ホビクルタウンランダーCTは、レクビィが製作する、トヨタタウンエースバンをベース車にしたバン・コンバージョン キャンピングカー。
同社は愛知県瀬戸市に本拠を置くビルダーで、直営店が3店舗あり、それぞれ、道の駅「瀬戸しなの」に隣接するレクビィステーション、神奈川県大和市にレクビィオスト、京都市伏見区にレクビィエストを構える。レクビィエストは、2025年3月20日にプレオープンして営業開始、4月19日にグランドオープンを迎える新店舗。
同社はハイエースをベース車にするバンコンを中心にラインアップを展開しているが、ホビクルタウンランダーは2024年にコットと一緒に発表された、同社初のタウンエースバンをベースにしたモデル。
ホビクルタウンランダーCTは、これにFRP製のハイルーフを架装。天井高を高くして室内での居住性を高めている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
トヨタ タウンエース バンをベース車にするバンコンキャンピングカー。FRP製のハイルーフを架装する。コンパクトなボディサイズながら、天井高が高いため、広々とした室内になっている。
2列目にマルチモードシートを持ち、5名が前向き乗車可能。また子供用の上段ベッドがあるため、大人2名と小さな子供1~2名が就寝でき、ファミリーでの車中泊にも対応する。
冷蔵庫やクーラーの設定はなく、サブバッテリーはポータブル電源を持ち込むという極めてシンプルな装備でクルマ旅には向かないが、レジャーでの仮眠やキャンプでの車中泊などに適している。
アピールポイント
・コンパクトなボディサイズで運転が楽
・ハイルーフで圧迫感の少ない室内
・マルチモードシートにより5名が前向き乗車可能
・上段ベッドがあり、子供連れのファミリーが車中泊可能
・後部は広い荷室になる
・ポータブル電源をプラグインしてシステム電源として使用可能
ベース車とエクステリア

ホビクルタウンランダーCTのエクステリア
ベース車は、トヨタタウンエースバン GL。上級グレードのGLなので、電動格納式ドアミラーや運転席、助手席側のパワーウインドウも標準装備される。運転席、助手席エアバッグやスマートアシストも当然標準装備される。2WDと4WDを選択可能。
ボディカラーはディカラーは、ホワイト、シルバーマイカM(上部の写真)が標準だが、オプションでハーフペイントが可能。デカールもセットで添付される。カラーはグレーとカーキ色が選択できる。(ビデオはこちら)

ホビクルタウンランダーCTのルーフ構造
ハイルーフはFRPでできているが、万一の事故に備え、金属製のフレームが入っている。また、断熱・遮熱、制振・吸音にも対策されている。展示車はカットモデルになっており、その様子が良く分かる。
インテリア

ホビクルタウンランダーCTのインテリア
インテリアカラーは、標準ルーフのホビクルタウンランダーと同じで、明るい木目の家具と、モスグリーンとアイボリーのシートの組み合わせ。ドア内側にも同様の木目パネルが張り付けられており、統一感がある。

サイドモールシステム
後部の両側の窓は塞がれており、サイドモールシステムと名付けられたインテリアボードが標準装備されている。小物の収納用に使ったり、アクセサリーを飾ってインテリアボードとして使うこともできる。
レイアウト
2列目に1200mm幅の3人掛けマルチモードシート(REVO)が設置されており、前向きにすると、運転席、助手席を合わせて5名が前向きに乗車できる。
ホビクルタウンランダーCTの特徴は、後部のベッドボードが3段階の高さに設置できることで、ユーザーの使い勝手に応じて、様々にアレンジできる。
最後部には着脱できるコンパクトなギャレーキャビネットが用意されており、ギャレーキャビネットを降ろしてしまうと広い荷室になる。(ビデオはこちら)
ダイネット

ダイネット
2列目シートを後ろ向きにすると、後部のベッドボードを使用して対座ダイネットを形成できる。テーブルも標準装備されており、ファミリーで、あるいは二人で向かい合って食事することも可能だ。
テーブルを取り外してベッドボードを並べると、2列目シートをリクライニングし、足を伸ばして寛ぐことができる。
ベッド

ダイネットベッド
2列目シートをフラットにし、後部のベッドボードを最下段に並べると、1800x1200mmのベッドになる。1200mmの幅は、家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当し、大人2名が就寝できる。

上段の子供用ベッド
ホビクルタウンランダーおよびCTでは、後部の上段ベッドは、ベッドレールエクステンドスライダーという金具を引き出すことでセットできる。標準で付属するベッドマットは4枚だが、うち2枚は下段ベッドで使用するため、残りの2枚を上段ベッドに使用すると、1360x710mmのベッドになり、小さな子供なら1名程度就寝できる。
上段には、(下段に2枚のベッドマットを使用したまま)オプションのベッドマットをあと2枚追加すると最大4枚のベッドマットを並べることができ、この場合は、1420x1360mmのベッドになる。いずれにしても身長方向が小人用1500mmに達していないが、小さな子供なら下段のベッドを含め、ファミリーでの車中泊が可能だ。
ギャレー

ギャレーセクション
最後部左側に、コンパクトなギャレーキャビネットが設置されている。天板にはシンクとシャワーフォーセットがあり、シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使うこともできる。
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けると車外から直接出し入れできるので便利だ。

取り外しができるギャレーキャビネット
このギャレーキャビネットの特徴は取り外しができること。ロックを外すと、大人1名で車外に取り外すことができる。取り外した後は、広い荷室になるので、自転車等の大きな荷物を積み込むこともできる。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫と電子レンジはオプション設定されていない。冷蔵庫が必要な場合はポータブル冷蔵庫を積み込むと良いだろう。電子レンジは、このクルマの性格から言うとあまり必要性が無いが、よほど必要な場合はポータブル電源を使って調理することは可能だ。
多目的ルーム
ホビクルタウンランダーCTにはもちろん多目的ルームは無いが、後部にスペースがあるので、緊急用にポータブルトイレを乗せておくことはできる。災害時の簡易トイレとしても使うことができるだろう。
収納

オーバーヘッド収納が設置される
ハイルーフの最大のメリットのひとつが、オーバーヘッド収納が設置できることだ。両側に設置されているが、右サイドは扉のある収納、左サイドは扉のない棚になっている。

フロントシート上部の収納
更にフロントシートの上部と最後部にも大きな棚収納が設置されている。寝具などの収納に便利だ。フロントシートの上部の収納には、小さなルーフウインドウが標準装備されている。
空調
コットCTにはオプションでクーラーが設置できるが、残念ながらホビクルタウンランダーCTにはオプション設定が無い。今後設定されてことを期待したい。FFヒーターとマックスファンベンチレーターはオプションで設置することができる。
テレビ/ナビ
オプションでフリップダウンモニターとスピーカーシステムを設置することができる。最後部に設置するので、2列目シートをリクライニングして、ベッドモードにした後部に足を投げたして、リラックスした姿勢で観ることができる。
電装系
ホビクルタウンランダーCTには電装系が装備されていないし、オプションでも設定されていない。即ち、照明の電力はクルマのメインバッテリーから取ることになり、これはバッテリー上がりでエンジンが始動できなくなる可能性もある。
そこで、ポータブル電源を搭載することをお勧めする。ポータブル電源の入力コネクタがオプションで用意されているので、そこにポータブル電源をプラグインすると、システム電源として使用できる。
なお、ホビクルタウンランダーにはソーラーシステムがオプションで用意されているが、ホビクルタウンランダーCTはハイルーフでルーフキャリーが取り付けられないため、ソーラーシステムは用意されていない。
価格(2025年4月現在:千円台切り上げ:税込)
ホビクルタウンランダーCTの2WDの価格は、597万円~、4WDは625万円~となってる。
付けておきたい必需オプションは、FFクリーンヒーターパッケージ(352,000円)というオプションが用意されており、これには、FFヒーターの他、外部100V電源入力の他、ポータブル電源の入力コネクタもパッケージされている。(ナビ関連は除く)
他モデル
タウンエースをベース車とし、ハイルーフを架装するモデルは、レクビィのコットCT(658万円~)の他、AtoZのアンナ ModelM(449万円~)、タコスのハナ(421万円~)、ここ1年の間にRVグランモービルのボーテ5(675万円~)、ステージ21のリゾートデュオ ルクシオIV+V(499万円~)、キャンピングカー広島のピコ ハイルーフ(参考展示:価格未定)がある。(太文字はクーラーとリチウムイオンバッテリー付きの2WD価格
まとめ
上記のモデルは、どちらかというと装備が充実したクルマ旅向けのモデルで、ホビクルタウンランダーCTとは少し想定されている用途が異なる。というか、ホビクルタウンランダーCTの方がニッチな存在だろう。
装備充実モデルはコットCTに任せて、ホビクルタウンランダーCTはもっと自由な発想で使ってほしいというコンセプトだ。従って、使う人や用途に従ってフレキシブルに対応できる構成になっている。
装備が少ないので日常用途に使う場合はより柔軟性があり、いざとなれば足を伸ばして車中泊ができるのもメリットだ。災害への備えも考えて日常用途のクルマを購入したいと考えているユーザーにはお勧めしたいモデルだ。
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