コンパスビッツはホワイトハウスが製作する、ハイエース標準ボディにポップアップルーフを架装したバンコンキャンピングカー。
同社はステップワゴンやフリード、N-VANなどをベース車にしたミニバンや軽ベースのキャンピングカーや、ハイエースベースのキャンピングカーを多数ラインアップしており、ポップアップルーフの架装を特徴としている。
コンパスビッツは、ハイエースワイドロングを使用した「コンパス」の標準ボディバージョンの位置付けで、よりコンパクトで運転しやすい。
なお、ここではポップアップルーフ架装モデル紹介しているが、標準ボディハイルーフを使用したコンパスビッツハイルーフも選択できる。
コンセプト
コンパスシリーズで最もコンパクトなモデル。しかしポップアップルーフとエクステンションウインドウを架装することにより、広く開放的な車内を実現している。
2列目シートを前向きにすることにより、計6名が前向き乗車でき、また大人3名、子供2名が就寝できるベッドを持つ。これにより、小さな子供を持つファミリーに適したレイアウトとなっている。
なお、フロントシートに3名乗車できるので、仕様では7名乗車が可能。(オプションの特設仕様にするとフロントシートは2名着座になり、計6名乗車となる)
エクステリア
ポップアップルーフとエクステンションウインドウを架装
ハイエース標準ボディバンDXをベース車に、ポップアップルーフとエクステンションウインドウを架装している。ポップアップルーフはベース車にうまく馴染んで美しい。
ルーフを下げると車高は2090mmになり、多くの高さ制限のある駐車場にも入ることができる。
エクステンションウインドウは後部ではベッド長を拡張し、前部ではギャレーの奥行きを拡張して、室内を広く見せることに貢献しているほか、断熱対策にもなっている。
標準はDXグレードで、カラードバンパーやメッキグリルはオプション。またTSSP(Toyota Safty Sense P)もオプションになる。
更に、GL パッケージを選択するとカラードバンパー、メッキフロントグリル、電動格納式リモコンドアミラーなどが付く。また、特設仕様 も選択すると、S-GLのフロント2人掛シート、メッキアウトサイドハンドル画度も付けることができる。
なお、ポップアップルーフのテント生地がオプションで選択でき、防水カラーテント・グレー、ブルーorカーキが選択できる。また、防寒インナーテント
もオプションで用意されている。
インテリア
コンパスビッツのインテリア(写真:ホワイトハウス)
コンパスと共通で、明るくカジュアルなインテリアになっている。またオプションで運転席、助手席も同じデザインのシートカバーが用意されている。
インテリアデザインの変更や選択肢については記述が無いが、オリジナルで不満はないレベルだ。また調光システムがオプションで用意されている。
レイアウト
2列目と3列目のシートがマルチモードシートになっており、2列目シートを後ろ向きにすると対座ダイネットになる。また、前向きにすると計7名が前向きでドライブできる(特設仕様では6名乗車)。
2列目、3列目のマルチモードシートと、その横にサイドギャレーがあるので、前後の動線は多少窮屈。また、2列目シートが後ろ向きで対座ダイネット状態になっている場合は、運転席、助手席から直接後部に行くのは難しい。一度車外に出て、スライドドアから入りなおす必要がある。雨が降っていると面倒だ。
ダイネット
4名が対座できるダイネット(写真:ホワイトハウス)
2列目シートを後ろ向きにして3列目シートと対座させると、4名がテーブルを囲むダイネットになる。一度ダイネットに座ってしまうと前後への移動が簡単ではないため、多少閉じ込められ感がある。
ベッド
ダイネット展開ベッド
コンパスビッツの特徴のひとつは、3層式のベッド。1層目は2列目と3列目のシートをフラットにしてできるフロアベッドで、大人1名が就寝できる。(サイズは不明)規定上2名が就寝できる幅は無いが、1名ならゆったり就寝できる。
2層目は後部の上段ベッド。1560x1200mmの大きさで、1800mmに満たないので子供用のベッドとしてカウントされる。このベッドは常設でき、ダイネットをそのままにしておける。従って、子供が先に寝たらこのベッドに寝かせて、大人はダイネットで寛ぐことができる。
3層目はポップアップルーフを上げてできるルーフベッドで、こちらは1850x1380mm。家庭用ベッドのダブルベッドサイズにほぼ匹敵し、大人が2名就寝できる。
ギャレー
ダイネット横に設置されたギャレー
コンパスと同様に、コンパスビッツのギャレーもダイネットサイドにある。ギャレーの奥行きを広くするとダイネットが狭くなるのでスリムなギャレーコンソールだが、エクステンションウインドウのおかげで上部が多少広くなっている。
ギャレーにはコンパクトなシンクがビルトインされており、コンロは卓上型のカセットコンロを乗せて使用する。シンクはコンパクトだが、小型の食器は洗える。
また、シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。ダイネットの足元になるので、出し入れは多少面倒だ。
ギャレーコンソールの収納
ギャレーコンソールには小物収納があるので、小さな食器などを収納しておける。この収納はダイネットをベッド状態にした場合でも使用できる。
ギャレーがダイネットに隣接しているので、ダイネットに座ったままで水が使えたり冷蔵庫にアクセスできるので、湯を沸かしてコーヒーを入れるといった場合には便利だ。
冷蔵庫の蓋を閉め、シンクにも蓋をすると、ギャレーコンソールの上面は広いカウンターになる。
冷蔵庫/電子レンジ
20L冷蔵庫(OP)とシンクがビルトインされるギャレー
ギャレーコンソールにはオプションで20L上開き式冷蔵庫がビルトインできる。
また電子レンジはオプション設定されていない。設置するスペースも難しいだろう。ただ長期旅をする場合は欲しいオプションだ。
ユーティリティールーム
コンパスビッツにユーティリティールームは無い。ただし、小さい子供がいてポータブルトイレを使いたい場合は、後部のベッドボードを外すことによって可能だ。
収納
後部ベッド下には左右に収納スペースが設けられている
コンパスビッツにはオーバーヘッド収納が無いが、各所に収納スペースが用意されている。先のギャレーコンソールの収納に加え、後部ベッド下には左右上下段に扉付きの収納スペースが用意されている。
後部ベッド下の収納スペース
また、ベッド下は広い荷室になり、大きめのバッグなども余裕で積むことができる。
ベッドボードを外すと広い荷室になる
更に、ベッドボードを取り除くと広い荷室になり、大きな荷物や背の高い荷物を積むことができる。
空調
同社のCOOLSTARセパレートエアコンが装備できる
暖房はFFヒーターがオプション設定されている。なお、ベンチレーターのオプション設定は無い。
コンパスビッツが大きく進化したのは、クーラーがオプション設定されたこと。これは同社の「COOLSTAR」という12V仕様の小型セパレートクーラーで、室内機は後部左側に取り付けられ、室外機は後部床下のスペアタイヤのスペースに設置される。
エアコンを設置する場合は電装系も強化され、サブバッテリーは2個増設して計3個(300Ah)となる。
テレビ/ナビ
10.1型のテレビがオプションで設置できる。設置場所はフロントシートのすぐ後ろのルーフで、使用しない場合は畳んでおける。ナビはオプション。
電装系
100Ahのディープサイクルサブバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。オプションで増設でき、最大3個まで設置できる。
外部電源入力と、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。
インバーターは1500Wのものがオプション設定されている。電子レンジが無いし、エアコンも12V仕様なので、1500Wあれば十分だ。
またソーラーシステムもオプションで設置できる。(ワット数不明)
価格(2020.12 車両価格は千円台切り上げ:税別)
ポップアップ仕様でガソリン2WD/6ATが453万円~。ディーゼル2WD/6ATで511万円~、ディーゼル4WD/6ATで539万円~となっている。
必要なオプションは、FFヒーター(210,000円)、外部電源と充電機能(105,000円)、1500Wインバーター(90,000円)が挙げられる。これらは必須で付けておきたい
ただし、ほとんどのユーザーはGLパッケージ(100,000円)、助手席エアバッグ(15、000円)、冷蔵庫(80,000円)も付けるだろう。
更にクーラーを搭載する場合は、CoolStar(取り付け費用込み)390,000円、バッテリー増設セット(計300Ah、CTEK走行充電強化システム、外部電源50Aバッテリーチャージャー)184,000円が追加費用で必要となる。
上記を合計すると1,174,000円となり、ガソリン2WDでは570万円~になる。
他モデル
ハイエース標準ボディベースでポップアップルーフを架装するモデルは、ケイワークスのオーロラスタークルーズナローシリーズ、東和モータース販売のツェルトCP、バンテック新潟のバンレボリューションシリーズ、同ディアリオシリーズ、フジカーズジャパンのFOCSエスパシオプラスアップ、レクビィのホビクルがある。
ただし、エアコンを搭載できるのは、ケイワークスのオーロラエクスクルーシブナロー(572万円~)だけだ。これはエアコンが標準装備され、やはり570万円以上になる。
また6~7名が前向き乗車できるのは、ツェルトCP、ディアリオ、マヨルカが挙げられる。
まとめ
コンパスビッツはハイエース標準ボディにポップアップルーフを架装したモデルとして最もポピュラーなモデルのひとつで、特に6~7名のファミリーで、コンパクトなモデルを望むユーザーにはお勧めだ。
半面、コンパスビッツの弱点は、ダイネットとギャレーが並ぶレイアウトのため、ダイネットに多少窮屈感があること。また、本格的な横開き冷蔵庫ではなく、電子レンジも搭載できないことは、ユーザーによっては長期旅には向かない。
しかし、今回エアコンが搭載できるようになったのは大きな進歩で、CoolStarのような小型エアコンが開発されたことにより、ハイエース標準ボディにもエアコンが搭載できるようになってきた。
確かに価格面では大きな追加コストになるが、キャンピングカーの最大の問題点のひとつである夏の暑さ、寝苦しさが解消できる手段が選択できるようになったことは大きい。
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