クレア5.3X EvolutionはナッツRVが製作する、カムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。同社はセミフルコンから軽キャンパーまで扱う総合ビルダーだが、クレアはキャブコンの上級ラインアップに位置する。同じレイアウト構成だがバンクを持たない「スティング」シリーズも選択できる。
コンセプト:5mを超えるフルサイズキャブコンで、対座ダイネット、ダブルベッド、ユーティリティルームを備える。この3者を全て十分なサイズで実現するのは難しいが、ダブルベッドの足元を狭くすることで実現している。
クレア5.3X Evolutionの室内
エクステリア:アルミコンポジットパネルのシェルを架装し、軽量化を図っている。なお、ルーフとフロアには新たにクレソンと同じFRPのコンポジットパネルを使用し、断熱性を向上させている。カラーバリエーションは5種類から選択できる。
また、フロントマスクも同社オリジナルのものが装着できる。(OP)
インテリア:高級感ある家具とシートで構成。軽量なPVC家具を使用し、4種類の柄の選択ができる。ダウンライトと間接照明で夜の演出も考慮されている。
レイアウト:TypeXは前部に対座ダイネット、最後部にダブルベッド、中央にユーティリティールームとギャレーを配置する。TypeZも同様の構成だが、TypeZでは2列目シートがTypeXほど大きくない。
TypeXではリアのダブルベッドの足元を10cm狭くすることにより、前部に侵食するスペースを短くし、その結果2列目シートは大きくなっている。
TypeXとTypeZは対座ダイネットとダブルベッドの構成でほぼ同じレイアウトなので、どちらにするか迷うユーザーも多いと思われる。TypeZは二人旅ユーザーを対象に、優雅なラウンジソファダイネットでも良かったのでは。
右上はTypeZのダイネット(2列目シートの座面の大きさが異なる)
ダイネット:対座ダイネットには4名が着座できるが、この他にギャレー横に単座シートも用意されている。また、エントランス部にシートボードを置くことにより、ここも簡易シートとして利用できるので計6名が着座できる。
後部の常設ダブルベッド(足元が10cm狭くなっている) 右上はウッドスプリング
ベッド:TypeXのリアダブルベッドのサイズは表示されていないが、TypeZは1930×1400mmで、これとほぼ同じ大きさと考えられ、家庭用のダブルベッドの大きさに匹敵する。
ただし、TypeXでは前述の通り、ベッドの足元が10cm狭くなっている。それほど大きな影響はないが、2名で横になってみて、気になるかどうか試すと良いだろう。
リアダブルベッドにはウッドスプリングが採用されており、上質な寝心地を提供する。
引き出し式のバンクベッド(右上はスティング5.0XXのバンクベッド)
バンクベッドは1800×1900mmの大きさで、これは家庭用ベッドではキングサイズに相当し、3名が就寝できる。高さも720mmあり、圧迫感が少ない。なお、スティングはバンクを排したスマートなフロントルックだが、バンクベッドの高さはクレアに劣る。
またダイネットも展開すると、900×1900mmのシングルベッドになり、すべて合わせると6名が就寝できる。ちなみにTypeZのダイネットはベッド展開できず、就寝定員は5名に留まる。
2口コンロがビルトインされたシンクが備わったギャレー
ギャレー:ギャレーコンソールには2口コンロと一体になったシンクがビルトインされている。特に大きなシンクではないが、中皿や小ぶりのフライパンなら洗うことができる。
ギャレーコンソールにはまた、大きめのアシストテーブルが標準装備されており、調理台を拡張できる。料理をするユーザーには便利だ。ただしこれは単座シートの上に位置するので、この場合は単座シートに座れない。
ギャレー上部の収納と電子レンジ
冷蔵庫/電子レンジ:90Lの冷蔵庫がビルトインされている他、上部には電子レンジも標準装備される。1500Wのインバーターも標準装備なので、外部電源が無いところでも電子レンジが使用できる。
ユーティリティールームは収納庫としても使える。
ユーティリティールーム:防水処理された個室が配置されている。ただしトイレやシャワーはオプション。温水シャワーの場合は更に温水キットと60L給排水タンクが必要になる。
収納:ダイネット上、エントランス上にオーバーヘッド収納が用意されるほか、ギャレーコンソールには小物収納、ギャレー上にも収納キャビネットが備え付けられている。また、ベッドルームには左右両側にオーバーヘッド収納がある。
大きな荷物はベッド下の外部収納に入れておける。折りたたみ自転車も積むことができる。
後部ベッド下の外部収納
空調:Evolution仕様には家庭用エアコンが標準装備される。またFFヒーターも標準装備。ベンチレーターも標準装備されるが、ユーティリティールームのベンチレーターはオプション。
テレビ/ナビ:19インチテレビがオプションで用意されている。
電装系:Evolution仕様は、同社オリジナルの電装システム「Evolutionシステム」を搭載している。これは、アイドリングだけでサブバッテリーを4~5時間で満充電できるというもの。一般的にはアイドリングや走行充電だけでサブバッテリーを満充電することは難しいため、昼間の走行でサブバッテリーが満充電できるのはありがたい。
Evolutionシステムのもう一つの特徴は、アイドリングでエアコンがほぼ無制限に使えること。ただし、こちらは長時間アイドリングを続けるのは環境に良くないため、やはり停車時はバッテリーでエアコンを運転するのが望ましい。
サブバッテリーは100Ahのディープサイクルバッテリーが3個標準装備されるので、容量的には十分。エアコンは外気温にもよるが、6時間程度運転できるだろう。残念ながらリチウムイオンバッテリーはオプションリストに無い。なお発電機の収納スペースと排気処理はオプションで用意されている。
価格:ガソリン2WD/4ATシングルタイヤで755万円~(税別)。ディーゼル2WDは810万円~(同)。ダブルタイヤも選択でき、この場合は2WD/4ATディーゼルのみで、850万円~(同)。
高額なオプションはほとんど装備されているので、必需品で取り付けておくべきものは特にない。カセットトイレ(¥136,620)は必要に応じて付けられる。
温水シャワーが必要な場合はシャワーキット(¥56,300)+温水キット(22Lラジエターボイラー)(¥115,000)+60L給排水タンク(¥139,840)+ベンチレーター(¥32,200)が必要。約35万円の追加となる。
他車:カムロードキャブコンカテゴリーは激戦区で、やはり2020年ジャパンキャンピングカーショーで発表されたダイレクトカーズのトリップ(935万円~:税別))とアネックスのリバティ52DB/リバティ52SP(851万円~:同)が注目を集めている。
また、もう一つのキャブコン大手ビルダー、バンテックのジルシリーズ(772万円~:同)は安定した存在感がある。(価格は全てディーゼル2WDのもの)
まとめ:クレア/スティングは、キャブコンのトップビルダーのモデルだけあって、レイアウトの選択肢、バンクの有無、ダブルタイヤの選択肢、温水シャワーまで装備できるオプションの豊富さ、インテリアのまとめ方など、抜け目のないモデル戦略をとっている。
従って、クレア/スティングを選択してもちろん失敗は無いが、他のモデルも相当レベルが高い。例えばやはりキャブコン大手バンテックのジルシリーズは、クレア/スティングに劣らないラインアップや装備を誇り、アネックスのリバティ52DB/SPは外観の美しさや床暖房、豪華なインテリアで注目されている。
またダイレクトカーズのトリップは32型テレビを標準装備し、車内エンタテインメントで新しい切り口を提案している。リバティ52DB/SPとトリップはリチウムイオンバッテリーを標準装備し、瞬間湯沸かしで温水シャワーも標準装備という、新しい標準を作りつつある。
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