Le-Seyde for You (ラ・セード フォー ユー)はRVグランモービルが製作する、トヨタコースターをベース車にしたバス・コンバージョン。同社は他ビルダーのモデルを販売するが、自社オリジナルモデルは、このラ・セード フォー ユーと、他に軽キャンパーが1モデルあるのみ。両極端のラインアップを持つ。
ラ・セード フォー ユーのコンセプトはスペースに余裕があるバスコンを二人用のレイアウトに割り切った、余裕のある二人旅空間。ソファダイネットとツインベッドはそれを象徴している。なお、ラ・セードというのはLife
Second Dreamからきた造語で、「夢を追い、自由な第二の人生を楽しむ」という意味。
エクステリアは、コースターの側面と後部の窓をFRPで窓埋めし、断熱効果を高めている。一体成型されたFRPなので、キャブコンのようにも見えるが、窓埋め以上の架装は行っていない。全長は6,225mmで6mを超える。
インテリアはアイボリーのシートとダーク系の木目で落ち着いた室内になっている。間接照明を使ったり、ガラス系の素材で華やかにしたりといった演出は無いので、最近の傾向からすると少し素朴すぎる印象はあるが、落ち着いたインテリアが好みのユーザーには向いているだろう。
落ち着いたインテリア
レイアウトは、前部にダイネット、後部にベッドルーム、中央にギャレーとユーティリティールーム、クローゼットを配置する。
なお、同社はチョイスシステムと呼ぶレイアウトのセレクションを用意している。これは3種類のダイネットと3種類のベッドルームから選択できるもので、二人旅だけでなく、ファミリーに対応したレイアウトも選択できる。
ダイネットは、ソファと単座のキャプテンシートの組み合わせ。前後の動線も確保されており、運転席、助手席から直接アクセスできる。テーブルも広く、二人で食事するなら十分な広さだ。
なお、ダイネットは3パターンから選択でき、上記はチョイスシステムのTYPE A。TYPE Bはソファの背もたれをテーブルに乗せることにより、ダイネットを1100x1600mmの簡易ベッドとして使用できる。TYPE
Bのソファはベッドにも対応しているのでフラットになっており、その意味ではTYPE Aのソファの方が座り心地は良い。
またTYPE Cは2列目にマルチモードシートを配置するプランで、前向き乗車が可能。ファミリー向けのレイアウトだ。
ロングソファベースのダイネット
ベッドルームは、TYPE Aは各700x1950mmの縦置きツインベッドが配置される。TYPE Bは1850x1950mmのクイーンサイズベッド。TYPE
Aもツインベッドの間を補助マットで埋めればTYPE Bと同じ大きさのクイーンベッドになるが、最初からクイーンベッドサイズに合わせたベッドマットの方が、継ぎ目が無くて多少快適度は上がる。
なお、TYPE Cは一人が就寝可能な上段ベッドが追加される。また下段ベッドは横座り対座ダイネットにもなり、乗車10名、就寝5名が可能。ファミリー用途に向く。
TYPE Aはツインベッド仕様
ギャレーはエントランスの横にギャレーコンソールが配置され、シンクがビルトインされた調理台と、その横に90リッター冷蔵庫や電子レンジが収まるコンソールが一体になっている。37リッターの給水タンクと30リッターの排水タンクは別に設けられているので、シンクの下に給排水タンクは無く、ここも収納スペースとして利用できる。
残念なのは、ギャレーにコンロがビルトインされていないこと。スペース的に厳しそうだが、このクラスのキャンピングカー(むしろモーターホームと呼ぶ方がふさわしい)では、やはり2口か3口のコンロはビルトインできるレイアウトにすべきだろう。もちろん不要というユーザーにはマイナスオプションにすればよい。
これではバンコンのギャレーと変わらず、ましてや輸入モーターホームとは比較にならない。
ギャレーにはシンクがビルトインされている
ユーティリティールームは、標準では収納スペースの位置付けで、なにも装備されていない。オプションでカセットトイレが用意されているので、これを設置すればトイレルームとして使用できる。ただしこれもバンコンと同じようなレベルで、バスコンのグレード感は無い。独立した手洗いや、センスの良いドレッサーのソリューションが用意されていても良いのではないだろうか。
収納は、ダイネット、ギャレー、ベッドルームにそれぞれ十分なオーバーヘッド収納が設置されており、収納力は高い。また、ロングコートも収納できるクローゼットが設置されているのも嬉しい。ギャレーコンソールにも多少の収納スペースが用意されている。ただ、ギャレーコンソールには食器や小物を収納できる引き出し収納が欲しいところだ。
更にベッド下は大きな収納スペースになっているので、大きな荷物はここに置いておける。ただし、室内からのアクセスは簡単ではなさそうだ。
空調は、最新のバスコンに相応しく、家庭用エアコンが標準装備される。またFFヒーターも標準装備。更にオプション(16万円:税別)だが床暖房システムも用意される。
電装系は、400Ahのリチウムイオンバッテリーを標準装備しており、安心して電気を使うことができる。2000Wの大容量インバーターも標準装備されるので、100V仕様のエアコンや電子レンジがバッテリーで使える。これだけの容量があればエアコンを実用的に使うことも可能だ。
更に、245Wのソーラーシステムも標準装備。ただしこれだけでバッテリーを常に満充電しておくのは不可能。バッテリーの残量が少なくなったら、外部電源が取れるところで充電する必要がある。
価格は1348万円(2WD/6AT:税別)。コンセプト的にはトイファクトリーのビッグバン620(1230万円:同)やRVランドのランドホームコースター(1240万円:同)に近い。「ゆったりしたサイズながら、バンコンのように軽装備なバスコン」という考え方だ。また、ラ・セード フォー ユーとランドホームコースターには家庭用エアコンが標準装備され、更にラ・セード
フォー ユーには400Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されるアドバンテージがある。ただし、価格もそれなりに高価で、圧倒的なアドバンテージがあるという訳ではない。