トム200はセキソーボディが製作する、ハイエース標準ボディをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社はトム23のようなタウンエースをベース車にしたライトキャブコンから、ハイエーススーパーロングをベース車にしたトムタンデムなどのフルサイズキャブコンまでラインアップしている。
同社の特徴はアルミベースのシェルをはじめとした軽量化設計で、そのため動力性能も大きな特徴になっている。
トム200シリーズには、後部のベッドをハイマウントダブルベッドにしたトム200Plusや、ダイネットに優雅なラウンジシートを採用した二人旅仕様のトム200Lも選択できる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
コンセプト
ハイエース標準ボディをベース車にし、コンパクトなボディながら十分な動力性能と居住性を両立させたキャブコン。アルミベースのシェルを架装し、軽量化も図っている。
トム200はトム200Plusやトム200Lにはない多目的ルームを装備し、前向き乗車できる2列目シートを持つほか、2段ベッド、バンクベッド、ダイネットベッドで6名が就寝できファミリーにも対応している。
アピールポイント
・グレード感の高いハイエースをベース車に使用
・コンパクトながら広い室内
・軽量化設計による高い動力性能
・キャブコンでは珍しいマルチモードシートを採用し全員前向き乗車可能
・引き出して拡張できる多目的ルーム
・家庭用エアコンを装備可能(OP)
エクステリア

トム200のエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディDXグレードで、オプションでカラードバンパーやメッキフロントグリルなど外観をグレードアップできるGLパッケージを選択できる。
これに同社オリジナルの「ハイドロバックパネル」を用いたアルミベースシェルを架装することにより、軽量化を図っている。軽量化により、動力性能や燃費の向上が期待できる。
同社のモデルの外観上の特徴は、盛り上がったバンクのないスマートなシルエット。しかし、しっかり大人2名が就寝できるバンクベッドが設けられている。
インテリア

トム200のインテリア
展示車は薄い木目パネルの家具とホワイトの家具扉、そしてベージュ系のシート地で明るい室内を実現していたが、トム200Lに採用されていたインテリアなども選択できるだろう。
同社のトムバロンのような特別な高級感は無いが、トムタンデムと同程度の質感で作られている。
レイアウト
前部に対座ダイネット、後部に横置き2段ベッドを配置し、中央にギャレーと多目的ルームを配置している。非常に一般的なレイアウトだが、コンパクトなボディに多目的ルームを含め全ての要素が配置されている。
特に多目的ルームは前後にスライドするアイデアが採用されており、使用時は前に引き出すと、内部が拡張される。

2列目シートにマルチモードシートを採用
また、トム200で特筆できるのは2列目シートにマルチモードシートを採用している点。これを前向きにすると計7名が前向き乗車できる。(DX/SGLベースなので、フロントに3名乗車できる)大勢のファミリーでも全員が前向き乗車できるので、ロングドライブでも疲れにくい。
ダイネット

4名が対座できるダイネット
前部に4名が対座できるダイネットを配置している。また、2列目はマルチモードシートのため適度なリクライニングが可能だ。
ダイネットのウインドウはアクリル二重窓となっており、断熱性に優れ、結露を防ぐ。また、網戸とシェードも内蔵されており、簡単に外気を取り入れたりプライバシーを確保することができる。
ベッド

最後部の2段ベッド
最後部の2段ベッドは上下とも1820x800mmの大きさ。ただし幅は最大で800mmだが足元は650mmと狭くなっている。大柄なユーザーには多少窮屈かもしれない。

大人2名が就寝できるバンクベッド
バンクベッドは引き出し式で、引き出すと1900x1350mmのベッドになる。これは家庭用ではセミダブルとレギュラーダブルベッドの中間の幅で、大人2名が就寝できる。

大人2名が就寝できるダイネットベッド
最後はダイネットを展開してできるダイネットベッドで、1850x1300mmの大きさ。やはり大人2名が就寝できるので、3つのベッドを合わせて大人6名が就寝できる。
なお、ダイネットからベッドへの展開は、マルチモードシートがあるので、多少手間がかかる。
ギャレー

ギャレーセクション
左側中央に配置されるギャレーコンソール天板にはシンクとシャワーフォーセットが備えられている。深さのある特徴的なシンクだ。コンロはポータブルガスコンロを使う度にセットする。

シャワーフォーセットは車外で使うことができる
調理面は用意されているが、ガスコンロを置くとあまり調理スペースは残っていない。また跳ね上げ式の調理板などは用意されていない。シャワーフォーセットは引き出して車外で使うことができる。

各20Lの給排水タンク
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されており、車外から直接出し入れすることができる。
冷蔵庫/電子レンジ

65L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は65L横開き式がギャレーコンソールに標準でビルトインされる。限りある室内スペースながら、しっかり横開き式冷蔵庫が採用されているのは特筆できる。
一方、不思議なことにトム23には電子レンジ+1500Wインバーターのセットオプションが設定されているのにトム200には設定が無く、収納するスペースも想定されていない。
電子レンジは簡単な調理に欠かせない装備なので、このクラスのキャブコンにはオプション設定が欲しい。
多目的ルーム

引き出して広くなる多目的ルーム
トム200の多目的ルームは注目点のひとつだ。扉を開けると、ポータブルトイレが置けるスペースはあるが、そのスペースで用を足すには狭すぎる。しかし前面を引き出すことにより、内部が広くなり、トイレルームとして使用できるようになる。
個室内上部には専用の棚があり、トイレットペーパーなどのストックを置いておくことができる。ただし、トイレルーム専用の換気扇は用意されていない。
収納

ダイネット上のオーバーヘッド収納
ダイネット上とギャレー上にオーバーヘッド収納が備えられている。ただし、ギャレー上の収納はエアコンを取り付けた場合、室内機が設置されるので存在しない。

2段ベッド下の収納
後部2段ベッドの下は大きな収納スペースとなっている。この収納には、リアのドアで車外からもアクセスすることができる。大きなキャンプ用具などを積み込むのに便利だ。
ただ、この収納スペースと室内との仕切りが無いため、室内から荷物が丸見えになってしまう。また、運転中に荷物が室内に移動してくることもあるだろう。是非仕切りを付けてもらいたい。

下段ベッドボードは取り外すことができる
なお、下段ベッドボードは取り外すことができ、この場合は背の高い荷物も収納することができる。しかしサイドに扉が無いため、大きな荷物を車外から入れることができない。折角の大きな収納スペースを生かすためにも、縦長のサイドドアが望まれる。
空調

家庭用エアコンがオプション設定されている
暖房はFFヒーターがオプション設定される。また、冷房は家庭用エアコンがオプションで設定されたのが特筆できる。室内機はギャレーの上、室外機はボディ後部左サイドに収納されている。
ただし残念な点が2点ある。ひとつはサブバッテリーでの使用は想定されていないこと。サブバッテリーは105Ahのディープサイクルバッテリー1個だし、インバーターは120Wのものしかオプション設定されていない。即ち、外部電源が取れるところで使うことが想定されている。

室外機には扉が付いている
もう一つは室外機に扉が付いていること。これではエアコンを使う度に車外に出て扉を開けなければならない。雨の日などは大変億劫だ。開けるのを忘れてエアコンを使うと、故障の原因にもなる。
走行中の粉塵から室外機を保護する理由からかもしれないが、他のモデルで採用されているようなルーバーや金属網にできないものだろうか。
テレビ/ナビ
テレビに関しては特にオプションとして表記されていないが、付けることは可能だろう。またナビも特別にオプション設定されていないが、希望のものを付けることは可能だ。
電装系
105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電が標準装備される。バッテリーの増設はオプション表記されていない。また、リチウムイオンバッテリーの設定は無い。
外部100V電源入力は標準装備されるが、これによるサブバッテリーの充電機能はオプション。またインバーターは120Wのものがオプション設定されている。1500W以上の大容量のものはオプション設定されていないのは、電子レンジやエアコンが想定されていないためだろう。
ソーラーシステムは155Wのものがオプション設定されている。
価格(2021年4月現在:千円台切り上げ:税込)
同社はウェブサイトで価格を表示していないので、以下は2021年9月に開催されたキャンピングカーショーでの価格。DXグレード、ガソリン2WD/6ATで699万円~となっている。
付けておきたいオプションは、GLパッケージ(107,000円)、外部電源による充電システム(66,000円)、FFヒーター(価格不明)、マックスファン(49,500円)が挙げられる。
また、予算に余裕があれば、ソーラーシステム(160W:価格不明)、キーレス連動エントランスドアロック(55,000円)がある。
家庭用エアコン(275,000円)は外部電源でしか使えないので、価格の割には使う頻度が少ない。もちろん、外部電源で使う機会が多いユーザーにはお勧めする。
他モデル
ハイエース標準ボディをベース車に使用したキャブコンは、タコスのベリー(625万円~:GLパッケージ)、ファンルーチェのウラル(721万円~:特設)がある。またNV350キャラバンをベースにしたバンテックのアストラーレCC1もあるが、1000万円を超えるモデルなので比較対象にはしない。
このうち、ベリーはエアコンが標準装備される。またウラルは多目的ルームは持たない。ウラルはリチウムイオンバッテリーの搭載はオプションで可能。価格的にはベリーが比較的安価で、エアサスまで標準装備され、コストパフォーマンスに優れる。
「アストラーレとハイエースベースコンパクトキャブコン比較」も参照いただきたい。
まとめ
トム200はコンパクトなボディ、スマートなシルエット、軽量化設計など魅力的な基本スペックを持つ。家庭用エアコンを選択できるようになったのは大きな進化だ。
しかし、気になる点が多いのも事実。まず折角のエアコンが外部電源でしか使えない。サブバッテリーの強化(できればリチウムイオンバッテリー)と1500W以上のインバーターのオプションが欲しいところだ。
また電子レンジの設定が無い。クルマ旅には対応すべきモデルなので、やはり電子レンジは必須と考える。
さらに細かい点だが先述のように、トイレルームのベンチレーター、後部2段ベッドのベッドボードを取り外して大きな収納にした場合のサイドドア、エアコン室外機の扉、ベッドボード下の収納とダイネットとの仕切りを挙げておきたい。
ただしこれらの点は公表されているスペックから判断したもので、要求に応じて対応できるかもしれない。購入を考えている場合はビルダーに問い合わせ願いたい。
関連記事