オーロラエクスクルーシブARTISANはケイワークスが製作する、ハイエースワイドミドルルーフをベース車に使用したバンコンキャンピングカー。
同社はハイエースワイドミドルルーフと標準ボディのバンコンを中心にラインアップしているが、デリカD:5や軽バンコン、あるいはトレーラーも製作している。
ハイエースではノーマルルーフに加え、ポップアップルーフを得意としているが、標準ボディではエレベーションルーフも選択できるようになった。
オーロラエクスクルーシブARTISANは、従来のオーロラエクスクルーシブの発展形として同社のフラグシップに位置付けられており、木の温もりを生かした高級感のあるインテリアが特徴。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースワイドミドルルーフ、あるいは標準ボディをベース車にするバンコンキャンピングカー。標準はノーマルルーフで、ポップアップルーフ(標準ボディではエレベーションルーフも)がオプション設定されている。またTypeⅠとTypeⅡのレイアウトが選択できる。
同社のフラグシップモデルに相応しい、高級感のある家具とインテリアが特徴。また、冷蔵庫や電子レンジ、家庭用一体型クーラー、計510Ahのリチウムイオンバッテリー等、装備が充実している。
アピールポイント
・ワイドロングと標準ボディを選択可能
・ポップアップルーフをオプション設定
。標準ボディではエレベーションルーフも選択できる
・TypeⅠとTypeⅡのレイアウトを選択可能
・高級感のあるインテリア
・クーラーや計510Ahのリチウムイオンバッテリーも含め、充実した標準装備
・1口常設コンロを標準装備
ベース車とエクステリア

オーロラエクスクルーシブArtisanのエクステリア
ベース車はハイエースワイドミドルルーフ バン、あるいは標準ボディ バンを選択できる。それぞれにオプションでポップアップルーフや、標準ボディではエレベーティングルーフを架装することができる。
ポップアップルーフ、エレベーションルーフのテント地は防水性も確保されている。また、シェード、メッシュ(網戸)、フルオープンが可能。
インテリア

天然木を使った家具
同社のモデルのインテリア、特に家具の高級感は定評があり、洗練された美しさがある。家具の天板に無垢材を使用し、ウォールナットのヴィンテージ感を再現している。
なお、傷に強いメラミン材仕様の家具への変更も可能。照明は調光式のスポットライトを中心に夜のインテリアを演出する。
レイアウト

TypeⅠは3列目が2名掛け横座りベンチシートになる
TypeⅠとTypeⅡの2種類が用意されている。どちらも2列目シートに1400mmのREVOシートを配置しているが、TypeⅠは3列目が2名掛け横座りベンチシート、TypeⅡは3列目が前向き2人掛けシートになっている。
またそれに伴って冷蔵庫が異なり、TypeⅠでは49L横開き式冷蔵庫が後部左側に、TypeⅡでは40L上開き式冷蔵庫が後部右側に設置される。
左側にはエントランス横から後部まで連なるギャレーキャビネットが設置されており、シンクや電子レンジが収納されている。
2列目シートを前向きにすると、3名が前向き乗車できるので、運転席、助手席を合わせて5名が前向き乗車できる。更に3列目シートにはTypeⅠ、TypeⅡとも2名が座れるので、計7名が乗車できる。3点式シートベルトは2列目シートの両側と運転席、助手席で計4名分が用意されている。
就寝はダイネットを展開したベッドで大人が2名寝られるが、オプションの上段ベッドボードを追加すると、ここで子供が2名就寝できる。従って、ポップアップルーフが無くてもファミリーで就寝できる。ポップアップルーフがあれば、大人4名+子供2名が就寝できる。
ダイネット

TypeⅠのL字型ダイネット
TypeⅠでは、2列目シートを後ろ向きにするとL字型のダイネットになる。対座にはならないが、その代わり後部への移動がしやすい。なお、後部をベッドモードにすると(背もたれは無いが)対座の形はできる。
一方、TypeⅡでは3列目シートとで対座のダイネットができるが、背もたれがあるので、後部への移動の妨げになる。
ベッド

ダイネットを展開したベッド
ダイネットを展開したベッドのベッドサイズは1800x1400mm。ただし、後部はギャレーキャビネットがあるので1015mmと狭くなる。2名で就寝する場合は、足元が窮屈かもしれない。
なお、オプションの上段ベッドボードは1700x500mmが1枚と1700x330mmが2枚セットすることができるので、1700x1160mmのベッドができる。ここでは子供が2名就寝できる。(標準ボディの場合は1500x1160mm)

2名就寝できるルーフベッド
ルーフベッドでも大人が2名就寝できるとしているが、ベッドサイズの記述はない。ワイドボディのポップアップルーフは一般的には1800x1400mm、標準ボディの場合は1800x1100mm程度あるので、これくらいの広さはあると考えられる。
ポップアップルーフは夏場は風通しが良いが冬場は寒い。そこで防寒用のキルティングカバーがオプションで用意されている。残念ながら、FFヒーターの温風をルーフベッドに引き入れるダクトは設けられていない。
ギャレー

常設1口ガスコンロが設置されるギャレー
左側のギャレーキャビネットにはシンクと常設1口ガスコンロが設置されている。多くのバンコンでは(一部のキャブコンでも)ポータブルカセットガスコンロを使用する度にいちいちセットする必要がある。調理するユーザーには嬉しい装備だ。

ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が用意されており、カトラリーや食器の収納に便利。ギャレーキャビネットにはこの引き出しの他にも、電子レンジの下側に収納が用意されている。
冷蔵庫/電子レンジ

49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
TypeⅠには49L横開き式冷蔵庫が標準装備されるが、TypeⅡには40L上開き式冷蔵庫が標準装備される。横開き式冷蔵庫は冷凍室があるので冷凍・製氷と冷蔵が同時にできるが、上開き式は冷蔵か冷凍かどちらかしかできない。クルマ旅に使用するなら横開き式をお勧めする。

電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。2000W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。大容量のリチウムイオンバッテリーも搭載されているので、気兼ねなく電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
オーロラエクスクルーシブArtizanには多目的ルームは配置されていないが、緊急用にポータブルトイレを積んでおくことは可能だ。TypeⅡなら3列目シートの下に隠しておくことができる。なお、最後部にある床下収納の高さが325mmなので、ここに収まる高さのポータブルトイレを探せばすっきり収納しておける。
収納

電子レンジ下にも収納を用意
ボディサイズとレイアウトの関係から、収納は豊富に用意されているとは言えない。ギャレーキャビネットの収納は先述の通りだが、大きなものは収納できない。

最後尾の床下収納
最も大きな収納スペースは最後尾の床下収納で、これは700x630x325mmの大きさとされている。ステンレス製で排水口もあるので、水洗いも可能だ。
空調

FFヒーターを標準装備
暖房はFFヒーターが標準装備され、右側のエントランスステップに設置されている。この位置ならベッドモードにしてもベッド下に温風がこもることは無い。

家庭用のポータブル一体型クーラーを標準装備
冷房は家庭用のポータブル一体型クーラーが標準装備される。ポータブルクーラーと言ってもスポットクーラーではないので実用的な冷房能力がある。冷房中に出る熱気や水は車外に排出される。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていないが、装着は可能だろう。また、ナビも特にオプション設定されていないが、好みの機種を装着できる。
電装系
標準で170Ahのリチウムイオンバッテリーが3個(計510Ah)が搭載される。これはこの大きさのバンコンとしては十分すぎる容量で、同社のホームページにはクーラー(500W)が8時間以上連続稼働できるとしている。
また310Wのソーラーシステムは標準装備されるので、昼間ならこれによる充電も期待できる。
外部100V電源入力とこれによるサブバッテリーの充電機能ももちろん標準装備される。外部電源でのみ充電する場合は50Aで充電されるので、空の状態から8~9時間で満充電できることになる。即ち、多くの場合、外部電源をつないでおけば、就寝している間に充電が完了する。
インバーターは2000W正弦波のものが標準装備される。2000Wなのでクーラーと電子レンジを同時に使うこともできる。
価格(2022年12月現在:千円台切り上げ:税込)
オーロラエクスクルーシブArtisan ワイドミドルルーフSGL ガソリン 2WDの車両本体価格は818万円~、4WDは848万円~、またディーゼル2WDは868万円~となっている。標準ボディSGL
ガソリン 2WDは793万円~、4WDは854万円~、またディーゼル2WDは884万円~。
ワイドミドル用ポップアップルーフは1,114,000円、標準ボディ用は935,000円。また標準ボディ用のエレベーティングルーフは1,114,000円となっている。従って、ワイドボディのポップアップルーフは929万円~、標準ボディのポップアップルーフは887万円~、エレベーティングルーフは905万円~となる。
ほとんどの装備は標準で付いているので必需のオプションは無いが、必要に応じて上段ベッドボード(3枚セットで132,000円)もセットできる。なお、1枚でも購入可能で1700x330mmは44,000円、1500x330mmは44,000円となっている。
他モデル
ハイエースワイドミドルルーフでポップアップルーフも選べるファミリー対応(2列目にマルチモードを持つ)モデルは、ホワイトハウスのコンパス(717万円~)、ダイレクトカーズのボンドポップアップ(635万円~)、バンレボのディアリオワイドポップ(704万円~)等がある。
また、標準ボディでポップアップルーフを選択できるのは、東和モータース販売のツェルトCP(565万円~:GLP)、バンレボのディアリオポップ(608万円~)、ホワイトハウスのコンパスビッツポップアップルーフ(528万円~)がある。
しかし、これらはオーロラエクスクルーシブArtisanとはコンセプトやレイアウトが異なり、また価格帯も異なるため、おそらく比較の対象にはならないだろう。
オーロラエクスクルーシブArtisanのような装備や高級感、そして900万円を超える価格帯のモデルは他には存在しない。
まとめ
オーロラエクスクルーシブArtisanは孤高の1台と言えるほど他のモデルとはクオリティも価格もかけ離れている。最高のものを所有したいというユーザーには納得できるモデルだ。
これだけのモデルなのでほとんど短所はないが、あえて挙げておくと、やはりクーラーが浮いているように見える。現在では高性能で小型の車載用セパレートクーラー(例えばCoolStar)があるが、そのようなものは設置できないのだろうか。
またサブバッテリーは少しオーバースペックのような気もする。エクスクルーシブ5Starと同じ100Ah x3個の選択肢があっても良いのでは。まあ、このモデルを買うユーザーは多少安価になっても関係ないのかもしれないが。
なお、同社のモデルは全て2列目にマルチモードシートを採用しているが、これを持たない二人旅専用のモデルがあっても良いように思える。もちろんマルチモードシートがあれば二人旅にもファミリーでも使えるというメリットがある。
しかし二人旅専用にするとレイアウトにゆとりが出るし、収納もベンチシートの下に設けることができる。高級志向のモデルを望む二人旅ユーザーも一定数おられるのではないだろうか。
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