JolyBee(ジョリビー)はナッツRVがジャパンキャンピングカーショー2025で発表した、カムロードをベース車にする全長5mを切るキャブコンキャンピングカー。
同社は、セミフルコンから軽バンコンまでラインアップする最大手の総合ビルダーのひとつで、カムロードベースのキャブコンだけでも、クレア/スティング、クレソンジャーニー、アレッタ、ジープニーの各シリーズをラインアップする。
ジョリビーは、更にこのラインアップに追加されるシリーズで、同社のカムロードキャブコンでは最も小型で最も安価なモデルの位置付けとなる。
なお、ジョリビーには幾つかの装備を省いた廉価版の「アバンテ」と、通常必要となる装備を標準にした「グランデ」があるが、ここでは「グランデ」について書いている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
カムロードをベース車にするキャブコンキャンピングカー。全長が4790mmで、同社のカムロードキャブコンの中では最も小型となり、「運転しやすさ」をアピールする。
レイアウトは後部に2段ベッドを持つTypeWとダブルベッドを持つTypeXがある。また、装備を限定した「アバンテ」仕様と、必需装備を標準にした「グランデ」仕様がある。家具色は2種類から選択できる。
全長が20cm長いジープニーとほぼ同じ仕様で、高断熱FRPコンポジットパネル構造も同様。全車に家庭用エアコンを標準装備するが、ジープニー同様、リチウムイオンバッテリーはオプションとされている。
アピールポイント
・全長が4790mmで運転しやすい
・同社のカムロードキャブコンでは最も安価
・高断熱FRPパネルのシェルを架装
・2段ベッドとダブルベッドを選択可能
・ベッドにはウッドスプリングを採用
・2種類のインテリアカラー
・廉価版「アバンテ」仕様を用意
・家庭用エアコンを標準装備
・アイドリングでエアコンを連続運転できる「EVOLITE」電装システムを搭載
・300Ah相当のリチウムイオンバッテリーを選択可能(OP)
ベース車とエクステリア

ジョリビーのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード。2.0Lガソリンと2.8Lディーゼルターボが選択でき、ガソリン車は2WD、ディーゼル車は2WDと4WDが選択できる。トレッドはガソリン車が標準(ナロー)、ディーゼル車はワイドを採用。また、ガソリン車は後輪が小径となる。
このベース車に、同社独自の高断熱FRPコンポジットパネル工法のシェルを架装する。ジョリビーの最大の特徴は、全長が4790mmと、ジープニーより20cm短く、同社のカムロードキャブコンでは最も小型となっている。
インテリア

「ダークオーク」のインテリアカラー
同社のモデルに共通する洗練されたインテリアで、インテリアカラーは「ダークオーク」と「パウダーオーク」の2種類から選択することができる。上は「ダークオーク」のインテリアカラー。

「パウダーオーク」のインテリアカラー
上は「パウダーオーク」のインテリアカラー。ジープニーも同様に2種類から選択できるが、デザインは多少異なっている。
レイアウト
後部に横置き2段ベッドを持つ「TypeW」と、横置きダブルベッドを持つ「TypeX」の2種類から選択できる。TypeWでは多目的ルームを持つが、TypeXは持たない。この2つはキャブコンでは典型的なレイアウトだが、ジープニーで追加されたリアエントランスの「TypeR」は現在設定されていない。
全長が短縮された影響は主にベッドの幅に表れており、ジープニーはより広いベッド幅を確保している。
ダイネット

TypeWのダイネット
TypeWでは4名対座に加え横座り単座シートが用意されているのが特徴。テーブルは広く、4名が無理なく食事をすることができる。ダイネットサイドには大きなアクリル2重窓があり、パノラミックな車窓を楽しめる。
ベッド
ベッドは後部の常設ベッド、運転席、助手席の上部にあるバンクベッド、ダイネットを展開するダイネットベッドの3か所がある。

TypeWの2段ベッド
まず、後部の常設ベッドは、TypeWでは横置き2段ベッド、TypeXでは横置きハイマウントダブルベッドが設置される。TypeWの横置き2段ベッドは、上下段とも1806x720mmの大きさ。足元は多目的ルームがあるため多少狭くなっており、620mmの幅となっている。
ジープニーTypeWでは、1806x820/720mmなので、ジョリビーTypeWの2段ベッドははジープニーTypeWに比べて10cm幅が狭いことになる。

TypeXのダブルベッド
TypeXの横置きダブルベッドは、1806x1200mmの大きさ。ジープニーTypeXでは、1806x1400mmなので、ジープニーTypeXに比べて20cm幅が狭いことになる。家庭用では1200mmの幅はセミダブルベッド、1400mmはレギュラーダブルベッドの幅に相当する。
TypeW、TypeXのベッドとも、ウッドスプリングを採用。快適な寝心地が期待できる。TypeWは上下段ともウッドスプリングが採用されているのは特筆できる。(ジープニーも同様)

TypeXのバンクベッド
次にバンクベッドは、TypeWとTypeXは同じで1806x1790mmの大きさ。1790mmの幅は家庭用ではキングサイズベッドの幅(1800mm)に近く、大人が3名就寝できる。ベッドサイズはジープニーも同じだ。
ベッドセットは、台座を引き出し、ベッドマットを並べて行う。特に大きな力は不要だが、マットを並べるのが多少面倒ではある。

TypeXのダイネットベッド
ダイネットを展開してできるダイネットベッドは、TypeW、TypeXとも1920x900mmの大きさ。家庭用のシングルベッドの幅(1000mm)に近く、十分実用に耐える大きさだ。これもジープニーと同じサイズとなっている。
ギャレー

TypeXのギャレーキャビネット
ギャレーキャビネットの天板にはシンクとシャワーフォーセットが埋め込まれている。コンロ(OP)はカセットコンロをセットして使用する。シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使うことも可能だ。
TypeWではシンクの下に各19Lの給排水タンクが収納されているが、TypeXでは後部ベッド下の収納スペースに設置されており、ギャレーキャビネットは収納になっている。そのため、TypeXでは引き出しと観音開きの収納になっている。
冷蔵庫/電子レンジ

60L横開き式2ドア冷蔵庫が標準装備される
60L横開き式2ドア冷蔵庫が標準装備される。このクラスで2ドア冷蔵庫は稀だが、冷凍室が広く、クルマ旅での冷凍食品の保冷には便利だ。

電子レンジも標準装備される(写真はジープニーTypeX)
家庭用の100V仕様の電子レンジも標準装備されるが、展示車には設置されていなかった。上の写真はジープニーTypeXの電子レンジだが、同様ならこの位置に収納されるのだろう。
多目的ルーム

TypeWの多目的ルーム
TypeWには多目的ルームがあるが、収納スペースとしてはもちろん、トイレを設置してトイレルームとすることができる。コンパクトカセットトイレやポータブルトイレがオプションで用意されているが、展示車にはLoo Seal(ルーシール)というドイツ製のラップ式トイレ(OP)が設置されていた。
FFヒーターの吹き出し口も用意されているので、トイレ時に寒い思いをすることは無い(ただし、FFヒーターはオプション)。なお、ジープニーにはオプション設定されている温水シャワーは、ジョリビーには設定が無い。
収納

ダイネット上部のオーバーヘッド収納
ダイネット上部、ギャレー上部にオーバーヘッド収納が設置されているが、TypeXではベッドルームの上部にも、オーバーヘッド収納が設置されている。

TypeWの外部収納
後部ベッド下は大きな収納スペースになっている。TypeWでは左サイドに縦長の開口部があり、大きな荷物を車外から積み込むことができる。ただし、ベッドボードを取り外して自転車を積み込むには、開口部の高さがもう少し必要かもしれない。

TypeXの外部収納
TypeXでは広いベッドの分、広い外部収納になっている。両側の開口部に加え後部にも開口部があるので、アクセスしやすい。
空調

家庭用セパレートエアコンを標準装備
TypeW、TypeXとも家庭用セパレートエアコンを標準装備する。室内機は、TypeWはエントランスの上部、TypeXはベッドルームに設置される。FFヒーターとマックスファンベンチレーターはオプション。これらは必需装備なので標準装備して欲しいところだ。
テレビ/ナビ
テレビは19型がオプションで用意されている。ナビは7型や10型がオプションで用意されているが、持ち込みで好みのナビを取り付けることもできる。
電装系
サブバッテリーは100Ahのディープサイクルバッテリーが3個(計300Ah)標準装備される。300Ah相当のリチウムイオンバッテリーはオプションで設置できる。
その他の電装系は、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターが標準装備される。280Wクラスソーラーシステムはオプションで設置できる。
価格(2025年2月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WDは799万円~、ディーゼル2WDは878万円~、ディーゼル4WDは901万円~となっている。なお、廉価版として装備を落とした「アバンテ」仕様があり、これはガソリン2WDが699万円~となっている。
しかし、100Ahのディープサイクルバッテリーが1個でだったり、冷蔵庫や電子レンジ、1500Wインバーターが付いていないという仕様で、クルマ旅に使うのは現実的ではない。自分でビルドアップするといったユーザー以外は、「グランデ」仕様をお勧めする。
付けておきたい必需オプションは、FFヒーター(261,690円)がある。また、家庭用エアコンが標準装備されているので、リチウムイオンバッテリー(495,000円)やソーラーシステム(236,280円)も搭載しておきたい。(ナビ関連は除く)
他モデル
5m以下のカムロードキャブコンは多々あるが、特に全長を短くしたモデルを挙げると、AtoZのACE-M(4650mm:765万円~)とアンソニーライト(4630mm:757万円~)、キャンパー厚木のパピィ(4850mm:863万円~) 、ナッツRVのアレッタと東和モータース販売のレーベン(4850mm:950万円~)がある。(価格はいずれもガソリン2WD)
このうち、AtoZのACE-Mはニューモデルで、価格的にもジョリビーTypeXとの競合になるだろう。また、パピィシリーズは1740mmで車幅も短く(ジョリビーは1960mm)、もちろんレイアウトもジョリビーと異なっている。
まとめ
ユーザーにとって最も迷うところは、ジョリビーとジープニーの違いだろう。確かに全長は短い方が運転しやすいかもしれないが、その差はわずか20cmだし、どちらも5m未満なのでフェリーの料金は変わらない。
価格的にも14万円しか変わらないし、装備やインテリアも大きく変わらない。従って、20cmの差でどの程度運転しやすいのか、がポイントになる。これは個人の感覚にもよるだろうが、実際はあまり変わらないのではないだろうか。
であれば、少しでも広いベッドのジープニーを選択しておくのが良策のような気がする。ジープニーより小型で運転しやすいモデルを作るなら、車長よりむしろ車幅だろう。その点、パピィシリーズは的を射ているように思われる。
同社は一般的な2x5mの駐車枠に駐車できるモデルシリーズを急激にそろえてきた。車幅を2mを切るようにしたジープニー、そのサイズ感で少し高級感を持たせたアレッタまでは理解できるが、ジョリビーは少し理解が難しいモデルだ。
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