ソランハイルーフはレクビィが製作する、ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたバン・コンバージョンキャンピングカー。
同社は主にハイエースをベース車にしたバンコンキャンピングカーを製作しているバンコン専門ビルダー。洗練されたインテリアと高品質な内装で知られている。
ソランは2023年のジャパンキャンピングカーショーで発表された、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にするバンコンキャンピングカー。その後、2023年4月には神奈川キャンピングカーフェアでハイエースワイドミドルルーフをベース車にするソランワイドが発表された。
ソランハイルーフはソランシリーズでは第3弾となる、ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたモデルで、レイアウトやインテリアは基本的に前2モデルと同様。ハイルーフになったため、オーバーヘッド収納が充実しているのが特徴だ。
同社には、やはりハイエース標準ボディハイルーフをベース車にするプラスLV/+1があるが、クラシカルで落ち着きのあるインテリアのプラスLV/+1に対し、ソランハイルーフはカジュアルで明るいインテリアが特徴となっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にするバンコンキャンピングカー。冷蔵庫や電子レンジ、家庭用エアコンとFFヒーター、リチウムイオンバッテリーやソーラーシステムを含む電装系など、クルマ旅に必要なほぼ全ての装備が標準で架装されている。
ペットとのクルマ旅がテーマになっており、傷つきにくいシート地やオプションでペットベッドなども用意されている。
アピールポイント
・ハイルーフで圧迫感の少ない室内
・家庭用エアコンとFFヒーターを標準装備
・リチウムイオンバッテリー他電装系を標準装備
・横開き式冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・充実した収納
・リラックスできるリクライニング機能
・ペットに対応した傷つきにくいシート生地
ベース車とエクステリア
ソランハイルーフのエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディハイルーフを使用し、キャンパー専用車あるいはDX-GLパッケージ、DXが選択できる。内装の素材の違いなどで、キャンパー専用車の方がグレード感が高いため、一般的にはキャンパー専用車を選択するが、DX-GLパッケージ、DXでは運転席と助手席の間にもう1名乗車できる補助シートがあるため、乗車人数を重視する場合はDX-GLパッケージ、あるいはDXが選択できる。なお、TSS(Toyota Safety Sense)はどちらにも搭載されている。
エンジンはガソリンとディーゼルが選択でき、ガソリンでは2WDのみ、ディーゼルでは2WDと4WDが選択できる。
ボディ外側への架装は無いため、見た目は(ソランのロゴなどを除き)通常のハイエースと変わらないので、日常用途で目立つことは無い。写真のボディカラーと外部収納はオプション。
インテリア
ソランハイルーフのインテリア
ソランのインテリアはベージュ系のツートーンのシートと木の感触を生かした家具で構成されており、明るくカジュアルな印象。スポットライトを中心にした照明はお洒落な室内を演出する。ソランハイルーフでは追加された両側のオーバーヘッド収納の下側にもスポットライトが追加され、更に華やかさが増している。
運転席、助手席の同色シートカバー(OP)
オプションで、運転席、助手席に後部のシートと同色のシートカバーが用意されている。
レイアウト
ソランハイルーフのレイアウト
前部にギャレー、後部に2名対座ダイネットとベンチシートのダイネットのレイアウトを採用。2列目の単座マルチモードシートは後ろ向きにするとダイネットシートとして、前向きにすると前向き乗車のシートとして使用できる。
レッグレストモード
2列目のマルチモードシートは、前向きにした場合、レッグレストモードにでき、長時間の乗車でも快適に過ごすことができる。なお、このシートには3点式シートベルトも用意されている。
これにより3名が前向き乗車できるが、ベンチシートにも2名が乗車できるので、乗車定員は5名となっている。就寝は、ダイネットを展開したベッドで3名が就寝できる。
このレイアウトの特徴は、2名でも3名のファミリーでも対応できるところ。遮るものが無く広々としたダイネットは、室内で長時間過ごすクルマ旅でもストレスを最小限にとどめることができる。
ダイネット
広いダイネット
2列目シートを後ろ向きにして3列目の単座シートとで2名がテーブルを挟んで対座できる。加えて、ベンチシートに2~3名が座れるので、ゲストがあった場合などにも対応できる。
一人用リクライニングモード
ダイネットモードでは、上の写真のようにリクライニングし、足を投げ出して寛ぐこともできる。後部をリクライニングして逆向きでも同様にできるので、ベンチシートのパートナーと同じ向きに、あるいははす向かいにリクライニングして寛ぐことができる。
ベッド
3名が就寝できるベッド
シートを全てフラットにすると、1830x1500mmのベッドになる。1500mmは家庭用ではレギュラーのダブルベッドの幅(1400mm)よりも広く、キャンピングカー要件では大人3名が就寝できる広さだ。また、左側は最大2100mmにもなり、長身のユーザーでも窮屈感なく就寝できる。
最後部に設置されたリクライニング機構
ソランシリーズ(同社のプラスシリーズも同様)で特筆できるのは、最後部に多段階のリクライニング機構が装備されている点。先のダイネットモードでも書いたが、ベッドモードでも同様に寛ぐことができ、就寝前にリラックスした体勢でテレビを観ることができる。
写真のシュラフはレクビィショップで販売している、新世代の人口羽毛綿『Air Flake(R)』を使用したキャンピングカー専用寝具 〈huluhulu〉。詳細はこちら。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーキャビネットはシンク部と収納部に分かれている。これは同社のイゾラにも採用されているコンセプトだが、エントランスの近くにシンクとシャワーフォーセットを持ってくることで、タンクの出し入れが車外から直接できるようになり、シャワーフォーセットを車外で使えるようになる。
調理スペースは奥にあるが窓があるので明るいギャレーになり、二つのキャビネット間は空いているので、運転席、助手席から後部への移動も楽にできる。
シンクの下の各13L給排水タンク
シンクの下には各13Lの給排水タンクが収納されており、前述の通り車外から直接出し入れできる。扉が180度開くので、出し入れは楽にできる。
ギャレーキャビネット上部の引き出し収納
奥のギャレーキャビネットには引き出し収納があり、カトラリー等を収納しておくのに便利だ。引出しにはソフトクローズ機構があり高級感がある。コンロはカセットコンロをセットして使う。
ギャレーキャビネット下の引き出し収納
ギャレーキャビネットの下側にも引き出し収納が用意されている。この引き出しは上下に分かれており、下段はスリッパなどの収納が想定されているようだ。ここはむしろ一つの大きな容量の引き出しの方が調理用具の収納として使いやすいように思う。
冷蔵庫/電子レンジ
49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49Lの横開き式冷蔵庫が標準装備される。もちろん、冷凍室があるので、製氷、冷凍と冷蔵が同時に可能だ。コンパクトなキャンピングカーでは上開き式の冷蔵庫を搭載している場合があるが、クルマ旅で使うなら冷凍と冷蔵が同時にできる横開き式が便利だ。
電子レンジも標準装備される。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源が取れないところでも電子レンジを使用できる。
多目的ルーム
ソランシリーズには多目的ルームは装備されていないが、緊急用にポータブルトイレを乗せておくことは可能。小さい子供がいる場合は安心だ。
収納
ダイネット両側にオーバーヘッド収納が設置される
ハイルーフになって最も強調されるべきは、オーバーヘッド収納が設置されたことだろう。クルマ旅で必要なものがほとんど標準装備されているソランやソランワイドで欠けていたのが十分な収納だった。
どうしても荷物が多くなる長期旅では、収納が十分でないと車内が荷物で煩雑になってしまう。オーバーヘッド収納が付いたソランハイルーフはクルマ旅に最適なモデルとなった。
キャブ上部の収納
更にハイルーフになったことにより、運転席、助手席の上部にも大きな収納棚が設けられた。本来ここにはクルマのクーラーユニットがあるのだが、同社ではカントリークラブなどと同様に移設して収納にしている。
3列目シート下の収納
3列目シートの下も収納になってる。床に近い収納には埃が溜まりやすいので、食料品や食器の収納には適していないが、バッグなどを収納しておくには便利だ。シートのクッション部も単座なのでそれほど重くなく、簡単に開くことができる。
外部収納(OP)
オプションで外部収納も用意されている。防水処理されているので、汚れ物や濡れたものを収納しておくのに便利だ。ペットのリードや遊び道具、雑巾などを収納しておくのも良いだろう。
空調
薄型エアコンを標準装備
ソランやソランワイドと同様の、最新式の薄型家庭用エアコンが標準装備されるが、設置場所は最後部に変更され、前部に直接冷気が届く理想的な位置になった。これもハイルーフの恩恵と言える。暖房はFFヒーターが標準装備される。
なお、ベンチレーターはマックスファンが標準装備となった。標準ルーフやミドルルーフではベンチレーターを取り付けると車高が高くなり、低い車高と言うメリットが失われるためオプションとなっていた。
テレビ/ナビ
19型のモニターが標準装備される
19型のモニターが標準装備される。設置はフレキシブルアームで写真の位置に取り付けられるので、ダイネットやベッドモードでリラックスして観ることができる。ナビは好みのものが取り付けられる。
電装系
ベンチシート下の電装系
電装系はベンチシートの下に収納されている。200Ah相当のリチウムイオンバッテリーを標準装備。その他、走行充電、外部電源入力と充電機能、1500W正弦波インバーター、薄型236Wソーラーシステムも標準装備される。電装系は完璧だ。
価格(2023年10月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WD/6ATの車両本体価格は768万円~。ディーゼル2WD/6ATは829万円~、ディーゼル4WD/6ATは860万円~となっている。
必需装備は全て標準で装備されているので、付けておくべき必需オプションは、無い。それ以外では、外部収納(85,800円:ディーゼル不可)、ペットベッド(88,000円)など必要に応じて選択できる。価格表はこちら。
他モデル
ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたモデルは数多くあるが、ソランハイルーフのようにフル装備したモデルは多くない。その中で、OMCのナロー銀河(544万円~:ガソリン2WD)は比較に値するモデルだ。
ナロー銀河のレイアウトはソランハイルーフとは異なり、常設縦置き2段ベッドを採用している。従って就寝前のベッド展開が不要だ。もう一つ大きな相違点は多目的ルームの存在。トイレルームとしても使用できるので、必要なユーザーにはプラスポイントだ。
価格はソランハイルーフに比べて安価に見えるが、これはクーラー、リチウムイオンバッテリー、外部充電、1500W正弦波インバーター、250Wソーラーシステム、19インチテレビがオプションのため。
もう一つは、レクビィのプラスLV+1。レイアウトはソランハイルーフとほぼ同じだが、インテリアの方向性が異なる。プラスLV+1の場合は、スタンダード、Superior、Superior+A/C仕様の選択ができるが、フル装備のSuperior+A/C仕様はガソリン2WD/6ATで748万円~となっている。
まとめ
ソランハイルーフは充実した装備が求められるクルマ旅用途に理想的なモデルといえる。残念な点がほとんど見当たらない珍しいモデルだ。もちろんフル装備なので価格は高価になるが、満足感は高いだろう。
あえて書き足すとすれば、クルマ旅ではトイレルームを望むユーザーは多い。その点ではナロー銀河が選択肢になるが、反面、室内の閉塞感は否めない。長期のクルマ旅では、ソランハイルーフやプラスLV+1の広々感は捨てがたい。
この両方を満たすモデルがある。イゾラだ(ただし、イゾラは現在マイナーチェンジの為一時休止中)。全長が多少長くなるがスーパーロングのような大きさではなく比較的コンパクトで扱いやすい。ソランのイゾラレイアウト(イゾラのソランインテリアと言った方が良いかもしれないが)を見てみたい気がする。
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