バーデン Casa ブラックエディションはトイファクトリーが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社は主にハイエースをベース車にしたバンコン専門ビルダーだが、最近ではダヴィンチなどのフィアットデュカトをベース車にしたモデルを積極的に導入している。
バーデンは同社の代表的なモデルで、多目的ルームを無くして、後部にハイマウントダブルベッドを置くレイアウトの先駆者的存在。カラーバリエーションとして、バーデン
Casa Home Style Editionを発売しているが、ブラックエディションはCasaシリーズの第2弾となる。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。多目的ルームを廃して後部に横置きハイマウントダブルベッドを置くレイアウトで、広い室内を実現している。
ボディ右側には前部のダイネット部まで連なるエクステンションウインドウを架装し、後部のベッドの横置きを可能にしている。
家庭用エアコンをオプションで装備することができ、2023年からはリチウムイオンバッテリーの搭載も可能になった。
アピールポイント
・黒を基調にしたシックでモダンなインテリア
・尾州織物のシート、天然ヒノキのフローリング、美濃焼タイルなどを採用
・多目的ルームを廃し、広々とした室内
・右サイトにエクステンションウインドウを標準装備
・左側、リアゲートの窓もアクリル化（OP）
・家庭用エアコンを装備可能（OP）
・リチウムイオンバッテリーを搭載可能（OP）
ベース車とエクステリア
バーデン Casa ブラックエディションのエクステリア
ベース車はハイエーススーパーロング特装車。ガソリン、ディーゼルともに2WDと4WDが選択できる。
このベース車の右側にダイネット部まで続くエクステンションウインドウを標準で架装する。ブラックエディションでは、エクステンションウインドウがボディ同色となる。なお、従来のグレーメタリックも選択可能。
左サイドもアクリル2重窓が付くグランデ仕様
このエクステンションウインドウには前後にアクリル2重窓が付く。グランデ仕様には、左側とリアゲートの窓もアクリル2重窓化される。
ソーラーパネルオプションを選択すると、ルーフ後端にはスタイリッシュな台座が架装される。アルミホイールは、オプションで特注のブラックアルミホイールを選択できる。
インテリア
尾州織物のシートと明るい色の床材
Casa ブラックエディションではシート地は黒の尾州織物、床材は明るい色のビーチ材、ギャレーには漆黒の美濃焼タイルが使用される。家具はミディアムブラウンで、落ち付いたインテリアを作っている。なお、シート地はペットの引っ掻き等に強く、手入れが簡単なプレミアムスエード地も選択できる。
一方、窓枠やテーブルトップ、ギャレーキャビネットの天板などは白で、美しい対比を見せる。照明はメインライトとスポットライトで構成されており、オーバーヘッド収納の下に仕込まれたスポットライトがお洒落な空間を演出している。
レイアウト
2列目と3列目にマルチモードシートを設置し、対座ダイネットを形成する。左側にギャレー、後部にハイマウントダブルベッドを配置。ダブルベッドは前部のスペースを侵食するため、あえて多目的ルームを持たず、広々とした室内を実現している。
2列目シートを前向きにすると、計7名が前向き乗車できる。2列目と3列目のシートでは右側の乗員のみ3点式シートベルトを装着できるので、計4名が3点式シートベルトを装着できる。
就寝は後部の常設ダブルベッドで2名、ダイネットを展開するベッドで2名で、計4名が就寝できる。ファミリーでも二人旅でも対応できるレイアウトだ。
ダイネット
2列目と3列目シートで対座ダイネットを形成
2列目と3列目シートで対座ダイネットを形成する。どちらもリクライニングできるため、休息時も楽な姿勢を取れる。
ベッド
横置きダブルベッドの大きさは1800x1530mm
後部の常設横置きハイマウントダブルベッドの大きさは、1800x1530mm。家庭用ダブルベッドの幅は1400mmなので、これよりも広い幅を持つ。ただし、身長方向はエクステンションウインドウで拡張しているとはいえ1800mmなので、長身のユーザーでは多少窮屈な場合がある。
ダイネットベッドの大きさは1900x1200mm（写真はCasa Home Style Edition）
ダイネットベッドの大きさは1900x1200mm。こちらは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当するが、身長方向は1900mmを確保している。
ギャレー
シンクとフォーセットを設置
ギャレーキャビネットには実用的な大きさのシンクとフォーセットが設置されている。コンロはポータブルカセットガスコンロを、使用する度にセットする必要がある。調理をするユーザーは常設コンロが欲しいところだ。
跳ね上げ式の調理台
ギャレーキャビネットには跳ね上げ式の調理台が用意されており、調理面を拡張できる。
各13Lの給排水タンク
シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されており、車外から出し入れすることができる。
冷蔵庫/電子レンジ
40L上開き式が標準装備される
冷蔵庫は40L上開き式が標準装備されている。-15℃まで冷え、冷凍庫としても使用できるが、冷蔵品と冷凍品を同時に保冷することはできない。
電子レンジもオプション
家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで用意されている。1500W正弦波インバーターはオプションなので、外部電源が取れないところでサブバッテリーで使いたい場合は、インバーターを選択する必要がある。
設置場所は、後部ベッドの左側下。ギャレー周辺に適切なスペースがないからと思われるが、あまり使いやすい場所ではない。
多目的ルーム
バーデンに多目的ルームはないが、子供の緊急時のためにポータブルトイレやラップポンを積んでおくことはできる。ただ、ブラックエディションでは子供が乗っていることは少ないのかもしれない。
収納
オーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納はダイネット上部とベッドルーム上部に設置されている。ベッドルームは右側のみ。内側に湾曲した扉で、圧迫感のないデザインとなっている。
ベッドルーム左側にはオーバーヘッド収納が無い
なお、ベッドルーム左側にはオーバーヘッド収納が無い。他車では左右両方に設置されているモデルもあるので、比較すると見劣りしてしまう。バーデンにもぜひ欲しいところだ。
ベッド下の大きな収納スペース
ハイマウントダブルベッドのレイアウトの特徴は、ベッド下の大きな収納スペース。キャンプ用具など、かさばる荷物を車外から直接積み込むことができる。
更に、左右には独立した収納キャビネットがあり、ここにも多くの荷物を収納しておける。左側の収納にはスライド式の扉が付いており、外側に荷物があっても扉を開くことができる。
右側は扉が無くオープンな収納スペースになっている。特にベッドボードが収納できるとは書かれていないので、ここも同様にスライド扉があると便利なのだが。
空調
家庭用エアコンがオプションで設置できる
暖房はFFヒーターがオプション、冷房はクールコンプシステムと名付けられた家庭用エアコンがオプションで設置できる。室内機はギャレーの上部に設置される。なお、室内機を設置する場合はギャレー上部にあった収納は無くなり、ギャレー周辺には収納が無くなってしまう。
ベンチレーターはマックスファンがオプションで用意されている。
テレビ/ナビ
19インチテレビはここに設置
19インチのテレビが、オーディオシステムとともにマルチカーシアターシステムと名付けられてオプション設定されている。テレビの設置場所は2列目シートの横。画面の角度を変えられるステーに設置されるが、窓の景色を見るには邪魔な位置ではある。
電装系
標準では100Ahのサブバッテリーが1個、走行充電システム、外部100V電源入力と充電機能が装備される。サブバッテリーはオプションでもう1個追加できる。リチウムイオンバッテリーは2023年からオプション設定され、150Ahが1個か2個装備できる。
家庭用エアコンを設置した場合はリチウムイオンバッテリーをお勧めするが、予算に余裕があれば150Ahを2個付けておくと電気の心配なくエアコンを使用できる。
1500W正弦波インバーターはオプション。350Wもオプション設定されているが、電子レンジを装備した場合は1500Wが必要となる。
ソーラーシステムは220Wで、エアロソーラーシステムとして、スタイリッシュイな台座を含めてオプション設定されている。
価格（2023年1月現在：千円台切り上げ：税込）
バーデン Casa ブラックエディションは、ガソリン 2WD/6ATで693万円～。（バーデン665万円＋ブラックエディション275,000円）
付けておきたい必需オプションは、追加サブバッテリー（57,200円）、1500W正弦波インバーター（193,600円）、FFヒーター（290,400円）、マックスファン（98,670円）が挙げられる。
できれば付けておきたいオプションは、家庭用エアコン（411,400円）、リチウムイオンバッテリー150Ah（346,500円）、リチウムイオンバッテリー追加（376,200円）、エアロソーラーシステム（360,800円）、グランデ仕様（1,086,250円：リチウムイオンバッテリー1個とFFヒーター含む）、電子レンジ（45,980円）がある。（ナビ関連は除く）
他モデル
バーデンと同じレイアウトを持つハイエーススーパーロングをベース車にするモデルは多く存在する。
・デルタリンクのダーウィンQ3（666万円～）
・東和モータース販売のツェルトキリマ（677万円～）
・甲和オートサービスのオールインレジェンド（798万円～）
等がある。（常設ハイマウントダブルベッドを持つスーパーロングバンコン特集も参考ください）
オールインレジェンドは家庭用エアコンやその他の装備が標準装備されているため、多少高価になっている。ツェルトキリマLiは車載用クーラーとリチウムイオンバッテリーが標準装備されたモデルで、価格は721万円～。ダーウィンQ3はリチウムイオンバッテリーのオプション設定は無い。
まとめ
このレイアウトの代表ともいえるバーデンは、ハイエーススーパーロングをベース車とするモデルの中でも最も有名で人気のあるモデルのひとつだ。今までにもカリモク仕様やCasa Home Style Editionのようなインテリアバリエーションも多く発売されている。
Caseブラックエディションはそのようなインテリアバリエーションのひとつだが、大人のインテリアを望んでいたユーザーには最適な選択肢と言える。
ただし、定番レイアウトだけあって、多くの魅力的な対抗モデルが出てきているのも事実で、特にダーウィンQ3はインテリアデザイン、装備両面でバーデンに勝るとも劣らない魅力的なモデルだ。
バーデンも大変魅力的なモデルだが、不満点もある。例えばクルマ旅に使うユーザーであれば常設コンロや横開き式冷蔵庫は欲しい。また、ギャレーキャビネットの収納が無いとか、電子レンジの位置が使いにくいなどの問題点もある。
もちろんバーデンは今でも魅力的なモデルで、リーディングモデルには変わりはない。しかし、様々なモデルが発表されているので、是非比較して自分にあったモデルを見つけていただきたい。
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