パピィ480 SG仕様(2025年モデル):キャンパー厚木


パピィ480キャンパー厚木が製作する、トヨタカムロードをベース車にするキャブコンキャンピングカー。

同社は神奈川県厚木市に本拠を置くビルダーで、カムロードベースのパピィシリーズと軽バンコン、およびトヨタプロボックスベースのモデルをラインアップしている。

パピィシリーズは同社の主力モデルで、2020年に発表されたパピィ480はカムロードベースながらコンパクトさを謳った画期的なモデルで大好評となり、現在各社から発売されているコンパクトカムロードキャブコンの先駆けとなっている。

特に1740mmの車幅はノアやヴォクシーとほぼ同じで、運転しやすく、家庭のカーポートやコインパーキングにも駐車できる。現在他社から発売されているコンパクトカムロードキャブコンでこの車幅を持つモデルは存在しない。

パピィシリーズにはパピィ480の他、二人旅仕様のパピィフルハウス、全高も低くしたパピィ210、リアエントランスレイアウトを採用し、全長を多少伸ばしたグランドパピィがラインアップされている。

2025年にはレノジーの個体リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したSG仕様を追加した。なお、ディープサイクルバッテリーを標準装備した従来の標準仕様も選択できる。


(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


概要

トヨタカムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。コンパクトなシェルを架装し、コインパーキングなどへの駐車を容易にするほか軽量化を図っている。

4名が前向き乗車でき、4名が就寝可能。ファミリーでのクルマ旅にも対応できる。

家庭用エアコンやFFヒーターを標準装備し、2025年には大容量個体リチウムイオンバッテリーを標準装備したSG仕様を追加した。


アピールポイント

・ノアやヴォクシーとほぼ同じ車幅で運転や駐車がしやすい
・ファミリーでのクルマ旅に対応
・トイレルームにもできる多目的ルーム
・家庭用エアコンとFFヒーターを標準装備
・416Ahの大容量個体リチウムイオンバッテリーを標準装備


ベース車とエクステリア

 パピィ480のエクステリア

ベース車はトヨタカムロード。ガソリン2WDとディーゼル4WDが選択できる。トレッドはガソリンディーゼルとも標準トレッドを採用。「自動ブレーキ」「車線逸脱警報」「誤発進抑制機能」などの安全機能も標準装備される。

このベース車にFRP一体成型のシェルを架装。全長1880ミリ、全幅1740ミリと、ノアやヴォクシーと同程度の車体サイズで運転しやすく駐車しやすいのが特長。


インテリア

 パピィ480のインテリア

木目の家具、白の家具扉、ベージュ系のシートで落ち着いたインテリアとなっている。オプションでシートをフェイクレザーへ変更できるが、家具色やシート色の変更については不明。希望の場合はビルダーの相談すると良いだろう。


レイアウト

 レイアウト

前部にダイネット、後部にギャレーと多目的ルームを配置するが、常設ベッドは無い。他車のコンパクトカムロードキャブコンは多くの場合後部に常設横置き2段ベッドを配置しているが、そのため車幅は1900ミリ程度は必要になる。

逆に言えば、パピィ480は常設横置きベッドを諦めたからこそ1740ミリの車幅を実現した。確かにベッドはあった方が良いかもしれないが、狭い車幅を支持するユーザーも多かったということがパピィ480の好評から分かる。

乗車定員は、ガソリン車7名、ディーゼル車9名となっているが、長距離を移動する場合は、前向き乗車の席以外は乗り心地や安全面で現実的ではない。即ち、クルマ旅なら4名までが適している。


ダイネット

 4名対座のダイネット

ダイネットは4名が対座でき、後部にはベンチシートもある。2列目と3列目のシートは固定だが、3列目シートは腰の部分が傾斜してランバーサポートのようになっている。これはベッド展開時にはフラットになる仕掛けで、ちょっとしたことだがユーザーサイドに立ったアイデアだ。

テーブルは大きく、4名で食事するのにも十分な大きさだ。ダイネットサイドには大きなアクリル2重窓があり、網戸とシェードが組み込まれている。


ベッド

ベッドはバンクベッドとダイネットを展開するダイネットベッドの2か所があり、4名が就寝できる。

 バンクベッド

まずバンクベッドは1900x1600ミリの大きさ。これは家庭用のクイーンサイズベッドの幅に相当する。ベッド展開は、2025年モデルでは引き出し式から上の写真のような跳ね上げ式に変更された。右側のみアクリル2重窓をオプションで追加できる。

 ダイネットベッド

ダイネットを展開すると、1900x1000ミリのベッドになる。これは家庭用ではシングルベッドの幅に相当するが、キャンピングカー要件では2名が就寝できる。ベッド展開はテーブルをベッドボードとして使い、その上に背もたれを移動するだけで完成する。


ギャレー

 常設コンロのあるギャレー

ギャレーは最後部に配置されており、L字型の使いやすいギャレーとなっている。天板にはシンクとフォーセット、および、蓋を開けるとカセットコンロが常設されている。

このクラスのキャブコンの多くのモデルでは、カセットコンロをいちいちセットする必要があり、調理を頻繁にするユーザーには大変不便だ。パピィ480では高価な2口常設コンロではないが、コンロがすぐ使えるように工夫されている。これもユーザー目線の設計と言える。

 20L給水タンク

給水タンクは車体後部左サイドの車外から直接出し入れできるようになっている。ここはちょうどギャレーの下に位置する。47Lの排水タンクは床下に固定されている。レバーを引くことにより排水される。


冷蔵庫/電子レンジ

 65L横開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は65L横開き式が標準装備される。冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物や食品の保冷が同時にできる。エントランスの横にあるので、スーパーで買った食品を冷蔵庫に入れる場合などは便利だ。

家庭用の100V仕様の電子レンジ(電源工事含む)がオプションで設置できる。ギャレーキャビネットの収納のひとつにすっきりと収納できる。電子レンジはクルマ旅にはほぼ必需装備なので、是非標準装備にしていただきたい。


多目的ルーム

 トイレルームとしても使用できる多目的ルーム

多目的ルームにはポータブルトイレやラップ式トイレを設置してトイレルームにすることができる。床にFRP製のシャワーパンと排水口をオプションで設置できる。FFヒーターの吹き出し口もあるので、冬場に寒い思いをすることは無い。

車外からアクセスできるドアもオプションで追加できる、スキーウエアなどの濡れたものを直接積み込む場合に便利だ。


収納

パピィ480の収納は、先述のギャレーの収納の他、オーバーヘッド収納、シート下収納、外部収納があり充実している。

 オーバーヘッド収納

ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置されており、奥行きも深く、大きな収納力がある。

 ベンチシート下の収納

後部のベンチシートの下も収納になっている。

 後部の外部収納

外部収納は3か所あり、後部に2か所が設置されている。上の写真の左側の収納はギャレーキャビネットの項で記した収納で、車内からもアクセスできる。右側の縦長の収納は外部収納専用で、スキー板のような長い荷物を収納することもできる。

更に後部右サイドには水洗いができる外部収納があり、濡れたものや汚れたものを積んでおくのに便利だ。


空調

 家庭用エアコンを標準装備

家庭用セパレートエアコンが標準装備される。室内機はギャレー上部に設置されており、前方に向かって冷気を噴出するので、効率的に車内を冷やすことができる。室外機は車体後部左サイドに設置されている。

 ベンチレータアー

ベンチレーターはバンクベッドの天井部に設置されているが、ルーフ上面を凹ませて設置されている。これはもちろん車高を低く抑えるためのものだ。確かにベンチレーターだけで全高が高くなっている他モデルも多くあり、Puppy480ではそこまで考えられた設計がされている。

唯一気になるのは、ベンチレーターの位置。できればギャレーの上部、あるいはそれに近い位置が望ましいが、換気がメインの理由ならこの位置でも問題無いだろう。ギャレー上部に専用のレンジフードがあっても良いかもしれない。


テレビ/ナビ

テレビは特にオプションリストに無いが、取り付けは可能だろう。ナビも指定のオプションは無いが、好みのものを取り付けられる。


電装系

電装系は2025年モデルのSG仕様が追加され、最も大きく変わった部分だ。SG仕様には416Ah(104Ah×4個)のリチウムイオンバッテリーが標準装備されるが、これは個体リン酸鉄バッテリーとしている。

全個体バッテリーはトヨタをはじめ複数のメーカーが開発しているが、まだ製品化されていない。今回パピィ480SGに採用されたものは米国のRenogy(レノジー)製で「液体電解質を70%削減する」と謳われている。全個体ではないが、それでも安全性は従来のリン酸鉄リチウムよりも高いとされている。

パピィ480SGのその他の電装系では、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーターが標準装備される。更に720Wの大容量ソーラーシステムが標準装備されるのも特筆される。


価格(2025年10月現在:千円台切り上げ:税込)

パピィ480 SG仕様の価格は、ガソリン2WDは984万円~、ディーゼル4WDは1077万円~となっている。標準仕様はそれぞれ、863万円~、956万円~。

クルマ旅に使用するなら(ほとんどの場合そうだと思われるが)付けておきたい必需オプションは、電子レンジ(40,700円)が挙げられる。(オプションリストはこちら)(ナビ関連は除く)


他モデル

パピィ480の好評を見て、多くのコンパクトカムロードキャブコンが発表された。中でもナッツRVはアレッタ(950万円~:ガソリン2WD、全長4850ミリ/全幅1950ミリ:リチウムイオンバッテリーはオプション)とジョリビー(799万円~:ガソリン2WD、4790ミリ/1960ミリ:同)の2車種を発売している。

アレッタは高級志向、ジョリビーは廉価志向の位置付け。なお、東和モータース販売のレーベンはアレッタの姉妹車(装備と価格は同じ)。

どちらも後輪は、ガソリン仕様は標準トレッド、小径ダブルタイヤ、ディーゼル仕様はワイドトレッド、同径ダブルタイヤで、ディーゼルも標準トレッドのパピィ480と異なる。

その他には、AtoZのACE-M(765万円~:ガソリン2WD、4650/1940ミリ、リチウムイオンバッテリー設定なし)、ダイレクトカーズのオステリア(798万円~:ガソリン2WD、4850/1920ミリ、リチウムイオンバッテリーはオプション)、バンテックのトリアス480(995万円~:ガソリン2WD、4800/1960ミリ、リチウムイオンバッテリー標準装)が挙げられる。

この中で、ジョリビー、ACE-M、オステリアがいずれも700万円台の価格を付けているが、リチウムイオンバッテリーは価格に入っていない。


まとめ

パピィ480の最大の特徴は、車幅が狭いこと。これは駐車スペースを重視するユーザーには長所だが、車内の広さや常設ベッドを重視するユーザーには短所だ。しかし、パピィ480が高評価された事実は、この特徴を長所と見たユーザーが少なからずいたことを表している。

そのパピィ480の最大の短所がリチウムイオンバッテリーの欠如だった。しかしSG仕様の追加によってその短所は解消され、強力な電装システムを持つモデルとなった。これでパピィ480はほぼ完成型になったが、インテリアの見せ方などは今後の課題かもしれない。

しかし、充実した装備と強力な電装系、そして随所に埋め込まれた様々なユーザー目線のアイデアは、パピィ480およびパピィシリーズの優位点と言える。コンパクトなカムロードキャブコン、特に駐車場の問題で車幅の短いモデルを探しているユーザーには最適のモデルだ。


関連記事

グランドパピィ

パピィフルハウス

パピィ210

     

モデル パピィ480
SG
トリアス480
EcoFlow仕様
ジョリビー グランデ
TypeW/TypeX
ビルダー キャンパー厚木 バンテック ナッツRV
ナンバー区分 8 8 8
乗車人数 7(ガソリン)/9(ディーゼル) 7(2WD) 6(4WD) 7(2WD) 6(4WD)
前向き乗車人数 4 2 4
就寝人数 4 4 5
エクステリア      
ベース車 カムロード カムロード カムロード
エンジン ガソリン
ディーゼル
ディーゼル ガソリン
ディーゼル
トレッド 標準(ガソリン/ディーゼル) ワイド 標準(ガソリン)
ワイド(ディーゼル)
リアタイヤ 小径(ガソリン)
同径(ディーゼル)
同径 小径(ガソリン)
同径(ディーゼル)
シェル FRP一体成型 FRP一体成型 FRPパネル
サイドオーニング OP OP OP
足回り OP OP OP
エントランス センター センター センター
アクリル2重窓
サンルーフ - OP -
レイアウト      
ダイネット形態 4名対座 ベンチシート
+横座り対座
4名対座
マルチモードシート - - -
ベッド バンクベッド
ダイネットベッド
ダブルベッド
バンクベッド
ダイネットベッド
2段ベッド/ダブルベッド
バンクベッド
ダイネットベッド
常設ベッド -
リア2段ベッドサイズ(mm) - 1860x735(上段OP)
1860x700(下段)
1806x720/620(TypeW)
リアダブルベッドサイズ(mm) - - 1806x1200(TypeX)
バンクベッドサイズ(mm) 1900x1600 1870x1120 1806x1790
ダイネットベッドサイズ(mm) 1900x1000 1860x1400
1860x1780(OP)
1920x900
ギャレー      
コンロ ○(常設カセット) OP(カセット) OP(カセット)
シンク
給水タンク ○(20L) ○(20L) ○(19L)
排水タンク ○(47L) ○(20L) ○(19L)
冷蔵庫 ○(65L横開き) ○(85L横開き) ○(60L2ドア横開き)
電子レンジ OP
多目的ルーム      
有無 有(ベッドルーム兼) 有(TypeW)
カセットトイレ - - OP
ポータブルトイレ OP OP OP
防水処理 OP(シャワーパン) -
温水シャワー - - -
瞬間湯沸かし - - -
専用手洗い - - -
空調      
ベンチレーター ○(マックスファン) ○(マックスファン) OP(マックスファン)
FFヒーター OP
冷房装置 ○(家庭用セパレート) ○(家庭用セパレート) ○(家庭用セパレート)
床暖房 - - -
電装系      
ディープサイクルバッテリー - - ○(100Ah x3)
リチウムイオンバッテリー ○(個体416Ah:5000Wh) ○(6000Wh) OP(300Ah:3600Wh)
バッテリー増設 - - -
走行充電システム
外部100V入力/充電 ○/○ ○/○ ○/○
インバーター ○(2000W正弦波) ○(3000W正弦波) ○(1500W正弦波)
ソーラーシステム ○(720W) OP(MAX720W) OP(280W)
発電機 - - -
ナビ/テレビ      
ナビシステム OP OP OP(7/10型)
テレビ OP OP OP(19型)
サイズ      
全長(mm) 4,880 4,800 4,790
全幅(mm) 1,740 1,960 1,960
全高(mm) 2,750 2,700 2,720
価格 (税込)      
ガソリン2WD/6AT 984万円~- 995万円~ 799万円~
ディーゼル2WD/6AT - 1120万円~ 878万円~
ディーゼル4WD/6AT 1077万円~- 1139万円~ 901万円~

2025年10月現在  (○は標準装備/OPはオプション) 価格は千円台切り上げ(税込)ベース車の価格は常に変動するため、最新価格は各ビルダーにお問い合わせください。

動画はこちら

2025.10.15