cott CT(コットCT)はレクビィが製作する、トヨタ タウンエースバンをベース車にするバンコンキャンピングカー。
同社は愛知県瀬戸市に本拠を置くビルダーで、ハイエースやキャラバンをベース車にするバンコンを多数ラインアップしている。2024年には、同社初となるタウンエースをベースとしたバンコン、コットとホビクルタウンランダーを発表。
そしてジャパンキャンピングカーショー2025で、そのハイルーフバージョンとなるコットCTとタウンランダーCTを発表した。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
コットはタウンエースバンをベース車にしたバンコンだが、コットCTはコットにハイルーフを架装したモデル。室内高が1540mmと、コットに比べて200mm以上高くなっており、圧迫感の少ない室内になっている。
レイアウトやインテリアはコットとほぼ同じとなっているが、ハイルーフにしたことにより、オーバーヘッド収納が追加され、収納力が大幅にアップしている。
標準仕様とA/C仕様が選択でき、標準仕様には100Ahのリチウムイオンバッテリー、A/C仕様には一体型クーラーと150Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備する。
アピールポイント
・コンパクトなボディサイズで取り回しが楽
・ハイルーフを架装し、高い天井高で圧迫感の少ない室内
・ポップなツートン塗装とデカール(OP)
・2列目にマルチモードシートを持ち、5名が前向きに乗車可能
・後部に広いデスクスペースを設置でき、パソコンワークや趣味の作業ができる
・日本製一体型クーラーを設置可能
・全車にリチウムイオンバッテリーを標準装備
ベース車とエクステリア

コットCTのエクステリア
ベース車はトヨタ タウンエース バン GL。上級グレードのGLなので、パワーウインドウやリモコンドアミラー、リモコンキーが標準装備される。運転席、助手席のエアバッグはもちろん、衝突回避支援システム(スマートアシスト)も標準装備される。
コットCTでは、このベース車にFRP製のハイルーフを架装。このため車高が2210mmと、ノーマルルーフに比べて280mm高くなっている。ハイルーフ部には、金属製のフレームで剛性と耐久性を確保している。
標準仕様と、クーラーが標準装備されたA/C仕様が設定されており、それぞれ2WDと4WDを選択できる。ボディカラーは標準ではホワイトだが、オプションでツートンとデカールを選択できる。
インテリア

コットCTのインテリア
基本的にノーマルルーフのコットと同じで、明るい木目の家具と水色をイメージカラーとしたシートの組み合わせだが、CTではハイルーフ部分にオーバーヘッド収納が設置されており、木の温かみがさらに感じられるインテリアになっている。
ルーフのインテリアボードの形状は異なるが、調光のできるスポットライトの照明は同じくお洒落な室内を演出している。

両側のモールシステムボード
後部両側のウインドウ部にはモールシステムボードが標準装備されており、小物を吊り下げて収納できると同時に、自分好みにアレンジしてインテリアの一部としてアレンジできる。
レイアウト

コットCTのレイアウト
レイアウトも基本的にはコットと同じで、2列目に3名掛けのマルチモードシートを配置する。前向きにすると運転席、助手席を合わせて5名が乗車できる。
後ろ向きにすると、後部のシートとでL字型や対座スタイルでテーブルを囲むことができる。2列目シートをフラットにすると、大人2名が就寝できるベッドになる。
後部両側にキャビネットがあり、右側にはシンクを設置。左側のキャビネットは、標準仕様では冷蔵庫が、A/C仕様ではクーラーが設置される。
ダイネット

リラックスモードのダイネット
2列目シートを後ろ向きにして、3列目シートとでL字型や対座スタイルのダイネットが作れることは先述の通りだが、テーブルを取り外し、後部をフラットすると、足を投げ出し、リクライニングしてテレビを観たりオーディオを楽しむことができる。
ダイネットはテーブルを囲んで食事をしたり会話をしたりする場というイメージがあるが、寛ぐ場でもある。重要なのは、限りあるスペースの車内でいかに寛げるかということであり、そこまで考えてあるモデルは多くない。

後部の広いデスク
更にコット/コットCTでは、もう1枚テーブルが用意されており、これを後部のキャビネットに渡して設置することで、広いデスクになる。パソコンを置いてテレワークの場所にしたり、趣味の作業場にしたりと、使い方は様々だ。自宅のカーポートに自分だけの書斎を作ることができる。
ベッド

ベッドモード
シートを全てフラットにすると、1800x1200mmのベッドになる。1200mmの幅は、固定用ではセミダブルベッドの幅に相当し、大人2名が就寝できる。(就寝定員も2名)後部のキャビネットはベッドと干渉しないので、足元まで1200mmが確保されているのも重要なポイントだ。
ギャレー

後部右側に設置されたギャレー
後部右側のキャビネットに丸形のシンクとシャワーフォーセットが設置されている。シンクは大き目で実用的だ。シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使うこともできる。アウトドアアクティビティで汚れた手足を洗ったり、ペットの足を洗ったりする場合に便利だ。

シンクの下の給排水タンク
シンクの下には、各13Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートをひらければ、車外から直接タンクを出し入れすることができる。キャビネットの最下部には収納が用意されており、ペットのオモチャやリードなどを収納しておくのに便利だろう。
冷蔵庫/電子レンジ

49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
標準仕様のコット/コットCTには、後部左側のキャビネットに49Lの横開き式冷蔵庫が標準装備される。A/C仕様には、このキャビネットに一体型のクーラーが設置される。この場合、冷蔵庫はレスとなる。
クーラーを装備しても冷蔵庫が欲しい場合は、別途ポータブル冷蔵庫を積み込んで使用すると良いだろう。また、電子レンジもオプションで設定されていない。
冷蔵庫や電子レンジが無いというのは少し残念な点かもしれない。ただ、このクラスのモデルで長期旅や車内で調理したいというユーザーは少ないだろう。休日にキャンプに行ったり、前泊してトレッキングやイベントに行ったりという使い方が多いのではないだろうか。
であれば、冷蔵庫や電子レンジが装備されていないことは大きな欠点ではないだろう。むしろそのような装備でスペースを取らない方が望まれるかもしれない。
収納

右サイドのオーバーヘッド収納
ハイルーフになったことにより、コットCTの収納力は大幅に拡張された。まず、右サイドには扉付きのオーバーヘッド収納が設置される。扉が付いているので、走行中に中身が落下する心配は無い。

左サイドの収納
左サイドにも収納が設置されている。落下防止用のバーも設置されている。

前部の収納
前部と後部には、大きな棚が設置されている。ここには寝具などを収納しておくと便利だろう。前部の収納の上部には小さなサンルーフも標準装備されている。

後部のカーゴスペース
その他、ギャレーキャビネットなどに小さな収納が用意されている。また、後部のベッドマットを全て取り外すと、広い積載スペースになる。キャンプ用具などのかさばる荷物を積むことも可能だ。小型の自転車等の背の高い荷物も積むことができるだろう。
空調

A/C仕様にはクーラーを標準装備
A/C仕様では、後部左側のキャビネットに一体型のクーラーが標準装備される。これは日本のメーカーが開発・製造している「Camcool(キャンクール)」というもので、24V仕様となっている。A/C仕様では、24V 150Ahのリチウムイオンバッテリーも標準装備となっている。
一体型のため、室外機を車外に設置する必要が無く、塩害や水害の影響を受けないため信頼性が高まるとしている。風量は3段階で設置でき、タイマーも装備されている。吹き出し口は横向きに2口、前向きに1口が設置されている。
FFヒーターは標準装備されるが、マックスファンベンチレーターは車高が変わるため、オプションとなっている。
テレビ/ナビ

11.6型のフリップダウンモニター(OP)
後部に11.6型のフリップダウンモニターセットをオプションで設置できる。これには左右のスピーカーも含まれる。ナビと連動しているので、ナビのテレビ映像をこちらのモニターで見ることができる。
電装系
標準仕様のコット/コットCTには100Ahのリチウムイオンバッテリーが1個標準装備される。また、A/C仕様には、クーラーが24V動作のため、24V
150Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。
その他の電装系は、走行充電、外部100V電源入力とチャージャーが標準装備される。1500Wインバーターはオプション設定にない。即ち、サブバッテリーの電力で、100Vの家電製品を使うことはできない。
ただし、コット/コットCTの場合、車内で100Vの家電品を使うシチュエーションがあるかと考えると、ほとんど思いつかない。長期旅なら電子レンジやパソコンの充電などが考えられるが、コット/コットCTは長期旅と言うよりは、短期のキャンプや休日の遠出などに向いているので、100Vの家電品はほとんど使わないだろう。もし必要であれば、ポータブル電源を乗せておくという手も考えられる。
なお、コットには200Wのソーラーシステムがオプションで用意されているが、コットCTにはルーフキャリーが取り付けできないので、設定されていない。
価格(2025年3月現在:千円台切り上げ:税込)
標準仕様のコットCT 2WD/4ATは658万円~、4WD/4ATは683万円~、A/C仕様2WD/4ATは765万円~、 4WD/4ATは789万円~となっている。付けておきたい必需オプションは特に無い。(ナビ関連は除く)
他モデル
タウンエースをベース車にし、ハイルーフを架装したモデルは、従来AtoZのアンナ ModelM(449万円~)とタコスのハナ(421万円~)しかなかったが、ここ1年の間にレクビィのコットCT、タウンランダーCTに加え、RVグランモービルのボーテ5(675万円~)、ステージ21のリゾートデュオ ルクシオIV+V(499万円~)、キャンピングカー広島のピコ ハイルーフ(参考展示:価格未定)が発表された。(太文字はクーラーとリチウムイオンバッテリー付きの2WD価格)
まとめ
コットCTはハイルーフを架装しているがルーフベッドは無く、圧迫感を軽減するのがルーフを高くした主な目的のようだ。その結果として、背が高くなりすぎず、スタイリッシュなフォルムが可能になったし、オーバーヘッド収納も充実している。
ルーフベッドがあると就寝人数が増えるので、ファミリーでの車中泊が可能になるというメリットがある。しかし、このサイズのベース車では、ファミリーでの使用はかなり窮屈でなので、ハイルーフであっても2名の就寝に割り切ったというのがコットCTだ。
コットCTは、2名で、あるいは1名で、休日に小旅行をしたり、キャンプ場に行ったり、前泊してトレッキングやイベントに行くといった使い方に適したモデルだ。クーラーが装備され、年間を通じて快適な室内が確保されている。
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