リゾートデュオルクシオプロはstage21が製作する、トヨタタウンエースをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社は軽キャンパーや、リゾートデュオ レグラス プロのようなハイエースベースのバンコンまでラインアップする、主にコンパクトなモデルを得意とするビルダー。
最近は、各モデルを「プロ」バージョンにモデルチェンジしており、リゾートデュオルクシオプロもその一つ。特に2022年にキャンピングカー要件が変更されたことにより、4ナンバーから8ナンバーへ変更されたのは大きな変更点となっている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタ タウンエース バンをベース車にするコンパクトバンコン。従来の4ナンバーから8ナンバーへ変更され、2人乗りから4人乗りになった。
レイアウトは変わらず、後部のキャビネットにギャレーを設置し、前部はマルチモードシートを持たない、ベンチシートのダイネットとなっている。
標準装備が充実しているのも特徴で、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、クーラー、ソーラーシステムも含めた必要な電装系、そしてナビまでもが標準装備されている。
就寝は2名なので、2名でのクルマ旅や車中泊に適しているが、4名乗車となったことで、日常用途でも使いやすくなった。
アピールポイント
・コンパクトで運転しやすいサイズ
・8ナンバー登録で4名乗車
・マルチモードシートを持たない、ベンチシートの広いダイネット
・冷蔵庫、電子レンジ、クーラー、テレビ、電装系など、充実した標準装備
・リチウムイオンバッテリーをオプション設定
ベース車とエクステリア

リゾートデュオルクシオプロのエクステリア
ベース車は、トヨタタウンエース バン GLグレード。ボディ外側への架装は無いので、オレンジのロゴを除き、見た目はノーマルのタウンエースと変わらない。日常用途でも目立つこと無く使用できる。
ボディサイズは、車高を除き、アクアなどのコンパクトカーとほぼ同じで、気軽に運転できる。また、車高も2mを切るので、高さ制限のある地下駐車場などにも駐車することができ、街中での機動性も確保している。
インテリア

リゾートデュオルクシオプロのインテリア
展示車は上の写真のように、濃い木目の家具と黒地のシートの組み合わせだったが、家具色やシート地は多くのカラーサンプルの中から選択することができる。インテリアは手作り感が見える部分もあり、高級感やインテリアにこだわるユーザーは実写で確認することをお勧めする。
レイアウト
ベンチシートのダイネットに車内スペースのほとんどを割き、後部にギャレーを含む収納キャビネットを配置している。実は、タウンエースベースのバンコンでベンチシートを採用しているのは、このリゾートデュオルクシオプロ以外ほとんど無い。
ほとんどの他モデルは2列目にマルチモードシートを持ち、前向き乗車ができるようになっている。これは、日常用途でも使用するユーザーが多く、ミニバンと同様に使いたいという要求が多いことからと思われる。
しかし、就寝人数はポップアップルーフを架装しない限り2名なので、クルマ旅などの長距離使用ではマルチモードシートは不要だ。実用性から考えると、短距離で使う日常用途では、ベンチシートでも問題はない。
キャンピングカーの要件変更で、ベンチシートにも乗車できるようになり、4名が乗車できるようになった。即ち、日常用途の短距離使用ではベンチシートに乗車、クルマ旅での長距離使用では2名乗車なのでマルチモードシートは不要と言う観点から考えると、リゾートデュオルクシオプロのレイアウトは合理的なレイアウトと言える。
ダイネット

ラウンジソファのダイネット
ダイネットは基本的にはベンチシートでテーブルを囲む形で、マルチモードシートが無い分、広々とした印象を与える。クルマ旅の場合は広々感は重要で、ストレスが溜まるのを軽減する効果がある。
車内で立つことができないので圧迫感は仕方がないが、広いダイネットは特に長期のクルマ旅では有用だ。
ベッド

ダブルベッドの幅に相当するベッド
シートをフラットにすると、1800x1380mmのベッドになる。1380mmは家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)に近く、2名が就寝するには十分な幅がある。タウンエースベースのバンコンでこれだけ広いベッドを持つものは他にない。
ただし、1800mmの長さは長身のユーザーでは足がつかえる場合があるので、実際に横になって確認することをお勧めする。
ベッド展開の方法は、旧モデルのリゾートデュオルクシオが、スライド式のベッド展開を採用していたのに対し、ルクシオプロでは背もたれを移動する方法に変更された。ベッドマットは分割されているので重くなく、ベッド展開はそれほど労力を要しない。(ベッド展開のビデオはこちら)
スライド方式ではその機構のためシート下は収納スペースにできなかったが、新方式ではシート下は大きな収納として使用できるようになった。もちろん、新方式の方が大歓迎だ。
ギャレー

後部のギャレーキャビネット
装備品は後部のキャビネットにまとめて収納されているが、コンパクトなシンクとシャワーフォーセットもここに設置されている。8ナンバー登録には水回りの設備が必要なのだが、お飾りではなく実用性も備えている。

シンクの下の給排水タンクと収納
このシンクとシャワーフォーセットは、リアゲートを開けて車外でも使用することができる。シャワーフォーセットは引き出すことができるので、手足を洗ったり、ペットの足を洗ったりするのに便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ

15Lポータブル冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は15Lポータブル冷蔵庫が標準装備される。上の写真のように後部の収納キャビネットに収まっているが、引き出して使用することができる。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000Wインバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
収納
リゾートデュオルクシオプロはコンパクトなモデルながら、収納スペースは比較的充実している。

電子レンジの横にある収納
まず、後部キャビネットには2か所収納が設けられており、一つは電子レンジの横にある収納。扉が付いているので、走行中に中のものが落下する心配はない。

観音開きの収納
もう一つは電子レンジの上部にある観音開きの収納。どちらも大きくはないが、食器などを収納しておくのに便利だ。

最後部の大きなカーゴスペース
次に、右側シート下の収納。ベッド展開がスライド方式から背もたれを移動する方式に変更されたことにより、収納が設置できた。スライド式のベッド展開は確かに良いアイデアではあったが、背もたれを移動するのも比較的容易だ。
スライド方式を取るか、収納を取るかと言えば、躊躇なく収納を取りたい。歓迎すべき変更だ。

右側のベンチシートの後部もシート下は収納になっており、ここにも荷物を収納しておける。ベンチシートは収納の点でも有利だ。

エントランス横のシューズボックス
最後に、エントランス横にはシューズボックスも用意されている。もちろん、シューズボックス以外の使い方でも良い。ワンコのリードや遊び道具などを収納しておくのにも便利だろう。
空調

車載用セパレートクーラーと24型モニターを標準装備
冷房用に車載用セパレートクーラー「One Cool」が標準装備された。後部キャビネットにすっきりと設置されており、飛び出していて邪魔になることは無い。
タウンエースベースのバンコンでクーラーを設置できるモデルはまだまだ限られているが、リゾートデュオルクシオプロでは標準装備となっているのは素晴らしい。
コンパクトなバンコンであっても夏の暑さは同じなので、軽キャンパーやコンパクトバンコンにも今後クーラーは必需装備となるだろう。
テレビ/ナビ

32型のテレビが標準装備される
24型のモニターとフルセグのナビが標準装備される。多くのモデルでは(キャブコンでも)19型が採用されているが、リゾートデュオルクシオプロではコンパクトバンコンにもかかわらず24型と更に大画面だ。
電装系
標準では、105Ahのディープサブバッテリーが1個、走行充電、外部100V電源入力と充電機能(チャージャー)、2000W疑似正弦波インバーター、180Wソーラーシステムが装備される。即ち、必要な電装系は全て標準装備だ。
ただし、クーラーが標準装備なので、実用的に使いには、やはりリチウムイオンバッテリーの選択をお勧めする。100Ahと200Ahのものがオプション設定されているが、200Ahを付けておくと、電気の心配なく実用的にクーラーを使用できる。
インバーターは2000Wが標準装備されるが、疑似正弦波なので、できれば1500W正弦波インバーターを付けておきたい。電源アダプター付きのラップトップパソコンなど、多くのものは疑似正弦波でも対応するが、機器によっては故障の原因にもなる。
価格(2023年8月現在:千円台切り上げ:税込)
タウンエースGLグレード2WD、4ATで419万円~。4WDは447万円~となっている。
ほとんどの必需装備は標準装備だが、灯油FFヒーター(154,000)のみはオプションとなっているので、これは選択しておきたい。ガソリン式(286,000円)もあるが、灯油式の方が安価だ。
予算に余裕があれば200Ahリチウムイオンバッテリー(209,000円)と1500W正弦波インバーター(追加料金67,100円)も挙げておきたい。
他モデル
タウンエースベースでベンチシートを採用するモデルは、やはり要件変更でノーマルルーフでも8ナンバー登録できるようになった、キャンピングカー広島のピコ
ジュニアがある。しかし、ピコジュニアのベッドはほぼ1人用のため、二人旅が主な用途ならリゾートデュオルクシオプロは理想的なモデルだ。
マルチモードシートのレイアウトになるが、クーラーを搭載できるモデルなら、パパビルドのファヴォライトボックス スクエア(356万円~)とリンエイプロダクトのコンパクトバカンチェス
L MoMo(405万円~)が挙げられる。(いずれもGLグレード4ATの価格だが、どちらもウェブサイトに価格表示が無いため、現在の価格は不明)
まとめ
リゾートデュオルクシオプロはきわめて合理的なレイアウトを持つモデルだ。就寝人数は2名なので、クルマ旅や車中泊で使用するなら2名乗車で良い。しかし、日常用途で使用する場合は4名乗車したい。ただし短距離なので、横座りのベンチシートでも良い。
クルマ旅に使用するならフル装備が好ましいので、全て標準装備にする。クーラーも今や必需装備なので標準装備にする。ただし最低限の必需装備で、リチウムイオンバッテリーや正弦波インバーターはオプションとする。
このような考えで作られているモデルは上級モデルでは存在するが、コンパクトバンコンでは他にない。リゾートデュオルクシオプロは高級感やおしゃれ感は皆無だが、これだけの装備を持ちこの価格なら、買って損はないだろう。
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