SwingC(スゥイングC)は、RVビックフットが製作する、ハイエース標準ボディ標準ルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は埼玉県春日部市に本拠を置くビルダーで、セミフルコン、バスコンからハイエースベースのキャブコン、そしてハイエースベースのバンコンまで、幅広くラインアップを展開している。
スゥイングCは同社のラインアップでは最も小型のモデル。スゥイングN4.7と基本的には同じモデルだが、オプションを自由に選択できるスゥイングN4.7に対し、必要なオプションをパッケージ化して標準装備としたのがスゥイングC。
ちょっとややこしいが、スゥイングN4.7で元々標準装備されるものと、パッケージオプションとして標準装備されるものが、スゥイングCでの標準装備となる。(当然ベース価格はスゥイングCのほうが高くなる)
これにより、生産効率が向上し、同オプションを選択した場合のスゥイングN4.7よりも安価で、納期も早くなるというメリットがある。オプションにこだわりたいユーザーは従来通りスゥイングN4.7も選択できる。
なお、スゥイングN4.7では標準ボディハイルーフを選択できるが、スゥイングCでは不可で、標準ルーフのみになる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエース標準ボディ、標準ルーフをベース車にしたバンコンキャンピングカー。主なオプションの標準装備化により、価格面、納期面でメリットがある。
インテリアは同社のACSシリーズでおなじみのホワイトでコーディネートされた美しいもの。レイアウトはベンチシートの対座ダイネットで、主に二人使用に適している。
冷凍スペースの付いた横開き式冷蔵庫や電子レンジが標準装備され、クルマ旅にも対応。2024年からは、従来の家庭用スポットクーラーに代え、車載用セパレートクーラーが選択できるようになった。
アピールポイント
・コンパクトなボディサイズで、街中での高い機動性
・パッケージ化されたオプションで同装備のスゥイングN4.7より価格的、納期的に有利
・ホワイトでコーディネートされたインテリア
・横開き式冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・車載用セパレートクーラーを選択可能
・コンパクトな車体ながら充実した収納
ベース車とエクステリア
スゥイングCのエクステリア
ベース車はハイエース標準ボディ標準ルーフ。全高は2mを切るので、地下駐車場など高さ制限のある駐車場にも駐車空できる可能性が高い。ボディ外側への架装は無いので、見た目は通常のハイエースと変わらない。
グレードはDX+GLパッケージなので、カラードバンパーやメッキグリル、ドアハンドルやミラーもメッキ仕様となる。また、運転席と助手席の間にはセンターコンソールが設置され、上位グレードとほぼ同等となる。
車両仕様はガソリン2WDのみ。スゥイングN4.7はガソリン2WDに加え、ディーゼル4WDが選択できる。また、スゥイングN4.7ではハイルーフも選択できる。
インテリア
スゥイングのインテリア(写真はスゥイングN4.7)
まず目を引くのが、同社ACSシリーズで一貫して採用されているホワイトでコーディネートされたインテリア。非日常的ではあるが過度にデコレートされておらず、センスの良いインテリアとなっている。
シートはレザー調の表皮を採用。家具は特別高級感がある訳ではないが、しっかり作られている。
レイアウト
前部にベンチシートのダイネットを配置、後部にギャレーを配置し、二人使用に適したレイアウトを採用している。横に広がるマルチモードシートを採用していないため、前後の動線がスムースで、運転席、助手席からダイネットや後部のギャレーへの移動も容易だ。
前向き乗車は運転席と助手席の2名だが、ベンチシートにも4名が乗車できるので、乗車定員は6名となっている。
ダイネット
リビングのようなダイネット
ダイネットには右サイドのベンチシートと、それより少し短い左サイドのベンチシートが設置されている。ダイネットと言うよりリビングで過ごす感覚だ。
テーブルは平均的な大きさだが、2名での食事には十分だろう。4隅にカップホルダーが埋め込まれている。
ベッド
家庭用レギュラーダブルベッド以上の幅のベッド
シートをフラットにしたベッドサイズは1800x1500mmの大きさ。助手席の後部に小さなベッドマットをはめ込むと最大2100mmの長さになる。1500mmは、家庭用ではレギュラーダブルベッドの幅(1400mm)以上のため、二人ならゆったり就寝できる。
ベンチシートなのでベッド展開は比較的楽に行える。テーブルを落とし込み、背もたれを移動するだけ。背もたれは分割されているため軽量で扱いやすい。
ギャレー
ギャレーセクション
後部左側のキャビネットにはシンクとフォーセットが設置されている。フォーセットは回転してシンク内に収まるので、蓋をして平らなカウンターにすることができる。調理面は広く、カセットガスコンロを置いても余裕がある。
ただし、標準ルーフなので、立って調理するのは難しい。頻繁に調理する場合はスゥイングN4.7のハイルーフの方が良いだろう。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には、各10Lの給排水タンクが収納されている。リアゲートを開けると車外から直接出し入れできるので大変便利だ。
冷蔵庫/電子レンジ
49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備される。横開き式なので冷凍室があり、製氷・冷凍と冷蔵が同時にできる。クルマ旅では冷凍食品を保冷しながら飲み物を冷やすといった使い方になるので、クルマ旅にも対応できる。
電子レンジも標準装備される
家庭用の100V仕様の電子レンジが標準装備される。ちょっとした温めものや冷凍食品の調理に重宝する。1500W正弦波インバーターも標準装備されるので、外部電源のないところでも電子レンジを使うことができる。
多目的ルーム
スゥイングCに多目的ルームはない。緊急用にポータブルトイレを乗せておくのは可能だが、小さな子供を乗せて車中泊をするというケースは少ないと思われるので、あまり現実的ではないだろう。
収納
右側ベンチシート下の収納
スゥイングCはコンパクトなボディの割には、収納が豊富な方だ。まず、ベンチシートの下が大きな収納になっている。他車も含め、シートクッションを外して上部からもアクセスする場合、背もたれも外す必要があり、あまり使いやすいとは言えない。
そこで、スゥイングCでは側面にも扉を設け、アクセスしやすいように工夫されている。
右側ギャレーキャビネットの収納
次に、右側のギャレーキャビネットに大きく深い収納がある。スゥイングN4.7では、家庭用のスポットクーラーを選択した場合、この収納スペースに設置される。スゥイングCではスポットクーラーの選択肢はなく、車載用セパレートクーラーのみ選択できる。
エントランス右側の収納
エントランスの右側にも扉付きの収納が用意されている。ここは左側のベンチシートの前部。
エントランス左側のシューズボックス
最後に、エントランス左側にシューズボックスが用意されている。2名で使用するなら十分な大きさだろう。ステップにもちょっとした収納スペースが設けられている。
空調
車載用セパレートクーラー(OP)
車載用セパレートクーラー(CoolStar)がオプションで用意されている。設置の有無は選択できる。クーラーを設置した場合、サブバッテリーは高性能のイナダバッテリー3個(300Ah相当)を選択することもできる。AGMバッテリーをも凌ぐとされるバッテリーだが、これはディープサイクルバッテリーで、リチウムイオンバッテリーではない。
テレビ/ナビ
10.1型のフリップダウンモニターがパッケージオプションとして標準で取り付けられている。
ナビはネットワークスティック付きフルセグナビがパッケージオプションとして標準装備されている。ETC2.0も同様に標準装備される。
電装系
スゥイングCとして105Ahのディープサイクルバッテリーが2個標準装備される。走行充電、外部電源入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターも標準装備。先述のようにクーラー選択時は300Ah相当のイナダバッテリーを選択できる。
ソーラーシステムは記載されていないが、装備することは可能だろう。ちなみにスゥイングN4.7では100W、あるいは200W相当(100W2枚)のソーラーシステムがオプション設定されている。
価格(2024年6月現在:千円台切り上げ:税込)
2000ccガソリン2WD/6ATのみ選択でき、装着済みパッケージオプションを含めた価格は643万円となる。さらに、オプションのクーラー(CoolStar)とイナダバッテリー3個を付けると725万円となる。
スゥイングN4.7にクーラーを含め同等のオプションを付けると744万円となるので、20万円ほどお得になる計算だ。スゥイングCは同社のウェブサイトには記載されていないため、現在の価格はビルダーにお問い合わせいただきたい
他モデル
スゥイングCに似たコンセプトを持つモデルには、レクビィのソラン(764万円~)、キャンピングカー長野のスペースキャンパーCOOLs(価格不明)が挙げられる。いずれもハイエース標準ボディ標準ルーフだが、スペースキャンパーCOOLsには姉妹車の、日産ピーズフィールドクラフトのスペースキャンパーキャラバン NB-COOLs(739万円~)も存在する。
ソランは家庭用エアコン(ダイキンのリソラ)と300Ahのリチウムイオンバッテリー、250W相当のソーラーシステムを標準装備する。49L横開き式冷蔵庫と電子レンジも標準装備だ。
スペースキャンパーは100V仕様の一体型クーラー、15Lのポータブル冷蔵庫、電子レンジ、200W相当のソーラーシステムを標準装備する。
まとめ
スゥイングCは、とりあえずこのクラスのキャンピングカーを、できるだけ早く欲しいと思っているユーザーにはお勧めできる選択肢だ。短距離なら後部のベンチシートに座っていても疲れないので日常用途にも使える。
また横開き式冷蔵庫や電子レンジ、クーラーも装備できるので、二人でのクルマ旅にも使用できる。ホワイトで統一されたインテリアも魅力的だ。ただし、クルマ旅を中心に考えるなら、スゥイングN4.7のハイルーフの方が、圧迫感が少なくて良いだろう。
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