リーク3はナッツRVが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社はバスコンのボーダーや、キャブコンのクレア、クレソンジャーニーなど、幅広いラインアップを誇っているが、ハイエースベースのバンコンもラインアップしている。
リークはその中のひとつで、当初「リーク」と「リーク2」がラインアップされていた。今回ラインアップに加わった「リーク3」はリーク2と同じレイアウトだが、EVOLITEのサブタイトルが付いており、家庭用エアコンが標準装備されているのが異なる点だ。
即ちリーク2とリーク3(EVOLITE)は、「クレソンジャーニー」と「クレソンジャーニーEVOLITE」の関係に相当する。「リーク3」と「リーク3EVOLITE」があるわけではないので少しややこしい
また、クレソンジャーニーEVOLITEにはリチウムイオンバッテリーが搭載される「クレソンジャーニーEVOLITE Li」があるが。リーク3(EVOLITE)にはLiの名称は無く、リチウムイオンバッテリーはオプションとして用意されている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンキャンピングカー。右側にエクステンションウインドウを標準で架装する。
2列目に3人掛けマルチモードシートを配置し、後部には横置きハイマウントダブルベッドのレイアウト。7名が乗車でき、4名が就寝できる。
リーク3には家庭用エアコンが標準装備される。また、リチウムイオンバッテリーはオプションで用意されている。
アピールポイント
・多目的ルームを廃した広い室内
・7名乗車、4名就寝で、ファミリーにも対応できる
・家庭用エアコンを標準装備
・リチウムイオンバッテリーはオプションで装備可能
・後部ベッド下は大きな収納スペースになる
ベース車とエクステリア
リーク3のエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング キャンパー特装車。ガソリンとディーゼル、2WDと4WDが選択できる。TSS(Toyota Safety Sense )も標準装備される。
外観上の特徴は右側のエクステンションウインドウ(同社の呼称は ベイウインドー)。オプションでリアゲートにも架装できる。エクステンションウインドウにはアクリル2重窓も架装されている。外観は、リーク2と変わらない。
断熱は「エアフォリア」と言う断熱材を採用。「従来のグラスウールより優れた断熱性能を持つポリウール素材で、幾重にも重なり合う空気層が断熱効果を最大限に発揮する。更に抜群の吸音性を持ち、接着剤を使わないシックハウス対象品でもある」と謳われている。
インテリア
リーク3のインテリア
展示車は上の写真のようなインテリアカラーだったが、家具色は4色から選択できる。家具の作りはしっかりしており、センス良く高級感もある。照明は比較的シンプルで、ルーフのメイン照明と、オーバーヘッド収納したのスポットライトで構成されている。
同社は従来から家具には塗装ではなく、PVCシートを圧着する工法を採用している。これにより、見た目の美しさや耐久性、そしてキャンピングカーに求められる軽量化に貢献している。
レイアウト
2列目に3人掛け、3列目に2人掛けのマルチモードシートを設置。2列目シートを前向きにすると、運転席、助手席を合わせて7名が前向き乗車できる。
左側にギャレー、後部にハイマウントダブルベッドを配置する。このレイアウトは多目的ルームを持たない場合の典型的なレイアウトで、多目的ルームを廃したことにより、ダブルベッドと対座ダイネットを無理なく配置し、広々とした室内が特徴。
ダイネット
対座ダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目シートとで対座ダイネットを形作る。5名でテーブルを囲めるが、大人2名+子供2~3名が実用的だろう。2列目、3列目ともリクライニングできるので、楽な姿勢で寛げる。
ベッド
後部のハイマウントダブルベッド
後部のハイマウントダブルベッドは、1800x1500mmの大きさ。1500mmは、家庭用ではレギュラーダブルベッドとクイーンサイズベッドの中間の幅。大人2名がゆったり就寝できる。
身長方向はエクステンションウインドウで車幅を拡張し1800mmを確保している。長身のユーザーは足がつかえて窮屈かもしれないので、実際に横になって確認することをお勧めする。
2名が就寝できるダイネットベッド
シートを全てフラットにすると、1900x1200mmのベッドになる。1200mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。
ギャレー
ギャレーセクション
左側中央に位置するギャレーキャビネットには、シンクとフォーセットがビルトインされる。フォーセットは引き伸ばして車外で使用できる。残念ながら、ギャレーキャビネットに収納は用意されていない。また跳ね上げ式の調理台なども無いので、調理をするユーザーには物足りないかもしれない。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されている。タンクはギャレーキャビネットのエントランスに面した扉から出し入れできるので、車外から直接アクセスできる。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫は上記の写真のように、ギャレーキャビネットのシンクの隣に40L上開き式のものがオプションで設置できる。冷蔵か冷凍かの選択はできるが、例えば冷凍食品の保冷と飲み物の冷蔵は同時にできない。
電子レンジ下の引き出し収納
家庭用の100V仕様の電子レンジが、これもオプションで設置できる。設置位置は、後部ベッド下の左側のキャビネットなので、ベッド下にかがみこんで使用する必要がある。
電子レンジの下には引き出し収納がある。引出しの上にスライドできる天板があれば、食材を一時的に置けるので便利なのではないだろうか。
多目的ルーム
リーク3には多目的ルームは無い。それがこのレイアウトの特徴なので、デメリットではないが、多目的ルーム、特にトイレルームが必需装備と考えるユーザーには、選択対象ではない。
ただし、個室までは不要だが緊急用にトイレは欲しいというユーザーは、ポータブルトイレを積んでおくことはできる。後部ベッド下は広い収納になっているので、小さい子供ならここで用を足すことができるだろう。
収納
ダイネットからベッド上部にかけてのオーバーヘッド収納
ダイネットの右側上部からベッド上部にかけて、オーバーヘッド収納が連なっている。大きな収納力があり、食器や調理用具、タオルなど清潔に収納しておきたいものを収納できる。(一般的に床に近い収納は埃が溜まりやすい)
ベッド下は大きな収納スペース
ベッド下は大きな収納スペースとして使用できる。かさばるキャンプ用具などを、リアゲートを開けて車外から積み込むことができる。
背の高い積載物も積み込むことができる
ベッドボードを取り外すと、背の高い積載物も積み込むことができる。奥行きが1200mm程度なので、自転車等は難しいかもしれないが、小型のものや折り畳みできる自転車なら可能だろう。
取り外したベッドボードは、後部右側のキャビネットに収納できる。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
リーク3のハイライトは家庭用エアコンが標準装備されたこと。室内機はギャレー上部に設置される。エアコンが装備されないリーク2では、ここはオーバーヘッド収納になっている。
クレソンジャーニー同様、標準では100Ahのディープサイクルバッテリーが3個装備されているだけなので、経年劣化は避けられない。できればオプションのリチウムイオンバッテリーに交換することをお勧めする。
暖房はFFヒーターがオプションで設置できる。また、マックスファンベンチレーターもオプション。
テレビ/ナビ
19型のテレビ(OP)
19インチ液晶テレビがオプションで用意されている。これは運転席、助手席の後の天井にフリップダウン金具(別料金)で取付けられる。また地デジチューナーも別料金で付けることができる。
電装系
100Ahのディープサイクルバッテリーが3個、C-TEK昇圧システム付きの走行充電、外部100V電源入力、1500W正弦波インバーターが標準装備される。外部電源による充電器、280Wクラスソーラーシステムはオプション。100Ahが3個のリチウムイオンバッテリーもオプションで装備できる。
リーク3はLEEK EVOLITE(エボライト)とも呼ばれており、同社独自の充電システム「EVOLITE」を搭載している。これはクレアなどに装備されている「EVOLUTION(エボリューション)」システムの弟分のような存在で、肝はC-TEKシステムを使った昇圧システムだ。
これにより急速充電が可能になり、4~6時間の走行でサブバッテリーが満充電できいると謳われている。大電流で充電できるリチウムイオンバッテリーなら、より効果的に充電できる。
価格(2023年7月現在:千円台切り上げ:税込)
リーク3 ガソリン2WDの車両本体価格は759万円~。4WDやディーゼルの価格は、下の比較表を参照ください。
付けておくべき必需オプションは、外部電源による充電機能(70,180円)、FFヒーター(261,690円)、マックスファンベンチレーター(87,340円)が挙げられる。
また、クルマ旅に使用するなら上記に加え、冷蔵庫(109,890円)、電子レンジ(48,620円)を装備したい。
予算に余裕があれば、計300Ahリチウムイオンバッテリー(495,000円)、280Wクラスソーラーシステム(236,280円)が挙げられる。ディープサイクルバッテリーは2~3年ごとに交換する必要がある(2年経過頃からクーラーの効きは低下する)ので、長く乗るならリチウムイオンバッテリーを最初から選択することをお勧めする。
他モデル
このレイアウトは、トイファクトリーのバーデンを筆頭に、多くのモデルが採用している。(常設ハイマウントダブルベッドを持つスーパーロングバンコン特集も参照ください)従ってこのカテゴリーは競争が激しく、優れたモデルも多く存在する。
幾つかピックアップすると、バーデン(665万円~)の他に、デルタリンクのダーウィンQ3(666万円~)、東和モータース販売のツェルトキリマ(677万円~)が挙げられる。ツェルトキリマはリーク3の姉妹車。
バーデンは家庭用エアコン、リチウムイオンバッテリーともオプション、ダーウィンQ3は家庭用エアコンがオプションだが、リチウムイオンバッテリーはオプション設定が無い。ツェルトキリマは車載用セパレートエアコンが標準装備、リチウムイオンバッテリーはツェルトキリマLi(721万円~)に標準装備される。
まとめ
リーク3になってやっと家庭用エアコンが搭載された。このクラスのモデル、あるいは国内最大のビルダーとしては、いささか遅かった感がある。しかし、リーク3は家庭用エアコンが標準装備され、強力な選択肢となった。
ところで、リーク3とリーク2の価格差、即ち、エアコン+EVOLITEシステムの価格は132万円ということになる。これは他モデルのエアコン装着費、40~50万円と比べるとと高価だ。
その結果、エアコンを装着した価格は、バーデンが707万円~、ダーウィンQ3が715万円~となる。リーク3は760万円~だ。
更に、リチウムイオンバッテリーオプションまで加えた価格は、バーデンが779万円~、ツェルトキリマLiが721万円~、リーク3は809万円~となる。
結局EVOLITEシステムの付加価値ということになるが、ツェルトキリマLiもC-TEKを採用していることを考えると、EVOLITEシステム(とそのコスト)にどの程度のアドバンテージがあるのか興味深い。
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