、小さな子供がいるユーザーなら有用な場面があるかもしれない。
収納
標準ルーフでオーバーヘッド収納が設置できないため、収納は限られてしまうが、ギャレーキャビネットの他にも、シートの下やベッドの下に多少用意されている。
前部の簡易シート下の収納
2列目シートの前、助手席の後部に簡易シートが置かれているが、その下は収納になっている。テーブルのポールはここに収納できる。
ベッド下の収納
ベッドモードにした場合は通路部分がベッド下の収納として使用できる。スキー―多などの長い荷物も積み込むことができる。
後部のラゲッジスペース
最後部にはリアゲートを開けて車外から直接積み込むことができるスペースが用意されている。3列目シートのリクライニングを立ててしまうと背の高い荷物も積み込むことができる。
空調
車載用クーラー
アルテには標準仕様、クーラーパッケージ、クーラーパッケージプラス、クーラーパッケージ2の4種類の選択肢があり、標準仕様を除き、車載用セパレートクーラーが標準装備される。各クーラーパッケージはサブバッテリーが異なる(電源の項参照)。
FFヒーターとマックスファンもオプションで設置できる。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていないが、市販のフリップダウンモニターなどを設置できる。ナビのとこにオプションせていされていないが好みのものが設置できる。
電装系
ベンチシート下の電装系
標準仕様とクーラーパッケージでは80AhのAGMバッテリーが1個標準装備される。ただしクーラーはサブバッテリーでは使用できず、外部電源での使用に限られる。クーラーパッケージプラスには200Ah、クーラーパッケージ2には495Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。
その他の電装系では走行充電と外部電源入力は全仕様に、1500Wインバーターはオプションで設置できる。クーラーパッケージ2には3000Wインバーターが標準装備される。なお、ポータブル電源は全仕様にプラグインできる。
計500Wのソーラーシステム(OP)
250Wのソーラーパネルが2枚、計500Wの大容量ソーラーシステムがオプションで設置できる。
価格(2025年10月現在:千円台切り上げ:税込)
最も安価なDXグレード ガソリン2WD 標準仕様は534万円~、最も高価なEXグレード ディーゼル4WD クーラーパッケージ2は770万円~となっている。現実的な仕様の一例として、EXグレード
ガソリン2WD クーラーパッケージプラスは613万円~だ。(価格表はこちら)
クーラーパッケージプラスの場合、付けておきたい必需オプションは、1500W正弦波インバーター(181,500円)、FFヒーター(231,000円)が挙げられる。また、予算が許せば500Wソーラーシステム(330,000円)も付けておきたい。(ナビ関連は除く)
他モデル
コンセプトが最も近いモデルはレクビィのソラン(786万円~:ガソリン2WD)が挙げられる。ソランはハイエース標準ボディ標準ルーフがベース車で、車体サイズはアルテとほぼ同じ、レイアウトもほぼ同じだ。
49L横開き式冷凍冷蔵庫、電子レンジ、家庭用セパレートエアコン、FFヒーター、200Ahリチウムイオンバッテリー、236Wソーラーシステムまで標準装備で、ほぼフル装備となっている。ハイエース標準ボディハイルーフ、ワイドロングミドルルーフ、スーパーロングの各ベース車も選択できる。
二人でのクルマ旅がメインなら、同社のウィズ(680万円~:2WD ホームエアコン搭載モデル)も検討すると良いだろう。ハイエース標準ボディハイルーフがベース車なので圧迫感が軽減される。200Ahリチウムイオンバッテリー、105Wソーラーシステムなどほぼ標準装備だ。ただし冷蔵庫は30L引き出し式になる。
OMCのキャラバン ZERO(693万円~:ガソリン2WD)もキャラバン標準ボディ標準ルーフをベース車にしたモデルだが、アルテのベンチシートのところが常設縦置き2段ベッドになり、後部には簡易トイレルームも装備している。アルテのような広々感は無いが、常設ベッド、トイレルーム、フル装備は魅力ではある。
まとめ
アルテは標準ボディ標準ルーフをベース車にしているため、街中の機動力が良く、また、クルマ旅に必要な装備も整っている。更に、3名が前向き乗車できるので、小さな子供をもつファミリーにも対応できる。即ち、これ1台で様々に使用できる。
しかし一方では、シンプルな装備で良いシティキャンパーには装備が多すぎるし、クルマ旅がメインのユーザーには標準ルーフは圧迫感がある。従って、目的がはっきりしている場合は、その他の選択肢も考えると良いだろう。
例えば二人旅がメインの使い方なら、同社のウィズの方が適しているだろうし、アウトドアユースでシンプルな装備が良いならウトネ500という考え方もある。また、アルテと同じレイアウトや装備で良いがもっと広い室内が良ければ、今後発売が予定されているキャラバン標準幅スーパーロングバージョンを待つという選択肢もある。
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