Beaute5(ボーテ5)はRVグランモービルが製作する、タウンエースバンをベース車に使用したバンコンバージョンキャンピングカー。
同社は秋田県大仙市に本拠を置くビルダーで、ハイエースベースのバンコン「カーサツーリング」とNV200バネットベースのバンコン「TRAD200」を製作している。またバスコン「TRAD699」も製作するというユニークなビルダーだ。
ボーテ5は同社の5番目のモデル(もうひとつ「ラ・セードフォーユー」というバスコンがあった)で、タウンエースベースは同社初となる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
タウンエースバンをベース車にする8ナンバーのバンコンモデル。FRP製のハイルーフを架装し、高い天井高を実現している。
ベンチシートのレイアウトを採用しており、二人旅(もしくはひとり旅)に適している。ギャレー、冷蔵庫、電子レンジ、クーラー、リチウムイオンバッテリーを標準装備し、快適なクルマ旅を実現している。
コンパクトなベース車でも車内が広く、装備が充実し、夏でも快適なクルマ旅を望むユーザーには最適なモデルとなっている。
アピールポイント
・コンパクトなベース車ながらハイルーフで高い天井高
・洗練されたエクステリアとインテリア
・二人旅、もしくはひとり旅に割り切ったレイアウト
・冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・車載用セパレートクーラーを標準装備
・200Ahリチウムイオンバッテリーを標準装備(オプションで300Ahまで可能)
・大きなサンルーフを標準装備
ベース車とエクステリア
ボーテ5のエクステリア
ベース車はトヨタタウンエースバン。これにFRP製のハイルーフを架装している。ハイルーフが架装されているが、他のハイルーフモデルのようにルーフベッドは無く、そのため高さにとらわれないバランスの取れた美しいハイルーフで、ベース車に自然な形でなじんでいる。
FRPハイルーフはよくポップアップルーフと比較される。どちらも高い天井高を実現する方法だが、ポップアップルーフは普段は低い天井高のため、高さ制限のある駐車場にも入れるのがメリットだ。
一方、FRPハイルーフは上げ下げの手間がなく、風雨に強いのが特徴。断熱性も良いため、暖房や冷房の効率が良い。鉄板のノーマルルーフに比べると、夏の日差しで車内が暑くなるのが多少緩和されるというメリットもある。更に、オーバーヘッド収納を設置するスペースも生まれる。
高さ制限のある駐車場に入れないというデメリットが許容できるなら、ハイルーフは極めて合理的なソリューションだ。
インテリア
ボーテ5のインテリア
ホワイト系の家具、明るい木目の天板、ライトグレーのシートの組み合わせで、洗練された印象のインテリアとなっている。照明も間接光を採用し、ムーディーな夜のインテリアを実現している。
大きなサンルーフを標準装備
ボーテ5で特徴的なのが、標準装備される大きなサンルーフ。LED照明が組み込まれており、メイン照明として機能する他、天板を跳ね上げてオープンエアにできる。網戸やシェードも組み込まれている。
レイアウト
左サイドのベンチシートと右サイドのギャレーキャビネットの組み合わせ。運転席、助手席以外に前向きシートはなく、二人旅(あるいはひとり旅)に適したレイアウトになっている。
なお、ベンチシートには2点式シートベルトで4名が乗車できるとしているので、運転席、助手席を合わせて6名が乗車定員となっている。就寝定員はダイネットを展開するベッドで2名が就寝できる。
ダイネット
後部から見たダイネット
ベンチシートとテーブルのダイネット。テーブルは大きく、趣味の作業やパソコンを置いてテレワークと言った使い方もできるだろう。ただ、このモードで足を伸ばして寛ぐのは難しい。寛ぐ場合はベッドモードにすると良いだろう。
ベッド
2名が就寝できるベッドモード
ダイネットを展開すると、1800x1100mmのベッドになる。1100mmは家庭用ではセミダブルベッドの幅(1200mm)に近く、大人が2名就寝できる。ただし大柄なユーザーや長身のユーザーには十分広いわけではなく、実際に横になって確かめることをお勧めする。
ギャレー
ギャレーセクション
左側に設置されたギャレーキャビネットは大きく、カウンターとしても使用できる。天板の後部にはコンパクトなシンクとフォーセットが設置されている。また、跳ね上げ式の調理台が用意されているので、調理台を拡張して使用することができる。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されており、リアゲートを開けると車外から直接出し入れできる。
ギャレーキャビネット下の収納
ギャレーキャビネットの下には収納が用意されている。
冷蔵庫/電子レンジ
30L引き出し式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は30Lの引き出し式が標準装備される。ベンチシートの下にすっきりと収納されているので邪魔にならない。欲を言えばクルマ旅には製氷や冷凍ができる冷蔵庫が欲しいところだが、それはスペース的に難しいだろう。必要に応じてポータブル冷蔵庫も積んでおくという手はある。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
ボーテ5には多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを緊急用に積んでおくことはできる。最後部にそのスペースはあるが、ベッドモードにしたときにベッドマットの下に収まるポータブルトイレがあれば、目に入ることは無い。
収納
オーバーヘッド収納
ハイルーフにすると、収納が増えるというメリットもある。ボーテ5では左右にオーバーヘッド収納が設置されているが、右側には扉付きの収納も設置されている。その他のオーバーヘッド収納は扉のない棚だが、必要に応じて扉付きの収納にできるのではないだろうか。
運転席、助手席上部の収納
運転席、助手席上部には大きな棚収納が設置されている。寝具などを収納しておくのに便利だ。このように収納が豊富に用意されていると、特にコンパクトなモデルでは車内が荷物で煩雑にならない。
ベンチシート後部の収納
ベンチシートの最後部にも収納が用意されている。この収納はリアゲートを開けて車外からアクセスできる。ペットのリードや遊び道具などを収納しておくのに便利かもしれない。
エントランス横のシューズボックス
エントランス横にはシューズボックスも用意されている。二人で使用するなら十分な大きさだ。
空調
車載用セパレートクーラーを標準装備
冷房は車載用セパレートクーラー”One Cool21”が標準装備される。やはりこれもハイルーフなので窓を埋めることなく取り付けられている。暖房はFFヒーターがオプションで設置できる。サンルーフが装備されているため強制換気用のベンチレーターは無い。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていないが、取り付けることは可能だろう。ナビもオプションリストにはないが、好みのものが取り付けられる。
電装系
200Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。更にオプションで300Ahにグレードアップすることも可能。このサイズのバンコンでリチウムイオンバッテリーを標準装備するモデルはまだ多くなく、更に300Ahまで増設できるモデルは他に見当たらない。
300Ahあればクーラーを電気の心配なく使用することができる。今やクーラーは必需装備となりつつあるが、コンパクトなモデルにもかかわらず、ボーテ5では更に実用性まで見越した特筆できる仕様だ。
その他の電装系では、走行充電、外部電源入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターが標準装備される。ソーラーシステムはオプションリストにないが、設置は可能だろう。
価格(2024年2月現在:千円台切り上げ:税込)
2WDで569万円~、4WDで594万円~となっている。ほとんどの必需装備は標準で付いているが、付けておきたい必需オプションは唯一FFヒーターがある。秋口から春先まで使えるので、是非付けておきたい。(ナビ関連は除く)
他モデル
タウンエースベースでハイルーフを架装するモデルは、AtoZのアンナ modelM(438万円~)と、タコスのハナ(421万円~)がある。どちらもFRP製のハイルーフを架装し、子供用のルーフベッドがあるのが特徴。2列目に3人掛けのマルチモードシートを配置するのも同様で、即ち、これらは子供連れのファミリーを想定したモデルだ。
ボーテ5はこれら2モデルとは異なり、二人使用を想定したレイアウトなので直接の競合モデルではない。あえて競合モデルを探すとすると、stage21のリゾートデュオ ルクシオ プロ/Ⅱ(471万円~)が挙げられる。
このモデルはハイルーフを架装していないが、二人使用を想定したベンチシートのレイアウトで、15Lポータブル冷蔵庫、電子レンジ、One Cool21クーラー、100Ahリチウムイオンバッテリーを標準装備する。
まとめ
ボーテ5はタウンエースのバンコンとしてはハイエンドに位置するモデルだ。これだけの装備を持つため価格的には高価になるが、クルマ旅仕様としてはほぼ完璧に近い。二人旅ならハイエースベースが理想的ではあるが、ボーテ5と同様の装備を求めると、レクビィのソランハイルーフのような価格(792万円~)になってしまう。
タウンエースベースのバンコンと言えば安価を求められるケースが多かったが、ボーテ5はコンパクトでも高級感と多機能を求めるユーザーにフィットするモデルだ。二人旅はもちろん、一人使用のベース基地としても満足感は高いだろう。
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