コルドドッゴとコルドシャトンは、バンテックが製作する、トヨタカムロードをベース車にするキャブコンキャンピングカー。
同社は埼玉県所沢市を拠点にするビルダーで、全国各地に販売店を展開する。フラグシップのジルシリーズをはじめ、カムロードベースのキャブコンを主力にラインアップする、キャブコン専門の老舗ビルダー。
2024年にはトヨタハイラックスをベース車にしたアストラーレGX4を発表、新たなカテゴリーに進出した。
コルドシリーズは全長5mを切るカムロードキャブコンのシリーズで、コルドバンクスとコルドリーブスの2モデルが選択できる。コルドドッゴとコルドシャトンは、ペットとのクルマ旅をするユーザー向けに提案された、コルドバンクスをベース車にしたバリエーションの位置付けて、30台の限定モデルとなっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタカムロードをベース車にするキャブコンモデル。コルドバンクスをベース車に、ペットとのクルマ旅をするユーザー向けにアレンジしたモデルで、コルドドッゴは犬仕様、コルドシャトンは猫仕様になっている。
レイアウトはコルドバンクスと変わらないが、家庭用エアコンやFFヒーターに加え、同社のリチウムイオンバッテリーシステム「ILiS」や240Wソーラーシステム、アクリルスライド小窓、リード固定フック、抗菌ビニールレザーシート生地、後部外部収納へのウォークスルーなどが標準装備される。
アピールポイント
・5x2mの駐車枠に収まる車体サイズ
・衝撃を吸収するFRP一体成型のCSボディ
・家庭用エアコンとFFヒーターを標準装備
・リチウムイオンバッテリーシステム「ILiS」を標準装備
・アクリルスライド小窓
・リード固定フック
・抗菌ビニールレザーシート生地
・後部外部収納へのウォークスルー
・専用ペイントとデカール
ベース車とエクステリア
コルドドッゴのエクステリア
ベース車はトヨタカムロード標準トレッド、後輪ダブルタイヤ。コルドバンクスではディーゼル2WDと4WDが選択できるが、コルドドッゴとコルドシャトンはディーゼル4WDのみ。
このベース車にCSボディと名付けられたFRP一体成型のシェルを架装している。FRPによる柔軟性を生かして、万一の衝突時でも衝撃を緩和することができるとしている。
インテリア
コルドドッゴのインテリア
展示車のインテリアは上の写真のようなもので、これはコルドバンクスのライトブラウンの家具色に似ているがシート色は異なっている。コルドバンクスはライトブラウンとダークブラウンの2種類が選択できるが、コルドドッゴとコルドシャトンにはインテリアカラーの選択肢は無いようだ。
コルドドッゴの照明
照明もコルドバンクスと変わらない。特に間接光の演出がある訳ではなく、ルーフデザインと合わせてシンプルなものだ。
レイアウト
前部に対座ダイネット、後部に横置き2段ベッド、中央にギャレーと多目的ルームの構成は、このクラスのキャブコンの定番中の定番で、最もスペース効率が良く、二人使用にもファミリー使用にも対応できる。
ただし、ペットとのクルマ旅を想定しているなら、ベッドでペットと一緒に就寝したいというユーザーも多いだろうことから、2段ベッドやバンクベッドはあまり適切でないかもしれない。
できれば高さのない広いベッドの方が良く、その意味ではコルドリーブスをベースにした方が良かったかもしれない。
乗車定員は、4WDのみなので運転席、助手席の間の補助席はなく、計6名となっている。このうち、前向き乗車はフロントと3列目シートの4名。
ダイネット
コルドドッゴのダイネット
前部の対座ダイネットには4~5名が座って団欒できる。大きなテーブルとアクリル2重窓はコルドバンクス譲りだ。
ペット用の小窓
コルドドッゴとコルドシャトンには新たにペットが車外を覗けるように小窓が設けられている。この小窓もしっかりアクリル2重窓になっている。窓はスライドで開閉できる。
ベッド
ベッドは後部の横置き2段ベッド、バンクベッド、ダイネット展開ベッドの3か所があり、計5名が就寝できる。
後部の2段ベッド
後部の横置き2段ベッドは1875x750mmの大きさ。家庭用のシングルベッドは1000mmなので、家庭用と比べると狭いが、全長5mを切るキャブコンとしては平均的な大きさと言える。
下段には後部と右側に2か所窓があるが、上段ベッドには窓が無く、オプションで右側に設置できる。
また、例えばナッツRVのアレッタ TypeWは同じレイアウトを持つが、後部の2段ベッドには両方ともウッドスプリングを採用し、寝心地を追及している。それに対し、コルドバンクスはこのスペースを大きな荷室とも考え、ベッドボードを取り外しやすくしている。ビルダーの考え方の違いが出るところだ。
コルドドッゴのバンクベッド
バンクベッドは1880x1880mmの大きさ。ほぼ正方形なので、どちらを頭にして寝ても良い。即ち、駐車一の傾きに応じて頭の向きを変えることができる。1880mmの幅は、家庭用ではキングサイズベッドの幅(1800mm)よりも大きい。
キャンピングカー要件では大人3名が就寝できるサイズだが、2名就寝としているようで、トータルの就寝人数は5名となっている。
ダイネット展開ベッド(写真はコルドバンクス)
ダイネットを展開したベッドはサイズは1800x910mmで、大人が1名就寝できるとしている。ベッドセットはテーブルを低くし、背もたれを移動するだけ。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーはコルドバンクスのギャレーを踏襲し、常設2口コンロを標準装備する豪華なもの。多くの他社モデルでは、全長5mを切るキャブコンに常設コンロを乗せているモデルは非常に少ない。
これらはカセットガスコンロを、使用する度にいちいちセットする必要があるが、常設コンロであればそのような煩わしさは無い。しかも2口あるので、湯を沸かしながら調理するといった場合でも同時にできる。
もちろんキャンピングカーで調理はしないというユーザーには不要なものだが、このあたりもキャブコンビルダーの老舗を感じるところだ。
シンクの下の収納
ギャレーキャビネットの下には収納が用意されている。他車ではここに給排水タンクを収納しているケースがあるが、コルドバンクス(コルドドッゴとコルドシャトンも)では、20Lの清水タンク、51Lの生活用水タンク、70Lの排水タンクに分かれている。
これは上位モデルのジルシリーズにも採用されているが、食器を洗ったり食材を洗ったりする場合は、清潔なポリタンクの清水タンクの水を使うように考えられたもの。手を洗ったり、シャワー用の水は生活用水を使うことができる。
確かに固定タンクは清掃し難く、食器や食材を洗うには適していないのだろう。普及モデルにもこのシステムを採用しているところに、バンテックのこだわりを見ることができる。
冷蔵庫/電子レンジ
85L横開き式冷蔵庫(OP)がここに収納される
85L横開き式冷蔵庫がオプションで用意されており、選択した場合は上の写真の位置に設置される。このクラスのキャブコンで冷蔵庫が不要というユーザーがどれほどいるのか疑問だが、なぜか冷蔵庫はオプションとなっている。
電子レンジもオプション(写真はコルドバンクス)
電子レンジもオプションとなっており、選択するとギャレー上部のオーバーヘッド収納部の一角に設置される。電子レンジも、昨今のクルマ旅ではほぼ必需装備で、標準装備にしている他社モデルは多くある。
多目的ルーム
コルドドッゴの多目的ルーム
多目的ルームは、防水処理がされており、車外から直接濡れたスキーウエアのようなものを積み込めるようになっている。オプションでカセットトイレやラップトイレ、ポータブルトイレを設置することもでき、温水シャワーも設置できる。
収納
ダイネット上部のオーバーヘッド収納
ダイネット上部にオーバーヘッド収納が設置されている。
後部ベッド下の収納
後部の2段ベッド下の収納には、左右と後部の3か所のドアが付いており、中の荷物にアクセスしやすい。床は防水処理されており、排水口もあるので、清掃も楽だ。
ダイネットから後部へのウォークスルー
コルドドッゴとコルドシャトンでの変更点のひとつが、このウォークスルー。コルドバンクスではドアでベッド下収納部へアクセスできるようになっていたが、そのドアが無くなった。
ウォークスルーと言っても段差はあるが、ペットのトイレを後部のラゲッジスペースとしつけることもできるかもしれない。
自転車等も積み込める
もちろんコルドバンクスの特長のひとつである、ベッドボードを取り外すと大きな収納スペースになるというコンセプトは踏襲されており、左サイドの縦長のラゲッジドアから自転車のような背の高いものも積み込むことができる。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
空調は、家庭用エアコンが標準装備され、室内機はエントランスの上部に設置される。なお、室外機は車体後部右側に設置されるが、ベッド下収納より低い位置のため、右側のラゲッジドアも設置できている。
暖房はFFヒーターが標準装備され、マックスファンベンチレーターも標準装備される。
テレビ/ナビ
テレビ本体のオプション設定は無いが、テレビアームはオプション設定されている。コルドバンクスでは助手席の後ろにテレビ台が設置されていたが、前述のようにここにはペット用の小窓が新設されたので、テレビはテレビアームで助手席の後部のボードに固定されることになった。
ナビも特にオプションで用意されていないが、好みのものを取り付けることができるだろう。
電装系
ILiSシステム(写真はジルノーブル)
コルドドッゴとコルドシャトンでは、同社とEcoFlowで開発された、先進のリチウムイオンバッテリーシステム、ILiSが標準装備される。これはEcoFlowのポータブル電源をベースにしたシステムで、6000Whの容量がある。
240Wのソーラーシステムも標準装備
また、240Wのソーラーシステムも標準装備。先進の強力な電装系が標準装備される。更に、価格表には無いが、発電機のホンダEU-18i(別売)が収納できるi
boxも選択することができる。
価格(2024年11月現在:千円台切り上げ:税込)
コルドドッゴとコルドシャトンはディーゼル4WDのみが選択可能で、価格は1140万円~。
付けておきたい必需装備は、85L横開き式冷蔵庫(196,900円)、電子レンジ(49,500円)等が挙げられる(価格表はこちら)(ナビ関連は除く)
参考までに、コルドバンクスディーゼル4WDのILiS仕様は1098万円~となっている。即ち、ワンオフペットシルエットデカール、ペット用小窓、リード固定フック、抗菌ビニールレザーシート生地、ウォークスルーが差額の42万円ということになる。
他モデル
同様のカテゴリーでペット専用にアレンジされたモデルは存在しないが、全長が5mを切るカムロードキャブコンであれば多数存在する。(5m未満のカムロードキャブコン特集2023も参照ください)
その中でも、5x2m未満のボディサイズで、同様のレイアウトを持つモデルでは、アネックスのリバティ50DB(1073万円~)、ナッツRVのジープニーTypeW(1013万円~~)とアレッタTypeW(1168万円~)、東和モータース販売のモビーR2B、が挙げられる。(何れもディーゼル4WDで家庭用エアコン、リチウムイオンバッテリー装備の価格)
まとめ
ペットとのクルマ旅に最適なモデルと言うのは、使う環境やクルマのサイズにより様々だとは思われるが、広い平坦スペース、走行時の安全な場所、滑らない床、汚れと引っかきに強いシート地、抜け毛の掃除のしやすさ、信頼できる冷房装置、ケージの設置スペース、飛び出し防止ネット、排せつの場所、あたりは、すぐに思いつくところだ。
コルドドッゴとコルドシャトンがこれらの多くの条件を満たしているかと言うとそうではないが、、幾つかのペット対応の装備を追加している。
価格的には同装備のコルドバンクスより少し高くなるが、他とは違うコルドバンクスという希少価値に価値観を見いだせるなら、楽しい選択かもしれない。
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