ヴォーンエクスクルーシブR2Bは東和モータース販売が取り扱う、カムロードをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社は輸入モーターホームから軽キャンパーまで取り扱う総合ビルダーで、「ヴォーン」シリーズは同社のカムロードキャブコンのシリーズ名になっている。
カムロードのモデルチェンジに伴い、全てのカムロードキャブコンが一新され、ヴォーンシリーズは全車ディーゼルエンジン、ワイドトレッド、ダブルタイヤになった。
ヴォーンシリーズは5m超と5m未満の車長で分けられ、5m超のモデルは「エクスクルーシブ」と名付けられている。またレイアウトは後部に横置きダブルベッドを持つ「RWB」、リアエントランスの「DC」、そして後部に横置き2段ベッドを持つ「R2B」がある。
その組み合わせで、現在は「エクスクルーシブRWB」、「エクスクルーシブR2B」、「DC」、「R2B」の4モデルがラインアップされている。この記事ではは「エクスクルーシブR2B」を取り上げている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ヴォーンエクスクルーシブR2Bは、5m超の車長を持ち、後部に横置き2段ベッドを配置するカムロードキャブコン。ヴォーンシリーズには同じレイアウトで5m未満の車長の「R2B」もあるが、エクスクルーシブR2Bでは後部のベッド幅が広くなっている。
多目的ルームを持ち、カセットトイレやポータブルトイレを置いてトイレルームにできる他、温水シャワーも設置できる。また、ギャレーには常設2口コンロの他、冷蔵庫、電子レンジも標準装備される。
更に家庭用エアコン、リチウムイオンバッテリーが標準装備されており、快適なクルマ旅が約束される。前向きに4名が乗車でき、6名が就寝できるので、ファミリーでの長期旅にも対応できる。
なおヴォーンシリーズはナッツRVのクレア/クレソンジャーニーシリーズの姉妹車で、ヴォーンエクスクルーシブR2Bはクレア5.3Wのレイアウトに相当する。
アピールポイント
・5m超の余裕ある室内
・広い2段ベッド
・常設2口コンロがあるギャレー
・トイレや温水シャワーが設置できる多目的ルーム
・大型70L両開き冷蔵庫や電子レンジを標準装備
・家庭用エアコンと400Ahリチウムイオンバッテリーを標準装備
・ハイパーエボリューション Neoによる急速充電システム
・280Wソーラーシステム標準装備
ベース車とエクステリア
ヴォーンエクスクルーシブR2Bのエクステリア
ベース車はトヨタ カムロード ワイドトレッドダブルタイヤ。これに高断熱アルミコンポジットパネルのシェルを架装し、軽量化を図っている。
アルミパネルは塗装が容易で、そのため外観色は新色のシャンパンゴールドメタリックを加え5色から選択できる。
カムロードの標準装備に加え、ヴォーンとしてオルタネーターが130Aにアップグレードされ、運転席に加え助手席のSRSエアバッグ、リアサスペンションリーフ強化などが標準装備されている。
インテリア
「ショコラーデ」のインテリア
インテリアカラーは「シュタイン」と「ショコラーデ」の2種類から選択できる。写真の展示車は「ショコラーデ」。なお「ヴォーン エクスクルーシブ
RWB」のレビュー記事の展示車は「シュタイン」を使用しているので参考いただきたい。
レイアウト
前部に対座ダイネット、中央にギャレーと多目的ルーム、後部に横置き2段ベッドの構成はカムロードキャブコンで定番のレイアウトだ。
このレイアウトの特徴は、横置き2段ベッドのスペース効率の良さにあり、対座ダイネットと多目的ルームを無理なく配置することができる。
なお、5m未満の全長の「R2B」ではベッド幅が1010mmとなっているのに対し、「エクスクルーシブR2B」では1200mmを確保しており、これは家庭用ではセミダブルベッドの幅に相当する。即ち、よりゆったりと就寝したい場合は、5m超のエクスクルーシブR2Bが適している。
ダイネット
4名対座のダイネット
ダイネットには4名対座のシートと大きなテーブルがある。ファミリーで食事する場合も十分な大きさのテーブルだ。また、少し離れてはいるが横座りの単座シートが用意されている。
オプションの補助シート
更に、付属の補助シートを単座シートの横にはめ込むと、もう1名が着座でき、大勢でテーブルを囲むことができる。
ベッド
ヴォーンエクスクルーシブR2Bのベッドは、後部の横置き2段ベッド、バンクベッド、ダイネット展開ベッドの3か所にある。2段ベッドで2名、バンクベッドで3名、ダイネット展開ベッドで1名が就寝できる。
後部の横置き2段ベッド
後部の横置き2段ベッドは、上段、下段とも1930x1200mmの大きさ。ただし、変形ベッドで、足元(多目的ルーム側)は多少狭くなっている。両段に小窓(アクリル2重窓)と読書灯が用意されている。
3名が就寝できるバンクベッド
バンクベッドはスライド式で、引き出してセットする。ふとん派であっても寝具を置いておけるし、ベッドベースの引き出しはそれほど労力を使わないので、準常設ベッドと言っても良いだろう。
大きさは1900x1800mmで、家庭用ベッドならキングサイズに相当し、大人3名が就寝できる。車幅方向が1900mmなので長身のユーザーは車幅方向に就寝すると良いが、もちろんどちら向きで寝ても良い。
大人が1名就寝できるダイネット展開ベッド
最後はダイネット展開ベッドで、大きさは1900x900mm。大人が1名就寝できる。ベッド展開はテーブルを外し、シートバックを中央に移動するだけで、こちらもそれほど労力を使わない。なお、ベッドを通路部名で拡張できるベッドボードもオプションで用意されている。
ギャレー
常設2口コンロがあるギャレー
左サイド中央にあるギャレーには、2口コンロと一体になったシンクがビルトインされている。ちなみに5m未満の「R2B」や「DC」ではコンロは常設ではなくポータブルカセットガスコンロをいちいちセットしなければならない。
シンクの下は収納になっている
ギャレーキャビネットの下は収納になっている。給排水タンクは各60Lで、これらは床下など別の場所に設置されている。よって、ギャレー下は調理用具などの収納スペースとして使用できる。
なお、跳ね上げ式の調理台がギャレーキャビネット右側に用意されているので、手の込んだ料理も可能だ。
冷蔵庫/電子レンジ
70L両開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は70L両開き式が標準装備されている。両開きなので左右どちらからでも扉を開けることができる。
電子レンジも標準装備される
また、家庭用の100V仕様の電子レンジも標準装備される。クルマ旅ではいつも外食すると飽きてくるが、そんな時ちょっとした温めものや冷凍食品を電子レンジで温めて調理すれば簡単に食事が作れる。
1500Wインバーターも標準装備されているので、外部電源が無いところでもサブバッテリーで駆動できる。電子レンジの両側には収納も用意されている。
多目的ルーム
防水処理された多目的ルーム
右側中央には多目的ルームが配置されている。オプションのカセットトイレやポータブルトイレを設置してトイレルームにしたり、温水シャワーを設置することができる。防水処理されており、排水口も設けられている。またFFヒーターの吹き出し口も用意されているので、シャワー時やトイレ時に寒い思いをしなくて済む。
多目的ルームには車外へのドアがあり、車外から濡れたものなどを直接車内に入れる場合などに便利だ。ただしカセットトイレを設置するとドアは無くなる。また、窓をオプションで追加できる。
収納
ダイネット上のオーバーヘッド収納
オーバーヘッド収納はダイネット上と、先述のように電子レンジの両側に設置されている。ダイネット上のものは大きく、容量も大きい。
エントランス横のシューズボックス
先述のギャレーキャビネットの収納の他、エントランス横にはシューズボックスが用意されている。
ベッド下の大きな外部収納
ベッド下は大きな外部収納になっている。左右両側にドアがあるので荷物の出し入れにも便利だ。ただ、開口部はあまり大きくなく、下段ベッドの下の収納スペースのみのためのドアのようだ。
後部に横置き2段ベッドを持つレイアウトのメリットの一つは、ベッドボードを取り外して自転車等の大きな積載物を積めるところにある。そのためには縦長の大きなドアが必要になるが、このモデルは残念ながらそのようなドアが無い。
空調
家庭用エアコンが標準装備される
暖房はFFヒーターが標準装備される。冷房は家庭用エアコンが標準装備され、室内機はエントランスの上に設置される。室外機はボディ左後部の下側に収納されているが、使用時にいちいち扉を開けたりする必要はない。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていないが、取り付けは可能だろう。またナビもオプション設定されていないが、好みのものが装着できる。
電装系
「ハイパーエボリューション」のリチウムイオンバッテリー
「ハイパーエボリューション」システムが採用されており、サブバッテリーは100Ahのリチウムイオンバッテリーが4個(=400Ah)標準装備される。充電は走行充電と外部100V入力による充電がともに標準装備される。
1500W正弦波インバーター、280Wソーラーシステムも標準装備される。電装品で最も大電力を必要とするのはエアコンだが、夏の炎天下で使用する場合、仮に平均500Wの消費電力とすると、サブバッテリーだけで単純計算でも8時間程度は運転できる。更にソーラーシステムによる発電で、更に長時間の運転が可能だ。
夜間はもっと消費電力が下がるので、一晩中エアコンを稼働して就寝することもできる。なおハイパーエボリューションでは空になったサブバッテリーを4時間程度の走行充電でフルチャージすることができるとしており、電気の心配はほぼ解決している。
価格(2022年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ヴォーンエクスクルーシブR2Bの車両本体価格は、ディーゼル2WD/6ATで1100万円~、4WDで1135万円~となっている。
ほとんどの必需装備は標準で付いているので、追加で付けておきたい必需オプションは特にない。(ナビ関連を除く)
必要に応じて、走行用リアヒーター(101,200円)、サイドオーニング(手動:136,620円、電動:199,870円))、温水ボイラー(126,500円)、カセットトイレ(136,620円)、強化スタビライザー(56,100円)、強化ショック(106,260円)等がある。
他モデル
5m超のカムロードキャブコンで、同様のレイアウトを持つモデルは多く存在し、アネックスのリバティ52DB、(1078万円~)、ダイレクトカーズのトリップⅡ(1235万円~)、ナッツRVのクレア5.3W(1052万円~)、バンテックのジル520(1068万円~)、L.T.キャンパーズのレガードネオプラス(価格不明)が挙げられる。
クレア5.3Wハイパーエボリューションモデルは1140万円~となるので、ヴォーンと同条件にするとクレアの方が高価になる。
上記の全てのモデルは家庭用セパレートエアコンあるいは車載用セパレートエアコンを標準装備し、ジル520とレガードネオプラスを除いてリチウムイオンバッテリーに対応している。
まとめ
このセグメントは競争が激しく、平均的な装備では魅力に欠ける存在となってしまう。その意味ではトリップⅡとリバティ52DBは一歩抜け出ている。この2モデルは必需装備は全て標準装備の上、瞬間湯沸かし機能付き温水シャワーやトイレおよび専用手洗いも標準装備、更にトリップⅡは465Wのソーラーパネルを含む強力な電装系、リバティ52DBは床暖房やリーズナブルな価格設定が魅力だ。
ヴォーンエクスクルーシブR2Bは家庭用エアコンと計400Ahリチウムイオンバッテリー標準装備で、先進機能に対応したモデルではあるが、現在ではこれも平均的なレベルになっている。
しかしヴォーンエクスクルーシブR2Bはコンポジットアルミパネルシェルによる軽量化や選べるボディカラー、2種類のインテリアカラーなどの選択肢が用意されており、魅力的なモデルであることには違いない。
5m超のカムロードキャブコンの比較は「5m超のカムロードキャブコン特集2022」も参考いただきたい。詳細の比較表も添付されている。
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