アレン ミニは、AtoZが製作する、マツダスクラムトラックをベース車にする軽キャブ・コンバージョン キャンピングカー。
同社はアンソニーシリーズのカムロードキャブコンからアンナシリーズのタウンエースベースのバンコンまで製作するビルダーで、多くのモデルをラインアップしている。
アレン ミニは、現在開発中のモデルで、2023年の東京キャンピングカーショーで開発発表された同社初の軽キャブコン。軽トラックをベース車にしているが、シェルはベース車の幅より広く、登録は普通車8ナンバーになる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
マツダ スクラムトラックをベース車にする軽キャブコン。これにFRPのシェルを架装している。シェルはベース車の幅より広いため、普通車8ナンバーの登録になる。
2023年7月の東京キャンピングカーショーに、開発中として展示されたが、完成度は高く価格も公表されている。
横開き式冷蔵庫が標準装備され、車載用セパレートクーラーやリチウムイオンバッテリーもオプションで装備でき、先進で快適な車中泊が期待できる。
アピールポイント
・軽キャブコンながら普通車8ナンバー登録で余裕のある室内
・大人が就寝できるバンクベッド
・冷凍室がある横開き式冷蔵庫を標準装備
・車載用セパレートクーラーを装備可能(OP)
・リチウムイオンバッテリーを選択可能(OP)
・豊富な収納
ベース車とエクステリア
アレン ミニのエクステリア
ベース車はマツダ スクラムトラック。これにFRP製のシェルを架装している。上の写真のように、エントランスはリアにある。トラックキャンパーなどではよくあるスタイルだが、このようなキャブコンでは珍しい。
インテリア
アレン ミニのインテリア
展示車は同社おなじみの白木風の木目の家具と、グリーンのシート地の組み合わせだったが、インテリアカラーが選択できるかは不明。他のモデルのようにインテリアカラーバリエーションが設定されるのかもしれない。
レイアウト
エントランスが最後部にあるのが特徴。エントランス入って両側に収納キャビネットがあり、奥に横座り対座ダイネットを配置する。
乗車人数は、運転席、助手席とダイネットに2名で計4名。就寝人数はバンクベッドに大人2名と、ダイネット展開ベッドに子供が2名となっている。
一応大人2名と子供2名のファミリーで移動、車中泊できるが、前向き乗車は2名なので、二人使用が適している。
ダイネット
横座り対座のダイネット
横座り対座のダイネットでは、4名程度でテーブルを囲むことができる。もちろん2名なら、ゆったり使えるダイネットだ。2名の場合は、各シート上で足を伸ばして寛ぐことができる。
ダイネットの両側には大きなアクリル2重窓があり、明るい車内を実現している。アクリル2重窓には網戸とシェードが組み込まれているので、通気やプライバシーの確保も簡単にできる。
ベッド
ベッドはバンクベッドとダイネット展開ベッドの2か所がある。
クイーンサイズのバンクベッド
まず、バンクベッドは1930x1600mmの大きさ。1600mmは家庭用ではクイーンサイズベッドの幅に等しく、2名ならゆったり就寝できる。このクラスの他モデルで、バンクベッドでこれだけ大きなサイズを持つものは少ない。
ベッドエンドを跳ね上げることができる
バンクベッドは、使用しない場合は、大きな収納スペースとして使用できる。ベッドエンドを跳ね上げることができるので、走行中に荷物が落下するのを防ぐことができる。
ダイネットベッド
もう一つはダイネットを展開するダイネットベッドで、大きさは1700x1200mm。身長方向が1800mmに達していないので、子供用のベッドにカウントされる。もちろん、可能なら大人が就寝してもかまわない。
ギャレー
ギャレーセクション
後部左側の収納キャビネットにはギャレーが装備されている。シンプルなギャレーだが、シンクは食器を洗うのに十分な大きさだ。シャワーフォーセットは引き出して車外で使うことができる。
シンクの下の給排水タンクと収納
シンクの下には各10Lの給排水タンクが収納されている。エントランスから近いので、タンクの出し入れは難しくない。車外から直接アクセスすることもできるだろう。
冷蔵庫/電子レンジ
49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
後部右側の収納キャビネットには、49L横開き式の冷蔵庫が標準装備される。軽キャブコンながら本格的な冷蔵庫が与えられている。上開き式と違い冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物などの冷蔵とを同時にすることができる。
電子レンジはオプション
家庭用の100V仕様の電子レンジがオプションで用意されている。設置スペースはギャレー上部に収納されるとされているが、展示車には装備されていなかった。完成車では実際に装備された展示車が望まれる。
収納
収納はギャレーキャビネット、オーバーヘッド収納、シート下の収納、先述のバンクベッド収納、外部収納と、非常に充実している。アレン ミニは軽キャブコンながら、上位クラスのモデルにも匹敵するほどの収納を用意している。
左側ギャレーキャビネットの収納
まず左側ギャレーキャビネットには、上の写真の収納と引き出し収納がある。
右側ギャレーキャビネットの収納
右側のキャビネットにも引き出し収納が用意されている。天板も調理台として使うことができる。
右側キャビネットのシューズボックス
右側のキャビネットにはシューズボックスがある。これも十分に大きなシューズボックスだ。
ギャレー上部のオーバーヘッド収納
次に、ギャレー上部にはオーバーヘッド収納が設置されている。食器や調理用具などを収納しておくのに便利だ。
右側キャビネット上部のオーバーヘッド収納
右側のキャビネットの上部にもオーバーヘッド収納が設置されており、こちらは観音開きになっている。これも大きな収納力がある。
ベンチシート下の収納
更にベンチシート下も収納になっている。一般的にベンチシートは背もたれがあり、シートマットを開けてアクセスしにくいが、このあたりが解決されているのを期待したい。
右サイドの外部収納
シェルの右サイドには外部収納が設けられている。濡れたものや汚れ物を収納しておくのに便利だ。
空調
FFヒーターはオプションで用意されているが、残念ながら冷房のオプション設定は記述されていない。今やこのクラスの軽キャブコンにはほとんどクーラーが設置できる。量産モデルでは、クーラーが設置された展示車を期待したい。
なお、ベンチレーターは標準装備される。
テレビ/ナビ
テレビのオプションについては特に記述は無いが、設置は可能だろう。また、ナビも好みのものが取り付けられると思われる。
電装系
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電、外部電源入力が装備される。外部電源による充電機能やインバーター、あるいはソーラーシステムはオプションかもしれない。
同社はリチウムイオンバッテリーを積極的に導入していないが、アレンH LEに使用されている高性能のINADAバッテリーを使用している。リチウムイオンバッテリーではないが、大電力に対応しエアコンの運転にも向いている。
価格(2023年9月現在:千円台切り上げ:税込)
7月の東京キャンピングカーショーでは、4WD/4ATが390万円~と表示されていた。マツダボンゴトラックをベース車にした一クラス上のアレンは500万円を超えるので、アレン ミニは100万円以上安価な選択肢ができることになる。
他モデル
軽トラックをベース車にした、普通車8ナンバーのキャブコンは、MYSミスティックのレジストロ(397万円~)、オートショップアズマのラ・クーン/Ⅱ(325万円~)、キャンピングカーオーゼットのカノア(381万円~)、マックレーのディアラジュニア(328万円~)などがある。
まとめ
プロトタイプなので最終的な仕様は分からないが、プロトタイプを見るとかなりよくできたモデルだ。特に収納の充実度は特筆でき、下手なハイエースバンコンよりよほど収納力がある。
最も仕様やコンセプトが似ているのはカノアだろう。カノアも横開き式冷蔵庫や電子レンジを搭載でき、収納も充実しており、クーラーも搭載でき、クルマ旅にも使用できるレベルの極めて魅力的なモデルだ。
横開き式冷蔵庫や電子レンジも搭載でき、収納も充実しているので、二人でのクルマ旅にも十分対応できそうだ。懸案点としては、普通車8ナンバー登録の軽キャブコンは総じて動力性能が低いことを挙げる声が多い。これに関しては実際にチェックすることをお勧めする。
関連記事