ヴォーン エクスクルーシブ RWBは東和モータース販売が販売する、カムロードをベース車に使用した5m超のキャブコンキャンピングカー。
同社はフルサイズのカムロードキャブコン「ヴォーン」シリーズから、バンコンの「ツェルト」シリーズ、そして最近発表された軽キャンパーの「クライン108アーレ」まで、幅広く取り扱っている。
同社のモデルは同社が製作しているわけではなく、他ビルダーのモデルをベースにした同社仕様のもので、ヴォーンシリーズもナッツRVのクレアがベースになっている。
ヴォーンシリーズは大きく分けて5m超と5m未満のボディサイズに分かれ、5m超のモデルにはExclusive（エクスクルーシブ）という名前が付けられている。
また、レイアウトは後部に横置き2段ベッドを持つ「R2B」、リアエントランスの「DC」、そして今回紹介する2022年に発表されたハイマウントダブルベッドの「RWB」がある。なお、「RWB」はエクスクルーシブのみとなっている。
（記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。）
コンセプト
ヴォーン エクスクルーシブ RWBは、新型カムロードベースの5m超の全長を持つキャブコン。長い全長を生かし、新たにハイマウントダブルベッド仕様が設定された。
広い室内により、ダブルベッドを設置してもサニタリールームや広いダイネットを確保できる。
家庭用エアコンが標準装備され、エクスクルーシブにはリチウムイオンバッテリーが標準となる。ナッツRVのクレアシリーズと同様の「ハイバーエボリューションシステム」も標準装備される。
アピールポイント
・5m超の広い室内
・広いハイマウントダブルベッド
・ベッド下の広い外部収納
・ダブルベッド、サニタリールーム、広いダイネットの共存
・家庭用エアコン標準装備
・リチウムイオンバッテリー標準装備
・ハイパーエボリューションシステム標準装備
エクステリア
ヴォーン エクスクルーシブ RWBのエクステリア
ベース車は新しくなったカムロード。ワイドトレッドは全てディーゼルとなり、全車ダブルタイヤとなった。プリクラッシュセーフティや前進誤発進抑制機能も標準装備している。
シェルは同社独自の高断熱アルミコンポジットパネルを採用。軽量化と断熱性を両立させている。また外観色はホワイト、スチールブルーメタリック、ボストンブルーメタリック、バロックレッドメタリック、そして新色のシャンパンゴールドの5色から選択できる。
ベース車のオルタネーターは100Aだが、ヴォーンは130Aを標準装備している。またSRSエアバッグも運転席、助手席に標準装備される。更にリアサスペンションのリーフ強化もされている。
インテリア
インテリアは2種類から選択できる
インテリアカラーはホワイトを基調とした「シュタイン」とブラウンを基調とした「ショコラーデ」が選択できる。展示車は「シュタイン」を採用していた。家具の作りもしっかりしており、高級感もある。
レイアウト
前部にダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、中央にギャレーとサニタリールームを配置する。
このレイアウトの特徴はハイマウントダブルベッドと多目的ルームを両立していること。前部に浸食してくるダブルベッドはスペース効率が悪く、例えば5m未満のキャブコンでは実現が難しい。
5m超のヴォーン エクスクルーシブ RWBでも、多目的ルームのため多少ベッドは異形になるが、全てを両立させている。
乗車人数は、フロントに3名、ダイネットに4名で、計7名。また、就寝人数は後部ダブルベッドに2名、バンクベッドに3名、ダイネットベッドに1名で、計6名となっている。
3列目の前向きシートは2名分の3点式シートベルトが装備されているので、4名が3点式シートベルト着用で前向き乗車できる。
ダイネット
計4名が対座できるダイネット
2列目は後ろ向き固定、3列目は前向き固定のシートで計4名が対座できる。さらに、左サイドに横座りの単座シートと、オプションでエントランス部にセットできる補助シートがあり、6名がテーブルを囲むことができる。
ダイネット横には大きなアクリル2重窓があり、これには網戸とシェードがビルトインされている。
ベッド
後部ハイマウントダブルベッド
後部ハイマウントダブルベッドのサイズは1930x1200mm（最大）で家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当し、2名が車幅方向に就寝できる。多目的ルームがあるので、その部分は足元が1090mmと短くなっており、完全な長方形ではない。
ハイマウントダブルベッドは広いのが特徴ではあるが、その他のメリットとして、本格的なマットレスがあり、寝心地が良いことが挙げられる。特にヴォーンエクスクルーシブRWBではウッドスプリングが採用されており、最高級の寝心地が得られる。
また、2段ベッドのように高いところに上る必要が無いことも特長だ。狭い車内や暗い中での上り下りは年配者にとっては使いやすいとは言えない。
三つ目の特徴は、ベッド下に広い外部収納が取れること。大きなキャンプ用具などを積み込むことができる。ただし自転車のような縦に長いものは、2段ベッド仕様の方が便利な場合がある。
キングサイズの広さのバンクベッド
バンクベッドの大きさは1900x1800mmで、家庭用ではキングサイズの広さ。車幅方向に3名が就寝できる。落下防止用のネットも用意されている。バンクベッドは引き出し式で、ベッドセットは比較的楽にできる。
ダイネットを展開するとベッドになる
更にダイネットを展開すると1900x900mmのベッドになり、一人が就寝できる。ベッド展開は、テーブルを外し、シートバックを外して中央に移動する。
ギャレー
2口常設コンロがあるギャレー
ギャレーキャビネットには2口常設コンロが一体になったシンクがビルトインされている。コンロが常設されているので、調理するユーザーには便利だ。
またレンジフードも標準装備されるので、調理時に出る煙や臭いを排出することができる。
シンク下の収納スペース
なお、従来のヴォーンでは各19Lの給排水タンクがシンク下に収納されていたが、新型では各60Lの給排水タンクが床下に設置されている。空いたスペースは収納として使える。
冷蔵庫/電子レンジ
70L両横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は70L横開き式が標準装備される。この冷蔵庫は左右どちらからでも開けられる両開き式。ベッドサイドからでもアクセスすることができる。
電子レンジはギャレー上に標準装備される
電子レンジも標準装備される。1500W正弦波インバーターも標準装備されているので、サブバッテリーでも駆動することができる。もちろん外部100V電源が取れる場合は、外部電源で駆動できる。
多目的ルーム
ラップポントイレ(別売)も置くことができる。
防水処理された多目的ルームも用意されている。ポータブルトイレやカセットトイレがオプションで用意されているので、これらを設置してトイレルームにすることができる。
FFヒーターの吹き出し口も用意されているので、冬場も快適だ。専用の小型ベンチレーターも標準装備される。
また、温水シャワーもオプションで用意されており、シャワールームとしても使用できる。温水は22Lのラジエーター熱交換、あるいは電熱で加熱する。22Lの湯を水と混合して湯にするので、一度に使える湯量は節約して2名分程度だ。
温水シャワーの需要は少ないとはいえ、キャンピングカーが災害対策として考えられるようになってきている現在、ダイレクトカーズのトリップやアネックスのリバティのように瞬間湯沸かしシステムが望まれる。
収納
充実したオーバーヘッド収納
まずオーバーヘッド収納は、ダイネット上、エントランス上、ギャレー上、ベッド両サイド上に設置されており、大きな収納力がある。
ただし主だった室内収納はその程度。ギャレーキャビネットにももう少し収納が欲しい気がする。
3方にドアがある大きな外部収納
ベッド下は大きな外部収納。3方にドアがあり、大きな荷物を積むことができる。室内からもアクセスできる。
空調
家庭用エアコンが標準装備されている
暖房はFFヒーターが標準装備される。また冷房は家庭用インバーターエアコンが標準装備される。室内機は最後部に前向きに取り付けられており、前方まで冷気を届けることができる。
室外機は車体後部左側に設置されているが、目立たないようにデザインされている。エクスクルーシブは計400Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備されており、また280Wのソーラーシステムも標準装備されているので、エアコンを長時間運転することができる。
テレビ/ナビ
テレビの記述は無いが取り付けはできるようだ。またナビも、特にオプション設定されていないが、希望のものを取り付けできる。
電装系
計400Ahのリチウムイオンバッテリーが標準装備される
エクスクルーシブは100Ahのリチウムイオンバッテリーが4個、計400Ahが標準装備される。またハイパーエボリューションシステムも標準装備される。これはアイドリングを含む走行充電でも急速に満充電できるシステム。リチウムイオンバッテリーに対応するものが「ハイパーエボリューションシステム」と名付けられ、2021年からリリースされている。
価格（2021年4月現在：千円台切り上げ：税込）
ヴォーンエクスクルーシブRWBの車両本体価格は2WD/6ATで1100万円～。4WDは1135万円～となっている。必需装備はほとんど標準で付いているので、付けておきたい必需オプションは特にない。（ナビ関連は除く）
必要に応じて、サイドオーニング（136,620円/199,870円：手動/電動）、カセットトイレ（136,620円）、ポータブルトイレ（27,500円）、シャワーキット（132,000円）、温水ボイラー（126,500円）などが挙げられる。
他モデル
カムロードベースの5m超キャブコンは多く存在するが、後部にハイマウントダブルベッドを持つモデルは、アネックスのリバティ52SP（1078万円～）、ダイレクトカーズのトリップ（1185万円～）、ナッツRVのクレア5.3Xハイパーエボリューション（1140万円～）、バンテックのジルノーブル（1092万円～）、ファンルーチェのヨセミテ（価格不明）などがある。（エアコン搭載可能モデルのみ抽出）
この中で、ジルノーブル以外はリチウムイオンバッテリーを装備できる。また、リバティ52SPとトリップはエアコン、リチウムイオンバッテリー、瞬間湯沸かし温水シャワー、カセットトイレを標準装備する。
まとめ
ヴォーンエクスクルーシブRWBは、ナッツRVのクレア5.3Xとほぼ同じレイアウトで、姉妹車ともいえる。装備もハイパーエボリューションを含めほぼ同じだ。インテリアカラーが異なるので、この2モデルで比較するならインテリアで選択しても良いだろう。
ヴォーンエクスクルーシブRWBは特に欠点もなく、平均的な装備を持つ平均的なモデルと言えるが、他モデルと差異化する機能があるわけでもない。ハイパーエボリューションも、先進的なモデルならほぼ同様の機能を持っている。ただし400Ahのリチウムイオンバッテリー容量は他モデルより大きいのは魅力的だ。
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