クレソンジャーニーType RはナッツRVが製作する、カムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社はセミフルコン「ボーダー」から軽キャンパー「スピナ」まで幅広いラインアップを揃える総合ビルダーだが、中核をなすのはカムロードキャブコンの「クレア・スティング」とこの「クレソンジャーニー」シリーズだ。
クレア・スティングが5m超のボディサイズなのに対し、クレソンジャニーシリーズは5m以下の車長で扱いやすいサイズ。また、クレソンジャーニーシリーズにはType W、Type X、Type Rの3種類のレイアウトが選択できる。
更に、各レイアウトにはスタンダード、エボライト、エボライトLiの3グレードがあり、エボライト以上に家庭用エアコンが、エボライトLiには加えてリチウムイオンバッテリーが標準装備される。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
カムロードをベース車にする5m未満のキャブコンで、クレソンジャーニーシリーズの中で、このType Rはソファタイプのダイネット、横置き常設ダブルベッド、ギャレー、多目的ルームを配置し、二人旅に適している。
断熱性、防音性に優れた新開発のFRP高断熱コンポジットパネルを新たに採用、またエボライトグレードには家庭用エアコンを、エボライトLiグレードには加えてリチウムイオンバッテリーを標準装備する。
ポータブルトイレやカセットトイレ、また温水シャワーシステムはオプションで多目的ルームに設置することだできる。充実した装備で、快適な二人旅に適し、完成度の高いキャブコンに仕上がっている。
アピールポイント
・5m以下の車長で運転や取り回しがしやすい
・断熱性、防音性に優れたFRP高断熱コンポジットパネルを採用
・ソファダイネットを採用し二人旅に最適なレイアウト
・エボライトやエボライトLiによる強力な電装系
・家庭用エアコン標準装備（スタンダードグレードではOP）
・リチウムイオンバッテリー標準装備（エボライトLiグレード）
・温水シャワー装備可能（OP）
・2種類のインテリアを選択できる
ベース車とエクステリア
クレソンジャーニーType Rのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード ワイドトレッドダブルタイヤ。新型カムロードワイドトレッドは全車ダブルタイヤになる。これにFRPコンポジットパネルのシェルを架装している。
バンクを持つキャブコン然としたデザインで、クレソンに対するスティングのような、バンクをスマートにしたバリエーションは存在しない。エンジンは2.8Lクリーンターボディーゼルのみで、2WDと4WDが選択できる。
インテリア
「パウダーオーク」のインテリア
同社のモデルに共通する洗練された快適なインテリアで、インテリアカラーは「パウダーオーク」と「ダークオーク」が選択できる。上の写真はパウダーオーク。
クレア・スティングシリーズのような間接照明はあまり使われていないが、ポイントにスポットライトを使用し、夜の室内を演出している。
レイアウト
Type Rの最も特徴的なところは、ソファスタイルのダイネットだ。Type WもType Xもダイネットは対座スタイルで、ソファスタイルはType
Rのみとなる。
前向き乗車は、運転席と助手席、およびその間の補助シートに1名乗車できるので、計3名となる。ただし通常は補助シートは使わないので、2名のみが前向き乗車できる。ただし、ソファシートにも3名が横座りで乗車できるので、乗車人数は計6名となっている。また、就寝定員は、後部のダブルベッドに2名とバンクベッドに2名で計4名となる。
ただし実際ソファダイネットを持つキャブコンは少ない。対座ダイネットなら二人旅でも使用でき、3名以上が乗車する場合に対応できるからだ。しかしソファダイネットは足元に余裕があり、家庭のリビングルームの優雅なイメージに近いという特徴もある。
ダイネット
ソファタイプのダイネット
前述の通り、ダイネットはソファタイプで2名が並んで着座できる。背後には大きなアクリル2重窓があり、明るいダイネットになっている。なお、このダイネットはベッド展開はできないが、二人旅を想定しているため、これは欠点ではない。
また、エントランス部分にセットできる補助シートが標準装備されており、これを使うともう1名着座できる。
ベッド
後部の横置きダブルベッド
ベッドは後部の常設横置きダブルベッドとバンクベッドの2箇所がある。後部の横置きダブルベッドは1930x1200mmの大きさ。これは家庭用ベッドではセミダブルの幅に相当し、大人が2名就寝できる。
ダブルベッドにはウッドスプリングを採用
ダブルベッドにはウッドスプリングと110mm厚のマットレスが使われており、快適な寝心地を提供する。ウッドスプリングは通気性を確保し、湿気を逃がす効果がある。
キングサイズのバンクベッド
バンクベッドの大きさは1930x1720mmでこれは家庭用ではキングサイズのベッドの幅にほぼ相当する。ここでも大人が2名就寝できる。Type
Rは二人旅を想定しているのでバンクベッドを使わない場合は大きな収納スペースとして使える。
ギャレー
調理スペースが広くとられたギャレー
ギャレーにはシンクとフォーセットがビルトインされており、調理スペースも広く取られている。ただしコンロはポータブルカセットコンロを使う度にセットする必要があり、調理を頻繁にするユーザーには多少不便だ。
後部ダブルベッド下に設置された給排水タンク
各60Lの給排水タンクは、ポリタンクで後部ダブルベッド下に置かれている。ただしこれはあまり現実的ではない。60Lと言えば満水にすると60Kgあり、即ち大人一人分の体重に値する。このような重いタンクを持ち運ぶのはほぼ不可能だ。
ただし、オプションリストには表示されていないが、タンクのアップグレードはできるようだ。シャワーパンを設置する場合、排水口から床下のタンクに排水される。給水タンクも床下固定式にできるかは不明。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納と観音開きの収納があり、カトラリーや調理用具を収納しておくことができる。ギャレー上にもオーバーヘッド収納があるので、ギャレーまわりの収納は充実している。
冷蔵庫/電子レンジ
70Lの横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は70Lの横開き式が標準装備されており、クルマ旅に出かける場合でも十分な容量がある。もちろん冷凍室もあり、製氷・冷凍と冷蔵が同時にできる。
電子レンジも標準装備される（スタンダードグレードを除く）
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。（スタンダードグレードを除く）特にクルマ旅では、ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターも標準装備される（スタンダードグレードを除く）ので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
スペースのみが用意された多目的ルーム
右側中央には多目的ルームが配置されており、ポータブルトイレやカセットトイレ（各OP）を置いてトイレルームとして使用したり収納スペースとして利用することもできる。防水処理はされているが排水口付きのシャワーパンはオプションになっている。
また、温水シャワーを設置する場合はシャワーパンの他、シャワーキット（シャワーヘッド&シャワーカーテン）と温水キット（22Lラジエターボイラー・混合栓付）オプションを選択する。シャワーパンと床下排水タンクの設置も必要だ。
なお、FFヒーターの吹き出し口も設置されているので、冬場のトイレで寒い思いをする必要はない。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
キャブコンだけあって収納は充実している。先述のギャレー収納に加え、オーバーヘッド収納とベッド下収納が用意されている。オーバーヘッド収納は、ダイネット上両側、エントランス上、ギャレー上、ベッドルーム両側に設置され、大きな収納力を誇る。
後部ベッド下の外部収納
後部ベッド下収納は、ハイマウントダブルベッドの特徴でもあるが、大きな収納スペースを持っており、キャンプ用具や大きめのアウトドアギアも積み込むことができる。扉も3方向に設けられており、荷物の出し入れに便利だ。
なお、温水ボイラーを設置する場合はこのスペースを使用するため、多少狭くなる。
エントランス横のシューズボックス
エントランス横にはシューズボックスが設置されている。3段になっているので多くの履物を収納することができるが、もちろん一般的な収納としても使える。その他、車体後部右側には小物用の外部収納もあり、汚れ物や濡れたものを入れておくことができる。
空調
冷房は家庭用エアコンが標準装備される（スタンダードグレードを除く）
暖房はFFヒーターが標準装備（スタンダードグレードを除く）され、冷房は家庭用エアコンが標準装備される（同）。エアコンの室内機はベッドルーム後部に設置される。
エアコンの室外機は車体左側後部に設置される
またエアコンの室外機は車体左側後部に設置される。排気用のスリットがあり、スマートに目隠しされている。また室外機は、ベッド下の外部収納のスペースを侵食していないのも嬉しい。
テレビ/ナビ
デジタル地上波チューナー付19型液晶テレビがオプション設定されている。またナビはトヨタ純正ナビを選ぶことができるが、好みの機種を設置することも可能だろう。
電装系
スタンダードグレードには100Ahディープサイクルサブバッテリーが1個、エボライトグレードには3個標準装備される。また、エボライトLiグレードには100Ahのリチウムイオンバッテリーが4個（=400Ah）標準装備される。
走行充電は、CTEKを使用したEVOLITE急速走行充電システムが標準装備される（スタンダードグレードを除く）。また外部100V電源入力と外部電源による充電機能も標準装備されるほか、1500W正弦波インバーターも標準装備される（同）。
ソーラーシステムは200Wクラスのものがオプション設定されているが、これ以上の容量に増設できるかは不明。
価格（2021年4月現在：千円台切り上げ：税込）
ディーゼルのダブルタイヤのみが選択可能で、エボライトグレードの2WDは908万円～、4WDが931万円～、エボライトLiグレードの2WDは974万円～、4WDは997万円～となっている。
付けておきたい必需機能は、エボライトおよびエボライトLiグレードを選択すれば全てついているので、オプションで付ける必要はない。
スタンダードグレードは見かけの価格は771万円～と安価だが、DIYで装備できるユーザー等を除き、普通のユーザーはエボライトグレード以上をお勧めする。FFヒーターや電装系の強化は必需だからだ。
もちろん、予算が許せばエボライトLiグレードがお勧めだ。エボライトグレードのディープサイクルバッテリーでも良いが、2～3年ごとのバッテリー交換は面倒だし、3個あるといっても年々劣化することには変わりない。
他モデル
5m未満のカムロードキャブコンで、クレソンジャーニーType Rと同様のレイアウトを持つモデルは無いが、二人旅を想定したモデル（後部に前向きシートを持たないモデル）ならいくつか存在する。
ダイレクトカーズの「伊勢志摩」（779万円～：エアコン他別売）と「江の島」（948万円～：クーラー、リチウムイオンバッテリー含む）、キャンパー厚木のパピィフルハウス（価格不明）などだ。
ただし江の島は多目的ルームを持たないし、伊勢志摩とパピィフルハウスは多目的ルームを持つが温水シャワーは無い。
ハイエースベースならスーパーロングをベース車にするRVビックフットの「ACSプルミエM5.7」、ワイドロングをベース車にするRVトラストの「L-CH」が挙げられるが、いずれも温水シャワーは設置できない。
まとめ
クレソンジャーニーType Rは、ダブルベッドと多目的ルーム、およびギャレーを持つオーソドックスなレイアウトだが、ダイネットがソファタイプで二人旅を想定したモデルだ。このようなレイアウトは有りそうだが、実は他にない。
更に、温水シャワーまで装備できるモデルとなると、クレソンジャーニーType Rが唯一の選択肢になる。しかしなぜ選択肢が少ないかと言えば、需要が少ないからに他ならない。二人旅で使うが、たまに子供や孫を乗せる（かもしれない）、という理由で対座タイプのダイネットを選択するユーザーが圧倒的に多いのだ。
もちろんその選択が間違っているわけではなし、バンコンのように対座ダイネットにすると前後の移動がし難いといったことも無いので、対座ダイネットタイプでも一向に問題ではない。
しかしバンテックの「ジル480スキップ」がラインアップから消えた今、二人旅に割り切った余裕を感じさせるソファダイネットのレイアウトの選択肢があるのは嬉しい。
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