アンソニー ライトはAtoZが製作する、カムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
「アンソニー」は同社のカムロードベースキャブコンのラインアップで「アンソニー」、「アンソニーLE」、「アンソニー スペンド」の3モデルがある。これらは全て全長が4980mmだが、これに対し「アンソニーライト」は4630mmと短くし、より扱いやすくしたモデル。
価格も50万円以上安価になっており、カムロードキャブコンでは最安価なモデルのひとつだ。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
カムロードをベース車にする5m未満のキャブコンで、同社のアンソニーよりも車長を350mm短くし扱いやすくしたと同時に、より手ごろな価格設定となった。
レイアウトはアンソニーと同じ横置き2段ベッドを採用しているが、多目的ルームが省かれている。
同社の各モデルで展開される「選べるインテリア」コンセプトも同様に用意されており、3種類が用意される。
クーラーもオプションで選択できるようになり、安価な家庭用ポータブルクーラーか、車載用セパレートクーラーを選択できる。
アドバンテージポイント
・短い車長で取り回しが楽
・比較的安価な価格設定
・選べるインテリア
・リクライニングできるダイネットシート
・クーラー設置可能
ベース車とエクステリア

アンソニーライトのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード ワイドトレッドダブルタイヤ。新型カムロードは全車ダブルタイヤになる。これにFRPパネルのシェルを架装している。
特徴は全長4630mmのショートボディ。アンソニーの全長が4980mmなのに対し、350mm短くなっている。ただし、車幅はアンソニーが1910mmに対し、アンソニーライトは1995mmと85㎜広くなっている。
インテリア

「Fiore(フィオーレ)」のインテリア
同社はインテリアをコンセプトとしてアピールする戦略をとっており、アンソニーライトも同様にインテリアコーディネーターの手による3種類のインテリアカラーが用意されている。
「Fiore(フィオーレ)」「Porto(ポルト)」「Bosco(ボスコ)」の3種類から選択でき、写真の展示車はフィオーレ。
家具色は同社おなじみの白木調のもので、明るくカジュアルな室内を演出している。家具や照明は特別凝ったものではないが、デザインとインテリアの巧みさで、カジュアルでお洒落な室内になっている。
レイアウト
アンソニーライトのレイアウトは1種類のみで、アンソニーLEのようなリアエントランスのモデルがあるわけではない。
レイアウトは前部の対座ダイネットと中央のギャレー、後部の横置き2段ベッドから構成され、アンソニーにある多目的ルームは省かれている。そのためショートボディながら無理のないレイアウトになっている。
乗車定員はダイネットに4名、運転席、助手席と補助シートで3名が乗車でき、計7名が乗車できる。また、5名が前向き乗車でき、4名が3点式シートベルトを使用して前向き乗車できる。
就寝人数は後部の2段ベッドに2名、ダイネット展開ベッドに2名、バンクベッドに子供が3名就寝できる。従って計大人4名と子供3名が就寝できる。
ダイネット

リクライニングできるダイネット
2列目と3列目のシートはマルチモードシートが採用されているため、リクライニング可能だ。多くのキャブコンモデルはダイネットシートは固定式でリクライニングできないので、これはアンソニーライト(アンソニーも含め)のダイネットの優位点と言える。
ただし大きくリクライニングできるわけではない。垂直に立っているシートバックに比べて多少傾斜を付けられる程度だが、それでもはるかに楽だろう。
ベッド

後部の常設横置き2段ベッド
ベッドは3か所にある。まず、後部の常設横置き2段ベッドは、上下段とも1850x800mmの大きさ。アンソニーの同ベッドが1800x650mm(最大幅750mm)なので、アンソニーよりベッド幅は広い。

大人が2名就寝できるダイネットベッド
次にダイネット展開ベッドは1900x1260mmの大きさ。1260mmは家庭用のセミダブルベッドの幅(1200mm)より少し広い。ここでも大人が2名就寝できる。
ベッド展開はマルチモードシートなので多少面倒だ。通常カムロードベースキャブコンのダイネットベッドがシートバックを移動させるだけなので、この点についてはデメリットではある。
ただし、このマルチモードシートは横方向にもスライドし、サイドマットを追加できるため、広い幅を確保できる。キャブコンでもリアエントランス以外でこのような広いダイネットベッドは珍しく、1900mmの長さも優位点と言える。

子供3名が就寝できるバンクベッド
最後にバンクベッドは、1800x1500mmの大きさ。ここでは子供3名が就寝できるとしているが、大人2名でも就寝できるだろう。
このバンクベッドの特徴は常設ベッドだということ。他モデルのようにスライドしたり跳ね上げたりする必要はない。ただし、その分キャブ部のルーフは低いことになる。
ギャレー

ギャレーセクション
ギャレーキャビネットの上面には実用的な大きさのシンクとシャワーフォーセットがビルトインされている。シャワーフォーセットは引き出して窓から出し、車外で使うこともできる。
上面には調理スペースも用意されており、ポータブルカセットガスコンロを必要に応じてセットして使える。ただし跳ね上げ式の調理台は用意されていないので、ガスコンロを置くと調理面は無くなってしまう。

各10Lの給排水タンクを収納
ギャレーキャビネットの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。冷蔵庫があるのでエントランスの近くに置けないため、車外から直接出し入れできないのが多少難点ではある。

ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納があり、カトラリーなどを収納しておくのに便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ

49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備される。もちろん冷凍室があり、冷凍食品の保存や製氷が、冷蔵とは別にできる。エントランスの横に配置されているので、車外から冷たい飲み物などを取り出すことができる。

電子レンジはここに収納できる
展示車に電子レンジは装備していなかったがオプションで用意されており、ギャレー上のオーバーヘッド収納に設置できる。あらかじめ100V電源が用意されているので、自分で好みのものを購入してDIYできるかもしれない。
なおインバーターはオプションのため、外部電源が無いところで電子レンジを使いたい場合は、1500W以上のインバーターを設置する必要がある。ポータブルバッテリーを使用する場合は、100V出力のワット数が対応できるものを選択する。
多目的ルーム
アンソニーライトには多目的ルームは無い。また、それがこのモデルの特徴で、多目的ルームを省いたことにより、余裕のあるダイネットや広い幅の2段ベッドが可能になっている。
なおベッド下には広い収納スペースがあり、ポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。小さな子供がいる場合などは助かる。
収納

ダイネット上のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納がダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム3面に設置されている。ただ、アンソニーに比べ車高が100mm程度低いのが理由かもしれないが、オーバーヘッド収納の高さが多少低いように思われる。

エントランスの左側のシューズボックス
エントランスの左側にはシューズボックスが用意されている。容量は大きく、多くの靴を収納しておくことができる。

ベッド下の外部収納
ベッド下は大きな外部収納になっている。両側にバゲッジドアがあり、どちらからでもアクセスできる。また、ベッドボードを取り除くと、上方向にも大きな収納スペースになり、小型の自転車などを収納することができる。
空調

家庭用ポータブルクーラーを設置できる
暖房はFFヒーターがオプション設定されており、冷房は上の写真のような家庭用ポータブルクーラーか、車載用セパレートクーラーがオプションで設置できる。
家庭用ポータブルクーラーは100Vで動作するため、外部電源か、あるいはバッテリーーで動作させるためには1500W程度のインバーターを搭載する必要がある。また、もちろん車外への排気処理もされている。

12Vで動作する車載用セパレートクーラー
一方、車載用セパレートクーラーは12Vで動作するため、インバーターは不要だ。ただし外部100V電源で動作させる場合は、100Vを12Vに変換するコンバーターが必要になる。
車載用セパレートクーラーはスマートに取り付けられるが、価格的には高価だ。
テレビ/ナビ
展示車にはテレビが付いていなかったしオプションリストも公表されていないので詳細は不明だが、オプションで装着できるだろう。
ナビも指定のものが用意されているか不明だが、これも好みのブランドが付けられると思われる。
電装系

ポータブル電源をシステム電源として使える
105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電、および外部100V電源による充電機能が標準装備される。
また、ユニークなのはポータブル電源をシステム電源として使えること。入力と出力を接続しておくと、車内の照明などの電源としても使える。軽キャンパーやコンパクトバンコンなど比較的小型のモデルで最近よく使われる方法だが、固定サブバッテリーが標準装備されるキャブコンで使用されるのは珍しい。
しかしポータブルバッテリーを積んでおくと、サブバッテリーの補助になるし、また車外に持ち出して使うこともできる。
エアコンを装着した場合は、標準装備の105Ahが1個では実用的に使えないので、サブバッテリーの強化が必要だ。できればリチウムイオンバッテリーをお勧めするが、オプションで用意されているか不明。アンソニーLEでは専用ながらリチウムイオンバッテリーが用意されているので、ビルダーに相談すると良いだろう。
ソーラーシステムについても記載は無いが、取り付けはもちろん可能だろう。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼルのダブルタイヤのみが選択可能で、2WDは658万円~とされている。4WDも選択できるが価格情報は表示されていない。
付けておきたい必須オプションは、FFヒーター(220,000円)、外部電源による充電機能(52,800円)、1500Wインバーターが挙げられる。
予算に余裕があれば、車載用セパレートクーラー(価格不明)、あるいは家庭用ポータブルクーラー(143,000円)、そしてクーラーを装着した場合はリチウムイオンバッテリー(価格不明)を搭載することをお勧めする。
他モデル
カムロードベースで5m未満のキャブコンは多数あるが、多くはアンソニーと同じ5mより少し短い程度のボディサイズを持つ。そこで、あえてさらにコンパクトなカムロードキャブコンを探すと、キャンパー厚木のパピィ480(730万円~)とパピィフルハウス(788万円~)しか見つからない。
ただしこれらは標準トレッドであり、ワイドトレッドのアンソニーライトとは多少異なるし、レイアウトも異なる。車長はいずれも4850mmで4630mmのアンソニーライトよりも長い。
しかしパピィは車幅が1740mmと狭く、家庭の駐車場に入り易い車幅だ。一方アンソニーライトは1995mmで1910mmのアンソニーより広くなっている。車幅から考えると、パピィも運転しやすいところがポイントだ。
まとめ
アンソニーライトはお洒落なインテリアを持ち、多目的ルームを除きアンソニーと変わらない装備ながら、比較的安価なことが魅力だ。この内容で600万円半ばというのはかなりお買い得感が高い。
しかし、どうしても多目的ルームが欲しい場合はアンソニーを選択することになるが、アンソニーが713万円~なので55万円の差ということになる。もちろんどちらも優れたモデルなので、自分の使用スタイルに応じて決めればよいだろう。
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