ディアリオポップ EL Type2:バンレボ


ディアリオポップ EL Type2はバンテック新潟(バンレボ)が製作する、ハイエース標準ボディをベース車に使用し、エレベーションルーフを架装したバンコンキャンピングカー。

同社はハイエースおよびキャラバンベースのバンコンを専門に製造しており、「バンレボリューション(VR)」シリーズは同社を代表するラインナップだ。

VRシリーズは全体的にシンプルな構成が特徴だが、対してディアリオシリーズは充実した装備が特徴となっており、クルマ旅にも適している。

ディアリオシリーズにはノーマルルーフとポップアップルーフを架装したディアリオ Popシリーズが選択できるが、今回ルーフ全体が持ち上がるエレベーションルーフモデルが追加された。

なお、ディアリオシリーズにはワイドロングボディも選択できるが、現在(2022年3月)のところワイドボディにエレベーションルーフは設定されていない。(ポップアップルーフは選択可能)

また、Type1とType2の違いは、Type2では3列目にもバタフライシートを配置し、計7名が乗車できるのに対し、Type1は2列目のみで計5名が乗車できる。

(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)


コンセプト

ハイエース標準ボディをベース車にしたバンコンキャンピングカーで、ルーフが水平に昇降するエレベーションルーフを架装する。これにより室内高が均一に高くなるほか、ルーフベッドで就寝することができ、ファミリーでの車中泊が可能になる。

ディアリオはシンク、冷蔵庫、電子レンジが標準装備され、クルマ旅にも対応できる。また、外部電源入力と充電機能、2000W矩形波インバーター、170Wソーラーシステムなどの電装系も標準装備される。


アピールポイント

・ハイエース標準ボディで取り回しが楽
・水平に昇降するエレベーティングルーフを架装
・計6名就寝でファミリーに対応
・ルーフベッドを使用せずとも4名が就寝可能
・2列目と3列目にバタフライシートを採用で、計7名が前向き乗車可能
・バタフライシートを畳んで前方に移動すると後部に大きなカーゴスペース
・シンク、冷蔵庫、電子レンジ標準装備でクルマ旅にも対応
・各種電装機器を標準装備
・FFヒーターも標準装備


エクステリア

 ディアリオのエクステリア

ベース車はハイエース標準ボディで、これにエレベーションルーフを架装する。ノーマルルーフや従来のポップアップルーフも選択できる。ちなみにポップアップルーフとエレベーションルーフの価格は同じ。

エレベーションルーフを架装した場合の車高は2130mmで、ポップアップルーフ車が2100mmに収まっているのに対し多少高くなり、高さ制限のある駐車場へ入れない場合がある。このためローダウンして2100mmにするオプションも用意されている。


インテリア

 ディアリオのインテリア

展示車は上の写真のようなカラーリングだったが、家具色やシートの生地がどの程度選択できるかは不明。

家具の作りは一般的なもので特別高級感がある訳ではないが、特に不満はないだろう。照明も間接照明などでの演出は無く一般的なLEDライトが使われている。


レイアウト

 2列目と3列目にバタフライシートを配置

Type2は2列目と3列目にバタフライシートを配置しており、フロントシートの3名と合わせて7名が前向き乗車できる。一般的にはフロントシートの中央の席は使わないので6名乗車と考えると良いだろう。

また、上段ベッドも標準装備されており、ここでは大人が3名就寝できる。従ってルーフベッドも含めて計6名が就寝できる。

このレイアウトの特徴は、前後に長いシートレールが敷かれていること。これによりシートが自由に移動できるほか、シートを畳んで前に移動すると、後部に広大なカーゴスペースができる。

2名で使用するなら、このようにして自転車等の大きな積載物を積み込んだまま、ルーフベッドで就寝することができる。


ダイネット

 4名が対座できるダイネット

2列目シートを後ろ向きにすると4名が対座できるダイネットになる。6名が乗車している場合は、全員がダイネットに座ると多少窮屈かもしれない。


ベッド

 上段ベッドも標準装備される

シートをベッド展開すると、大きさが最大2300x900mmのベッドになる。幅は家庭用のシングルベッド(970mm)に近く、1名がゆったり就寝することができる。

また上段ベッドは1800x1500mmでキャンピングカーの規定では大人3名が就寝できる。ただしこの場合は一人当たり500mmの幅しかないため、実用上は2名分の就寝スペースと考えた方が良い。

 エレベーションルーフ内のルーフベッド

更にエレベーションルーフをアップすると、ここでも2名が就寝できる。4面に窓があるため四方が見渡せる。また前後どちらでも頭を向けて寝られるので、パーキングの傾斜に合わせて頭の方向を決められるのもメリットだ。

ただし片方が持ち上がるポップアップルーフでは、ルーフベッドで座っても頭がつかえないが、エレベーションルーフでは座ることはできない。ルーフベッドで座って寛ぎたい場合はポップアップルーフがお勧めだ。


ギャレー

 丸形シンクとシャワーフォーセット

ギャレーはダイネット横のキャビネットに収納されている。丸形シンクとシャワーフォーセットが備えられており、蓋をしてしまうと大きなカウンターになる。

シャワーフォーセットは引き伸ばして車外で使うこともできる。シンクは実用的な大きさではあるが、ダイネットシートがあるため、立って調理することはできない。即ち、調理するユーザーには使いやすいギャレーではない。


冷蔵庫/電子レンジ

 20L上開き式冷蔵庫が標準装備される

冷蔵庫は20L上開き式のものが標準でギャレーキャビネットにビルトインされている。この冷蔵庫は冷凍までできるかは不明。冷凍食品の保冷や製氷をしたい場合は確認していただきたい。

 電子レンジも標準装備される

また電子レンジも標準でキャビネットにビルトインされる。100V仕様で、家庭と同じように強力に温めることができる。また、2000Wのインバーターも標準装備されるので、外部電源が無いところでも電子レンジを使うことができる。


多目的ルーム

ディアリオには多目的ルームは無いが、ポータブルトイレを積んでおくことはできる。小さな子供がいる場合は重宝する。


収納

 サイドキャビネットの収納

先述のように後部に大きなカーゴスペースを作ることはできるが、それ以外の収納はサイドキャビネットに多少用意されている。その一つはキャビネット前方下にある引き出し収納。ただし、2列目シートの位置によっては引き出せない場合がある。

 左側キャビネットの扉付きの収納

また3列目シートの左側には扉付きの収納が用意されている。ただしこれもシートの位置によっては、開けない場合がある。

 後部は広いカーゴスペースになる

両バタフライシートを畳んで前方に移動すると、後部は広いカーゴスペースになる。自転車等大きな荷物も積める。2名なら自転車を積んだままルーフベッドで就寝できるので、遠方でのサイクリングもできる。


空調

暖房はFFヒーターが標準装備される。多くのモデルではFFヒーターはオプション設定なので、ディアリオに標準装備されているのは大きな利点だ。

冷房に関しては特にオプション設定は無く残念なところだが、このレイアウトでクーラーを付けるのは簡単でないかもしれない。ただし、ケイワークスのオーロラエクスクルーシブやホワイトハウスのコンパスビッツではクーラー設置が可能なので、ディアリオにも期待したい。


テレビ/ナビ

テレビは10.1型と12.8型のフリップダウンモニターがオプション設定されている。またナビはツーリング仕様にDVD機能付きの7型ワイドSDナビが標準装備されている。(標準仕様にはオプション設定)


電装系

 サブバッテリーは増設できる

105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電機能が標準装備される。また、外部電源入力と充電機能、2000Wインバーター、更に170Wソーラーシステムも標準装備される。

ただし、インバーターは矩形波で、正弦波1500Wインバーターへの変更はオプションとなる。パソコンへの給電やスマートフォンへの充電には正弦波インバーターが必要だ。

またサブバッテリーの増設もオプションで可能で、ツインバッテリーにすることができる。エアコンなど大電力を連続して必要とする家電品が無いので、サブバッテリーは1個でも特に問題ないが、電子レンジを高頻度で利用するといった場合には、ツインバッテリーにしておくと安心ではある。


価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)

ガソリン2WD/6AT標準仕様は643万円~。ナビやドライブレコーダーなどが標準装備のツーリング仕様は665万円~となっている。またディーゼル2WD/6AT標準仕様は703万円~、ディーゼル4WD/6AT標準仕様は734万円~となっている。

なお、Type1の2WD/6AT標準仕様は605万円~となっている。乗車人数が5名までで良いならType1の選択肢もある。


他モデル

ハイエース標準ボディでポップアップルーフを持ち、ファミリーに対応できるモデルは、ケイワークスのオーロラエクスクルーシブ5 Star+エレベーションルーフ(795万円~:ワゴンG)、東和モータース販売のツェルトCP(537万円~:特設)、ホワイトハウスのコンパスビッツ ポップアップ(509万円~:特設)が挙げられる。

このうち、コンパスビッツとツェルトはディアリオとほぼ同じレイアウトを持つが、ロングレールやバタフライシートではない。なお、コンパスビッツはエアコンとリチウムイオンバッテリーがオプション設定されている。

オーロラエクスクルーシブ5starはディアリオのType1に相当するレイアウトで、エアコンとリチウムイオンバッテリーが標準装備されている。また、ディアリオと同じエレベーションルーフが選択できる。


まとめ

ディアリオは標準装備が充実しているため、価格が多少高価だ。しかし、エレベーションルーフが希望なら、オーロラエクスクルーシブ5 Star+エレベーションルーフよりはるかに安価ではある。

ただしオーロラエクスクルーシブナローとコンパスビッツにはエアコンが装備できるのに対し、ディアリオはエアコンオプションが設定されていないのは弱点と言える。

しかし、ディアリオはこれらのモデルのコンセプトとは多少異なり、快適性を追うというよりは自転車等を積んでアクティビティを楽しむユーザーに適している。バタフライシートが採用されているのもそのためで、カーゴスペースを最大限に生かすことができる。即ち、エアコンが必須のモデルではない。

ディアリオはラグジュアリー系のモデルと言うよりは、同社のバンレボリューションシリーズの充実装備版と言う位置付けのほうが適したモデルだ。


関連記事

オーロラエクスクルーシブ

コンパスビッツ

ComposerER with Family

     

モデル ディアリオ ポップEL Type2
ビルダー バンレボ
ナンバー区分 8
乗車人数 7
前向き乗車人数 7
就寝人数 6
エクステリア  
ベース車 ハイエース標準ボディ
ルーフ架装 ○(エレベーションルーフ)
窓架装 -
レイアウト  
ダイネット形態 4名対座
マルチモードシート ○(2列目、3列目シート)
ベッド
ダイネット展開ベッド
上段ベッド
ルーフベッド
常設ベッド -
ダイネットベッドサイズ(mm) 2300x900
上段ベッドサイズ(mm) 1800x1500
ルーフベッドサイズ(mm) ?
ギャレー  
コンロ -
シンク
給水タンク ○(10L)
排水タンク ○(10L)
冷蔵庫/設置スペース ○(20L上開き)/○
電子レンジ/設置スペース ○/○
多目的ルーム  
有無
防水処理 -
トイレ -
シャワー設備 -
シャワー用給排水タンク -
温水設備 -
手洗い -
空調  
ベンチレーター -
FFヒーター
冷房装置 -
電装系  
サブバッテリー ○(105Ah x1)
バッテリー増設 OP
リチウムバッテリー -
走行充電システム
外部100V入力/充電 ○/○
インバーター ○(2000W矩形波)
OP(1500W正弦波)
ソーラーシステム ○(170W)
発電機 -
ナビ/テレビ  
ナビシステム ○(SDナビ)
テレビ OP(10.1/12.8型フリップダウンモニター)
サイズ  
全長(mm) 4,695
全幅(mm) 1,695
全高(mm) 2,130
価格 (税込)  
ガソリン 2WD 6AT(GLP) 643万円~
ディーゼル 2WD 6AT(GLP) 703万円~
ディーゼル 4WD 6AT(GLP) 734万円~

2022年2月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税込)

動画はこちら

2022.3.12