ウラル エイジアはファンルーチェが製作する、ハイエース標準ボディをベース車に使用したキャブコンキャンピングカー。
同社はキャブコンの専門ビルダーで、カムロードベースの「イグアス」や、ハイエースワイドロングベースの「セレンゲティ」「パタゴニア」をラインアップする。
コンセプト
ハイエース標準ボディを使用することで、コンパクトかつ動力性能に優れたキャブコンとしている。コンパクトながら広い室内が特徴で、後部に常設ハイマウントダブルベッドを持ち、二人旅や小さな子供のいるファミリーに適している。
冷蔵庫や電子レンジを標準装備し、家庭用エアコンも装備できるので、長期旅にも対応できる。
ウラルには「ウラル ユーロ]という二人旅専用のモデルも存在したが、現在は同社のサイトに掲載されていない。ウラルエイジアは二人旅でもファミリーでも使用できる。
エクステリア

ウラル エイジアのエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディで、これにFRP一体型シェルを架装している。全長は4825mm、全幅は1920mmなので、一般的な5x2mのパーキングに駐車できる。
バンクは張り出していないスタイルでバンクベッドはなく、バンク部は収納スペースになっている。
ベース車
ハイエースはロングバンキャンパー専用車で、寒冷地仕様のほか、カラードバンパーや電装格納式ドアミラー、メッキフロントグリル、オプティトロンメーターなどほぼスーパーGLと同じ装備だが、残念ながらフロントエアコンはマニュアルとなっている。
ガソリン2WD、ディーゼル2WD、ディーゼル4WDが選択できる。
インテリア

ウラル エイジアのインテリア
ウラルエイジアのインテリアはきわめてオーソドックスで、特に華やかさや豪華さを追ったものではない。しかし家具のエッジ処理などは丁寧に仕上げられており、カジュアルな室内になっている。
インテリアのカラーバリエーションについては記載がなく、家具色やシート生地を選択できるかは不明。しかし、展示車のインテリアカラーをどうしても変えたいということでなければ、この配色で特に不満はないだろう。
レイアウト
前部に4名対座ダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、そしてギャレーがダイネットの対面に配置されている。ユーティリティールームはなく、その分、ダイネットもベッドも十分な広さが確保されている。
前から後ろまで動線が確保されており、車内の移動はスムースに行える。運転席、助手席から後部へも、特に苦労なく移動できる。ハイエース標準ボディのバンコンではこうはいかないが、さすがキャブコンになるだけで車内の余裕は大きく異なる。
ダイネット

4名対座のダイネット
2列目シートは後ろ向き固定の4名対座ダイネットで、ファミリーでテーブルを囲むことができる。テーブルは大きく食事もゆっくり取れるだろう。
ただし、シート幅は950mmなので、大人が2名並んで座ると多少窮屈かもしれない。子供連れのファミリーなら大人と子供が並んで座るとちょうどよい大きさだ。
乗車定員は、運転席、助手席と、このダイネットに4名で計6名となっている。
ベッド

大人2名が就寝できるハイマウントダブルベッド
メインベッドは後部の常設ハイマウントダブルベッドで、車幅方向に就寝する。大きさは1820x1200mmで、家庭用ベッドならセミダブルベッドに相当する。
車幅方向に就寝して1820mm取れるのはキャブコンになったからで、標準ボディのバンコンではもちろん、ワイドボディでも実現できない。

ダイネット展開ベッド(写真:ファンルーチェ)
もう一つのベッドはダイネットを展開してベッドメークする。大きさは1750x950mmで、家庭用ベッドではシングルサイズの幅に相当する。キャンピングカー要件では大人用ベッドの長さは1800mmとなっているので、要件上ここは大人のベッドにはカウントされない。
ベッド展開は簡単で、テーブルを外してシートバックを中央に移動するだけ。ただし、テーブルを全て片付けなければならないのが面倒ではある。もちろん二人旅ならテーブルはそのままにして、眠くなったらすぐに後部の常設ベッドで就寝できる。
ギャレー

跳ね上げ式調理台が付いたギャレーコンソール
ギャレーはダイネットの対面にあり、作った食事をすぐにテーブルに乗せることができる。ギャレーコンソールにはシンクが埋め込まれており、中皿程度なら洗うことができる大きさだ。
コンロはポータブルカセットコンロを使う度にセットしなければならない。跳ね上げ式の調理台があるので、ポータブルコンロを設置しても、調理スペースは十分にある。調理をするユーザーにはうれしい装備だ。

ギャレーには引き出し収納が用意されている(写真:ファンルーチェ)
ギャレーの下に引き出し収納が用意されており、食器やカトラリーを収納することができる。また給排水タンクは、後部左側に収納されており、車外からアクセスできるようになっている。
冷蔵庫/電子レンジ

40L冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40Lの横開き式が標準装備され、ギャレーコンソールにビルトインされる。エントランスから近いので、車外にいてもすぐに冷たい飲み物が取り出せる。

電子レンジはオプション
電子レンジはオプションとなるが、ギャレーコンソールにすっきり収納される。ただし、バッテリーで電子レンジを駆動したい場合は、オプションの1500Wインバーターも一緒に装備する必要がある。
ユーティリティールーム
ウラル エイジアはユーティリティールームをあえて持たないレイアウトが特徴で、その分、広いベッドとダイネットが可能となっている。ユーティリティールームが必要な場合は、同社では「セレンゲティ」がある。
収納

ギャレー上のオーバーヘッド収納
ウラルエイジアは、ダイネット上、ギャレー上、ベッドルームの両サイドにそれぞれ大きなオーバーヘッド収納を装備している。奥行きも深く大きな収納力を持つ。

バンク部は収納スペースになっている
また、先述のようにギャレーには引き出し収納があり、食器やスプーン、箸等を入れておける。バンク部は収納スペースになっており、ここも荷物を置けるが、扉があるともっと良かったかもしれない。

ベッド下左側の独立した収納
更にベッド下は大きな外部収納になっており、リア開口部の大きさは1400x800mmあるので、小型の自転車なども積むことができるだろう。
ベッド下にはこのほか、独立した扉付きの収納も用意されている。
空調

家庭用エアコンがオプション設定されている
暖房はFFヒーターが標準装備される。またベンチレーターも標準装備。冷房は、家庭用エアコンがオプションで用意されている。室内機はベッドルームの最後部に前向きに取り付けられるので、前部まで効率よく冷房できる。
室外機は後部ベッド下右サイドに収納される。
テレビ/ナビ
テレビは特にオプション設定されていない。またナビはオプション。
電装系
115Ahのディープサイクルサブバッテリーが2個と、走行充電が標準装備される。エアコンを装備する場合は増設するか、リチウムイオンバッテリーを導入するのが望ましいが、オプション設定されているかは不明。
外部100V入力と、これによる充電機能も標準装備される。
またインバーターはオプション設定されているが容量は不明。しかしエアコンをサブバッテリーで運転するには1500W以上のインバーターが必要となる。インバーターを搭載しない場合、エアコンは外部電源が取れる場合のみ使用できる。

200Wのソーラーシステムを標準装備
ソーラーシステムは標準装備で、200Wのソーラーパネルが搭載される。
価格(2020年12月現在:千円台切り上げ:税別)
ガソリン2WD/6ATで655万円~。必要なオプションは、1500W正弦波インバーター(18万円)が考えられる。また家庭用エアコンは28万円とされている。調理をするユーザーは電子レンジ(35,000円)も付けておきたい。
他モデル
ハイエース標準ボディを使用したキャブコンは多くない。ウラルエイジアの他には、カトーモーターのボーノクイーン(710万円~)、セキソーボディのトム200(589万円~)、タコスのベリー/RE(482万円~)のみだ。
ボーノクイーンは高価だが木材を生かしたカトーモーター独特のインテリアで、4タイプのレイアウトから選択できるのが特徴。トム200はアルミシェルで軽量化を図っている。またベリーはベース車の骨格を残し、できるだけボディカットを避けて低価格を実現している。
上記の他モデルのうち、価格的にはトム200とベリーが比較対象になるが、どちらもユーティリティールームを持つレイアウトになっている。ウラルエイジアは、ユーティリティールームは不要なユーザーへの選択肢になる。
「ハイエース標準ボディ使用のライトキャブコン特集」も参考いただきたい。
まとめ
ウラルエイジアはハイエース標準ボディを使用しているため、コンパクトで、かつ動力性能の良いキャブコンだ。ボンゴが生産終了になり、代わりになるコンパクトなキャブコンが模索される中、ハイエース標準ボディを使用したキャブコンは一つの選択肢ではある。ただし価格はボンゴベースに比べると高価だ。
関連記事