ボーテ5はRVグランモービルが製作する、トヨタタウンエースバンをベースにハイルーフを架装したバンコンキャンピングカー。
同社は秋田県大仙市を本拠にし、バスコンからこのタウンエースベースのバンコンまで手掛けるユニークなビルダー。ラインアップは少ないが、一味違ったモデルを開発している。
ボーテ5は2024年に発表されたタウンエースベースのハイルーフバンコンで、2025年のジャパンキャンピングカーショーで、レイアウトなどを一部変更して2025年モデルが発表された。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタタウンエースバンをベース車に、FRP制のハイルーフを架装したバンコンキャンピングカー。
L字型の広いダイネットと、大きなカウンターキャビネットの組み合わせで、二人旅に適したレイアウトを持つ。シンクとフォーセットは独立してエントランスの横に設置され、使いやすくなった。
冷蔵庫(OP)、電子レンジ、クーラー(OP)、リチウムイオンバッテリー、そして床暖房(OP)を装備でき、年間を通じて快適なクルマ旅が可能となっている。ハイルーフを生かしたオーバーヘッド収納をはじめ、シート下の収納やキャビネットの収納など、収納も充実している。
アピールポイント
・コンパクトながら高い天井高で圧迫感が少ない
・冷蔵庫(OP)、電子レンジを装備可能でクルマ旅にも対応
・クーラー(OP)、リチウムイオンバッテリーを装備可能
・簡単なベッド展開
・大きなサンルーフを標準装備
・床暖房を装備可能(FFヒーターはOP)
・充実した収納
ベース車とエクステリア

ボーテ5のエクステリア
ベース車はトヨタタウンエースバン。これにFRP製のハイルーフを架装している。(ノーマルルーフバージョンは無い)ハイルーフは凝ったデザインでスタイリッシュ。後部にはアクリル2重窓も標準装備されている。
ベース車はDXとGLグレードを選択でき、2WDと4WDも選択できる。このクラスでは他に無い大きなサンルーフが標準装備されているのも特徴。フルオープンの他、網戸やシェードも組み込まれている。
インテリア

ボーテ5のインテリア
2024年モデルからインテリアカラーが一新され、カラフルなシートとシックな木目の家具に変更された。シート地については6種類から選択できるが、家具色は一択となっている。
レイアウト

ベッドモード時のレイアウト
前部にL字型のダイネット、エントランスの前部にギャレーキャビネット、左サイドに大きなカウンターキャビネットの構成。二人旅(あるいはひとり旅)に適したレイアウトとなっている。
ダイネット

L字型のダイネット
2024年モデルでは右サイドのベンチシートだけだったが、2025年モデルではL字型になった。対座ではないが、顔を見合わせて話せるし、全体的に広く見える。テーブルも大きく、2名が食事をすることも可能だ。
テーブルは跳ね上げ式になっており、不要な場合は畳んでおくことができ邪魔にならない。
ベッド

ダイネットを展開したベッド
ダイネットを展開すると、1800x1100mmのベッドになる。幅1100mmは家庭用のシングルベッドの幅(1000mm)とセミダブルベッドの幅(1200mm)の中間なので、2名で就寝すると少し狭いかもしれない。
ベッド展開は、座面をスライドさせるだけなので、極めて簡単だ。就寝前に多くの労力を使う必要はない。(ベッド展開の動画はこちら)
ギャレー

ギャレーセクション
ギャレーはエントランス横に配置されており、シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使用できる。キャビネットの下には各10Lの給排水タンクが収納されており、車外から直接出し入れできるので便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ

15Lポータブル冷蔵庫(OP)
冷蔵庫は15Lポータブル冷蔵庫がオプションで用意されており、カウンターキャビネットに収納される。2024年モデルでは30Lの引き出し式冷蔵庫が標準装備されていたので、容量敵には少なくなっているうえにオプションとなってしまったのは残念なところだ。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。インバーターも標準装備なので、外部電源が無いところでも電子レンジを使用できる。クルマ旅にはほぼ必需装備だ。
多目的ルーム
ボーテ5に多目的ルームは無いが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことはできる。ただ、子供が乗っているケースはあまり無いと思われるので、現実的ではないだろう。
収納

オーバーヘッド収納
ハイルーフの大きな特徴のひとつがオーバーヘッド収納が設置できること。ボーテ5でもこのメリットを生かし、カウンターキャビネットの上部にオーバーヘッド収納が設置されている。

キャブ上部の棚収納
運転席、助手席の上部にも大きな棚収納が用意されている。寝具などを収納しておくのに便利だろう。

エントランス横のシューズボックス
エントランス横にはシューズボックスを設置。2名分程度の靴が収納できる。

カウンターキャビネットの収納
カウンターキャビネットにも収納が用意されており、クルマのリアゲートをひらけて後部からアクセスできる。
空調

車載用クーラー(OP)
車載用セパレートクーラーがオプションで設置できる。これも2024年モデルでは標準装備だったがオプションに変更されているのは残念なところだ。なお、クーラーを設置する場合は、リチウムイオンバッテリーをオプションでもう1個追加すると良いだろう。
2025年モデルの進化はクラス初の床暖房。FFヒーターはオプションだが、FFヒーターの温風を床下に通すことにより、床暖房を実現している。温風は最終的にはエントランスの床の断面から車内に吐出される。
テレビ/ナビ
テレビは10.2型のフリップダウンモニターがオプション設定されている。
電装系
標準では、100Ahのリチウムイオンバッテリーが1個装備され、オプションでもう1個増設できる。その他の電装系では、走行充電、外部電源入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターが標準装備される。
ソーラーシステムは、ルーフ上に十分な設置スペースが確保できないため、設定されていない。
価格(2025年5月現在:千円台切り上げ:税込)
タウンエースバンの各種グレードやミッションで製作できるが、最も安価なDXグレードガソリン2WD/5MTは593万円~、最も高価なGLグレード4WD/4ATは645万円~となっている。
クルマ旅や車中泊で使用する場合付けておきたい必需オプションは、FFヒーター、ポータブル冷蔵庫、車載用クーラーが挙げられる。できれば、リチウムイオンバッテリーも増設しておきたい。(ナビ関連は除く)
他モデル
タウンエースバンにハイルーフを架装したモデルは、AtoZのアンナ model M(449万円~)、レクビィのコットCT(658万円~)、ホビクル タウンランダー CT(597万円~))、タコスのハナ(456万円~)、ハナ1.5、ハナ2(434万円~)、キャンピングカー広島のピコ ハイルーフ(543万円~)、stage21のリゾートデュオルクシオV+ルクシオプロα(465万円~)がある。
このうち、コットCT、ホビクル タウンランダー CT、ハナ、ハナ1.5、ハナ2は2列目にマルチモードシートを持ち、クルマ旅というよりシティキャンパーの性格を持つ。
ハナとリゾートデュオルクシオVは、ルーフベッドを持ち、ファミリーでの使用が可能。コットCT、ピコハイルーフ、リゾートデュオルクシオV+ルクシオプロαはクーラーの設置が可能だ。
ボーテ5とコンセプトが似ているのはピコハイルーフだろう。どちらも装備が充実した二人旅仕様でクーラーの設置も可能。リゾートデュオルクシオV+ルクシオプロαも似ているが、こちらはファミリーにも対応できる。
まとめ
ボーテ5はハイルーフを架装することにより、コンパクトなベース車ながら圧迫感の少ない車内を実現している。シンクキャビネットをエントランス横に移動し使いやすくしたり、床暖房の導入など、2024年モデルから大きく進化しているのも好印象だ。
冷蔵庫、電子レンジ、クーラー、リチウムイオンバッテリーなどを装備でき、二人でのクルマ旅に最もお勧めできるコンパクトバンコンのひとつだ。
ただ、冷蔵庫が30Lから15Lと小さくなり、かつ標準装備からオプションに変更されたり、クーラーがオプションに変更されたりと、グレードダウンされた点は残念なところ。
しかし、このクラスでは類を見ない床暖房の採用や大きなサンルーフなど、先進的な開発もされており、コンパクトなモデルでのクルマ旅を考えているユーザーには魅力的なモデルだ。
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