ダーウィンQ3はデルタリンクが製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社はアドリアやサンリビングの輸入モデルを扱っているほか、国産各社のキャンピングカーを販売している。同社は、自社ブランドD.V.D(デルタ・バン・デザイン)で独自モデルを製作しており、現在は、ダーウィンQ5と、このダーウィンQ3がラインアップされている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエーススーパーロングをベース車にするバンコンキャンピングカー。左後部、リアゲートの窓にアクリル2重窓を標準で架装。右側には前部まで続くエクステンションウインドウを架装する。
2023年モデルでは、オプションのエクステリアデザイン「ヴァンタスティックエディション」を選択できる。
2列目にマルチモードシートを配置し、前部に対座ダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、左サイドにギャレーのレイアウトを採用する。多目的ルームは持たないため、広い室内が特徴。
家庭用セパレートエアコンをオプションで設置でき、リチウムイオンバッテリーの設定は無いが、高性能AGMバッテリーを採用している。
アピールポイント
・左後部とリアゲートの窓をアクリル2重窓化
・右側にエクステンションウインドウを架装
・ヴァンタスティックエディションを選択可能
・対座ダイネットと後部ハイマウントベッドの人気レイアウトを採用
・洗練されたインテリア
・2種類の家具色と4種類のファブリック色を選択可能
・常設2口コンロを標準装備
・家庭用エアコンをオプションで設置可能
ベース車とエクステリア

ダーウィンQ3ヴァンタスティックエディションのエクステリア
右側には前部まで連なるエクステンションウインドウを架装。更に左側後部とリアゲートの窓もアクリル2重窓を標準で架装し、徹底した断熱処理がされている。
2023年モデルでは「ヴァンタスティックエディション」と称して、特別なエクステリアデザインがオプション設定された。これはバンパーやグリル、あるいはエクステンションウインドウやソーラーパネルのベース色をブラウンかマットブラックに塗装するもの。オーバーフェンダーの取り付けも、その一つとしている。
「ヴァンタスティックエディション」として一つのオプションがあるのではなく、以下のように6つのパートに分かれており、それぞれに価格が設定されている。総額では869,000円になる。
・グリル、前後エンブレム、フューエルカバー塗装 88,000円
・フロントバンパー、リヤバンパー 塗装 165,000円
・FRP出窓 右側面 左側面 後部ハッチ塗装 308,000円
・ソーラーパネル台座塗装 88,000円
・オリジナルデザインデカール メッセージ&スカート下 132,000円
・オーバーフェンダー取付 (ブラック素地)88,000円

新しくなったソーラーパネルのベース
新しいソーラーパネルのベース(台座)がヴァンタスティックエディションの一部として設置された。従来のモデルでもソーラーパネルベースは専用に設計され、デザイン的にもマッチしたものだが、新しいものは300Wのパネルになり、ダイナミックでスタイリッシュなデザインになった。
インテリア

ブラウンオークの家具色
インテリアは従来と変わりなく、家具色は2種類から、シート色は4種類から選択できる。上の写真はブラウンオークの家具色。下の写真はナチュラルオークの家具色。

ナチュラルオークの家具色(エアコンの位置は旧タイプ)
同社のインテリアには定評があり、どちらも洗練されたインテリアデザインだ。
レイアウト
2列目に3人掛けのマルチモードシートを持ち、前部にダイネット、後部に横置きハイマウントダブルベッド、左サイドにギャレーを配置する。トイファクトリーのバーデンに代表されるこのレイアウトは多くのモデルで採用されており、多目的ルームを持たないレイアウトでは定番となっている。
このレイアウトの特徴は、多目的ルームを排したことにより、広々とした室内が実現でき、ベッドやダイネットを無理なく配置できること。多目的ルームが必要なユーザーにはダーウィンQ5が用意されている。
ダイネット

5名が対座できるダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目のシートとで5名が対座できるダイネットを形作る。ダイネット横にはアクリルウインドウや飾り棚、マガジンラックがある。ウインドウには網戸とシェードが組み込まれており、スライドしてセットできる。
ベッド

常設ハイマウントダブルベッド
後部の常設ハイマウントダブルベッドは、1,800x1,400mmの大きさ。これは家庭用ではレギュラーのダブルベッドの幅に相当し、大人2名が就寝できる。

ダイネットを展開したダイネットベッド
ダイネットを展開すると、1,800x1,200mm の大きさのベッドになる。これは家庭用では、セミダブルベッドの幅に相当する。また、オプションのマットを使用すると、3,050×1,200(後方は1,000mm)に拡張できる。

広いフラットスペースにもなる
上段ベッドマットは下段に設置することもでき、広いフラットスペースができる。子供やペットがいる場合は、遊ぶスペースとしても使えるだろう。
ギャレー

常設2口コンロがあるギャレー
左サイドに設置されるギャレーには、常設2口コンロとシンクが備えられている。多くのバンコン(一部のキャブコンでも)ではポータブルカセットコンロを、使用する度にセットする必要があるが、常設されていると使用したいときにすぐに使用できて大変便利だ。

ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納も用意されている。多くのモデルでは、シンクの下に給排水タンクを収納しているため、収納スペースが取れない。しかし、ダーゥインでは給排水タンクを最後部左側に収納している。

最後部左側に収納された給排水タンク
これにより、ギャレーキャビネットに収納を設けることができる他、給排水タンクを車外から直接出し入れできるというメリットが生まれる。ユーザー目線の素晴らしいアイデアだ。
冷蔵庫/電子レンジ

49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式冷蔵庫が標準装備される。横開き式冷蔵庫なので冷凍・製氷と冷蔵が同時にできる。エントランス横に設置されているので、車外でアクティビティやバーベキューをしている場合、すぐに中身を取り出せる。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備され、ギャレーキャビネットにすっきりと収納される。電子レンジは、クルマ旅にはほぼ必需品だ。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
ダーウィンQ3には多目的ルームは設置されていないが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。子供の急な「おしっこ」に対応できる。
ただし、寒い夜中や雨の日に車外のトイレに行くのはかなり億劫なので、クルマ旅に使用する場合は、ダーウィンQ5も選択肢に加えることをお勧めする。トイレルームの必要性については賛否両論があるが、奥様のご意見も尊重されたい。
収納

豊富に設置されたオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納がギャレー上とダイネット上、ベッドルーム両側に設置されており、充実している。オーバーヘッド収納を付けると圧迫感があるとの理由で多くを設置しないモデルもあるが、ダーウィンでは、扉を逆ぞりさせることにより圧迫感を軽減し、かつ大容量のオーバーヘッド収納を実現している。

ベッド下の収納
後部のハイマウントダブルベッドの下は大きな収納スペースになっており、リアゲートを開けて車外からキャンプ用具など大きな荷物を積み込むことができる。ベッドマットを取り去ると、自転車等背の高い荷物も積むことができる。

左側キャビネットの収納
ベッド下左側のキャビネットには、独立した収納も用意されている。ベッド下の大きな荷物と分けて収納したい場合に便利だ。欲を言えば、この扉はスライド式にすれば、外に荷物があっても開けることができるのだが。
空調

家庭用セパレートクーラーを設置可能(Op)
暖房はFFヒーター、冷房は家庭用セパレートクエアコンがオプションで設置できる。エアコン室内機の設置場所は、従来の右サイドから最後部に変更された。これにより、エアコンの出っ張りが気にならなくなり、冷風が室内全体に行き渡りやすくなった。
テレビ/ナビ
テレビは各種フリップダウンモニターを設置できる。また、ナビもオプションリストにあるが、好みのものを付けることは可能だ。
電装系
サブバッテリーは高性能の100Ah AGMバッテリーを2個標準装備。AGMバッテリーは通常のディープサイクルバッテリーより大電力に対して強く、耐久性もあり、リチウムイオンバッテリーに比べて価格も安価だ。
充電は、走行充電と外部電源入力による充電、そしてオプションの300Wソーラーシステムからの充電が可能。
その他、1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源が取れない場合でも車内で100V家電を使用できる。
価格(2023年5月現在:千円台切り上げ:税込)
特装車ガソリン2WD/6ATで、666万円~となっている。4WDやディーゼルの価格は下の比較表を参照いただきたい。
付けておきたい必需装備は、FFヒーター(258,500円)が挙げられる。また、このクラスのモデルなら家庭用エアコン(495,000円)も必需装備に挙げておきたい。調理をするならマックスファンも必要だ。
ヴァンタスティックエディションの価格については「ベース車とエクステリア」の項参照。
他モデル
ハイエーススーパーロングを使用し、このレイアウトを採用するモデルは、トイファクトリーのバーデン(665万円~)を筆頭に多数存在する。甲和オートサービスのオールインレジェンド(798万円~)、東和モータース販売のツェルトキリマ(677万円~)などがある。
その中でダーウィンは、後部アクリル2重窓を標準装備、洗練された内外装、横置き冷蔵庫の採用、車外からアクセスできる給排水タンクと冷蔵庫、常設2口コンロ、邪魔にならないエアコンの室内機の位置など、クルマ旅用としては完成度の高いモデルと言える。
また、充実した標準装備ながら、価格的にも他モデルと同水準なのは、かなり魅力的だ。
まとめ
ダーゥインQ3は、このレイアウトのモデル群では、おそらく最も完成度が高いモデルのひとつと言える。価格的にも他モデルと同等ながら、他モデルだとオプションの装備がダーゥインQ3では標準で装備されている。
ほとんど文句のないモデルだが、あえて挙げるとすると、リチウムイオンバッテリーの選択肢が用意されていないことがある。AGMバッテリーは高性能なので、当面はこれでも問題ないが、やはりリチウムイオンバッテリーが(価格は高価になるが)理想的だ。
今やリチウムイオンバッテリーを望むユーザーも多いと思われるので、選択肢があればなお良いのではないだろうか。
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